この曲を練習中、あるいはかつて弾かれた方のアドバイスをいただければ幸いです。
もともと右手を酷使する曲としてすでに有名な10-2ですが、毎回中間部分を弾き終える頃に右腕の外側部分が痛くなり、345指がうまく動かせなくなります。テンポ110くらいなら問題ありませんが120を超えるテンポで弾くと最後まで弾けなくなります。以下諸点からアドバイスをいただければ幸いです。
1) 右手は立てる形で弾くのと寝かせる形で弾くのとどちらがよいか
2) 手(指)は鍵盤とおよそ平行になる形を維持するのがいいか、あるいは右側に少し開き気味に置きながら演奏するのがよいか
3) タッチ
他のエチュードも同時にやっていて、10-7, 25-8, 25-11等は難しいながらもまずは無難に弾けますので脱力はある程度できていると思います。10-2は指定の144位で弾くと弾き終えても数分間は右手が麻痺したくらいに痛くなります。。。アドバイスいただけましたら幸いです。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんばんは。
お礼有難うございました。プリントして譜面台の上に置くのですか? 責任重大ですね。効果がなかったらどうしましょう(笑)。
ほかの3曲について、遅めのテンポで丁寧に弾いていらっしゃるとのこと、大変良い姿勢だと思います。その3曲の中では、Op.10-7が、10-2の予備練習として効果があります。その曲も、たとえもう指定速度に近い速さで弾けるとしても、先の回答でお話ししたような方法で、ごくゆっくり練習することを繰り返してください。指の上げ下げの持久力がつきます。
Op.10-2の中間部で疲れるのは、必ずしも間違った弾き方をしているからとは限りません。その可能性もないとはいえないのですが、そもそも中間部の音型そのものが過酷な力を要求しています。A-B-Aの三つの部分のうちのAは、半音階が長く上行し、また下行するので、指を使う順番がある程度一定しているので弾きやすいのです。ところが、Bの部分では、同じ音域で細かく行ったり来たりするため、それだけでも疲れやすくなります。Aの部分にはそういう小節はほとんどありませんね。さらに、Bの部分に入った途端、2拍目の和音の最高音が黒鍵なので、指をより高く上げなければなりません。しかも、その前に使った指の上を越えなければなりません。さらに、20、22小節の3拍目ではオクターブをつかまなければならないので、そのあとの4の指を上げるのに力を奪われます。手を広げる幅も、ひっきりなしに変わります。それが6小節反復されるのが、何とも過酷です。ここで要求されるのは、打鍵の力よりも、指を持ち上げる力と、持ち上がりやすいやわらかい指です。これが足りないと、上がりにくくなってきた指を持ち上げるためにより多く力を入れざるを得なくなり、その結果、無意識的に手首にまで力を入れてしまいやすくなるので、その結果、脱力した体勢を失い、間違った弾き方になってしまいます。ですから、No.1で、手首の力を抜いて指の付け根から動かす練習について書いたとき、打鍵のことだけしか言いませんでしたが、指を上げる運動も意識してください。一つの音を抑えている間、次に使う指を高めに上げてみます。16分音符=50以下だと、指を上げている時間、滞空時間が長くなるので、力が付きます。
私は、若いころ、この曲を何とかマスターしたくて、毎日かなりの時間練習しましたが、その時は結局、速いテンポで弾けるようにはなりませんでした。昔から行われている、リズムを付点に変えるなどのヴァリエーションや、すべての音をスタッカートで弾くというようなオーソドックスな練習も随分やりました。コルトー版に出ている練習方法も使いました。しかし決定的な効果はなく、結局、正しい座り方や姿勢を理解し、手首から肩にかけての腕全体の脱力がどういうことかを体得して初めて、先へ進むことができました。これを理解するには時間がかかりますので、無理せず、気長にやってください。もしその結果、弾くのが楽になってきたと感じられたら、下の動画のような練習をされるとよいでしょう。
なお、今の私の奏法のヒントになったのは、リーバーマンの「現代ピアノ演奏テクニック」(現在古書のみ)と、ジョルジ・シャンドールの「シャンドール ピアノ教本」です。こういう書物に書かれていることも、結局言葉では理解できているつもりでも、いざ弾くとなると具体的にどういうことなのかわからなくなることがあるので、積極的にお勧めすることはできませんが、参考のため御紹介しておきます。
お役にたてたことを願いつつ。
再びご丁寧なご指導を頂き感激しております。察するにご専門で教えていらっしゃるのかと。
私はほぼ独学で8年程やってきたのですが、一つ一つのアドバイスを忘れずにコツコツ練習していきたいと思います。
本当にありがとうございました。因みにご紹介頂いた動画のPaul氏とはYouTube上で懇意にして頂いておいり、私も10-1に続いて10-2でもこの動画にはお世話になりました。
No.1
- 回答日時:
こんばんは。
御承知のように、あらゆるピアノ曲の中でも、最難曲の一つです。正しい奏法を言葉でお伝えするのは難しいです。
1) 楽に曲げた状態が良いです。鍵盤に対して直角まで立てる必要はありません。指を寝かせると、指を持ち上げるために力を余計に使いますので、負担になります。ホロヴィッツのように、どんな曲でもまっすぐに伸ばした指でも弾いてしまう人もいますが、真似をするにはかなりの訓練が要ります。
2) どんな曲を弾く場合も、指の鍵盤に対する基本のポジションは平行です。ただし、上腕は体側に引きつけてはならず、少し横へ開きますので、ひじはやや外へ出ることになります。したがって、下腕は、手首に対してやや右に曲がるのが普通だと思いますが、人によって身長や腕の長さが違うので、個人差はあります。また、指を鍵盤に対して平行に保つために手首を固くしてしまわないように注意しなければなりません。和音を弾くときは、指が鍵盤をつかみやすいように、角度を必要最小限変化させる必要があります。手指がやわらかければ、この変化はわずかで済みますので、有名ピアニストのヴィデオを見ても、一見ほとんど変化がないように感じられます。
3) 楽譜にsempre legatoと書かれている通り、半音階はレガートです。その場合、指の第一、第二関節を曲げる動きではなく、指全体を付け根から動かすようにします。各拍上で和音を弾く1 と2の指は、あまり大きく動かさず、手の重みを使って鍵盤の中に落とすような感覚で弾くと楽なのですが、右手だけで、1、2の側と3、4、5の側を異なったタッチで弾くためには、手首や腕の脱力が欠かせません。
同時に練習されている曲目を拝見すると、一応かなりお弾きになるようですが、Op.10-7, 25-8, 25-11は、どのくらいのテンポで弾けていますでしょうか。「脱力」というのは、大変くせ者で、ピアノを弾き続ける限り、常に脱力についてはチェックし続けなければなりません。自分では脱力できていると思っていても、実はやっぱりできていなかったと気づくことが繰り返しあります。Op.10-2の中間部の終わりは、最もしんどい部分で、これは誰でも同じだと思いますが、痛みが出るということは、やはり脱力できていないということです。脱力というのは、体の内部で感じ取らなければならないことなので、言葉による説明ではなかなかわかりません。また、指を鍛えてその力を強くすれば、脱力できるようになると考えるのは間違いです。さらに、痛みが出るような練習を続けていると、腕の筋肉などが固くなって動きにくくなり、その状態でさらに練習を続けて指を動かそうとすると、通常より多くの力を使わなければならなくなるので、悪循環に陥ります。弾いた後で強い痛みが残るようなテンポで練習しても、効果はありません。
脱力のための大前提は、椅子への座り方です。腹筋を使って上半身を支えていないと、腕に余計な力が入ります。これが意外に体得しにくいのです。そして、手首の脱力を感得すると同時に、指の力をつけるためには、根気よく遅いテンポで練習することが重要です。少しずつテンポを上げていけば、だんだん慣れて弾けるようになると思われるかもしれませんが、そうはいきません。
まず、手首や腕から完全に力を抜いた状態で、手を鍵盤の上にふわっと置きます。一音一音ゆっくり打鍵していきますが、指全体を付け根から動かして打鍵します。その時、手首の力が抜けたままであれば、打鍵するごとに手首が上方へピョコンと跳ね上がるはずです。手首を上下に揺らしてはいけないと習ったかもしれませんが、これは脱力を理解するための練習ですのでかまいません。テンポは、16分音符=60か、もっと遅くてもよいくらいです。最初は中ぐらいの音量で、完全なレガートで弾けるようにします。各拍の最初の16分音符で和音を弾くところは、手を少し下に落とす感じで、2番目の16分音符からやや持ち上げるような弾き方で試してみてください。
指を動かすために使う筋肉は、腕を通って肩の方まであります。手首や腕に力が入っていると、動きが阻害されるので、何時間練習しても強くなりません。手首や腕をこわばらせずに済むようなごくゆっくりしたテンポで弾いている方が、力が付き、指も上がりやすくなります。痛みが出るような練習を何時間も続けるより、無理なく、効率のよいトレーニングを1時間やる方がずっと良いです。また、すでに手首や腕に固さを感じている場合は、練習は休む方がよいです。一日も休ます、毎日練習を続けなければいけないと、昔からよく言われますが、それは、正しい弾き方ができている場合のことです。
ショパンのエチュードOp.2のような曲を弾きこなすためには、あらゆる指の動かし方、手首や腕の左右、上下の動きなど、複数のテクニックをコーディネートさせることが必要です。まだ書いていませんが、下腕の回転運動も加えた方が楽になります。例えば17小節目とか、32小節目以降などです。いろいろな部分の筋肉や諸動作をコーディネートさせるためにも、脱力が大事になります。
いくら書いても、言葉が尽くせない感が残ります。
少しでも御参考になれば幸いです。
ご丁寧な解説。誠にありがとうございました。
10-7, 25-8は指定速度より少し遅め、25-11はそれよりさらに少し遅めですが丁寧に弾くようにしています。
アドバイス頂いた内容をプリントし、譜面台の横に置きながら一度テンポをリセットして確認しながらやってみます。前半、後半のみなら疲労も少ないのですがどうも中間部で間違って弾き方をしているのかな・・・と思いました。
まことにありがとうございました。
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