
こんにちは、よろしくお願いします。「判例評論 480号 20~23」を読んでいましたら、疑問に思うことがありました。事例は以下のようなものです。Bに賃貸している債務者Aに対して、その一般債権者Yが賃料債権を差押えたところ、差押えの送達後に抵当権を設定して、やっぱりその賃料債権に物上代理しようとしたXと競合してしまったという事例でした。本判例の論点からは外れるんですが、普通、差押えの後に取引関係に入る今回の抵当権者Xのような人は、前の当事者達A・B・Yの間に差押えがあったという事実を知ることが出来るんでしょうか?もし、あるとしたらどのような方法で行われているんでしょうか。
このような疑問ですが、よろしければ、回答をいただきたく思います。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
結論から申し上げますと、被差押債権に対する債権執行の存在は、第三債務者からの情報提供によって公示することになります。
債権に対する強制執行は、執行裁判所(=強制執行事件の担当裁判所)が、差押命令において、「債務者」(=強制執行を受ける者。差し押えられる債権(被差押債権)の関係では、債権者になります。)に対しては債権の取立てその他の処分を禁止し、「第三債務者」(=被差押債権の関係で債務者となる者)に対しては債務者への弁済を禁止したうえで、差押命令を債務者及び第三債務者に送達することによって開始します(民事執行法143条、145条1項、3項)。
そして、差押えの効力は、差押命令が第三債務者に送達(≒配達)された時に生じます(同法145条4項)。
なお、差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋(≒言い分の聴取)しないで発するものとされています(同条2項)。
つまり、ご質問の事例で、Xには、本件賃料債権を被差押債権とする強制執行を申し立てる前にYが既に当該債権を差し押さえている事実を知る手段はありません(事前にA(債務者)やB(第三債務者)に問い合わせれば別ですが。)。
babaoさんは、「なぜXは、事前にAやBに問い合わせないのか。」とか、「なぜ登記や登録などの確実な公示制度を設けないのか。」といったご疑問をお持ちかもしれませんね。
まず、なぜXが事前調査をしないのかという点については、債権は目に見えない権利ですから、差押えに先立ってAやBに問い合わせれば、A・B両者が通謀して「当該賃料債権は弁済済みです。」と主張したり、差押命令の送達前に賃料額を大幅にディスカウントしたうえで前払いを済ませたりして、差押えの免脱を謀るおそれがあるからです。
また、差押えの公示制度が設けられていないという点については、民法467条の制度趣旨と共通するところがありますので、勉強してみてください(なお、ご質問の趣旨からは外れますが、債権譲渡については、実務上、債権譲渡登記制度(下記参考URL→「トピックス このほかにもあります」→「債権譲渡登記制度の導入」とリンクをたどってください。)が重要になっています。)。
ただ、XがYの存在を知る手段が、執行手続上全くないわけではありません。差押債権者(ご質問の事例では、X)は、強制執行の申立ての際に、第三債務者に対する陳述催告(民事執行法147条。執行実務では、「三陳(さんちん)」と略称することが多い。)を申し立てることができます。
この陳述催告の回答書には、被差押債権の存否、額、支払意思の有無などが記載されます。ご質問の事例では、Bは、被差押債権たる賃料債権は実在するが、既にYから差押えを受けており支払意思はない(または以後供託する)旨回答することになりますので、これにより、Xは、先行する差押えの存在を知ることになるわけです。
以上、お役に立てば幸いです。
参考URL:http://www.moj.go.jp/
No.2
- 回答日時:
babaoさんの云う判例評論が私の手元にありませんが、その判例は、債権者Yが、AがBに対して持っている賃料債権を差し押さえた事例で、Xが何故そのことを知り得たか? という問いと思います。
そうだとすれば、通常では知り得ることはできないと思います。(AかBがXに任意的に教えたとすれば別ですが。)ただ、このようなことが云えます。Yが賃料債権を差し押さえた後にYがAの当該不動産を差し押さえたとすれば、抵当権者であったXに裁判所から通知が行きますからXはYもAの債権者であることを知ることができます。そうすればXもBを第三債務者として債権差押えすることができ、結局、Bの賃料はXとYの両方によって差押となったことになります。
なお、Bに対する差押がYよりXが早ければ三陳によってYは競合していることを知り得ます。
参考にさせていただきました。どうも、ありがとうございます。やはり、通常では第三者は、差押えの存在を知ることは出来ないのですね。ご回答されたようなケースを除いて・・・。
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