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阿部賀隆著 「独文解釈の研究」第2問のなかに、Es setzt …alle die vielfaeltigen Beziehungen zu den Menschen voraus,…という文があります。このalleとdieについて、教えて下さい。仮に、alleが不定代名詞だとすれば、dieは2格のderになるはずだと思うので、このalleは不定数詞だと思います。とすれば、このalleは、冠詞・形容詞としての働きを持っている(中山。中級ドイツ文法148頁)ので、dieが不要ではないかと思うのですが、このdieは、何故入っているのでしょうか?

質問者からの補足コメント

  • どう思う?

    本当にありがとうございました。諸々の書籍を引用なさっているのに、ご回答いただくまでの時間の短いことに驚きました。お教えいただいた内容について、更に4点教えて下さい。
    1 阿部先生の文の出典をどのようにしてお調べになったのですか?
    2 規定(語・詞)とはどういう意味ですか。修飾とか限定という意味でしょうか。
    3 不定代名詞とは、本来、性・数・格を持っている品詞だと思います。とすれば、このallが不定代名 詞とした場合、後続の冠詞dieと機能がダブルのではないでしょうか。
    4 このallは4格だと思いますが、4格目的語die…とは、どういう関係に立っているのですか。もう一 つの4格目的語でも、die …と同一性を示すものでもないように思えるのですが。

      補足日時:2019/06/17 00:54

A 回答 (3件)

続きです。




>3 不定代名詞とは、本来、性・数・格を持っている品詞だと思います。とすれば、このallが不定代名詞とした場合、後続の冠詞dieと機能がダブルのではないでしょうか。
>4 このallは4格だと思いますが、4格目的語die…とは、どういう関係に立っているのですか。もう一 つの4格目的語でも、die …と同一性を示すものでもないように思えるのですが。

この二つの疑問にはまとめて回答した方がよいと思いますが、
どうも私の回答がまずかったようです。

文法用語というのは厄介なもので、書物によって使う用語や定義、分類、説明が異なります。
私がドイツ語を始めたのはかなり昔のことで、
当時よく使われていた日本の文法書の説明は、最近のものとはずいぶんと違います。
また私の場合、初級程度の段階でドイツ語圏へ行き、かなり長く滞在したので、
日本語による文法説明抜きで習得した部分が多い上、
上級以上になると、日本の文法書よりもドイツの文法書の方が細かいことがよくわかるので、
余計に日本の文法書とは縁が遠くなってしまいます。
そのため、最近になって日本での文法説明との対応を確認し直さなければならないこともあります。

alle のような語は、昔の日本のドイツ文法書では「不定代名詞」の章に含まれていました。
先の回答で引用した文法書の当該箇所にも、「不定数詞」という用語は使われていません。
在間進の「詳解ドイツ文法」は比較的新しいものですが、
こちらは「定冠詞類」の章の中に「不定数冠詞」として紹介されています。
ドイツの Duden の文法書で all を扱っている章でも、
これを「不定冠詞、不定代名詞(undefinierte Artikelwörter und Pronomen)」としていて、
「数詞(Zählwörter)」という用語が使われていません。
しかし、私が所有していない中山氏の「中級文法」に、
不定数詞としての alle に「冠詞としての用法」があると書いてあるのであれば、
これが「不定冠詞としての all」に該当するので、その説明は正しく、
今回の例文中の alle もそれに該当します。
そうなると、私の先の回答とは逆の説明が正しいことになり、
これはお詫びして訂正しなければなりません。

ということで、仕切り直しての回答ですが、
先ほど書いたように、「詳解ドイツ文法」という本では、
dies- や jen- などを「指示冠詞」、all- や manch- を「不定数冠詞」と呼んでいます。
ドイツの文法書でも、ここで使われているような all は「代名詞」ではなく
「冠詞類(Artikelwörter)」という定義です。

この部類に属する語は、もともと「冠詞」としての用法と「代名詞」としての用法の二つがあります。
わかりやすい例で言えば、不定冠詞の ein の用法です。
名詞の前に置かれている場合は「不定冠詞」です。

Hier ist ein Buch.(不定冠詞 ein + 名詞 Buch = 1冊の本)

しかし、ein のみで「ひとつのもの」という意味で使われる場合は「不定代名詞」です。

Hier sind viele Bücher. Eines davon ist besonders interessant.
ここにたくさんの本があります。そのうちの「ひとつ」は特に面白いです。
(不定代名詞 eines = ひとつ[のもの])

同様に、dies-, jen-, solch-, manch-, all-, welch- のような語も、
冠詞としての用法と代名詞としての用法があります。

dieses Buch(dieses = 指示冠詞)
Dieses ist interessant.(dieses = 指示代名詞)

manche Bücher(manche = 不定数冠詞)
Manche sind interessant.(manche = 不定代名詞)

alle Leute(alle = 不定数冠詞)
Alle sind freundlich.(alle = 不定代名詞)

この分類法に従うと、alle die vielfältigen Beziehungen の「alle」も、
「冠詞類(Artikelwörter)」に属する「不定数冠詞」に当たります。
(つまり、中山文法の「不定数詞の冠詞的用法」に相当します。)
このように書くと、今度は、「冠詞が二つも名詞の前に付くことがあるのか」
という疑問が出てくると思いますが、こういったことも、
日本の文法書ではなかなか詳しい解説されていないのではないでしょうか。

まず、下のような例なら、特に文法的な疑問は抱かないでしょう。

alle meine Freunde:私の友人たちすべて

日本のやや古い文法書や辞書では、mein は「所有代名詞」となっており、
この「所有代名詞」には「形容詞的用法」と「名詞的用法」の二つがあると書かれています。
それに従うならば、上のフレーズの中の meine は「所有代名詞」の「形容詞的用法」ということになるので、
複数の冠詞が並んでいるというとらえ方はしていないと思います。

しかし、このような「形容詞的用法」で使われる所有代名詞も、
ドイツの文法書では「冠詞類」というとらえ方をしており、
前出の在間進の「詳解ドイツ文法」などもこれにならって、
mein を「不定冠詞類」に分類しています。
(たぶん最近は、ドイツの文法書に則したものが増えていると思うので、
中山氏の文法書にも類似の分類、もしくは説明があるかもしれません。)
つまり「alle meine Freunde」というフレーズでは、Freunde という名詞の前に、
alle という「不定数冠詞」と meine という「所有冠詞」の二つの「冠詞類」が並んでいるという説明になります。

今回の例文では、定冠詞 die の方が alle のあとに置かれているため、
「冠詞類が二つ並んでいる」と言われてもピンと来ないかもしれません。
定冠詞が一番先に来るはず、という感覚があると思います。
しかし、ドイツの Duden の「Die Grammatik」には、
こういった複数の冠詞類を名詞の前に並べる例が挙げられていますが、
並べる場合の決まった語順というものがいくつかあります。
all は定冠詞よりも前に出ます。
また、manch や solch などが語尾変化なしで不定冠詞と並べられる場合も、
これが不定冠詞より前に出ます。
以下、Duden の文法書からの引用です(日本語部分は私による補足です)。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【all(不定数冠詞)+ Demonstrativ(指示冠詞)+ Possessiv(所有冠詞)】
alle diese meine Bücher(alle = 不定数冠詞 + diese = 指示冠詞 + meine = 所有冠詞)
※ 指示冠詞か所有冠詞のどちらかひとつのみの場合もありますが、いずれにしても all が一番先に置かれます。
正:alle meine Bücher
誤:meine alle Bücher

【all(不定数冠詞)+ definiter Artikel(定冠詞)】
all die guten Sachen(all = 不定数冠詞 + die = 定冠詞)
誤:die allen guten Sachen

【bestimmte endungslose Formen(決まった無語尾の形) + indefiniter Artikel(不定冠詞)】
manch ein ahnungsloser Tourist(manch = 不定数冠詞 + ein = 不定冠詞)
solch ein Unterschied(solch = 指示冠詞 + ein = 不定冠詞)
※ただし、語尾変化する場合の ein solches Unterschiedも標準的な語順です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~

回りくどくなってしまいましたが、今回の例文に関しては、
alle も die もともに「冠詞類」として vielfältigen Beziehungen に直接かかり、
「すべての、その、多様な関係」という意味になります。
die が間に入っているのは、all と並べる場合は単にそういう語順と決まっているから、というだけです。
all でも alle でも同じという点に関しては、先の回答の通りです。
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この回答へのお礼

no.1,2と共に、詳しく丁寧にお教えいただき、ありがとうございました。これから、いただいた3つのご回答を何回か読み返すつもりですが、お陰様で、お教えいただいた内容は、相当程度理解できたように思います。教科書にかかれていることは、こういうことだったのかと気付かされた個所もありました。本当に、ありがとうございました。

お礼日時:2019/06/18 08:21

補足質問をいただきましたので、以下のように回答いたします。



>1 阿部先生の文の出典をどのようにしてお調べになったのですか?

これは難しくありません。文全体を引用しておられなかったので、
中断のない部分を抜き出し、ウムラウトで書かれていない箇所をウムラウト表記に戻し、
Google でフレーズ検索をしただけです。
ここで質問をされる方の多くは、わからない部分だけを出してこられるのですが、
実は前後の文を見ないと意味が取れない、判断できないということが多くあるので、
いつもこの方法で出典となる文を一度は探してから回答します。
「フレーズ検索」とは、複数の単語の列の左右を引用符で括ってから検索にかける方法です。

"alle die vielfältigen Beziehungen zu den Menschen voraus"
https://www.google.co.jp/search?tbm=bks&hl=ja&q= …

このように古い書籍の場合、すでに著作権が切れていて、
書籍全体を閲覧、もしくはダウンロードできることも多いのですが、
この書籍に関しては見られるサイトが見つかりませんでしたので、
書籍全体の内容は知ることができませんでした(古書としてドイツから購入することはできます)。

>2 規定(語・詞)とはどういう意味ですか。修飾とか限定という意味でしょうか。

文法用語というのは、時代によって変遷があり、定義や分類が異なることがよくあります。
今回引用した文法書の内の2冊は古いもので、
最近のドイツ文法書では「規定詞」という言い方はしていないかもしれません。
引用した書物では、「規定詞」には以下の語が分類されています。

~~~~~~~~~~~~~~~~
「基礎ドイツ文法の研究」(62頁):
次のものは、名詞の前に付いてこの名詞を規定するとき、
つまり付加語用法では、定冠詞に準ずる格語尾を付けます。
指示代名詞:dieser, jener, solcher
不定代名詞:jener
不定数詞:mancher
疑問代名詞:welcher
~~~~~~~~~~~~~~~~

上のような語が名詞の前に置かれると、
「この」「あの」「そのような」「いくつかの」のように「規定」されて、
名詞で表されるものが「漠然としたどれか」ではなくなります。
そういう役割をするので「規定詞」とこの書物では呼んでいますが、
最近の文法書ではたぶんあまり使っていないと思います。
ドイツ語の文法用語だと Demonstrativpronomen(指示代名詞)、
Indefinitpronomen(不定代名詞)になっていますが、
在間進の「詳解ドイツ文法」では、「指示冠詞」「不定数冠詞」のような用語になっています。
あとで述べますが、こういった用語の不統一が混乱のもとになることはよくあります。
なお、「基礎ドイツ文法」の方には、「規定語」という用語も出てきますが、
これは「規定詞」とは全く別の概念として使われており、
今回の御質問の内容とは関係がないので、混乱を避けるためにここでは触れずに置きます。


字数の関係で、ここでいったん切ります。
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この回答へのお礼

丁寧に、ご説明いただき、ありがとうございました。特に、「フレーズ検索」の仕方を教えていただいたことは、今後の学習の大きな力になる思って、喜んでいます。

お礼日時:2019/06/18 08:07

阿部氏の「独文解釈の研究」、中山氏の「中級ドイツ文法」は、


残念ながらどちらも所有していませんが、
all のこのような用法については、中級文法には通常書いてあると思うので、
いくつか引用しながら回答します。

「独文解釈の研究」はやや古い本ですが、引用されているドイツ語文は、
1932年にドイツの Langenscheidt 社から出た、「Deutsch für Deutsche」という、
外国人学習者用ではなく、ドイツ人向けに書かれた書物に出ている文で、
かなり入り組んだ構文になっていることはわかりました。

Es setzt zugleich auch alle die vielfältigen Beziehungen zu den Menschen voraus, die in dem Lande wohnen und wirken, zu dem, was der Mensch aus diesem Lande gemacht hat und wie er mit allen seinen Lebensgewohnheiten in ihm wurzelt.

alle は不定数詞ではなく、不定代名詞です。
die vielfältigen Beziehungen は voraussetzen の目的語なので、
die は4格の定冠詞です。
不定代名詞 all の付加語的用法には、
定冠詞、指示代名詞、所有代名詞などのほかの規定語と共に使われるものがありますが、
その場合は規定詞の前に置かれます。以下、いくつかの文法書からの抜き書きです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
信岡資生「基礎ドイツ文法の研究」(226ページ):
(all の)付加語用法:ほかの規定詞と共に用いられる場合は
常にそれらの先頭に立ち、この場合語尾を失うことがあります。
Ich habe alle die Bücher schon gelesen.(語尾変化あり)
私はこれらの本はもう全部読みましたよ。
All diese Leute sind Ausländer.(語尾変化なし)
この人たちはみな外国人です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
信岡資生・藤井啓行共著「中級ドイツ語の研究」(67ページ):
指示代名詞、所有代名詞に先置して用いる。この場合、無語尾のことがある。
Ich muss alle diese meine deutschen Bücher verkaufen.
私はこれらの私のドイツ語の本をぜんぶ売り払わなくてはならない。
(alle diese… ではなく all diese… という無語尾の形も使われるということ)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
在間進「詳解ドイツ語文法」(227頁):
他の冠詞類とともに用いる場合、しばしば語尾を付けず、それらの前に置く:
all die Bücher「これらの本すべて」、all die Menschen「これらの人みな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ドイツの文法書だともう少し詳しいことが書かれていますが、
Duden の「Die Grammatik」には、
どういう場合に語尾変化をしてどういう場合にしないかなどの規則は特に書かれていません。
ただ、名詞が単数の場合に語尾変化する形、
「mit allem seinem Volk」「Für alles dieses braucht man…」などは、
「すでに古く、まれである」、とあります。
一方、別のドイツの文法書(ヘンチェル&ヴァイト「現代ドイツ文法の解説」)には、
「単数の定冠詞の前では all は語尾変化しない(×alles das Durcheinander)」、
「複数の定冠詞の前でも日常語においてしか語尾変化しない」とあります。

Duden の文法書は、インターネット上に見られる例文を多く引用しながら比較しています。
総合的に判断すると、語尾変化しない形が現代ドイツ語のスタンダードと言えそうではありますが、
実際には両方の形が見られるということで、下のような例(指示代名詞の場合)が挙げられています。

all(語尾変化なし)の用例
Was bedeuten all diese fremdartigen Ausdrücke?
Mit all diesen Vorgaben wird der Text für die Schüler/innen zum Spielmaterial.

alle/allen(語尾変化あり)の用例
Kennen Sie alle diese Kürzel?
Mit allen diesen Mitarbeitern pflegt der Regisseur einen engen Kontakt.

なお、古いドイツ語では語尾変化する方が普通だったようで、
この例文の引用元である「Deutsch für Deutsche」という書物が出版された年代でも、
語尾変化する形がまだ多く使われています。
先に引用した日本の文法書3冊のうちの先の2冊(信岡資生)も新しいものではないので、
「語尾変化しない場合がある」という解説になっていますが、
ドイツの新しい文法書では、語尾変化のない形の方が先に挙げられています。

つまり、例文中の「alle die vielfältigen Beziehungen」は、
「all die vielfältigen Beziehungen」でも同じで、
むしろ今はこちらの方がどちらかというと標準的といえ、
また、例文の最後にあるもうひとつの all、
「mit allen seinen Lebensgewohnheiten」についても同じことがいえるので、
「mit all seinen Lebensgewohnheiten」と同じということになります。

両方の形の使用頻度を Google の Ngram Viewer で大ざっぱに追うことができるので、以下、御参考まで。

alle die Beziehungen と all die Beziehungen の年代別使用頻度グラフ
https://books.google.com/ngrams/graph?content=al …

mit allen seinen と mit all seinen の年代別使用頻度グラフ
https://books.google.com/ngrams/graph?content=mi …
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