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 腹足類には新腹足目、原始腹足目、中腹足目、異腹足目と分類されますが、いまいち違いがわかりません。
 どなたか、貝類入門者でもよくわかる解説をお願いします。

A 回答 (1件)

御質問の分類は次のようなものです。



新腹足目(バイ目):歯舌は狭舌(きょうぜつ)形ないし矢舌(しぜつ)形。肉食。殻には必ず長い水管溝を持つ。
原始腹足目(オキナエビスガイ目):歯舌は扇舌(せんぜつ)形ないし梁舌(りょうぜつ)形。貝殻は水管溝を持たない。体外受精のものが多い。貝殻に排出管を出し入れする溝や孔(孔列)があることが多い。貝殻内面は真珠質。
中腹足目(ニナ目):歯舌は紐舌(ちゅうぜつ)形。肉食。貝殻は原始的な一群を除いて水管溝が発達する。
異腹足目(イトカケガイ目):歯舌は翼舌(よくぜつ)形。腔腸動物食が多い。

主に歯(歯舌)の形態によって分類されていることが分かると思います。
食性は歯舌の形態と密接に関係しています。
歯舌の観察には一般に顕微鏡が必要です。ただ、それぞれの目は特徴的なグループを含んでいますので、訓練(経験)によって、水管系や殻口の形、貝殻の材質や厚み、全体的な貝殻のシルエット等を見ることで、ある貝が、これらのうちの、どのグループに近いかは比較的簡単に見分けることができるようになります。

ところで、御質問の分類は、おそらく昭和の頃に書かれた図鑑やその他の書籍、あるいはそれを元に書かれたホームページなどをご覧になってお知りになった分類と思います。

腹足類の分類は、20世紀終盤に大きく変化しました。
ですから、新腹足目・原始腹足目・中腹足目・異腹足目という名称は、今日ではほとんど使われません。
また今後、遺伝情報の解析による分子系統データの充実により、更に書き換えられる可能性があります。

現在の分類は以下のような分類群が提唱されています。
(佐々木 2001,「現生軟体動物の系統分類の最近の傾向」生物科学 vol.53,no.3 による)

腹足綱

カサガイ類
ワタゾコシロガサ類*
熱水固有分類群*
古腹足類
アマオブネガイ類
新生腹足類
異旋類
後鰓類
有肺類
(*は更に分類の必要な複数のグループからなる)

そして、これに基づいて書かれた分類表をweb上で見つけました。
http://cxj11255.hp.infoseek.co.jp/phyla/mollusca …

20世紀中に出版された多くの図鑑は、たとえば、海岸で拾った貝がなんという名前(種)なのかを調べるためには、依然として力を発揮しますが、貝の高次分類研究の参考にするには情報が古すぎます。

今世紀になって出版された、網羅的・包括的で類書の中では最も新しい図鑑を紹介しますので、一度目を通してみてください。
奥谷 喬司編著、「日本近海産貝類図鑑」
東海大学出版会、2000年発行
http://www.press.tokai.ac.jp/bookdetail.jsp?isbn …
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この回答へのお礼

 親切且つ詳しい解説ありがとうございました。
 私が通っている大学図書館にはこれらに関する文献が古いものしかなくて・・・
 
 今後の動向にも注目していきたいと思います。

お礼日時:2005/03/14 16:08

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