この小説の主題は、「正義の殺人ということはあるか?」というものです。
この問題提起の真意は、「革命は正義か?」というものと思います。
そして「小説の結論」は、如何なる殺人も正義ではあり得ない、つまり革命は正義ではない、というものと思います。
革命運動をして死刑判決を受けたドストエフスキーがシベリア流刑で得た結論と思います。
さて質問です。
日本でもこの小説は必読の書となっていますが、日本のインテリにはかつて革命論者も沢山居ました。
そういう革命論者に対して、この小説はまったく影響を与えなかったように私には思えます。
つまり日本では小説というものが、実人生にほとんど影響を与えない、という気がするのですが、何か影響を与えた、という例は無いものでしょうか?
(もちろん罪と罰という小説に限っての質問です。)
No.1
- 回答日時:
ほとんど自信がありませんが、
小林多喜二はドストエフスキーに傾倒して小説家になり、
彼(だけではありませんが)の影響を受けて、日本を代表するプロレタリア作家の第一人者になったと
何かで読んだことがあります。
小林多喜二は特高警察の拷問によって、30歳という若さで虐殺されていますから、
実人生に、それ一つ考えても、大きな影響があったように思います。
回答ありがとうございます。
しかし小林多喜二がドストエフスキーを愛読したことが事実としても、罪と罰でたどり着いた、「革命に正義は無い」という思想を理解できず、革命運動をしてしまった人ですから、私が求めた答えでは無いと思います。
すみません。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
埴谷雄高などはそんな感じだったかもしれませんけどね。
それいうなら「悪霊」の方がいいですよ。連合赤軍事件と「悪霊」についてはいろいろな論説があったと思います。
この回答への補足
埴谷雄高の「死霊」がそれにあたりますか?
すみませんが、私は「死霊」を読んでいませんので、ちょっと見当がつきません。
大変恐縮ですが、埴谷雄高は革命のことをどう考えて居たのか、一言で結構ですので教えていただけないでしょうか?
No.3
- 回答日時:
No.4
- 回答日時:
NO.3です。
この作家に対して、私は興味がないので、本を読んだことはありませんが、一冊本を、とのことですので、
『自由の彼方へ』を。
よく分からないのに回答してしまったことを深く謝ります。
これからは、反省も兼ねて、自己の趣味の作家により研鑚を積みたいと思っています。
No.5
- 回答日時:
失礼ながら、質問者様はドストエフスキーの2つの長編小説、
『罪と罰』と『悪霊』を、ごっちゃにされているのではないかと思われます。
それで、回答された方々も混乱してしまったのだと思いますよ。
革命云々は後者の方で、『罪と罰』は人間愛の物語です。
主人公はとびきり頭が良い青年ですが貧しく、
大学は卒業したものの出世栄達の道は閉ざされています。
悶々とした日々を送るうちにかねてからの持論、
すぐれた人間は世の害虫を排除する権利がある、を実行に移し、
高利貸しの老婆を殺しますが、その際、犯行を目撃した善良な女性も犠牲になるのです。
検察官との丁々発止の遣り取りなどあって、主人公は
これも貧しさから娼婦となって家族の暮らしを支えている娘と出会い、
自首し、贖罪へと導かれるのです。
この主題は、日本人の心性にはなじみにくいものがあるんじゃないかと思います。
頭がいいなら人殺しも許されるとか、たかが娼婦に諭されて更生するとか、
反発があるのではないでしょうか。
「高利貸し」なんてある意味、必要悪みたいなところがありますしね。
かの東大卒の借金大王・内田百閒翁なども、高利貸しへの不快感を書きつつも、
高利貸しがいないと暮らして行けなかったんですから。
百閒翁は海軍兵学校で教えていた時代に、同僚だった芥川龍之介の自宅を訪れ、
借金を申し込み、芥川は小銭を集めて貸してくれたと書いてありました。
その後まもなくして芥川は自死しましたので、返さなくて済んだのではないでしょうか。
話が脱線しましたが、芥川はいち早く英訳で上の2作を読み、感銘を受けています。
『罪と罰』は心理小説でもあり、推理小説のような面白さも持っています。
芥川の数多くの短編小説のどこにその影響が見られるのか、
探してみるのも一興ではないでしょうか。
この回答への補足
回答者さんの「罪と罰」Nいついての解説は肯けますが、次の指摘についての説明をもう少しくわしくお願いします。
「革命云々は後者(悪霊)の方で、『罪と罰』は人間愛の物語です。」
No.6
- 回答日時:
No.5 です。
ええと、申し訳ないのですが、
革命思想の挫折が描かれているのは、『罪と罰』の方じゃなくて
『悪霊』という小説の方なのです。別の本です。
ご質問では、(もちろん罪と罰という小説に限っての質問です。)
と書かれていましたので、失礼しました。
☆この問題提起の真意は、「革命は正義か?」というものと思います。
『悪霊』は、ネチャーエフ事件という、革命組織の内ゲバ事件をモデルにして書かれたものです。
主人公は美貌・知性・富の揃った悪魔的な人物で、
放蕩三昧を繰り返し女性たちを不幸にする一方で、
知識階級の若者たちを煽動して革命思想に駆り立てるのです。
この若者たちが破滅していく過程を描き出し、主人公自身の死で締めくくられます。
これを、革命は正義かどうかの視点で読み解くのも自由だと思います。
カリスマ的人物に率いられての社会的逸脱、革命者同士の内ゲバ・・・
思い当る事件もあるかと思います。
この小説が日本のインテリ階級の実人生に影響を及ぼした、と言うより、
後に事実がこの小説をなぞることになる、と言う方がよいように思えます。
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