
最近、「NHKスペシャル 人類誕生」を見ていると、我々ホモサピエンスはネアンデルタール人と交配し、ネアンデルタール人の遺伝子を2%程度持っているという解説がありました。ネアンデルタール人との交配は、最近ニュースにもなりましたので承知しています。
しかし、人とチンパンジーでも約98%程度のDNAの構造が一致しているといわれています。恐らく、ネアンデルタール人とホモサピエンスでは99%程度のDNAが一致しているのではないかと思われます。そのような中で、2%程度ネアンデルタール人のDNAを持っているという説明の意味が分かりません。つまり、2%どころか、99%ネアンデルタール人と同じなのですから。
このことを念頭に置いて、あらためて現代人が2%程度ネアンデルタール人のDNAを引き継いでいるという解説の意味を知りたいと思います。どなたか、この方面に詳しい方の解説をお願いします。
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
遺伝学の専門ではないのですが、部分的にコメントしてみます。
(長くてすみません>人とチンパンジーでも約98%程度のDNAの構造が一致しているといわれています。
ANo.1/2/3さんに同意しますが、この辺りの絡繰りをNHKに問うても満足できる回答は多分得られないと思います。
厳密に回答しようとすると、NHKはいくつかの研究グループ(例えば2010年5月7日にScience誌に発表した研究グループ)の著者に、直接問い合わせる必要が生じます。
問い合わせたNHK自身が満足する回答を得られなければ、曖昧性を含んだまま自分たちの回答を、
質問者さんに提示する可能性が高いです。(NHKにゲノム解析に詳しい学術担当者がいればよいのですが)
ちなみに↓の論文だと思うのですが、参加著者数を見ると56人(所属数21か所)でした。
A Draft Sequence of the Neandertal Genome(http://science.sciencemag.org/content/328/5979/7 …)
この論文の内容を問い合わせる場合、責任著者が3人いるので、少なくともこの3人から、解析手順について言質を取る必要があります。
実際に掲載された後で他の研究者がその論文を読んで、論文で用いられた解析方法
(ここでは一致率や含有率の定義)に納得がいったり、いかなかったりするのが普通です。
発表された解釈は、「その研究者たち」が「その実験・解析方法」で「その当時」に考察した内容であって、
また後日に別の研究者や別の新技術などによって得られる解釈は、変わるのが普通です。
著者に問い合わせなくても、発表論文を読めば分かるのでは?と思われるかもしれませんが、
「どうしてこの方法を選んだか」というような細かい事情までは、論文に書かれている訳ではありません。
ゲノムのような億単位の塩基長のDNA配列を扱う解析では、そのDNA配列データに直にさわる研究者が、
少なくとも自身や共同研究者が納得できるような恣意的な定義をいくつか設けて結果を比較して、論文としてまとめます。
>しかし、人とチンパンジーでも約98%程度のDNAの構造が一致しているといわれています。
>恐らく、ネアンデルタール人とホモサピエンスでは99%程度のDNAが一致しているのではないかと思われます。
>つまり、2%どころか、99%ネアンデルタール人と同じなのですから。
このように演繹的に考え進めることは、あまり意味が無いです。
その数値を出した研究グループの独自判断による解析結果であって、他のグループが実施したら変わるかもしれません。
ですので、別の解析結果どうしを比較することは難しく、やるなら、人・チンパンジー・ネアンデルタール人からの
DNAサンプルを用いて、同時に解析しなくてはなりません。(この解析でも研究者は改めて好きな解析手順を選べます)
世界中で共通の解析手順を用いて研究が進められれば解釈しやすいのですが、
どのグループも、過去の報告よりもスマートで分かりやすい考察を目指して研究が進められるので、
同じ研究グループ内でもない限り、方法の統一は難しいです。
(ただ、塩基配列を読む計測技術はよく発達しているので、グループ間でゲノム解読結果がバラツク頻度は低いですが、
生物には個体差があるので、同じ種だとしても読み取った配列が全て一致することは無いです。)
----------------------------------
以下、付録です。(読まなくても構いません
・上記論文の要旨和訳
現在の人間の最も近い進化的親戚であるネアンデルタール人は、ヨーロッパと西アジアの大部分に住み、3万年前に姿を消した。
我々は、3人の個体からの40億個以上のヌクレオチドからなるネアンデルタールゲノムのドラフト配列を提示する。
ネアンデルタールゲノムと世界の異なる地域の5人の現在のヒトのゲノムとの比較により、
新生児の代謝および認知および骨格発達に関与する遺伝子を含む先祖現代ヒトにおける陽性選択によって影響されたゲノム領域が決定された。
我々は、ネアンデルタール人がユーラシアの現代人と現在の人と比べて、
サハラ以南のアフリカの現代人と比べてより多くの遺伝的変異を共有していることを示す。
このことは、ネアンデルタール人から非アフリカ人の祖先への遺伝子流入が、ユーラシア人の多様性が生じる前に起こったことを示唆している。
少なくとも、ANo.3さんがおっしゃるような、クロマニョン人を具体的に扱ってはいないようです。
また、この研究グループは考古学的な生体サンプルからDNAなどを抽出する方法論の開発を過去20年間進めてきた、
この分野の大御所である様子で、ANo.4/5さんがおっしゃるような「嘘も方便」的な要素は無さそうに読めました。
あと、ANo.4/5さんの「染色体1個 = DNA2本」という(読める)定義は、生物学者的には一般的でないと思います。
オリジナルの論文まで紹介していただき、ありがとうございます。
今回の回答によりかなり理解することができました。
これまでの説明の中で最も整理されたものだと思いますので、ベストアンサーに選ばせてもらいます。
No.6
- 回答日時:
私は詳細について知っているわけではありませんが、ひと言申しておきます。
>人とチンパンジーでも約98%程度のDNAの構造が一致している
これからして大間違いなのです。人間とその辺に生えている木や草の遺伝子でさえ30%は一致しています。この値にはほぼ90%一致しているミトコンドリアなど細胞質遺伝をつかさどる核外遺伝子を含んでいます。人間と類人猿特に人間に近いと言われるチンパンジーなど全遺伝子の99.8%が一致しています。それでも交配できません。ですから人間の中にネアンデルタール人の遺伝子がどれだけ入っているのかは非常に面倒な問題です。
私は番組を見ていませんが話しは聞いています、NHKもマスコミの一部でしか無くしょせん売れればいいのです。犯罪捜査に遺伝子型が用いられますが、一体どこを見ているのかさっぱり分かりません、同じ操作をして得られたものを比較しているだけ、と言う可能性が非常に高いのです。つまり見えるものをみているだけと言うことになります。それならチンパンジーと人間の一致率は98%になるでしょう。科学的根拠、つまり全遺伝子の比較など全く眼にはいっていないのです。
回答、ありがとうございます。
私は遺伝子について全くの素人ですが、NHKの番組の中のこの表現には違和感を覚えました。
「ネアンデルタール人とホモサピエンスの間で交配があった痕跡がある」という解説で終われば十分だと思うのですが、現代人にネアンデルタール人の遺伝子が何パーセント含まれているということは少し言い過ぎではないかと思いました。
No.5
- 回答日時:
では、素人にも分かるように。
5万2000年前のネアンデルタール人女性について、全ゲノムの高精度な塩基配列を決定したことを、ドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所の研究者らが科学誌「サイエンス」に発表した。と言う噂はおそらく嘘でしょう。
人の遺伝子は全ての細胞の核に23個の染色体があります。染色体に1対のDNAが23対で合計46個のDNAがあります。その2%は0.96個のDNAですがDNAの数は自然数ですので0.96個のDNAは現在人のDNA48個中のDNA1個の4%が欠落していると言うことです。DNAは2つのDNAが対で1つの染色体になります。男性の場合のみ、性を決める1つの染色体のDNAは異なるDNAの対になっているので良いのですが、女性の場合は全て同じDNAの対です。女性の場合0.96個のDNAは存在しません。
また、5万年前の有機物(DNA)がそのまんまの分子状態でいることは出来ません。石炭や石油の有機成分から大昔の生物の情報は何一つ得られていません。それは有機物は時間とともに分解するからです。
北朝鮮が送って来た火葬後(DNAは有機物なので火葬の熱で全て分解しています)の骨のDNAが拉致被害者のDNAと一致しないと言っていることとおなじです。全ゲノムの高精度な塩基配列を決定した、とは笑止です。塩基自体も有機物ですので時間とともに分解します。冷凍庫で生肉を保管していても1年間も持ちません。全ゲノムの高精度な塩基配列を5万2000年間も保持していたとすれば、全ゲノムを絶対零度(-273℃)で保管されていたことになります。地球上にそのような天然の場所はありません。まるでジュラシックパークの世界です。琥珀に閉じ込められていた蚊の血液の成分も破壊されているはずです。
嘘も方便、と言うように嘘も人の為なら許されると言った風潮は困ったものです。
ドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所の研究者らが科学誌「サイエンス」に発表した。と言うサイエンスの所在を教えて下さい。大学でコピーして詳細に目を通します。
サイエンスは米国の科学雑誌サイエンスですよね。念のため。
No.4
- 回答日時:
5万2000年前のネアンデルタール人女性について、全ゲノムの高精度な塩基配列を決定したことを、ドイツ、マックス・プランク進化人類学研究所の研究者らが科学誌「サイエンス」に発表した。
と言う噂はおそらく嘘でしょう。人の遺伝子は1遺伝子に1対のDNAが24対です。その2%は0.96個のDNAですがDNAの数は自然数です。従って、0.96個のDNAはあり得ません。
また、5万年前の有機物(DNA)がそのまんまの分子状態でいることは出来ません。
北朝鮮が送って来た火葬後の骨のDNAが拉致被害者のDNAと一致しないと言っていることとおなじです。
嘘も方便、と言うように嘘も人の為なら許されると言った風潮は困ったものです。
回答ありがとうございます。
DNAの問題は素人には少し難しいと思います。
結論だけでなく、もう少し丁寧な解説が必要だと思います。
No.3
- 回答日時:
ANo.1/2です。
一つ書き忘れていました。
人とチンパンジーについての率は、一致率です。
一方、クロマニヨン人とネアンデルタール人の遺伝子についての率は、含有率です。
そこは別々に考えるべきだと思います。
No.2
- 回答日時:
ANo.1です。
>しかし、まだNHKが2%という数字を出した中身について納得できる説明が得られていません。
それはNHKに確認したほうがいいでしょう。
ネアンデルタール人の遺伝子がクロマニヨン人の中に含まれているという論文は、ドイツのライプチヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所の研究チームが、Science誌2010年5月7日号に報告したのが最初とされています。
その後もネアンデルタール人の遺伝子についての論文は、Science誌とNature誌にいくつか出ていますが、割合は1〜4%とばらつきがあります。
まあ、うがった見方をすれば、1〜4%の間の2%をNHKがとっただけのかもしれません。
No.1
- 回答日時:
>人とチンパンジーでも約98%程度のDNAの構造が一致しているといわれています。
人とチンパンジーのDNAの一致率については、絡繰りがあります。
このサイトが分かりやすいかと思います。
https://gigazine.net/news/20150721-human-not-99p …
クロマニヨン人(ホモサピエンス)のDNAの中に、ネアンデルタール人のDNAが2%含まれるという話も、文字通りの解釈はしないようが良いでしょう。
さっそく回答いただき、ありがとうございます。
本件について詳しく解説したサイトを紹介していただき、ありがとうございます。
確かに、「?%一致」とかの表現は話題性を狙った表面的な説明だと思いますが、背景を知らない一般人に対しては不親切だと思います。
この種の数字を出す場合はもう少し中身をかみ砕いた説明が必要だと思います。そうでなければ、意味のない、誤った理解を人々に残すことになります。
2%という数字を文字通りに解釈しない方が良いとの忠告は、そのように受け取りたいと思います。
しかし、まだNHKが2%という数字を出した中身について納得できる説明が得られていません。
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回答ありがとうございます。
NHKにも質問を送りました。
私が知りたいのは、ネアンデルタール人のDNAのどの部分をもってそれがネアンデルタール人特有のものとするのかということです。その部分を特定した上で、それと同じ部分が現代人に見いだせる場合、現代人のDNAの何パーセントに当たるかということが言えると思います。
しかし、ネアンデルタール人に特有のDNAをどのように特定しているのかという点に興味があります。
ありがとうございます。
一致率と含有率の違いについては注意したいと思います。