この人頭いいなと思ったエピソード

2次元では、ボーズ・アインシュタイン凝縮は起こらないそうなのですが、これを示す方法がどうしてもわかりません!問題の設定としては、
2次元において、1粒子状態密度:D(ε)を求め、全粒子数NをN=∫D(ε)n(ε)dε ( n(ε)=1/{EXP(β(ε-μ))-1} :Bose分布関数)から求め、また、全エネルギーEをE=∫εD(ε)n(ε)dε より求め、それらを使い、圧力P=nu
 (n=N/V,u=E/N) として、温度Tの関数として求める。P一定の元に温度を下げた場合、到達可能な温度のい限界が生じることになる。その限界の温度を求めよ。 という問題でPをTの関数として求めるところまでは解りましたが、なぜ限界温度が存在するのかということ及びその温度を求める方法がわかりません。
ちなみに私の計算ではP={2πmh^(-2)(kT)^2}Σ{EXP(-nμ/kT)}/n^2 (Σはn=1から∞の和) となりました。(自信はありません)

A 回答 (2件)

grothendieck さんが本を紹介しておられますので


ちょっとだけコメントしておきます.
今,私の手元にはその本がありませんので,もしかしたら重複があるかも知れません.

Bose 分布関数を用いているのは大正準集合の手法に基づくもので,
指定されているのが体積 V,温度 T,化学ポテンシャル μ,で
化学ポテンシャルに共役な粒子数 N は指定されていません.
熱力学的極限では,指定された量のゆらぎなどを除いては,
大正準集合でも正準集合(V,T,N を指定)でも同じ結果が得られます.

さて,粒子数 N を指定しておいて大正準集合の方法を用いているのですから,
μはいわばダミーで,最終的には大正準集合の方法で得られた粒子数期待値
<N(μ)> が N に等しくなるようにμを決めるわけです.
で,質問にあるように,ある温度以下では合理的なμが求まらなくなります.
この温度がボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)温度です.

どうしてこうなるかの秘密(?)は状態密度 D(ε)にあります.
3次元自由粒子では D(ε) ∝ √ε ですので,
ε=0 の状態(すなわち基底状態)は波数 k の和をε積分近似すると
含まれなくなります.
つまり,本当は基底状態は別に扱わないといけない.
基底状態に存在する粒子が少数(N のオーダーではないという意味)のときは
熱力学的極限をとればそんなものは効きませんが,
オーダー N の粒子が基底状態にあるとなると話は別です.

それでは,2次元ではどこが違うのか?
2次元では D(ε) が定数ですので,積分近似で基底状態の寄与が消えてしまうことが
ありません.
これが2次元でBECの起こらない本質的理由でしょう.

あと,D(ε)のε依存性は次元の他に分散関係(すなわち ε(k)の形)にも
シビアに依存します.
したがって,固体中などでボース粒子(or 準粒子)が自由粒子と違う分散関係を
持っていれば2次元や1次元でBECが起こる可能性はあります.
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この回答へのお礼

詳しい回答ありがとうございました!質問したあとも色々考えまして、皆様の助けもあり、納得することができました。でも、自然界でおきる現象が次元によるなんて!!? 不思議ですよね?面白いです!!これからもがんばります!

お礼日時:2003/12/02 23:14

divibさん、こんにちは。

2次元ではBose-Einstein凝縮は起らず、3次元では相転移温度以下でBose-Einstein凝縮が起ります。したがって温度に最低値があるのは2次元ではなくて、3次元なのではないでしょうか。
なお、2次元でBose-Einstein凝縮が起らないことについては
 川村光:「統計物理」(パリティ物理学コース)
などを御覧下さい。
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