プロが教えるわが家の防犯対策術!

ギリシャ語の小文字のシグマは、語末で「ς」、それ以外は「σ」です。

なぜ、こんな使ひわけをするのですか。

A 回答 (1件)

ギリシャ文字もラテン文字(=ローマ字)も、もともとは大文字しかありませんでした。

ギリシャ語もラテン語も、昔は全部大文字で書かれていて、しかも単語を分かち書きせず全部続けて書いていました。

10世紀頃にビザンチン帝国(当時も正式国名は「ローマ帝国」)では、ギリシャ古典の文芸復興がおこり、大量のギリシャ語文献の写本が作られました。このビザンチンの文芸復興(ビザンチンルネサンスという)がイタリアに伝わったのが、イタリア(と西欧)のルネサンスです。

大量に書写すると、しだいに文字が丸くなって字形が崩れてきます。こうして、大文字の崩し文字から小文字が生まれました。小文字が生まれたのと同じころ、単語を分かち書きする書き方も生まれました。

今のギリシャ語では、もちろん単語は分かち書きし、文頭や固有名詞を大文字で書くというような大文字と小文字の使い分けがありますが、それらが普及するのはずっと後の時代です。

さて、
小文字が生まれ、分かち書きが始まりかけた10世紀ごろのギリシャ文字は、アンシャール体という字体が主でした。アンシャール体で Σ(シグマ)は、くずし字になって、C のように書きます。
この C が、単語分かち書きが発達するに従って、語頭語中形 σ と語末形 ς に変化しました。その理由は単純です。

語頭語中形 σ の書き順をご存じでしょうか、日本のギリシャ語テキストでは、右回りに一筆で書くように書いてある本もあるのですが、本場のギリシャでギリシャ人は、o を書いてから上に短い横線を左から右に引きます(さらにくずすときは数字の 6 のように書くこともある)。こうすると、右に続く文字に続けやすいからです。語末の ς は c をそのまま下に流したものです。ここで単語が終わりで右に続かないことを示すために筆を下に流したのです。

その後に発達したギリシャ文字の筆記体では、 ς はローマ字の s の筆記体と同じ形になります。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

こんばんは。温かみのある回答、博識な投稿、楽しい文章、広範な関心、いつも関心させられてゐます。

>>アンシャール体という字体が主でした。

私はアンシャル字体が好きです。聖書の写本、とくにシナイ写本を見ると、内容よりも文字にあこがれます。

>>右に続く文字に続けやすいからです。語末の ς は c をそのまま下に流したものです。

結局は「流れ」にまかせて、といふことですね。ありがたうございました。

*** *** *** *** ***

ラテン語の質問で、語順について追加回答しようとしたら、ブロックされてゐました。Erdbeerkegelsさんのやうな人徳に欠けるせいなのでせう。

お礼日時:2014/08/09 19:49

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!