No.1ベストアンサー
- 回答日時:
エンジニアとして30年以上石油、化学の会社の仕事にかかわっています。
工場に勤務して原価計算データを使って設備投資の採算性を検討したこともあります。ご質問の「ランニングコストの構成割合」はケースバイケースです。運転条件、経済環境によって異なるので正解はないと思います。ランニングコストの構成要素の実績はトレードシークレット、企業秘密ですからたとえ質問しても開示されないと思います。
下記の(1)およぴ(2)のようなことをすると考え方、課題が明らかになってくるのではないかと思います。
(1)原価計算、コストアカウンティング、管理会計、マネジェリアルアカウンティングManagerial Accountingの教科書を読んで構成要素の概念を理解すること。
(2)石油、化学業界の学会、業界団体、業界紙、業界誌などに電話をかけて訪問し、問い合わせること。
なお質問者様のバックグラウンドすなわち経歴、学歴、職歴、ならびに質問を投稿した理由など書いていただけるとより適切な回答が書けると思います。よろしくお願いいたします。
ご健勝とご多幸をお祈り申しあげます。
(May 10 '11)
ご回答ありがとうございます。
ランニングコストの構成は企業秘密に当たるんですね、検索しても出てこない理由がわかりました!
私は現在大学で化学プラントにおける保存タンクの運用コスト最小化(原料が通過するタンクの切り替え回数等を最適化することでコストを抑える)に関する研究を行っており、その際に保存タンクの運用コストが化学プラントのランニングコストの中でどの程度の割合を占めているものなのかを調査したいと考え質問させていただきました。
大学ではオペレーションズリサーチを専攻しておりましたので化学業界や会計学にはあまり詳しくないのですがご回答者様にご教示いただいた方法で調査を進めたいと思います!
また恐縮なのですが
(1)保存タンクの運用に関して考慮する必要があること(コスト、切り替え、揚油日程など)
(2)保存タンクの運用の際の「タンクの切り替えによるコスト」がプラント全体のランニングコストに占める割合(構成要素は企業秘密とのことでしたので多い、少ない等で結構です)
(3)タンクの切り替えを平日に行うことが好ましい理由(ある論文で「通油する原油タンクの切り替えはなるべく平日に行うことが好ましい」という記述を見つけたのですが理由が書かれておりませんでした)
に関しましてご教示いただくことは可能でしょうか。
重ね重ね申しわけございません、よろしくお願いいたします。
No.4
- 回答日時:
質問者様のメッセージ(2011-05-22)に返信します。
拝啓
「タンク繰りに関する論文」についてお教えいただきましたこと感謝申しあげます。インターネットからダウンロードできることがわかったので早々に入手して読むことにします。
(quote)
この分野の「論文」をお読みのようです。もしインターネットで入手できるような論文、資料、文献がありましたらそのアドレスをお教えいただきたくお願い申しあげます。
(unquote)
ご健勝をお祈り申しあげます。
敬具
(May 23, 2011)
No.3
- 回答日時:
拝啓 お送りした回答(May 10)に早々に丁寧なご返事(May 10)をいただいたのに返信していなかったこと深くおわび申しあげます。
経験したことをふりかえって気がついたことを書きます。○「ランニングコストは企業秘密」と考えていますが石油、化学、エンジニア業界の技術者、工場の経理担当者などプロセス産業の関係者と話す機会があった時に聞いてみると具体的に教えてくれることはないと思いますがおおよその数字を話してくれるかもしれません。
○「保存タンクの運用コスト」ということですがタンクは液体もしくは気体を保存するために建設するものですから以下「タンク」と書きます。
○石油会社の製油所、化学会社の工場のプロセスの基本は次のように書けると思います。
原油タンク、原料タンク → <製造設備、装置> → 中間製品タンク → <製造設備、装置> → 中間製品タンク → <製造設備、装置> → 最終製品タンク → <出荷設備> → マーケット、消費者
(参考資料)
3. 石油製品の製造工程
http://www.noe.jx-group.co.jp/binran/part04/chap …
図 4-4-2 石油精製工程の一例 [PDF 99KB]
(unquote)
○製油所、化学工場に勤務する技術者は「製造、製油部門」と「工務、建設、装置保全部門」と「環境、安全部門」に分けることができます。「製造部門」がタンクをふくめて製造設備、装置の基本的な構成を立案し、「工務部門」が建設し、「製造部門」が運転、管理します。安全、確実に製品を製造し、出荷することが製油所、化学工場の最大の責任です。確実に製造できる範囲内でコストを削減する対策をとります。最小限のタンクを建設し使用することもコスト削減のひとつの考え方です。
○「製造部門」にとっては確実に製品を製造することが優先的課題であり、その範囲内でコストを削減するために原料タンクの切り替え回数を少なくします。
○タンクはほかの設備、装置と同じように定期的に使用を停止(シャットダウン)して点検、補修する必要があるのでその期間代わりに使用するタンク、代替のタンクを手配しておくことになります。
○安全対策ならびに環境対策が製油所、化学工場の最優先項目です。石油会社、化学会社は安全確実に設備を稼働し高品質の製品が出荷できるように設備を建設し生産計画を立案し運転しています。
○運転条件の変更、特に過去に実施したことがない運転条件に変更する時には非常に小さい確率ですがリスクを考えることになります。「原油タンクの切り替え」を行うと原油が変更されポンプ、配管なども変更になります。日常的におこなっていることですからリスクと考えたことはありませんでした。大きく運転条件を変更するときには想定外の事態が発生することがあると考えられるので関連部門、たとえば製造計画策定部門、販売部門、環境、安全部門などの社員が出勤している「平日に行うことが好ましい」ということになると思います。
○この分野の「論文」をお読みのようです。もしインターネットで入手できるような論文、資料、文献がありましたらそのアドレスをお教えいただきたくお願い申しあげます。私も論文を読んで具体的に考えたいと思います。
○製油所、化学工場を見学されたら如何ですか。石油会社の製油所、化学会社の工場に電話すると案内してもらえると思います。石油会社、化学会社の本社の広報部門に連絡すると関連する資料がもらえるかもしれません。大学で研究されているとのことですが先輩、卒業生で製油所、工場に勤務している方もいらっしゃると思うので訪問して現場を案内してもらったら如何ですか。
質問、コメントなどありましたらお送りください。ご健勝をお祈り申しあげます。
(May 16, 2011)
就職活動で返信が遅くなってしまいました、申し訳ございません。
タンク繰りに関する論文としては以下の物を読ませていただきました。(CiNiiのサイトを載せています)
◆タンク繰りスケジューリングに対する二段階アルゴリズム:http://ci.nii.ac.jp/naid/110003477413
◆タンク繰りにおける経路探索法(スケジューリング):http://ci.nii.ac.jp/naid/110003481645
◆最小費用流アルゴリズムを用いたタンク繰りスケジューリング構成法(スケジューリング):http://ci.nii.ac.jp/naid/110003481644
また「原油タンクの切り替えをなるべく平日に行うべきである」との記述があった論文は以下になります。
◆原油タンクスケジューリングへの適用: 数理計画法による定式化(生産計画(2)):http://ci.nii.ac.jp/naid/110003478031
これらの論文を読むとタンク繰りはかなり重要な問題であるような印象を受けるのですが他の方にお話を聞くとタンク繰りに関してはあまり考慮されていないと言われることが多いです。
論文のテーマとして扱うならばある程度重要な問題(「重要」の定義がかなり曖昧なのですが・・・)である必要があるというのが教授の方針なのでコスト面から重要な問題であるという証明をしたいと考えていたのですがコスト面に関してはそこまで重視されていなさそうですね。
毎回ご丁寧な回答ありがとうございます、回答者様のご教示を参考にこれから現場の方にお話をお伺いしてきたいと思います!
No.2
- 回答日時:
プラントの簡単な経済試算は次のようにしてやります。
1.目的の設備の能力を定める。
2.その設備の建設費を算定する。ただし、土地の取得費などは考えない。これらは最後に本社経費として製品原価に一定比率を加算する。
3.このプラントを運転するために必要なユーティリティー(電気、蒸気、水、燃料など)の量を算出する。
4.ユーティリティーの単価を調べる。ただし、これらの単価は引き渡し条件とか購入量によって大幅に変わるので、この費用が全体に占める割合が大きいときは注意が必要。
4.プラントを運転するために必要な人員を算出する。(間接部門の人員は考えなくて良い。)
以上から年間必要費用を算出する。
年間費用(ランニングコスト)=設備の減価償却費+ユーティリティー費+労務費+保守費用
ここで、設備の減価償却年数はプラントの種類毎に税法で定められているのでそれに従うべきだが、一般に7~10年の定額償却と考えてよいでしょう。
積み上げで算定が難しい項目、たとえば保守費用は経験的に全体の%で見込む。これらの%は文献の試算例から推測する事が多い。
参考文献として「化学プラント便覧」、「化学装置便覧」があります。これを見れば原価計算などの専門的知識が無くとも大体のことは分かると思います。ただ、どこへ行けば見られるかが問題ですが。
ご回答ありがとうございます。
なるほど必要な人員の算出は最後に行われるんですね!経済試算に関しまして重要度の高い項目から決定されているように感じるのですがやはり化学プラントにおいては人件費はあまり重要視されていないのでしょうか?
紹介していただいた本も早速図書館で探してみたいと思います!
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