
今年から憲法を学んでいるものです。芦辺憲法を基本書として使用しています。
南九州税理士会事件というものについてですが、一通り基本書読んだり調べたりしたのですが、自分なりにまとめようとしてもなかなかまとめることができません。
どなたか模範解答していただきたいのです。(規約のとおり、レポートなどとは一切関係ありません。)
南九州税理士会事件
(1)いかなる事件か。
一応把握できているつもりですが、よろしければご教授くだされば参考になります。
(2)最高裁の示した判断はどういうものか。
(1)と同様です。
(3)そこに含まれている憲法上の問題点と、(4)それに対する見解。
問題点があるなしに関わらず、回答者様のご意見をお聞かせいただければと思います。
以上、お手数だとは思いますが、ぜひよろしくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは
有名な事件ですし、本当に詳しいことは百選に書いてあると思うので、私なりにわかりやすくまとめて答えてみたいと思います。
(1)いかなる事件か
税理士会が政治献金しようと思って、お金を徴収する決議をしたが、反対する税理士がお金を払わないといって争った事件。
(2)最高裁の示した判断はどういうものか
お金を徴収する決議は、税理士会の目的の範囲外であるとして、無効とした。
(3)そこに含まれている憲法上の問題点と、(4)それに対する見解。
私人間効力の問題。つまり、税理士会と税理士の間で人権の衝突が起こったことになります。
税理士個人は、どこに政治献金するかの自由を有しているはずなのに、税理士会の決議で強制してもいいのかという問題です。
この判例は、私法の一般条項に憲法の趣旨を取り込んで解釈すべきである(間接適用説)として、民法43条に憲法の趣旨を取り込んだことになります。
この判例が面白いのは、八幡製鉄事件では政治献金が認められたのに、税理士会には認めなかった点です。
なぜ結論が違うのか。それは、強制加入であり、脱退の自由が制限されていることに理由があります。
いろんな人がいるはずだから、それぞれの人が思うとおりに献金するべきで、多数決で決めるべきべはないことが判旨にも述べられていますね。
それと同じように、労働組合が政治活動するためにお金を徴収するのも駄目だという判例があります(国労広島地本事件。百選152)。この労働組合もユニオンショップ制などで脱会の自由が事実上制限されています。
八幡製鉄ー国労広島地本ー南九州税理士を比較できれば、きれいな模範解答になるかもしれません(百選の解説はその1つ)。
大変遅れてしまいましたが、回答ありがとうございました。
憲法の基本書を何度読んでもなかなか理解できませんでしたが、わかりやすく教えていただいて結構わかりました。
やはり判例百選は買おうとおもいます。
No.3
- 回答日時:
すでに他の方が大方回答されているので補足までに。
この事件で問題となったのは法人である南九州税理士会の政治活動の自由と構成員である税理士個人の自由です。
ご存知のように最高裁は私人間に憲法規定を直接適用するのではなく、私法の一般条項に憲法の趣旨を充填解釈して社会的に相当かどうかを判断する、という手法を採用しています(間接適用説、三菱樹脂事件参照)。
そして本事件で問題となったのは
(1)強制加入団体である税理士会による政党への献金は民法43条の目的の範囲外であり無効ではないか。
(2)会員からそのための金銭を徴収する決議は公序良俗(民法90条)に反し無効ではないか。
という点です。
以上の双方につき、最高裁は無効と判断しました。
この判例は、(1)の点につき、労働組合(国労広島地本事件)や会社(八幡製鉄事件)の政治献金を有効と判断しているのと対照的であり、また(2)の点につき、上記国労広島地本事件で会費徴収決議を無効と判断していることと類似します。
また、税理士会と同様に強制加入団体である司法書士会の同業他団体への義援金の出損及び会費徴収決議を有効と判断している判例(群馬県司法書士会事件)も参考になるでしょう。
No.2
- 回答日時:
1「強制加入の公益法人である税理士会」が「税理士法改正の運動資金として」会費の徴収決議をした事に対し、会費の納入を拒否した会員から提起された訴訟
2 会は強制加入で脱退の自由がないので、税理士会の「目的の範囲」に会員の思想・信条との関係で限界があると説いた。特に政治団体に寄付するかどうかは選挙における投票の自由と表裏をなすものだから、会員各々が市民として自主的に決定すべきことがらであるため、(例え自分たちの政治的要求を実現するためのものであっても)税理士会の「目的の範囲外の行為である」と論じ、決議を無効とした。
3 学説の評価は総じて高い。
政治団体、政治家に寄付が渡ったのは問題としても、税理士法改正という重大な事項について、税理士会として活動すること(例えば資金援助)まで制限されると、団体にとっては厳しすぎないか。
4 省略
分野 精神的自由、法人の人権
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