日経新聞でこういう記事を読みました。
諸外国の住宅や不動産の開発事情などは日本よりも硬直的だったり
制度が複雑だったりするんでしょうかね?
アドバイスよろしくお願いします。
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都市圏人口3700万人を擁する世界一の大都市の東京で、
比較的手ごろな住宅が多く提供されているのは驚異であり魅力だ。
ワンルームおよび1LDKアパートの家賃は東京都心では平均約14万円なのに対し、
ロンドンでは約39万円、ニューヨークでは約56万円に達する。
日本の都市景観は欧州の整った街並みに劣るという主張は多い。
だが住宅機能の提供という面で見れば日本は高く評価できるのだ。
日本の住宅供給には土地利用規制、借地借家法、財政政策、産業政策などが影響してきた。
住宅金融や公的住宅政策を除けば住宅供給が主目的ではないが、
全体としては住宅供給を促進してきた。今回着目したいのが土地利用規制だ。
土地利用規制の肝は用途地域であり、最大容積率、最大建ぺい率、許可される用途が地域ごとに規定される。
日本の用途地域には住宅供給に優しい特徴が2つある。
第1に地域区分が全国どこでも13種類しかないこと。
そのうち8種類は住宅系なので住宅規制が細かいと感じるかもしれないが、
米国では都市により区分設定が異なるうえ、ニューヨーク市では140近くの区分が設定されている。
さらに米国では、決められた基準を満たすだけでは建築許可は下りず、明文化されていない個別の「懸念事項」を解決していかなくてはならない。
従って各自治体に開発許認可を専門とする弁護士がいるし、「許認可促進業」なる業種まである。つまり明文化されない規制を交渉で解決するので、
その不確実性を解消して工程を短縮するのに高額の報酬が支払われるのだ。
一方、日本の土地利用と建築規制は国レベルで決定される。具体的な地域指定は地方自治体が行うが、
規制メニューは共通だ。さらに地方レベルで規制の解釈や適用の裁量権がほとんどない。
自治体に出向する国の公務員も制度運用の恣意性を抑える機能を果たしている。
その結果、他の先進国に比べ、規制は全国的に均一で透明性が高い。
例えば関西の開発業者が東北で仕事をするにも、規制の不確実性による障害はない。
第2に日本の用途地域では、住宅のように近隣への負荷の低い用途はほとんどの地域で許可され、
工場のように負荷の高い用途は工業地域でのみ許可される。
地域区分と用途の対応表にしてみると、米国では区分と用途が対角線上に一対一対応するのに対し、
日本では住宅や店舗は対角線以外の幅広い地域区分でも許容される仕組みだ。
米国の多くの都市の土地利用規制では単一用途の地域が広がり、用事を片付けるのに自動車で延々と移動しなければならない。
対照的に日本では多くの地域で住宅が供給されるうえ、コンビニと住宅が共存する混合用途が促進され、
町に活気と多様性が生まれる。
都市計画家のノーラン・グレイ氏は著書で
「米国が日本から学ぶことはかなり多い。米国のゾーニングを日本の制度に少しでも近づければ顕著な改善がみられるだろう」
と論じている。
住宅制約の緩和は単に住宅市場の話にとどまらず、マクロ経済にも大きな含意を持つ。
直接には消費財の代替に加え、所得効果や資産効果を通じて家計の消費と貯蓄の選択に影響する。
生産性への影響はより本質的だ。チャンタイ・シェー米シカゴ大教授とエンリコ・モレッティ米カリフォルニア大バークレー校教授は、
ニューヨークやサンフランシスコのような生産性の高い都市で住宅供給が制限されているため都市の集積度が低く、
64~09年に米国の年平均成長率を36%低下させたと推計する。
都市の集積度を上げれば経済の生産性が上がるが、交通・住宅の供給能力が制約となる。
日本は優れた交通・住宅システムにより世界一の都市集積をつくり上げたが、
米国では不動産、インフラ供給の制約が経済に及ぼす影響が大きい。
筆者の学部と米連邦準備理事会(FRB)は共同で11月に会議を開催してこの問題を討論する予定だ。
一方で、低い住宅費用の代償は景観統一性の不足、官僚的な制度運用などの課題として表れる。だが最大の課題は、
十分な住宅ストックを高齢化と人口減少の中でどう活用するかだ。空き家問題に加え、
居住者のいる住宅でも65歳以上の世帯は平均で2部屋以上を不必要に維持しており、
住宅ストックが有効利用されていない(瀬古美喜・慶大名誉教授、隅田和人・東洋大教授と筆者の共同研究)。
課題解決には、取り壊される住宅の平均築年数が、米国の67年や英国の81年に対し、日本ではわずか32年という現状(国土交通省調べ)が有利に働く。
短命な建物は環境負荷や資金負担の面では不利だが、都市の新陳代謝を高めるからだ。
社会や人口分布の変化に伴い求められる住宅の性能や種類が変わる中で、
都心部の住宅は急速に建て替えられてきた。環境新技術の導入の観点での利点もある。
中古物件の活用を促進する制度変更は必要だが、中長期的には課題は解決に向かうとみている。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
アメリカの住宅についての実情の理解が違ってるように思います。
東京のワンルームアパートと、NY の比べ方です。
まず、東京で 1LDK 月 14 万円のアパートって言ったら、たぶん、普通の庶民が暮らす 23 区内か多摩川あたりまでの普通のアパートでしょう。
それに対応し、NY のマンハッタン区なら確かに月4~5,000 ドルは相場です。
しかし、そこは東京で言うなら山手線の内側のきれいで大きな規模のマンションに住むようなものです。
日本でもそんなところに住むのは一般的な学生やサラリーマンでないように、日本で言うなら月に 200 万も 300 万も稼いでくるような人です。
それでも、アメリカ人の多くは、そんな集合住宅に住みたいとは考えていません。
狭いし、高いし、車を置くところはないし、散歩したり休みの日に家でのんびりしてバーベキューを楽しんだりできませんから。
だから、金持ちでさえそんなところより、マンハッタン区の北の方のヨンカースとかそこから北のあたりとか、ロングアイランド島の奥の方に暮らすことを好みます。
では日本の普通のサラリーマンのような人はどこに住むのか。
いわゆる一般の庶民は、それらより奥の方か、ハドソン川をはさんだ対岸のニュージャージー州側に暮らします。
日本の首都圏で言えば、多摩川をはさんだ神奈川県の方とか、千葉・埼玉や都下の多摩地区のようなところです。
それから、家についても考えるべきです。
日本の月 14 万程度の 1LDK アパートと言えば、せいぜい 40平米前後で、エアコンはあるでしょうが、冷蔵庫・洗濯機はないでしょう。
しかし、アメリカの場合、独身の場合でも、常識的には、日本的に言えば、長いソファーが置けるリビングと、それと同じ広さのキッチンと、日本のダブルサイズのベッドが余裕で置ける寝室と、3~4畳ぐらいのクローゼットと、それと同じぐらいのバスルームがあるユニットのことを 1LDK と考えます。
広さで言うと日本の倍近い感じです。
設備は、日本と同様に湯沸かし器と空調はあり、大きな冷凍冷蔵庫、食洗器、電子レンジとオーブンレンジ、洗濯機、乾燥機もあるものです。
それで東京の大手町まで 20キロの武蔵野・三鷹・調布と同じようなところにあるニュージャージーのアパートを見てみると、3,000ドル程度です。
当地の生活での金銭感覚では1ドルが大体 100 円ですから、30 万円と言うことになります。
部屋の大きさや設備のことを考えると、日本の倍の大きさで家電設備がそろっているので同じぐらいの価値ではないかと私は思います。
次に、地方も含めた住宅についての実情です。
私に言わせてもらえば、日本には、都市計画や、住宅やそこでの生活に関する社会的にまともな感覚(価値観)が欠如していると思います。
違いが何かを考えたり整理するのが面倒なので、当地の常識的な姿を紹介しますので、あとはご自分で考えてみてください。
ここで言うのはアメリカのかなりたくさんの地域で実際に暮らしてきた経験からのものです。
まず、アメリカの街についての基本的なことをいくつか理解していただく必要があります。
アメリカでは、人は基本的に街を形成して暮らします。
日本では都市部を離れると、畑の真ん中でも平気で家を建てて住んだり、何件かのまとまった住宅を建てて住んだりと言うのをよく見ますが、アメリカでそれはしてもいいですが、基本的にはしません。
大体1万から10万人という規模を単位に街を形成して暮らします。
街が栄えて人口が増えると、それまでのひとつの街が大きくなるのではなく、その周りに新たな単位の町を形成していきます。
その時に街の都市計画が新たに作られるのです。
日本では大都市ではそれを構成する町は変わらず、都市が大きくなると、それを構成する町もそれぞれ膨張していきますが、アメリカの大きな都市は、ある時を境に大きく鳴った町はそれ以上の成長は止まり、それを構成する町が増えていきます。
そのため、街が大きくなっても、あるところ以上には大きくならないので、人口が増えても公共施設やサービスに過度の負担がかかることを防ぐことができるようになっています。
さて、次は、そのようなアメリカの街の都市計画について説明します。
今日のアメリカの街の都市計画の基本は、街を機能で分けて建設するというものです。
その機能には、居住、商業サービス、医療、教育、公共サービス、大規模事業などがあります。
それらの機能の施設は一か所にまとめられ、森のようなもので仕切られて建設されます。
つまり、住宅地や医療地区や教育地区には商業施設は作られませんし、商業地区に住居は作られません。
日本のように、住宅地に商業施設のひとつである自販機が置かれるなんて言うことはありません。
そして、街にはそれらを結ぶ道路網(公道)が張り巡らされるわけですが、それらの道路は、地区の外側を通り、それらの地区を貫通する道路(公道)は作られません。
つまり、住宅地の中には公道は作られないので、住宅地の道路を住人以外の車がたとえば通勤時の抜け道のようにして走ることはありません。
また、住宅地について言うと、火事で焼失したなどと言う場合を除けば、住宅は勝手に建て替えたり増築したり模様替えは出来ません。
家の脇の駐車スペースがあっても、そこに勝手にカーポートの屋根をつけたりさえできません。
住宅地の家々はその景観を考えて作られているので、それを変える行為は、たとえ道路わきの街路樹一本でさえ勝手に植えたり切ったりは出来ないのです。
その意味では、家を相続したりするときに土地を切り刻んだりもできません。
土地と家は不可分で、現状のまま扱わないといけないのです。
それとともに、景観を保つという意味では、家や庭の手入れはしっかりやらなければいけません。
庭で言えば、芝が伸び放題だったり、枯らしたままにしたり、雑草をはびこらせたりしてはいけませんし、家で言えば、風でめくれて見苦しくなった屋根や壁を放置していたり、苔むしたり色あせた壁を放置していてはいけません。
住宅地やそれぞれの家には、日本の路線価のような固定資産税の算定基準になるの相場の価格というのがあります。
ほとんどの場合、当地の家はそれを使って大体の値が決まります。
しかし、それは家の維持管理がしっかりできており、周囲の家との景観上の問題がないことが条件になります。
維持管理ができているかは、家を売り買いするときに、家の細部を検査する第三者機関があって、そこに頼んで検査・評価をしてもらいます。
しっかり手入れさえしていれば、どんなに中古の家でも買った時と同じような値段で売ることは全然簡単にできます。
その理由は、整備をしっかりするほかに、空調と調理が関係していると私は思います。
今日のアメリカの住宅では、南から北まで、およそ全ての家は、24時間 365日空調を止めることがありません。
旅行や仕事で何日も家を空けないといけない場合でさえ空調は止めません。
その理由はいろいろあり、アメリカ人は湿気を嫌うというのもありますし、家の中では年中パジャマかTシャツに短パンという恰好で生活したいという生活習慣もあります。
また、地下室を持ったり二階にもバストイレを設けたりするので屋内に水の配管を回します。
それが冬季に凍って破裂させないためと言うこともあります。
しかし、それが家を常に乾燥した状態に保つので、家をカビで劣化させることもシロアリに食われることも防いでくれます。
そして、それが築年数がかさんでも家の価値を下げないことにつながっています。
私が今暮らす家は築10年ほどの物件として買いました。
しっかり検査させた結果問題となる劣化はなかったので、課税情報が示していた評価価格である新築の1割増しの価格で購入しました。
この1割増しは、街の繁栄によって路線価のようなものが上がった影響です。
つまり、この家の地域の価値が上がったのです。
価値が上がれば、中古でも家の値段が上がるのは当然です。
それから約10年がたちました。
町はこの10年で大きな繁栄を遂げ、街の地域は激しく成長しています。
その結果、路線価に相当するものが大きくあがり、今や買った時のほぼ二倍の値が付いています。
このように、当地では中古でもモノがしっかりしていればその価値は光を失いません。
そういうこともあって、当地の人々は基本的に戸建ての家を楽しむんです。
マンハッタンでもない限り、当地の全土を見渡してもコンクリート多層階のマンションなんてありません。
4~6階建てぐらいの日本で言うアパートが当地にもなくはありません。
でもそれは、学生のように何年かするとよそへ行ってしまう人だったり、他の地域から引っ越してきて家探しの間の仮住まいが必要な人が使うような目的に使われるだけです。
せいぜい大きな大学の周りぐらいにしかないんじゃないかと思います。
当地では多くの人は、2~3階建ての長屋風のタウンハウスか戸建てに住みます。
マンションや多層のアパートなんかに住みたいとは思わないんです。
それは庭のあるゆったりした空間で家族と一緒にのびのび楽しく暮らしたいからです。
そして、ちゃんと手入れすれば買っても資産価値は目減りしないので安心なのです。
アメリカの一般的な住宅事情はこんな感じです。
No.2
- 回答日時:
>諸外国の住宅や不動産の開発事情などは日本よりも硬直的だったり
制度が複雑だったりするんでしょうかね?
日本の不動産開発事情が「硬直的ではない」ということではありません。日本も今はかなり規制緩和が進みましたが、非常に硬直的な部分があります。
まず法律ではなく、日本人の感情として「土地は売らない」という認識自体が非常に硬直的です。その結果、戦後ほぼ同時期に始めた都市計画について、ヨーロッパ諸国は多少の変更を加えながらも完成し、日本は全く完成しない(いつ完成するかもわからない)という違いがあります。
実際、新幹線開業時に大阪駅に新幹線が乗り入れられなかったのは駅周辺の用地買収ができなかったからですし、都心環状線は8号まであるのに、できているのは1号(皇居外周)・5号(明治通り)・環状6号(山手通り)・環7・環8だけで、戦後80年近くたっても、2・3・4号という都心のさらに中心部の環状道路はなかなか完成しません。
少々場所が離れている田舎の成田空港だって、計画が遅れに遅れています。
そういう点で日本の不動産開発が「硬直的ではない」と言える理由はありません。
また諸外国には諸外国の都合があります。ヨーロッパ諸国は「城壁都市」の慣習法があるので、都市の不動産は公共物という概念が非常に強いです。
だから住民も都市計画に協力するし、パリなど歴史的建造物の多い都市は景観規制などに協力します。これはヨーロッパ諸国が「都市の規模や景観、都市計画の優劣で国家の優劣を図ってきた歴史」があるからです。
なのでチェコの首都プラハなど今の国家規模や経済力からみたら驚くほど立派な都市を持っていたりするのです。
アメリカの場合は、都市と住宅地がそのまま自動車の歴史と関係している点が重要です。
また日本と違って欧米の家は自分で資産価値を上げて売るという税制の違いがあります。
日本の住宅が安いのは、実は「不動産投資の対象になりにくいから」だと言われていて、実際日本でも投資対象のタワーマンションはものすごく値上がりしているのに、実質30年程度で建て替える個人住宅や個人オーナーのアパートマンションなどは安く供給しないと誰も住まない耐久消費財の扱いになっているので値上がりしにくい、という点があります。
不動産の値上がりに関して日本の住宅が安く供給される理由は、たぶん「投資対象か否か」という点が最も大きいのでしょうが、それ以外にも不動産支出に対する税制の違いとか、住宅の耐久性や都市計画の考え方の違い、さらには土地取得が簡単かそうではないか、など様々な要因があります。
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