これ何て呼びますか Part2

音韻論、形態論、統語論、意味論の分析について
今年、日本語系の大学院を受験する予定で、
いろいろと過去問を見ています。

その中に、
「来年には帰国したいと思っています。」

この文を音韻論、形態論、統語論、意味論の観点で
分析しなさい、

というものがあるのですが、
意味論はなんとなく分かるものの、
他の3つの分析の仕方が分かりません。

どのように分析したらいいのか、
また、この本を読んだら、分析の仕方が分かる、というものがあれば
教えていただけないでしょうか。

ここで聞くのはあつかましいと思いますが、
自分で考えようにも
全く分析の仕方が分かりません。

よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

日本語教育能力検定試験用に言語学をかじっています。



「来年には、帰国したいと、思っています。」
この文を、音韻論、意味論、統語論、形態論の順で分析する。特に後ろ3つ分析はたがいに重なる部分が多い。

音韻論
音声学は物理的に言語音声そのものを分析する。音節は、1個の母音を音節主音とし、その母音単独で、あるいはその母音の前後に1個または複数個の子音を伴って構成する音声群を言う。
日本語は、一般に母音で終わる開音節である。閉音節は「ん」および「っ」で終わる音節だけである。
課題文は、CV CV CV CV CV CV、CV CV CV CV CV V CV、V CVC CV V CV CVの音節構造をもつ。
日本語では語末などで無声化して聞こえない母音が現れる事も多いが(例えば「思っています」の「ます」が「mas」)、あくまでも無声化した母音を伴った開音節である。音節ごとにまとめるならば 「思って」は[o.mot.te] のように3単位となる。
音韻規則などを分析する音韻学で、音素とは、言語において意味の区別に用いられる最小の音の単位を指す。音韻的には「お・も・っ・て」の4単位と捉えている。
日本語の音韻は、ほぼ仮名(五十音表)にそって体系化することができる。一般に拗音、撥音、促音、長音も音韻とする。課題文は「ら・い・ね・ん・に・は、き・こ・く・し・た・い・と、お・も・っ・て・い・ま・す」に分解される。

意味論
意味論とはその単語がもつ大まかな意味によって分類する。統語論の単位である語、句、文、そしてさらに大きな談話単位テクストなどが持つ意味を分析する。
真理条件、項構造、談話分析などと統語論を結ぶことである。課題文は1文からなるので統語論の分析とほぼ共通する。
主語(話し手)の現在の思考内容を引用節とし、「思っている」という動詞で表現している。
主語の思考内容は節の中で、「来年に」が動作の時期を指示し、「帰国したい」によって、動作の実現と希望について表す。

統語論
このような意味と構造に基づいて課題文は主節と従属節の複文構造になっている。
語句は単独で文節を構成できる品詞の自立語と助詞または助動詞による付属語とからなり、品詞の役割に応じ文の中でどういう働きをするか、他の語とどう結びつくかを分類する。
語順は、従属節が副詞句、主語、術語の順に構成され、主節が従属節と主語、述語の順で構成されている。
来年(名詞)+に(格助詞)+は(係助詞):副詞句
来年には、(私は)帰国したい:副詞句+(主語)+術語で構成された引用の従属節である。
(私は)~と思っています:(主語)+引用節+格助詞+術語で構成された主節である。
主語は主節、従属節とも省略されている。
従属節の述部:帰国し(動詞「帰国する」の連用形)+たい(助動詞)
主節の述部:引用節+と(格助詞)+思っ(動詞「思う」の連用形、「思って」は「思いて」の促音便)+て(接続助詞)+います(動詞「いる」の連用形、「ます」は助動詞)
ここでは個別の助詞、助動詞の用法については割愛する。

形態論
形態論とは、語と語の間の意味的・形態的な関係や、語の内部構造について論じる。文のなかでの複数の語の関係を論じる統語論と区別される。
語を構成する意味の最小単位は形態素と呼ばれる。形態素は、語より基本的なものである。
語の形態変化は、基本的に語の意味を変えない屈折と意味や品詞を変える派生に分類される。

「来年」は来・年よりなり、「来る年、次の年」を表す漢語
「帰国」は帰・国よりなり「国に帰る」の意を表す漢語
「帰国し」は複合語「帰国+する」の活用形(屈折の例)
「思って」は動詞「思う」の活用形(屈折の例)。「おも」を形態素(語幹)とする連用形「思いて」が音韻変化により「思って」の促音便を生じている。
「思っている」は複合動詞としてみなすこともできる。



かつて読んだことがある次のような参考書を思い出しなが書いてみました。手元に置いて参考にすればまともな論文が作れるでしょう。
『新しい日本語入門』庵 功雄 2001 スリーエーネットワーク
『朝倉日本語講座』全8?巻 北原 保雄/監修 2005 朝倉書店
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この回答へのお礼

丁寧に回答していただいてありがとうございます。
早速、新しい日本語入門を購入してきました。
とても分かりやすかったです。
ありがとうございます。
来週が試験なので、頑張ります。

お礼日時:2010/08/28 14:48

カナダで言語学を大学でやり終了したものです。

答えられる範囲でお答えします。

 「来年には帰国したいと思っています。」
まず 
 音韻論― まず各単語を音節に区切ってください。たとえば、「来」はraiですよね。これはCV.Vになります。日本語はCVN(鼻音)という音節のテンプレートがあるので、CVは開音節で英語でいえばlight syllableです。あと、「し」ですが、これはもともとsiだと思います。それがsがiの前に来ると?になる。こういうのが音韻論的分析です。

 形態論― 形態素にばらします。注目してほしいのは、「帰国する」です。この日本語でいえば、終止形が助動詞「たい」につらなるので、連用形になるとか。同様に「思って」も、もともとは「思う」ですよね。後は、「来年」は来と年が結び合わさったものです。年が英語でいえばheadで来が修飾語句です。「帰国」もそのように形態素に分解してください。

 統語論― これはまさに文法。「来年には」はこれでphraseですね。時をあらわす副詞句。そのあとに、「帰国したい」が入る。これは動詞句。「と」は生成文法的に行って、英語でいえばthatにあたるcomplementizer(保護標識)です。これがあるとその前の句は「思う」の補語になります。ですから「思っています」が主節の述語です。そして「帰国したい」が埋め込みの節になります。「来年には」は「帰国したい」にかかります。後、時制はなにか、主語はだれか、そういう研究をします。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
かなり取っ掛かりがつかめました。

回答者さんは、カナダで言語学を学ばれたんですね。
英語を使っての説明も分かりやすかったです。

お礼日時:2010/08/26 10:48

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