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なぜ多くの生物実験でアフリカツメガエルが用いられるのですか?

A 回答 (3件)

アフリカツメガエルを使っている研究室のウェブサイトを紹介します。


http://www.bs.s.u-tokyo.ac.jp/~lmb/index.php?%A5 …
https://www.nibb.ac.jp/webmag/life/lab-living/20 …

これらによると
・飼育しやすい
・成体が長生き
・卵を大量に得やすい
・卵が大きく実験発生学的な手術が容易
・核酸等を注入してその機能を調べることが容易
といった利点があります。

飼育してる水槽を実際に見たことがありますが、両生類なのに、陸地をしつらえていない、魚を飼うのと同じような水槽だったのが印象的でした。その中でぶらーんと手足を伸ばして漂ってるだけ、いちおう沈んではいるけど。成体でも陸地に上がることはない種なのだそうです。

一方で、こういう選択は常に合理的というわけじゃありません。最初にたまたま選ばれただけ、という側面もあります。決してベストの選択ではなくても、様々な知見が蓄積されている、実験技術が確立されていると、新たに研究始める者にとって便利なのです。そうやって、特定の生物種が盛んに使われ「モデル生物」の地位を確立していきます。

実はアフリカツメガエルについては、大昔に選ばれたため、ずっと後になって都合の悪い部分もわかってきました。

ひとつはゲノム構造です。ヒトやマウスは二倍体ですが、アフリカツメガエルは異質四倍体と言われる、冗長性のあるゲノム構造です。
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2016/5056/

だからマウスで1990年代にいち早く実用化された遺伝子の選択的破壊(ノックアウト)や全ゲノム解読がアフリカツメガエルでは困難で、新たに近縁種で二倍体のネッタイツメガエルをモデル生物として開発し直す羽目になりました。ごく最近はゲノム編集技術でどうにかなってるのかと思いますが、たぶん。

もうひとつは卵の不透明さです。他の方が書いている「カエルの卵は透明」というのは、少なくともアフリカツメガエルについては誤りです。むしろこれほど中が見えない卵はない。

やはり実際に見せてもらったことがありますが、アフリカツメガエルの卵は色素で真っ黒です。アルビノの系統もありますが、卵全体に油滴が散らばってて、まるで豚骨スープです。だから顕微鏡でもちっとも中が見えない。

昔はホルマリン漬けにして薄く切って顕微鏡で見るだけだったからそう困らなかったのですが、蛍光タンパクの技術が登場して生きたまま細胞の挙動が観察できるようになると、不透明さは大きな欠点になりました。

それで、胚が透明なゼブラフィッシュ(熱帯魚屋ではダニオという名前で売られている)やメダカがよく使われるようになっています。正確に言えばこいつらも卵黄は油滴で不透明なのですが、神経や臓器といった皆が興味を持つような部分は卵の端に偏っていてかつ透明なので顕微鏡で見やすいのです。

ちなみにアフリカツメガエルの卵の中を生きたまま細胞レベルの解像度で見ることは、X線使った特殊な技術で数年前にようやく実現されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23676755/
実現されたと言っても、このX線を発生させるにもシンクロトロン放射光という巨大な施設が必要です。なのでまだ、そうやすやすと使えるものではありません。
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この回答へのお礼

皆さんとても分かりやすかったのですが、実体験とともに幅広い知識を教えてくれたsandabaさんをBAとさせていただきます。

お礼日時:2021/11/02 18:40

飼育が容易で、場所もとらず、環境の変化にも敏感だからです。


くわえて、ほとんどのカエルの卵は透明なので、単一の細胞からオタマジャクシへと成長する赤ちゃんを観察することができるのです。
実はクローン羊として有名になったドリーよりも30年も前にすでにアフリカツメガエルのクローンが実験用として作られているのです。
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端的にいえば「便利」だから. 育てるのが簡単だし, 卵を産ませるのも簡単.

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