No.1ベストアンサー
- 回答日時:
学校か塾で出題された問題なのでしょうか?
もしもそうだとすれば、判らないのも無理はありません。
何故なら、各フラスコ内の水蒸気の圧力を、計算で求めるために必要な情報が不足しているため、正しい値を求める事が出来ないからです。
つまり、正解が存在しない問題なのですから、答えられないのは、そんな問題を作った人間が悪いのです。
空気と水の境界である水面では、水中に存在していた水の分子が、空気中に飛び出して水蒸気を構成する分子となったり、その逆に、空気中に含まれている水蒸気を構成している水の分子が、水中に飛び込んで、液体の水を構成している分子となったりする、という事が常に繰り返されています。
水面における単位面積あたりに、一定時間内に、水面から空中に向かって飛び出して来る分子の数が多い程、或いは飛び出して来る分子の速度が速い程、発生する水蒸気の圧力は高いという事になります。
この発生する水蒸気の圧力の事を水蒸気圧と言います。
又、空気中に水蒸気が含まれていれば、その空気の圧力の一部は、含まれている水蒸気の圧力という事になりますが、この様に含まれている成分によって生じている分の圧力の事を分圧と言い、分圧の大きさは、その空気の圧力に、その空気中に含まれている成分の濃度(分子の個数の割合)を掛け合わせた値になります。
物体の表面に気体の圧力が加わるという現象は、気体の分子が物体の表面に衝突する事によって、(衝突の)力が加わるという事ですから、水面に水蒸気分圧が加わる場合には、空気中に含まれている水蒸気の分子が、水面に衝突する事になります。
従って、水面に加わる水蒸気分圧は、水蒸気が液体の水になって行く圧力でもあります。
もし、水蒸気圧の方が水蒸気分圧よりも高い場合には、水面から飛び出す水分子の方が、水面に飛び込む水分子よりも多くなりますから、水は蒸発して行き、その結果、空気に含まれる水蒸気の濃度が増して、水蒸気分圧が増加します。
逆に、水蒸気分圧の方が水蒸気圧よりも高い場合には、水面に飛び込む水分子の方が、水面から飛び出す水分子よりも多くなりますから、水蒸気は凝縮して水になって行き、その結果、空気に含まれる水蒸気の濃度が減少して、水蒸気分圧が低下します。
そのため、密閉された容器内に液体の水が十分な量だけ存在すると、放っておくと、いつかは水蒸気分圧は水蒸気圧と等しくなり、水が蒸発して行く速度と凝縮して行く速度が釣り合って、温度が変わらない限りは、水の量は変化しなくなります。
この時の水蒸気の圧力の事を、水の飽和蒸気圧といいます。
81℃における水の飽和蒸気圧が4.9×10^4Paという事は、Bのフラスコ中の水面からは、4.9×10^4Paの圧力で水蒸気が放出されるという事です。
ですから、コックが閉じている状態であれば、Bのフラスコ内の水蒸気の分圧が4.9×10^4Pa未満である場合には、Bのフラスコ内の水が蒸発して行き、最後にはBのフラスコ内の水蒸気の分圧は4.9×10^4Paになります。
一方、22℃における水の飽和蒸気圧が2.6×10^3Paという事は、Aのフラスコ内の空気の中の水蒸気分圧が、2.6×10^3Paよりも高ければ、Aのフラスコ内の水蒸気は凝縮して行き、、最後にはAのフラスコ内の水蒸気の分圧は2.6×10^3Paになります。
ここで、コックが開いていると、Bのフラスコ内の水蒸気が、Aのフラスコにも流れ込むため、Aのフラスコでは水蒸気が凝縮し続けるため、水蒸気分圧は4.9×10^4Paにまで増加する事はなく、一方、Bのフラスコでは水が蒸発し続けるため、水蒸気分圧は2.6×10^3Paにまで減少する事もなくなります。
これがもし、2つのフラスコ内に空気が殆ど無く、フラスコ内に存在する気体の大半が水蒸気となっているというのであれば、穴の開いたタイヤに空気を入れても、入れた端から空気が漏れて、タイヤ内の空気圧が増加しないのと同様に、Bのフラスコ内の水蒸気は、コックを通じて速やかにAのフラスコに流れ込む事が出来るため、2つのフラスコ内の水蒸気分圧は、2.6×10^3Pa以上にはなりません。
処が設問の様に、1.0×10^5Paという濃い空気が存在する場合には、Bのフラスコ内の水蒸気が、Aのフラスコ内に移動するためには、空気中を拡散して行く事によって移動するしかなく、一方のフラスコ内に生じた水蒸気分圧の変化が、もう一方のフラスコに伝わる事が、速やかには進まなくなります。
そのため、2つのフラスコ内の各水蒸気分圧は、中途半端な値となってしまい、その値を求めるためには、フラスコの形状やサイズ、2つのフラスコを繋ぐ管の太さや長さ、コックの構造やサイズ、等々のデーターを揃えた上で、複雑な計算をしなければなりませんが、それらの計算に必要となる情報が無い以上、各フラスコ内における水蒸気の圧力を、計算で正しく求め事は出来ないのです。
これは塾の問題です。
皆様の解説を見てAが凝縮し続け、Bが蒸発し続けるのは分かりました。
しかし実際に答案を作る際には、水がすべて気体だと仮定したときの圧力が、その温度での飽和蒸気圧よりも高い、ということを言わなければいけないと思います。
なのに気体定数、水の物質量(または物質量を求めれる何か)が与えられていないので、この圧力を求めれず、このような現象が起こると断言できないと思います。
解答を見ると
「100(ml)も水があれば直感で…」
と書いてある程なので、要は問題が悪いということですかね。
とても詳しい解説をありがとうございました!!!
お陰で蒸気圧についてかなり理解できました。
No.3
- 回答日時:
因みに、ANo.2様が仰っておられる
>充分な時間があれば、
とは、「フラスコA,Bの温度条件を保ったまま、フラスコBの中の水が完全に蒸発し尽くしてから、更に暫くの時間が経過するまで、放置すれば」という意味です。
No.4
- 回答日時:
>コックを開けたままAを22(℃)、Bを81(℃)に保ったとき、A,Bに存在する水蒸気の圧力は
それぞれ何(Pa)になるか。
コックを開けるとA,B両方の圧力、気体の成分組成などは同じになるはずです。
それをA,Bそれぞれの水蒸気の圧力を求めるのもおかしな設問です。
(1)まず、コックを閉じた状態で考えます。
1Lに対して100mLの水は水蒸気圧を考えるには多すぎる量です。
従って、A,Bとも飽和水蒸気圧と等しくなり、
A=2.6×10^3〔Pa〕 B=4.9×10^4〔Pa〕 になります。
(2)この状態でコックを開くと、Bの水蒸気がAに拡散します。
Aは温度が低いので、水蒸気圧が低く、過剰な水蒸気は水に凝縮します。
Bは温度が高いので、水蒸気圧に足りなくなった分の水が蒸発して水蒸気を
補います。
長時間経過すると、上記の現象が繰り返され、Bの水が無くなります。
そして、A,Bとも2.6×10^3〔Pa〕を超えた水蒸気が凝縮するので、
最終的に水蒸気圧はA,Bとも2.6×10^3〔Pa〕になります。
皆様の解説を見てAが凝縮し続け、Bが蒸発し続けるのは分かりました。
しかし実際に答案を作る際には、水がすべて気体だと仮定したときの圧力が、その温度での飽和蒸気圧よりも高い、ということを言わなければいけないと思います。
なのに気体定数、水の物質量(または物質量を求めれる何か)が与えられていないので、この圧力を求めれず、このような現象が起こると断言できないと思います。
解答を見ると
「100(ml)も水があれば直感で…」
と書いてある程なので、要は問題が悪いということですかね。
詳しい解説をありがとうございました!!!
No.5
- 回答日時:
#2様、#3様
「充分な時間」とはおおよそどの程度の時間なのでしょうか。
1時間以内、数時間、半日、1日、それ以上
連結部分のパイプのサイズを仮に、内径5mm、長さ10cmとします。
22℃と81℃に設定した後コックを開ければ、BからAに向かっての気体の流れが生じます。
空気と水蒸気は一緒に移動します。Aに入った水蒸気の一部が凝縮を起こしますからすぐには平衡は実現しないでしょう。でも空気の圧力の方がかなり高いですから圧力平衡はほぼ空気の移動で実現するでしょう。
平衡に近い状態が実現すればマクロな流れはほぼ止まりますから水蒸気のB⇒Aの移動は拡散だけになります。
Bの中の水が全部蒸発してAに移ってしまうのにはかなりの時間がかかりそうです。
パイプの中では水蒸気の移動と逆方向の空気の動きも起こるはずです。
Bにある水が全部蒸発してAに移ってしまうと初め0.9LあったAの部分の空間の広さは0.8Lまで下がるはず。空気の移動は初めBからAにおこります。その後、一部がAからBに戻ります。
空気の流れの量はかなり大きいです。この移動が細いパイプの中で起こるのですからかなりゆっくりとした変化であるように思います。
おおよその時間の見当すら付けることができません。
教えて頂けるとありがたいです。
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