過炭酸ナトリウムについての質問がありましたので調べていました。
不思議なことが書かれているのに気が付きました。
過炭酸ナトリウムを辞典で調べてみました。
過炭酸ナトリウムはペルオキソ炭酸ナトリウムのことです。
ペルオキソ酸は-O-O-を含む酸です。過酸化水素の誘導体と考えることもできる構造を持っています。過酸という名前が酸化数の大きな元素を含む酸に対して使われるのはVII族元素の酸に対してだけである(過塩素酸カリウム KClO4)、ペルオキソ酸の意味で過酸という用語を使うのは誤用であると書かれています。過硫酸という名前もよく見ますが同じ事情にあると言うことができます。
ペルオキソ一炭酸ナトリウムはNa2CO4です。[O-O-CO2]^2-というイオンを含む化合物です。ペルオキソ二炭酸ナトリウムはNa2C2O6です。[CO2-O-O-CO2]^2-を含む化合物です。どちらも乾燥状態では比較的安定だということですが水溶液では分解して過酸化水素が出来るようです。
wikiで「過炭酸ナトリウム」で引くと2Na2CO3・3H2O2という化学式の表現が出てきます。「付加化合物」であると書かれています。辞典に載っている過炭酸ナトリウム=ペルオキソ炭酸ナトリウムとは異なる物質です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E7%82%AD% …
IUPAC名として sodium carbonate—hydrogen peroxide (2/3) と書かれています。
同じ式が「石鹸百科」というサイトにも出てきます。
http://www.live-science.com/honkan/partner/perca …
質問
(1)このような付加化合物(固体)が実際に存在するのでしょうか。
(2)存在するとして
・この化合物を「過炭酸ナトリウム」と呼ぶことが許されるのでしょうか。
・実際に酸素系の漂白剤として使われれているのはどちらの物質なのでしょうか。
酸素系の漂白剤を液状で提供している商品には成分表示に過酸化水素と書かれているものがあります。弱いアルカリ性に調整してあるものでは炭酸ナトリウムが添加されているようです。
これは過酸化水素と炭酸ナトリウムの混合物であるというだけです。付加化合物が存在するなんてことを前提とする必要はありません。
No.1
- 回答日時:
>付加化合物が存在するなんてことを前提とする必要はありません。
化学の試験なら0点。
全ての「平衡」で存在可能な化合物・イオンは存在すると考えねばなりません。
この場合の「オッカムの剃刀」は存在することの証明ではなく、「存在しないこと」の証明として使用されます。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
(1)このような付加化合物(固体)が実際に存在するのでしょうか。
実際に存在するようです。ウィキペディア英語版に結晶構造が描かれています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Sodium_percarbonate …
(2-1)この化合物を「過炭酸ナトリウム」と呼ぶことが許されるのでしょうか。
学術的には許されないかもしれないが産業用または民生用として古くから広く出回っているので名称変更は困難、といったところでしょうか。
ウィキペディア英語版の参考文献にある論文の要旨には“commonly known as sodium percarbonate (通称:過炭酸ナトリウム )”と書いてありました。
http://dx.doi.org/10.1107/S0108768103012291
また、この論文が引用している論文の要旨には、“and therefore the compound is not a true‘percarbonate.’(つまり、この化合物は本当は『過炭酸塩』ではないのだ)”とも書いてありました。
http://dx.doi.org/10.1039/DT9770002323
チタン酸バリウム TiBaO3 の名前をいまさら変えるは大変だ、というのと似たような状況なのかも知れません。
(2-2)実際に酸素系の漂白剤として使われれているのはどちらの物質なのでしょうか。
2Na2CO3・3H2O2でしょう。
根拠がウィキペディアばかりで申し訳ないのですけど、
http://en.wikipedia.org/wiki/Peroxocarbonate
http://en.wikipedia.org/wiki/Peroxodicarbonate
を見る限りでは、Na2CO4もNa2C2O6も(何らかの形で単離できるのだとしても)それほど安定ではないように思います。
ご回答ありがとうございます。
過酸については以前過酸化水素の製法を調べていた時の記憶が主になっていました。
硫酸の電気分解で過硫酸を作り加水分解するというものです。
あまりていねいに調べずに質問を書いてしまいました。
改めてあちこち調べてみました。
過酸、または過~酸には3つの系統のものがあります。
(1)過マンガン酸、過塩素酸
(2)過硫酸、
(3)過酢酸
(1)これが一番古いと思います。電気分解(電解酸化)で色々な物質を作るということの中では最初の方の例でしょう。通常の酸(この場合はマンガン酸、塩素酸)よりも中心元素の酸化数が増えている物質です。「過 per」という接頭語の意味も理解できます。
(2)過硫酸も電解酸化で作られる物質です。「過」という接頭語が付いたのは(1)との類似からでしょう。過硫酸は19世紀の終わりには見つかっています(H2SO5はCaro酸、H2S2O8はMarshal酸と呼ばれていたようです)。ほとんどの酸素酸について同じようなタイプの酸が見つかっていたようです。過硫酸は過酸化水素の工業的な製法の原料物質として広く使われていたのですから、構造、性質ともによく知られていた物質です。しかし、硫酸のSはすでに最高酸化数の状態にあるのですからもはや酸化されることはありません。酸化されているのはH2SO4の中の酸素です。-O-O-という結合が存在するようになります。この点で(1)とは事情が異なります。per-という名前をperoxy-に変えることで区別しようというのはIUPACの立場です。「化学大辞典」(1962年 共立出版)、「化学辞典」(1981年 森北出版)で「過硫酸というのは誤称である」としているのはこの立場に沿ったものです。「化学辞典」(1994年 東京化学同人)では「誤称である」とはしていませんが「過~酸」で引くとすべて「=ペルオキソ~酸」として別の見出しに誘導しています。これは理化学辞典(岩波書店)でも同様です。「過炭酸塩」は「ペルオキソ炭酸塩」に誘導されています。
(wikiの記事にもありますが、現在「過硫酸」という名前は「許容される名称」という扱いになっているようです。従って、過炭酸ナトリウムと言えばペルオキソ炭酸ナトリウムのことになります。)
(3)過酢酸も-O-O-結合を内部に持っているということでは(2)と同じだと考えられますが辞典の扱いには少し違いがあります。H-O-O-の置換体としての理解です。これは製法の違いが反映しているように思います。無水酢酸に過酸化水素を反応させるということですから電解酸化とは異なるのです。
日本語版のwikiでは「過炭酸ナトリウムは炭酸ナトリウムの過酸化水素付加体のことだ」としてあります。
これはほとんど「商品名」、または「業界用語」に類するものではないかと思います。ただ消防法で危険物指定の対象にリストアップされたようですから名前の変更を期待するのはしばらくは無理でしょう。
この物質が出回り始めたのはそれほど古いことではないようです。
業界での使用目的は過酸化水素キャリアーとしてです。
高濃度の過酸化水素は運搬、取り扱いが面倒です。爆発の危険性もあります。
付加体は固体で、比較的安定だということで需要が急激に増加したのだろうと思います。軍需用途もあったかもしれません。付加している過酸化水素は水に入れれば直ぐに離れます。ペルオキソ酸の場合の加水分解よりも速いだろうというのは容易に推測することができます。
化学辞典(東京化学同人)では過酸化水素化物の項にこの物質が出てきます。でも名前は出てきていません。
「付加しているH2O2はエーテルで離れるのでペルオキソ酸との違いが分かる」とも書いてあります。
2Na2CO3・3H2O2は炭酸ナトリウムと過酸化水素の混合で作ります。
これは(3)の過酢酸の作り方に似ています。
化学大辞典(共立出版)には、混合で作る場合「反応条件の違いでいろんなものができる可能性があって区別が難しい、一括して過炭酸ナトリウムと呼ばれている」と書かれています。そういう時期があったということが分かります。Na2CO4・H2O と Na2CO3・H2O2 は組成が同じです。どちらが出来ているかの区別が難しかっただろうというのは理解できます。でも現在ではすべて区別が出来るレベルになっています(区別が出来ているからこそ、化学式もIUPAC名も決まり、結晶構造の解析もできているのです)。区別が出来なかった時の名前を使うというのに正当性はありません。「使いやすくて、通りのいい名前」というだけであれば「商品名」、または「業界用語」になります。
授業や講義でこの名前が出てくることがあれば注意が必要です。
「過酸」については初めに出した(1)~(3)しかないのです。
ネットに出ているから「どちらもあり」ということではありません。
でも消防法が厄介ですね。
No.4
- 回答日時:
「過炭酸ナトリウムはペルオキソ炭酸ナトリウムのことです。
」がいきなりおかしいのでは?余談だけど「過酸という名前が酸化数の大きな元素を含む酸に対して使われるのはVII族元素の酸に対してだけである」ってのもあやしい. 「VII」がアラビア数字じゃなくてローマ数字であることも微妙だけど, 「慣用として使われる」という意味では間違っている.
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