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No.1
- 回答日時:
技術が国家をどう変えたかを見る1つの視点は、産業革命が、その起こった国をどう変えたかを見ますと、かなり分かります。
最近の研究では、産業革命はいままで3回起きています。
第一回目は、イギリスで起きた有名なワットの蒸気機関から始まる動力革命です。このときの変化は■米倉誠一郎『経営革命の構造』岩波新書に詳しいですが、要するに、イギリスを農業国から工業国に変えてしまいました。近代の始まりです。
これは良く知られているのですが、意外に知られてないのが、1900年前後の第二次産業革命です。この原因は、鉄道の敷設と電話の開通で、やはりイギリスから始まり、アメリカへ伝播されました。これによる変化で一番顕著なのは、大企業の出現です。それまでばらばらに分散されていた事業所が、鉄道と電話によって、結合可能となったからです。この結果会社の所有(株主)と経営(社長他の経営者)が分離され、近代の企業組織ができあがりました。
この時期自動車も発明され、人々の結合も(移動と通信)促進されました。ただしこの新結合は、国家レベルでした。国家の経済的発展も促進されたのは言うまでもありません。
そして第三の産業革命が今進行中の、インターネットによる世界的結合です。ですから国家という概念がだんだんうすくなっています。
それから忘れてはいけないのが、技術のspilloverということで、技術は1国にとどまらず、世界的に共有化されていくということです。ですから特定の技術の発祥国は、他国に先立ってその恩恵をこうむりますが、次第にその恩恵は他国にも浸透していきます。インターネットが良い例です。後れを取っていた日本も、この4月の日経新聞によれば、ものすごい勢いで浸透しており、アメリカにはまだかなわないとしても、40%に迫っているといいます。例えば2年前に米国に行ったときには、e-mailが使えないと、食事にも招待されず、疎外感を感じましたが、いまは日本でも若い人は携帯メールで約束し合ってますし、ビジネスでも電話がめっきり減りました。
このように技術は、経済的変化に影響を与えるだけでなく、ビジネススタイル、人々のライフスタイルをも変えてしまいます。もちろん価値観への影響も無視できません。
そしてこれらに変化は、当初国家間に違いをもたらしますが、いまはspilloverの速度が速いので、世界的に標準化されて行きます。
すばらしい回答、ありがとうございました。
私も産業革命が一つのポイントではあると考えてはいたのですが、
産業革命という技術革新を通して、
国家の概念が少しずつ変化し、最近では国としての枠組みが
かなり希薄になっていることがよく分かりました。
また、第二回目の産業革命については私にとっては
新しい見方だったので、大きな収穫になりました。
ありがとうございました。
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