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先日ドカティのディアベルに乗っている友人と走る機会があり、前々から気になっていたデスモドロミックとはなんぞや?と聞いてみたところ、小一時間講釈を受けました。
ハッキリ言って全然わかんなかったんですが、自分なりに整理してみたところ、
要するにバルブをギヤで強制的に動かすって事なんでしょうか?

自分的にはカムギアトレーンとの違いがイマイチ解りません。
どなたか詳しい方ご教授願えませんでしょうか。

A 回答 (9件)

カムギアトレーンと言うのは、カムシャフトの駆動方式をさす言葉です。

通常のOHC(DOHC含む)ではクランクシャフトの回転をカムシャフトに伝える方法としてタイミングベルトやタイミングチェーンなどを使っていますが、この部分にチェーンやベルトではなくギアの同士の組み合わせを用いたものをさします。従ってバルブの駆動方式をさすデスモドロミックとは無関係な言葉です。


一方、デスモドロミック機構とはバルブの動作方式自体の名前で、通常のバルブスプリング式ではバルブを開ける方向にはカムによる強制的な動作になりますが、閉じる方向にはスプリングによる力でのみ動作するのに対し、デスモドロミックでは開ける方も閉める方も両方カムシャフトにより強制的に行われます。そのためデスモドロミック機構のカムシャフトには通常の方式のようにバルブを開く為のカムとは別に閉じる為のカムも取り付けられており、バルブの動作はカムシャフトからロッカーアームを介して行われます。このロッカーアームがバルブ上部を上下から挟むように取り付けられ、2つのロッカーアームと2つのカム山で強制的にバルブを動作させる方式をさします。

上記の通り二つの異なる事象についての名称なので、ギアとレーン式のデスモドロミックやタイミングベルト式のデスモドロミックも存在します。

デスモドロミックはバルブスプリングを用いない(正確には市販車では小さなスプリングがある。これはバルブの密着を保つ為のもの)ので、高回転域でもバルブの動作がきわめて正確に行える点や、バルブスプリングの力に抗してバルブを押し開ける必要が無いので、この部分でのロスが小さいなどの利点があるのですが、部品点数が多くなり調整が難しいなど欠点もあるので、あまり一般的に採用される方向にはありません。

それから、他の方へのコメントで書かれていたことで少し気になる点があるのですが、いくらバルブ系統が高速動作可能であっても、エンジンの回転数はそれだけで高回転にする事はできません。実はバルブ系統よりもピストンスピードによって制約される面のほうが大きいのです。たとえば250cc 4気筒・20000rpm以上などという高速回転のエンジンでもピストンスピードは特別速くはなっていないのです。なぜかと言うとこのようなエンジンではピストンのストロークを短くして、一回転あたりのピストンの移動距離を短くしているからなんですが、このピストンスピードがある程度以上になるとオイルによる潤滑が出来なくなり焼きついてしまうのです。従って、同じ排気量で高回転のエンジンにするにはシリンダーの数を増やす、シリンダーのボア(直径)を大きくするなどの方法が必要になるのですが、これも限度があります。あまりボアストローク比(シリンダーの直径とピストンの移動距離の比率)を大きく取ると効率的に給排気を行うことが難しくなったり、安定した燃焼が得られなくなったりしてしまうからです。また、多気筒化もあまりむやみに多くすると機械的なロスが大きくなったり、エンジンが重くなったりと悪い面のほうが多くなってしまうのです。
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この回答へのお礼

ははぁ…

非常に解りやすい説明ありがとうございます。

長年の疑問と勘違いが解消されて非常にスッキリしました。
ありがとうございました。

お礼日時:2012/10/26 18:22

sailorさん



レーシングエンジンのニューマチックは、普通にカムを使ってますよ。
ただ、バネを空気でやってるというだけです。

圧力制御で直接作動させるなら、どこか圧力を蓄えるチャンバーがあって、そこからラインを引いて途中にソレノイドをつけて、ということになるかと思いますが、20000回転ともなると1秒間に170回近く開閉動作をすることになります。
バルブが開いている時間は2/1000秒ほどで、タイミング制御となるとそのもう二つほど下のオーダーの/100000秒レベルで正確に開閉する必要があり、圧力流体を経由した作動制御は途中の配管の圧力損失が無視できないので、実用できるかかなり疑問です。
これを解決するにはこのシステムをコンパクトにする必要がありそうですが、そのためにはバルブ至近にこれをおくことが必要でヘッド回りが逆に複雑になり、高回転のレーシングエンジンではメリットとなるのか疑問です。
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この回答へのお礼

なるほど…
エンジンのヘッド回りにサスペンションのガスタンク見たいのを付けたらそれはそれでカッコ良さそうですけど現実的には無理かな。


皆さんの情報は非常に興味深いのですがこれ以上は話が逸れてしまいそうですね。
質問の十分な回答は得られたと思いますのでここで一旦締め切らせて頂きます。
回答ありがとうございました。

お礼日時:2012/10/27 13:23

ニューマチックまで出てきましたか。

じつはこのニューマチック(気圧動作という意味です)は高回転とは程遠い、超大型のディーゼルエンジンではずっと昔から使われていた技術なのです。超大型の2ストロークディーゼルエンジン(大型タンカーなどの船舶用エンジン)では当たり前に使われている技術なのです。2ストロークでバルブ?と思うかもしれませんが、大型の2ストロークディーゼルエンジンではユニフロースカベンジングという方式を取り排気弁のみ4ストロークと同様なポペットバルブを用いているのですが、このバルブの動作がニューマチック方式(ものによってはハイドローリック(ハイドローリックは油圧動作)もあります)です。空気圧による動作ですのでカムのようにある程度緩やかな曲線に沿って動作させる必要が無く、瞬間的に全開/全閉を切り替えられるので、バルブが十分に開いている時間を長く取れるので高回転エンジンにも応用できると言うわけです。またバルブタイミングも自由に出来る利点も有ります。カムで動作させる際はどうしても直角のカムなど作れませんから徐々に開き始め全開になり徐々に閉じ始め全閉になると言う動作になるため、開き(閉じ)はじめの位置では十分な効率が得られないということが起こるので、これを解消する方法のひとつとして注目されています。

バルブの話がたくさん出てきましたのでついでに変り種を二つばかり載せておきます。1つはロータリーバルブと言われるもの(2ストロークのディスクバルブではない)でシリンダーヘッド上に穴の空いた円筒を二つ載せて回転させ、それぞれの円筒とシリンダーヘッドのポートのいちが一致する部分でバルブ開となり給排気する仕組みで一時期ノートンと言うバイクの会社が研究していましたが、その当時は排気系統の高温に耐えて気密を保って回転させることが難しく実用化はされませんでした。実用化されていれば往復運動をしないのですから高速動作は十分望めたでしょうし、可変バルブタイミングなども十分考えられたでしょう。もう1つはロータリーシリンダーと言われるもので、2ストロークエンジンで使われるものですがシリンダー自体を回してしまうと言う大胆なもので、シリンダーとその外側にあるポートとが一致する状態で掃気と排気を行うと言うもので、こちらは数は少ないながら実用例があります。
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この回答へのお礼

なるほど…

以前造船所で大型のエンジンを見学したことがあります。
30rpmで10万馬力とかいうとんでもないエンジンでした。


ロータリーバルブは知っていますがロータリーシリンダーと言うのは初めて聞きました。



皆さんの情報は非常に興味深いのですがこれ以上は話が逸れてしまいそうですね。

質問の十分な回答は得られたと思いますのでここで一旦締め切らせて頂きます。
回答ありがとうございました。

お礼日時:2012/10/27 13:19

>原状スプリング方式でも2万回転位はイケますからデスモなら3万回転くらいイケるんでしょうか。



実はデスモを超える高回転向けのバルブシステムとして、ニューマチックがあります。
高圧のエアをバネとして使う、空気バネ方式です。デスモは動弁系が複雑になりすぎ、高回転では壊れてしまいます。バルブという往復運動をするものに関するパーツは、出来るだけシンプルで軽いほうがいいのです。
そこでコンプレッサーを回して得た高圧空気を小さな空気シリンダーに導き、その空気の反発力でバルブを戻すのです。F1をはじめMotoGPなどの高回転型純レーシングエンジンでは常識の装備で、F1では規制がなけければ22000回転が可能であったろうといわれています。
思ったより高回転でない気がしますが、それは4発250にくらべ排気量の分動弁系は大きくなります、直径40mmのバルブがそのスピードで動作するのは、驚異的な高速です。
ちなみにその直径40mmのバルブというと6リッターV8エンジン並みですから、びっくりするほどでかいです。

他の方の言うピストンスピードの限界というのはふた昔ほど前の常識です、4発250が20000回転で回ってもピストンスピードは毎秒22m程度ですが、2.4リッターV8のF1エンジンは35m程度まで想定されていたそうです。
さほど高回転型と思われていないリッターSSでもリミットまで回すと24mです、冶金と潤滑の技術向上で限界ははるかに上に進んでいます。

デスモでなくこのニューマチックをはじめとするレーステクノロジーをコスト度外視で導入すれば、30000も可能は可能と思いますよ。
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この回答へのお礼

ニューマチック……全く知りませんでした。

そんな新機軸の物があったなんて…

確かに圧搾空気なら重量は比較にならないくらい軽くできますよね…
量産車に搭載するにはハードルが高そうですが…

日本メーカーにはショーモデルでも良いので超超高回転エンジン、作ってみて欲しいですね~



皆さんの教えてくださる情報は自分の知らない情報ばっかりでバイクマニアを名乗るのが恥ずかしくなってきました。


ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2012/10/26 19:54

デスモは別にドカティの専売特許ではありません。


昔は他社でも採用例がありました。
しかし、バルブスプリングの高品質化が進んだので、現在ではドカティだけになりました。
60年代までは、ヘアピンスプリングやトーションバースプリングなどをバルブスプリングに使ったバイクもありました。
コイルスプリングに事実上統一されたのはそんなに昔のことではありません。

ドカティのシリンダーヘッドは、バルブを組んだ状態でカムシャフトを手で回せます。
これは、実際にエンジンの分解整備をしたことのある人ならびっくりすると思います。
スプリングを持つバルブでは、とてもじゃないけど重くて回せません。
現在ではフリクションロスが少ないというのが一番のメリットかもね。
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この回答へのお礼

なるほど…

そう言えばカブ用のデスモキットが24万円位でありますね。

回答ありがとうございました。

お礼日時:2012/10/26 19:39

普通のバルブ・カムは、カムの出っ張り部分がバルブの頭を押し下げて、バルブ開くですね。


バルブの軸をカムの横?を通ってカムの上まで伸ばし、そこでカムに当たるようにすれば、カムだけでバルブが往復運動(開閉)します。
何万回転も可能、というものではなく、スプリングの固有振動数の影響を受けないということです。
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この回答へのお礼

成る程…

現状ではデスモのメリットよりデメリットの方が多そうですね…


ドカティが敢えてデスモを採用しているのはやはり様式美と言いますか、伝統なんでしょうか。


…そう言えばドカティにL2デスモじゃないバイクってあるのかな?

お礼日時:2012/10/26 19:44

カムギヤトレーンはバルブを開けるための機構。



デスモドロミックはバルブを閉じるための機構。

高回転等になって、バルブスプリングが追従できなくなった時に発生するのが、
バルブサージング。


wikiの「バルブサージング」を見れば判りやすいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB% …
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この回答へのお礼

実は僕もリミッターカットしてその他魔改造したバイクでバルブクラッシュしてピストンに当たってブローしたことがあります。

キリンばりの派手なブローでした。



デスモドロミックは超高回転向きの機構って事でしょうか。

原状スプリング方式でも2万回転位はイケますからデスモなら3万回転くらいイケるんでしょうか。

そんな事したら馬力がとんでもない事になりそうですけど。
どこかのメーカーがデスモ4発のガチのSS出してくれませんかね…

お礼日時:2012/10/26 17:00

OHCエンジンのごく一般的な構造は理解されていると思います、チェーンやベルトでカムを回し、そのカムの山でバルブを押して下げることでバルブが開く、ここに直接押さないでロッカーアームなどのアレンジが加わるものもありますね。


で、開いたバルブはスプリングの力で戻します。

しかしスプリングには固有振動数というものがあり、戻す動作のリズムがそれに近くなると共振を起こして動作が不正確になります。また高回転になると戻す動作が追いつかない、というもことあり、バルブの突き上げなどで重大トラブルの原因になります。
そこでこのバルブの戻りにスプリングを使わずに、ロッカーアームを使ってカムの力で戻そうというものが「デスモドロミック」です。

カムギヤトレインはカムの駆動にチェーンやベルトの代わりに、ギヤを何枚か組み合わせて回転を伝えている、というものです。

ですので、同じカムにまつわる動作でも、カムより先か前かという違いがあります。
カムギヤトレインでデスモ、ということもありえます、実際にあったかどうか走りませんが。
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この回答へのお礼

むう…
何か僕はとんでもない勘違いをしていたようです。

カムギアトレーンはてっきりバルブがクランクか何かで完全にギアと繋がっていると思ってました。

昔何かでそんな映像を見たような気がしたんですが…

お礼日時:2012/10/26 16:51

カムギアトレーンはタイミングベルトやチェーンの代わりにクランクの動力をギアでカムシャフトに伝える事だと思います。



デスモ機構はバルブを閉じるときにスプリングでなくロッカーアームで強制的に開く機構の事だと思います。

したがってこの両者の違いは作用そのものが違うので、比べることは出来ません。

デスモではなく俗にべベルと言われるドカティの傘歯歯車を使用したベベル、ドリブン、カムシャフトの事だと思います、ギアでクランクの動力をカムに伝えるという点ではカムギアトレーンと同じです。
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この回答へのお礼

ベベルギアは何か聞いたことがありますね。
デスモはバルブスプリングの代わりの機構と言うことでしょうか?

お礼日時:2012/10/26 16:44

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