No.2ベストアンサー
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ビオ数(Biot Number)は流体力学(や伝熱工学)で出てくる用語ですね。
以下の説明では_knock_さんが既にご存じの部分も多々あるかと思います。万一重なりがありましたらご容赦ください。
流体力学の世界では、対象として考えている系の挙動を調べるのに、各種の無次元パラメータが使われます。レイノルズ数は有名ですし、その他にヌッセルト数やペクレ数などいろいろなパラメータがあります。詳しくは流体力学の教科書をご覧下さい。
ビオ数は固体から液体(多くの場合は流体)に熱を逃がす(捨てる)場合に、その伝熱挙動をおおまかに掴むためのパラメータです。ビオ数が大きい場合は固体内の熱伝導が、小さい場合は固体→液体への熱伝達が支配的過程であることを示します。
ビオ数Biは
Bi=h l/λ
で定義されます。hは固体-流体の界面での熱伝達率(*1)、lは系の代表長さ(*2)、λは固体の熱伝導率です。熱伝達率と熱伝導率は字面が似ているので混同する場合もしばしばですが、
・熱伝達率 境界面に対して定義される値。物質固有の値ではない。
・熱伝導率 物質(の内部)に対して定義される値。固体なら物質によって決まる固有の値(*3)
という点で異なるものです。単位も違います。(熱伝達率は例えばW/(m^2 K)、熱伝導率はW/(m K))
具体例で考えてみます。
いま、下図のように金属から水に熱を捨てるとします。
熱 熱 固体(例えば、金属)
↓↓↓↓↓
_______ 境界面
→
→ → 液体(例えば、水)
水 流
もし固体側の熱伝導率が非常に高い一方、水の流れが非常に緩慢で金属→水の熱の伝わりが悪い(熱伝達率が低い)場合にはビオ数は小さくなります。また逆に固体の熱伝導率が低く、水の流れが速くて熱伝達率が大きい場合はビオ数は大きくなります。
熱をもっと効率的に捨てたいとして、ビオ数が小さい場合は熱伝達率を大きくする(例えば、水の流量を増す)ことが、ビオ数が大きい場合は熱伝導率を大きくする(例えば、金属を鉄から銅に取り替える)ことが効果的であることも言えます。
*1 熱伝達率は、ある境界面の両側の温度差をΔTとして、その境界面の単位面積を単位時間に貫流する熱をJとし、J/ΔTで定義されます。下図を参照下さい。
─────
/↓↓J↓↓/
/↓↓↓↓↓/
──────
面積 S
表裏の温度差 ΔT
単位時間に通過する熱量 P
熱伝達率 h=P/(SΔT) *J=P/Sです
*2 ビオ数自体が目安的な数字であり、「代表長さ」はそれほど厳密に定義されるものではありません。発熱する球形の物体が冷媒中に埋まっているのであればその球の直径、冷媒がパイプ中を流れるならその内径あるいは管路長、といった具合です。
*3 厳密には他の条件の影響を受けます。熱伝導率は温度によって変化しますし、また物質中に含まれる不純物の量でも変わります。また異方性がある(縦と横で熱伝導率が違う)こともあります。
下記のページも参考にしてみてください。
http://conductor.cool.ne.jp/neturyutai/number/bi …
参考URL:http://conductor.cool.ne.jp/neturyutai/number/bi …
No.1
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