独学で論理学を勉強し始めた社会人です(前提知識ゼロ)。
二重否定について、教えて頂きたく質問させて頂きました。
質問点は2点です(下記IとIIについて)。
以下 中央公論新社刊 「入門!論理学」2006年9月25日発行 野矢茂樹著 P.60~61より引用
>>引用開始
「ある状況で『Aではない』と正しく主張できるのは、その状況で『A』と主張するとまちがいになるとき」
この規定に従うと、二重否定「(Aではない)ではない」が正しく主張できるのは、その状況で「Aではない」
と主張するとまちがいになるときだということになる。
ここで、下記3つの場合についての関係を見てみる。
(1)「A」は正しい。
(2)「Aではない」はまちがい。
(3)「(Aではない)ではない」は正しい。
(2)と(3)は否定の意味からして同じものである。・・・I
だから、いま特に考えたいのは(1)と(2)(3)の関係です。
(1)が言えていれば(2)と(3)は言えるのか。逆に(2)と(3)が言えていれば(1)は言えるのか。
まず(1)から(2)が言えるかを見る。
(具体例のため中略)
一般に、「A」が正しいとわかっているとき、「Aではない」はまちがいです。つまり、(1)から(2)は
問題なく言える。
(2)が言えれば、否定の意味から、(3)「『(Aではない)でない』は正しい」も言える・・・II
つまり「A→(Aではない)ではない」は成り立つということです。
<<引用終了
【質問内容】
まずIについて
なぜ、(2)と(3)が否定の意味からして同じと言えるかがわかりません。
次にIIについて
なぜ(2)が言えれば、否定の意味から(3)「『(Aではない)ではない』は正しい」と言えるかがわかりません。
かなり基本的な内容だと思うため、恥ずかしく思っております。
論理学の知識のある方、ご教授下さいますよう、宜しくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
論理学は苦手のほうですが、参考までに。
高校の数学には「論理と集合」という単元があり、そこでは命題(真偽の決まる文)の真偽や必要/十分条件などを学びます。
数学や論理学でつかう「用語」と日常語とには若干ずれがあるので、「集合」を念頭に入れるとわかりやすくなります。
「太郎は日本人である」を例にすると例が日常的でわかりやすいのですが、この文自体が「真」とはかぎらないので(太郎はアメリカ人かもしれない)、
「2は偶数である」(1)を例にとります。
「2」は「偶数」の集合に含まれますから、これは真の命題です。
ここでは自然数を全体集合とします。(野矢氏のいう「ある状況」にあたるのが、ここでは「自然数」だと考えてください)
(1)の否定「2は奇数である」(2)は「偽(まちがい)」です。(2)
(1)の否定((2))の否定、「2は奇数ではない」=「2は偶数である」は真(正しい)。(3)
「文」とみれば、(2)と(3)は「違い」ますが、「命題」と見ると「同じ」(価値)なのです。この部分だけを見れば、高名な著者も少し言葉たらずかもしれません。
「文」と「命題」の違いは、
たとえば
「三つの辺が等しい3角形は正三角形である」と
「三つの角が等しい3角形は正三角形である」とは
同じ「命題」(同じ事態を指す)ですが、「文」としては違います。
Iが解消すればIIも同様に考えられるのではないでしょうか。
問題の背景から、ご丁寧に説明して頂きまして深謝申し上げます。
mesenfantsさんが提示して下さった「2は偶数である」という命題に
対しては、おかげ様で理解することができました。
しかし残念ながら、同著で示されている
「(2)と(3)は否定の意味からして」という、くだりが理解できません。
ここは、「少し言葉たらず」ということで受け入れるべきなのでしょうか・・・?
No.3
- 回答日時:
(2)と(3)は否定の意味からして同じものである。
ーー>
否定に関する規定
「ある状況で『Aではない』と正しく主張できるのは、その状況で『A』と主張するとまちがいになるとき」
ーー>次の二つは同値
(イ)「Gではない」は正しい。
(ロ)「G」は間違い。
Gに「Aではない」を代入すると、
(イ)は(3)
(ロ)は(2)
であるから、(2)と(3)は同値。
ご回答ありがとうございます。
簡潔かつ具体的で、すんなりと理解できました。
心の「モヤモヤ」が晴れました。
改めて、深謝申し上げます。
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