
はじめて質問させていただきます。
地球を熱を通さない幕で覆い、十分に時間が経ったとしたとき、気温の鉛直分布はどのようになると考えられますか? 但し、内部からの熱の発生は無視できるとし、現在の全熱量を保存したまま分配すると考え、また、放射は関係しない大気であると仮定します。空気の運動はたぶん自転とともに動く剛体回転になるでしょう。
1つの答えの候補は等温になるです。これは孤立系の温度は一様になると考えられるから(重力があっても適用できるかどうかが問題?)ですが、温度の不均一があると、その不均一を使って仕事ができると考えられるからでもあります。例えば、等温以外の気温分布のとき、空高くまで届く金属棒(上下の端以外は断熱材で覆っておく)を立てると、熱伝導の違いからその金属棒は周囲と異なる温度になると考えられ、その温度差から仕事をすることが可能です。最終状態はそれができなくなる等温と考えられます。
しかし、この答えに以下のような疑問をもちました。ある時点で等温であったとし、各気体分子にそのときの高度の目印をつけたとします。時間が経ち、分子が混ざっていくと、下層には上から下りてきた分子が、上層には下から上がってきた分子が多くなると考えられます。このとき、重力の位置エネルギーと熱運動のエネルギーの和が保存するとしたら、下へ移動したものほど運動エネルギーが大きくなると考えられ、下層ほど暖かい分布になるような気もします。(圧力のことをどう考えるかが問題?)
結局、どのような温度分布になるべきか、わからなくなってしまいました。金属棒があるときとないときで温度分布が違うという答えもありうるかもしれませんが、どちらの場合でも成り立つ一般的な答えがあってほしい気がします。問題設定は単純なので、どこかの教科書にでも載っていそうなのですが、質問させていただきました。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
ボルツマン分布を仮定しないで、
気体分子の運動をミクロに論じることは、
この問題についてはできないでしょうね。
もし、別の分布をとったら、
簡単に上空の方を低温にできます。
たとえば、極端な例として、
まったく同じ放物線を描く分子のみからなるシリンダーを考えると、
放物線の頂点では、速さゼロ(水平成分を無視)なので、絶対温度がゼロ。
他方で、地面では、かなりの速さってことになります。
なので、衝突は、もちろん、重要です。まさに、その衝突によって、気体分子が無限回弾性衝突した結果、
テクニカルタームを使えば、
位相空間に等確率で気体分子が分布しているという風にして導いたのがボルツマン分布。
だから、衝突の効果を「陽」に、あなたの温度の説明に入れればいいんだけど、No3. の方の入れ方は残念ながら間違っています。
私は、衝突の効果をボルツマン分布に絡めた。
さて、「平行移動」については、
私も面倒で計算していないから、
「かもしれない」っていっているだけで、
もし興味があったら、計算してみてほしいです。
やり方は、
まず、地面で、適当な温度とボルツマン分布をとる。
そして、
適当な高さでシリンダーを切り、
そこまでの高さまでしか到達しない速さの分子について、
その全体に対する割合(これは、まさにボルツマン分布のその速さまでの積分)
と
エネルギー累積(分子の運動エネルギーに密度関数をかけて積分)
を計算し、
エネルギー累積 / 割合
が全体エネルギーと等しくなっていればよい。
多分、なっているんでしょう。
No.18
- 回答日時:
ひとつ補足しておけば、
断熱空気塊を鉛直方向に動かすということは、
それ自体仕事を伴います。
地球の大気においては、
言うまでもなく、
太陽エネルギーと、陸地、海水、などなどがヒートポンプの役割を果たしています。
で、このヒートポンプが、平衡状態のように安定しているときに達成される温度分布の平衡状態は、
我々の論じているような、普通の意味での平衡状態の温度分布と異なり、
上空の温度が低いものになります。
これが、
地球大気の対流圏において
上空での温度が低い最大の理由になっています。
成層圏その他では、高度の上昇とともに温度が上がりますからね。
話題がずれて恐縮ですけど、
このようにして、
地球に対流があったことは大変幸運であったといえそうです。
関連して言えば、おそらく赤道付近に海が圧倒的に多いことも、豊かな水の大陸の地球に大きく貢献しているでしょうね。
あと、この辺に関しては、
多分教科書レベルの良いサイトとして、
参考 URL を見つけたので、ご覧になってみてはいかがでしょうか?
参考URL:http://pat.geophys.tohoku.ac.jp/wclub/wclub.htm
No.17
- 回答日時:
あと、ネットでざっと検索した範囲では、
「空気塊」なる概念が、まわりが壁でなくて待機であるときにどの程度意味を持つのかをちゃんと説明したサイトは見つかりませんでした。
もっとも、このことと別に、
表面張力がゼロの軽い風船に空気を詰めて無理やり上空へ上げた場合は、もちろん、断熱膨張の話が使えます。
で、常温の風船が上昇できない理由を、
私の話に沿って説明すれば、
高温でない、本来ならば地上から上空へ到達する運動エネルギーを持たない分子まで一緒に連れてこうとするからです。
多分、平衡状態の我々が論じている大気中に
高温の風船を浮かべて、上昇させ、
断熱膨張で温度を下げたら、
ちょうど周囲と風船の温度が等しくなるような高さで風船がとまるでしょう。
これが、私の言いたかったことの翻訳です。
大気中の上昇気流の
わたしの暫定的な理解は、
以下のとおりです。
局所的に地上で温度を高めると、
そこの分子だけ速くなり、より活発にあらゆる方向に飛んで、
そこの場所に低気圧ができる。
で、低気圧に周囲から空気が流れ込むのですが、
上空の粒子数は少ないので、
相対的に密度が濃い地上の周囲から風が吹き込む。
ちなみに、
台風の場合は、水蒸気凝縮が絡み、
むしろ上空で温度が周囲に比べて相対的に上昇して、
高気圧を形成していることのほうが、
それが安定である原因のようです。
No.16
- 回答日時:
「温度が一様な気体の分子は衝突などをしてもその分布変化しないということです。
」なんか、この日本語はニュアンスが気になりますが、
正しいです。
ただし、まさに衝突があるからこそ、ボルツマン分布に落ち着くのであって、衝突がない場合に起こりえることは、ずっと前に説明しました。
>「空気塊の鉛直方向の移動」による高度差と関係した圧力による仕事(いわゆる断熱膨張・圧縮)による温度変化を考えるのはどのように間違っているのでしょうか?
二つ答え方があります。
一つ目。
まず、これは、一番の基本なのですが、
断熱膨張は、グローバルには平衡状態ではありません。
まさに、以前、私が述べた
「現実の大気がどのように我々の論じている断熱空気塊とずれるかを考える必要があります」
というところが当てはまりますね。
なんで、鉛直移動の空気塊が周囲の空気と境界を持ったものとして論じられるかっていうと、まさにその部分が特別だからです。で、そのような塊は、通常は、地上でその地点が熱せられて、周囲より温度が高まることによって生じますね。こうして、いわゆる「対流(=風)」が起こるわけです。平衡大気においては、対流は起こりません。空気分子の運動がまったくランダムで、どちらかの方向に統計的に偏りがあるということがないのです。
具体的にどのようなものを想定しているかっていうと、周囲の圧力が塊の圧力と異なるものとして、モデル化している。
非平衡の物理学は、それ自体結構、個別に知恵を要します。この話題は、地球物理学などでモデル化されている。
塊の中、外部それぞれでは平衡状態だけど、
大気全体としては、
平衡状態として扱われるわけではなくて、
したがって温度も変化できます。
詳しくはそちらの文献を見てほしいです。
もうひとつの答え方。
私の回答の中でも何度も述べていますが、
下部から上昇していく空気分子については、
当然運動エネルギーが落ちます。
これは、断熱膨張による温度低下と似ています。
ただし、
地面で大きな運動エネルギーを持たない空気分子はそもそも上空にいけないのです。
それが下のほうによどんでいる効果が、
上昇した分の運動エネルギーが失われる分とちょうど分布として等しくなっているっていうのが、
多分正しい説明です。
通常の地球大気の説明に使われる膨張空気塊っていうのは、周囲より温度が高いですね。
ちょっとずれた断熱膨張の質問にもご解答いただきありがとうございます。確かに非平衡で難しそうですね。
上昇していく空気分子の運動エネルギーが減少することと断熱膨張による温度低下を混同しないことが重要だという気がしています。
No.15
- 回答日時:
訂正です。
速度分布は、比例定数は面倒だから無視すると、
速さの半径の殻を積分範囲にかける感じ
つまり、3次元の場合、
4 pi v^2
が密度関数にかかります。
この回答への補足
気になっていることを書かせていただきます。(圧力は「気体」の性質という趣旨がどういうことかわかっていません)
エネルギーとして運動エネルギーと位置エネルギーを考えればご回答のような関係になります。
つまり、温度が一様な気体の分子は衝突などをしてもその分布変化しないということです。
このとき、よくある「空気塊の鉛直方向の移動」による高度差と関係した圧力による仕事(いわゆる断熱膨張・圧縮)による温度変化を考えるのはどのように間違っているのでしょうか? もし、できたらお教えいただけると幸いです。
一度、書き込むと、いくつもご回答をいただいて、本当にありがとうございます。気になっていることを補足に書きますが、時間がかかるかもしれません。
No.14
- 回答日時:
で、いろいろややこしいことを言ったんですが、
素直に考えれば、単原子分子理想気体では、
E = 1/2 m v^2 + m g z
で、
E の分布則がボルツマン分布だから、
beta exp(-beta E)
で、これを、z、vの分布と見て、計算すれば、
beta exp(-beta E) = beta exp(-beta mgz) exp(- beta 1/2 m v^2)
と変数分離できる。
z の分布は、密度関数を z を固定してv^2 に関してゼロから無限大に積分を取ればよいので、
地上の密度を1とすれば、
exp( - beta ( m g z ) )
となる。
また、この係数分だけ薄くなった空気が
まったく同じ格好の速度分布
exp(- beta 1/2 m v^2)
していることがわかる。
すごく、単純できれいですね。
No.13
- 回答日時:
「圧力とか衝突とかをどう考えるのかがよくわかっていませんが、この分布則には含まれているということだと思いますが」
圧力は、
「気体」の性質であり、温度とボルツマン分布それ自体の性質ではありません。
高校でやるのがわかりやすく、
併進運動エネルギーに比例します。
で、この併進運動エネルギーが理想気体では温度に比例する(これも、相互作用しない気体分子の性質)ので、
これを利用して温度と関係付けます。
「衝突」も、気体に特有の「エネルギー交換」であると考えることができます。
熱統計力学では、
細かい情報は一切分からないとして無視するのですが、
「無数」に衝突が繰り返されることにより、
エネルギーが保存する範囲で、各気体分子のとる速度が「ランダムになる」ということだけを事実情報として使います。
たとえば、結晶構造の統計力学においては、
となりの原子から、注目している原子の振動が拘束を受けるので、エネルギー状態が単にランダムというわけには行かず、
より複雑な計算を要します。
気体はもっとも簡単な応用問題です。
今回の重力場の話も、
かなり質が良い応用問題だと思うので、
おそらく質の良い統計力学の教科書ならば、
我々の論じたことはすべて入っているはずです。
(最低限練習問題になっていると思う)
私も、ミクロカノニカル集団をどのようにうまく使えばよいか、
つまり状態といったときに「どういう」状態を等確率にとるのか、
応用問題に応じてすらすらわかるには、
統計力学を全面的に復習しないといけません。
こんな状態で回答させていただいて申し訳ありませんでした。
お互い勉強しましょう。
本当に何度もありがとうございます。
一応、この問題はそろそろ閉じさせていただくつもりですが、
もし、「質の良い統計力学の教科書」を見つけることがありましたら、
なんらかの方法で教えていただけると幸いです。
No.12
- 回答日時:
>温度一定は確かなような気がします。
そうですね。
温度っていうのは、まことに難しい物理量で、
たとえば、
金属棒と
接する大気
の温度が等しいということのミクロのイメージを理解することは並大抵のことではありません。
温度の「定義」を強く意識しながら理解するのが良いと思います。
>そのとき気圧をどう考えるか、気体分子が降下しても運動エネルギーは変わらない?のがどうしてかを納得したいと思っています。
これは、私のNo6. などが発想として正しいと思いますが、
「一個一個」の分子についていえば、降下すると、運動エネルギーは増えますよ。
ポイントは、上のほうには、下のほうで遅い分子は届かないということです。
いうまでもなく分かっていらっしゃるかもしれませんが。
理想気体の一様性(上部でも、下部でも気体分子は変わらない)、
連続性(上部と下部を熱伝導の良い膜で仕切ってもやはり温度は等しくなるのですが、一体の気体にはそのような仕切りがない)
などなどは、
この気体特有の条件なので、
これらを駆使して、
温度以外の物理量を、
高さの関数として
温度と関係付けることになる
応用問題となるのでしょうね。
この回答への補足
何度もご回答いただきありがとうございます。
回答9にあった計算をしました。
確かに、適当な単位を使い(kT=1?)、
確率分布fがExp[-E]に比例し、dEで0~infまで
積分して1になるように規格化すると、
平均運動エネルギーINT{fE}が1になり、
高度z以上へ到達するE>gzの部分の確率=Exp[-gz]で、
高度z以上へ到達した分子の運動エネルギー(E-gz)の
平均値を割っても1になって、
温度一定の分布が分子の運動エネルギーの高度変化も
考慮に入れてあるものであることになりました。
(圧力とか衝突とかをどう考えるのかがよくわかっていませんが、この分布則には含まれているということだと思いますが)この意味を考えてみるつもりですが、
そろそろ閉じるべき頃だと思っています。
本当に何度もご回答いただきありがとうございました。
ご解答、ありがとうございます。確かにいろいろな速度の分子があって(ある分布則になって)温度が決まることが重要だということですね。
No.11
- 回答日時:
いろいろ遠回りして恐縮でした。
物理学科を卒業してから長く、
かなり忘却のかなたって感じだったので。
冷静に考えてみたんですけど、
個別条件によらず、
孤立系については、熱平衡状態で各所の温度が等しくなるのが、
熱力学第二法則(エルゴード仮説)の要請と言えそうです。
で、これは、「孤立系」、「平衡状態」ってことさえ、ちゃんと気をつけて実験とか観察とかしたら、まぎれもない実験事実です。
そうでない系というのは、単に平衡状態、もしくは孤立系にないということ。現実の大気などは、こうした理想的な熱力学的状態から必ずずれるので、どうずれているのかを正しく解釈する必要があるわけです。
このように、
分かりやすく知識を整理することが
熱統計力学の基本だと思います。
物理学的にいうと、
温度が等しくなったときのみ「熱平衡状態」であるといえ、
そうでない場合は、平衡状態へ向けて系が変化していきます。
で、この平衡状態が、系のグローバルな温度の定義に必要です。
温度分布とか温度場というときの、局所的な温度っていうのは、「温度計」がひとつの閉鎖系を局所的になし、その場所で近似的に平衡状態を構成しているといえます。
No10. のページにあるように、
ボルツマン分布の利用法っていうのは、
まずは統計量としてのグローバルな温度が一定であるというところから出発して、
各高さでの密度関数などがどうなっていうのか?
というような問いに使うのが正しい使い方でしょう。
本当に何度もコメントをありがとうございます。温度一定は確かなような気がします。そのとき気圧をどう考えるか、気体分子が降下しても運動エネルギーは変わらない?のがどうしてかを納得したいと思っています。
No.10
- 回答日時:
もう一度気になって、検索してみたら、
http://www.h5.dion.ne.jp/~antibody/boltzmann.htm
というページを見つけました。
ここでは、温度一定を仮定して、
ポテンシャルエネルギーに関してボルツマン分布を導くという論理になっている。
まあ、示すべき内容を仮定としていて、
私のNo.4 の回答の「ありえないこともないかもしれない」
ということの言い換えみたいになっていそう。
というわけで、回答ではないのですが、
ボルツマン分布のイメージ補充にご利用ください。
参考URL:http://www.h5.dion.ne.jp/~antibody/boltzmann.htm
何度もご回答ありがとうございます。No.4ではなくNo.5ですね。前のご回答にあった計算のやり直しも手をつけてなくてすいません。しばらくお待ちください。
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