愚問で恐縮ですが、そもそもアメリカが超大国になり得たのは、一体何が大きな要因と考えられるでしょうか?
1.面積が大きいから?
アメリカ同様、広大な国土を有する国は多いです。 ロシア 1,707万平方km、カナダ 997万、中国 960万、 オーストラリア 774万 ・・・ どうも面積だけではなさそうですね。
2.国内に石油が採れるから?
たしかに国内消費の多くを中東からの輸入に頼っているが、実際には国内に膨大な油田があり、またそこで採れる石油は戦時用に備蓄されているので、「自国内で石油が採れる」 これが大きな要因になり得ると言う人もいます。
つまり原油獲得に左右されない政策が採れるという事でしょうが、どうでしょうか? もしそうなら、なぜイラク戦争を? という疑問も出てきます (真の原因については諸説紛々していますが ・・)。
3.建国後の歴史が浅いから?
確かに中国やインドのように古い政治体制の影響を受けずに、合理的な理念で国家を治めていく事ができたように思いますが、それではアフリカ諸国のような 「新興国家」 も将来は超大国とまで行かなくても、大国のひとつくらいにはなり得る?
4.移民国家だから?
この要因も大きいと思いますが、国内で極端に価値観が多様化した国家は、逆に混乱しか生まないようにも思うのですが ・・・ それに移民自体が高レベルの知識層ではなく、言わば 「食い詰め浪人」 ばかりの集団であった事を考えると、どうもこれも怪しい?
5.実は 「大農業国家」 だから?
アメリカ以外にも、大農業国家って多いですよね。 カナダやオーストラリアもそうでしょうし、ウクライナもそのはず。
特にアメリカは20世紀に入ってから急激に超大国への道を歩むようになったと思うのですが、主な要因は何か、他国と決定的に異なる点とは何か、お教え願えないでしょうか?
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
結論は「第一次大戦で、欧州列強が大損した時に大儲けした。
そのご利益が今でも続いている」だと考えます。第一次大戦というのは、そのくらい経済的に見て大きな出来事だったのです。現在、アメリカが世界唯一の超大国であることを最も良く示すのは「世界を相手にしても勝てる軍事力」です。
アメリカがそこまでの軍事力を持つようになったのはいつかというと、そんなに古いことではありません。第一次大戦の前には、海軍はイギリス、陸軍はドイツとフランスとイギリスがアメリカより明らかより質量ともに上回っていました。特に陸軍は、欧州列強の水準を明らかに下回っていたようです。
第一次大戦で疲弊した欧州を尻目に、アメリカは大儲けしました。この頃から大恐慌までの間にアメリカで「第二次産業革命」のようなものが起きました。簡単に言うと「自動車産業の成立」です。これは、「一般の人が車を買える位に大衆が豊かになった最初の国がアメリカである」ということも意味します。当時、そういう国は世界中でアメリカだけだったと思われます。この頃に、アメリカの工業・農業生産力は世界一になりました。
第二次大戦の開戦時、アメリカの軍事力は海軍でイギリスと同等、陸軍はまだ小規模でした。しかし、戦間期に蓄えた生産力がフル稼働すると、他の全ての国を合計したくらいの巨大戦力を構築し、ドイツと日本を押し潰しました。ドイツを東方から押し潰したソ連も、アメリカから送られる無尽蔵の物資で戦っていたのが実体です。この物資の代金は、戦後にソ連によって踏み倒されました。
なお、「ドルが基軸通貨だから」という意見も出ていますが、これはあくまでも結果です。世界の基軸通貨が第一次大戦後にポンドからドルに代わり、それが今も続いているのは「イギリスからアメリカに、覇権が交代したから」に過ぎません。
アメリカにとってラッキーだったのは、
* 世界の政治の中心である欧州から、大西洋というちょうど良い距離を置いている。普通の手段では、欧州からアメリカを攻撃するのは困難。
* 背後の太平洋は極めて大きく、アジアからアメリカを直接攻撃するのは、ICBMが開発されるまで不可能。
* 国境を接しているカナダは同文同種の兄弟国で、争う理由もない。メキシコ他の中南米の国は、アメリカを基準にすれば軍事力ゼロに等しいので脅威にならない。
* 国内に資源が基本的に全部揃っていて、輸入に依存する必要がない。第一次大戦や第二次大戦で世界経済が乱れてもメリットのみを享受できる。
* 先代の超大国であるイギリスと同文同種。アメリカ人は、最先進国であるイギリスの本を読んで勉強し、イギリスの学校に留学し、イギリス人を教師として呼ぶことなどが全て容易です。イギリスの知的蓄積を、そっくり自分のものにできたわけです。
という「地理的要件」「人文的要件」が、全てアメリカに有利に働いたからでしょうね。
有難うございました。 非常に興味深く拝読致しました。
やはり結果的に先の二つの大戦が大きな要因になっているんですねえ。 それを考えると、戦争というものは、いかに不経済で、国家発展の阻害になるものだと改めて思い知らされました。
歴史に 「もし」 はないと言いますが、敢えて、もし第一次、第二次大戦がなければ世界情勢は今頃どうなっていたのか、予想もつきませんね。
ご回答の後半部、なるほど、とても参考になりました。 有難うございました。
No.9
- 回答日時:
1~5の項目に対して皆さんが回答されているようなので、
ちょっと違った視点から。
私は、「アメリカ人の考え方」が超大国に押し上げたのだと思います。
1~5の項目は、物資的なものですが、
精神的なものもありきで超大国になれたのだと思います。
一言で言えば、世界的なジャイアニズム。
自分の考え方を他人に押し付ける、あるいは、
他国を侵略し、自分の領土をどんどん広げなさい、という思想が
アメリカの根底に流れている、等でしょう。
「民主主義を広める事は、神より与えられた天命だ。」
このマニフェスト・ディスティニーと言われる思想は、
アメリカ建国当初からありました。
始め、アメリカ大陸東部しか殖民してなかったアメリカは、
勢力をどんどん西へ延ばして、ついには西海岸(カリフォルニア)まで
国土拡張します。
その後の年には日本に黒船で来航している
というのは非常に興味深いですね。(下手すれば日本も・・・^^;)
このように、どんどん領土を広げ
(アメリカ人にとっては、フロンティア(開拓地)を求める、と言う)
で、終いには、海を越えた世界にフロンティアを求めている、と言う事になる。
なので、こうした姿勢があったが為に、超大国になったのだと。
(その後、アメリカは領土を広げず、代わりに、民主主義システムの国を増やす、
”民主主義システム帝国”になったと聞きます。)
また、努力すれば、成功できる! といった下地があったのも、
人々の生産効率性を高めたのも、一つの原因でしょう。
まとめると、
1.領土拡張主義だから。
2.比較的、人の能力が発揮できるような体制だったから。
になります。
必要とあらば、資源国を民主主義にして、ある種の管轄下におくでしょう。
なるほど、違った観点からのご意見、有難うございまいした。
領土拡張主義 ・・ これが世界中のあちらこちらで反米運動が行なわれている原因のひとつなんでしょうねえ。 自国を発展させる原動力にはなるが、世界中を敵に回しかねない恐れもある、諸刃の剣というところでしょうか。
No.8
- 回答日時:
事実上、島国といっても良い状態だからです。
米墨戦争終結以降、内戦を除いて北米にはアメリカの敵対国はありませんでした。軍隊を国境線に貼り付ける必要がないので、海外に進出しやすかったのです。あとは負け戦をしなかったからですね。以上の点からすると、キューバ危機の影響の大きさがわかるでしょう。ベトナムで勝てなかったことも影響は大きいです。
おっしゃるとおり、ヨーロッパ諸国と違って国境線沿いに軍を貼り付ける必要がないですね。 カナダとの国境線は長いですが、中ソのように敵対関係になった事はなさそうですしね。
有難うございました。
No.7
- 回答日時:
もし、質問者さんが本気で質問の回答を得たいと思うのならば、1980年代後半に話題になった『大国の興亡/1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争 ポール・ケネディ著(草思社)』を読むことをお勧めします。
英語で677ページ、日本語で800ページの大著ですが、この本の中に、国家が大国になって、衰えてゆく原因と過程が書かれています。最も簡単に要約すれば、国家の盛衰は、その経済力を反映したものになるのですが、それは長期的に見てのことで、その相対的経済力の変遷と相対的軍事力のそれとの間にはタイム・ラグが存在するということです。よく、見られるパターンは次ぎのようなものです。経済的に発展してゆく過程で、軍事力にあまり金をかけず、それゆえラクに発展できる国が現れる。-1860年代のイギリス、1890年代のアメリカ(そして今日の日本)などがそれです。しかし、こうした国々はその50年後に優先順位を変えることになりました。発展が国家の利害関心を広めるからでもあるし、成功し大きくなるため競争相手が現れるからでもあります。しかし、一番大きな理由は、優先順位を変え、安全保障により多くの努力を払っても、その安全度は増えず、『資源』が経済発展以外のものに向けられることのマイナスが、経済成長率の鈍化という形になって出てくる。こうして、覇権国が、衰退に向うことになるというのです。
質問に移ると、まず1.ですが上でも述べたように、領土が広いことは、大国になるためのマイナス要因だと言う事が分かると思います。(軍事費に資源(金)を回さねばならなくなり経済成長率が低くなりますから)
2.の石油ですが、日本のように国内から石油が出なければ、世界中から最も安い石油を輸入することができます。しかし、アメリカでは一時、国内の石油業者(国際メジャー)を保護するため、敢えて割高な国内の石油を使っていたという事実があります。(当然、経済的に良い結果は得られません) 現在では、国内の環境保護団体の活動により国内での石油採掘は難しくなっています。
アメリカとロシアは、ほぼ同じ時期に興隆しますが、その決定的な違いは人口の中身なのです。ロシアの人口の大部分は農奴で所得も生産性も低かったのに対し、アメリカ人は農場を持ち、或いは、急激に成長する都市に住み生活水準が高く、他国に比較して生産高も高かったのです。既に、1800年代に賃金は西ヨーロッパより三割ほど高く、一九世紀を通じてこの格差は広がらないまでも維持されていました。1850年代に入ると、西ヨーロッパから移民が大量に入ってきますが、西部には土地がふんだんにあったし、工業も着実に成長していたから、労働力は不足しがちで、賃金は高かったのです。だからこそ、製造業者は省力化を進めるために機械に投資をし、アメリカの生産性はますます上昇したのです。
非常な詳細にご解説いただき、有難うございました。
領土が広い事と、国内で石油が採れる事は必ずしもプラスにならないんですねえ。 興味深いです。
ご紹介いただいた著書、時間がある時にじっくりと読んでみたいと思います。 有難うございました。
No.5
- 回答日時:
アメリカが大国になりえたのは、一つの原因、理由ではありません。
たくさんの要素があるのですが、経済的側面から見ると、大きいのは第一次世界大戦と第二次世界大戦ではないでしょうか。第一次世界大戦によりヨーロッパの先進国が軒並み大打撃を受け、国力が低下した中、アメリカは当初モンロー主義を持って不介入。国益を殆ど損なうことがなかったのです。
また、第一次大戦後、日本を除く主要国は戦後の国内復興に向けアメリカから莫大な債務を負うことになりました。アメリカはその時世界の債権国となったわけです。また、ヨーロッパが戦争中、アメリカは世界の工場として未曾有の景気を向かえていました。
一方、他のヨーロッパ諸国は戦争と戦後の後始末で疲弊し、国力が決定的に衰えていったのですね(多大な人的損失も大きいですね)。
さらにヨーロッパに追い討ちをかけたのが、債権国アメリカで起きた29年のウォール街の大暴落です。それによる経済的混乱が第二次世界大戦への道を作ったわけです。
アメリカの景気が再び回復するのは、第二次世界大戦が始まってからですが、イギリスなどが実施したブロック経済が自由貿易体制を分断し、ドイツ、イタリア、日本などで台頭したファシズムが第2次世界大戦を開始したことにより、アメリカの戦争特需が世界中でまた必要とされるようになったのです。アメリカ本土は戦場となりませんでしたから、戦時中もアメリカ経済は発展し続けたんですね。
今度もまた他の国が戦争によりボロボロとなっている中、アメリカ本土は被害を受けていませんので、戦後のスタートラインから他の国とは大きく違っていたのです。
今でも根強いファンがいる映画「風と共に去りぬ」は1939年制作、ヨーロッパが第二次世界大戦に突入した年なんですね。
アメリカは自由の国でもあり、たくさんの亡命者を戦時中に受け入れています。当時、ヨーロッパ人にとってアメリカは自由の国、アメリカに行けば生きて行ける、という希望の大陸でもあり、ヨーロッパ各国の頭脳がアメリカへ流失した事もアメリカの繁栄に一つの影響力を及ぼしていると思います。
20世前半の2度の戦争によりアメリカの力、財力は決定的なものになったのです。
一方ロシアはロシア革命により共産主義となり、世界中のインテリ達から当時絶賛されたわけですし、第2次大戦の戦勝国でもあります。
しかし、内実はすでに30年代、アンドレ・ジイドがソビエトを訪問した時に国は矛盾を浮き彫りにしていました。その後のソビエトは、ご存知のように建前の国力と内情の矛盾により自己崩壊、自己破綻しましたね。
アメリカの発展には大きな要素がいくつもありますが、世界大戦の影響というものも、ある一面として大きく影響を及ぼしています。
詳細なご回答、有難うございました。 やはり2度の大戦がアメリカの国力増強に大きな影響を与えたようですねえ。 戦争当事者になると、勝負は別としても両者は大きな被害を受ける事になり、失うものは計り知れないものがありますからね。 ソビエトも中国も戦争で疲弊した経験がありますが、アメリカにはそれが無かったんですねえ。
勉強になりました。
No.4
- 回答日時:
6.北方は五大湖に、残る三方が海に面しているから。
物資を輸送する場合、船を使うのが最もコストが安く、大量に運ぶことが出来ます。
中国は東方にしか海が無く、現在でも内陸部の発展はかなり遅れていますし、
アメリカも工業や商業が主産業の地域は五大湖や海に面した地域、農業が主産業の地域は内陸部と、大まかに分けられます。
加えて、『大陸横断鉄道』の建設により、内陸部と沿岸部との間で、鉄道という比較的低コスト・大量輸送可能な輸送手段が出来たこともあげられるかと・・・。
4.の「移民国家だから?」の「それに移民自体が高レベルの知識層ではなく」については、独立前は必ずしも知識階級が少なかったわけではありません。
移民の最初期にイギリスからアメリカに渡った人々が住み始めたプリマス・ボストン周辺を見ると、ボストンの隣にあるケンブリッジ市(人口10万人弱)には、『ハーバード大学(1636年創立)』・『マサチューセッツ工科大学(1861年創立)』という、日本なら東大と東工大に相当するような大学が存在します。(人口の1/4の2万5千人が両大学の教授・研究者・学生というとんでもない街です。)
両大学を中心に、様々な分野の基礎研究が行われたことが、20世紀以降の工業の発展に大きく寄与したものと思います。
有難うございました。 そうですね、国土の三方が大洋に面している事実を忘れていました。
国内物資の輸送や海外からの輸入品の輸送にもってこいの条件です。 これらは産業振興や育成に役立ちますからね。
そのため、アメリカ国内にも富の不平等があったにしても、中国の沿岸部と内陸部のような極端な格差はなかったんでしょうねえ。
それとハーバードもMITも工業発展にかなり貢献したんですねえ。 有難うございました。
No.3
- 回答日時:
> 4.移民国家だから?
これの結果が大きく影響しているのではないかと思います。
というのは、移民国家はたしかにまとまりがなく多様な価値観・生活様式・風習などがあり、マイナス面もあるのですが、だからこそ合理的でより多くの人が納得できるシステム(法律・人の行動・その国独自の常識等)を作ろうとしたからであると予想するからです。
有難うございました。 移民政策が良い結果を生んだという事ですね。
たしかに他国と違って、アメリカは何かあればすぐに星条旗を掲げ国歌斉唱しますが、これも多民族国家のため敢えて愛国心を前面に押し出し、価値観が極めて多様化した国民をひとつにまとめていこうとする意思の表れかも知れませんね。
No.2
- 回答日時:
ずばり「政治力」でしょう!
利権が絡む「石油」なども必ず米ドル決済ですしね。
ご質問の「2」もある意味正解だと思います。
「金融」「石油」などなど、利権が絡むものに対して、未だに米ドルでの取引が盛んですからね。
石油なんて、米ドル以外の決済はNGですし。
有難うございました。 ドルが世界で唯一の国際通貨として用いられているのも大きな要因ですねえ。 世界中、どこに行っても現地通貨と両替が可能なのはドルだけですから、この威力も大きいでしょうね。 あの北朝鮮でも外国人用の百貨店では米ドルで買物ができるようですから、すごいですよね。
No.1
- 回答日時:
最も大きい要因は第二次大戦で領土に直接的被害を受けなかった事ではないでしょうか?
それまではいわゆる数ある有力国の一つでしたがイギリス・フランス・ドイツといった欧州の有力国は徹底的に破壊され人的資源もかなり被害を受けました
アメリカは逆に迫害されていたユダヤ系を筆頭に優秀な科学者等も受け入れ、戦後の欧州・アジアの復興需要もほぼ独占しました
上に上げられている要因も勿論ありますが一番大きいのは大国の中で唯一被害を受けなかった部分にあると思います
そして上に書かれている5つの要因全ても兼ね備えている唯一の国だからです
ちなみにロシアは国土は広いものの不凍港が基本的なく使えない領土も多いので微妙ですね
早速のご回答、有難うございました。 たしかに、2回の大戦でも国土への直接被害は無かったですね。 戦争で一旦国土が破壊された後の復興事業には、ドイツの2回の例を見るまでもなく、とてつない時間と膨大な物資が要求されますから、アメリカにはこれがなかった事が大きな要因かも知れませんね。
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