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三位一体改革のひとつの柱である「地方への補助金削減案」が全国知事会より出され、中でも議論が活発化した「義務教育費削減」について質問です。
因みに私は行政に関してはまったくの素人です。
現在巷では「学力低下はゆとり教育の弊害だ、もっと授業を充実して欲しい」とか「英語を小学校から必修科目にしよう」とか言われています。授業の充実や英語教育導入にはお金がかかるのではないかと思うのです。しかし、その一方で全国知事会は義務教育費の削減を望んでいる。ここがよく理解できません。義務教育費を削減してもいいことはないのでは?
また、義務教育費を削減した結果、次のような問題が起こるのではないかと思うのです。
義務教育費の削減により、小学校・中学校で充実した授業を受けられなくなる。それを危惧した裕福層家庭の子供が私学に通い、私学独特の充実したカリキュラムで学力を伸ばしていく。一方、低所得者層は子供を私学に通わせることができず、子供は充実した教育を教授できない。これらのことが、後の就学や就職に差がもたらし格差社会がより深刻になる。
以上が行政素人の私の考えです。誤り、付けたしがあったら教えてください。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
Ans.1の方が書かれているように、義務教育に係る補助金を削減するというのは、あくまで「補助金」を削減するということで、教育の質の議論をしているのではありません。
財源の観点から言えば、基本的に削減された「補助金」は税源移譲により、結果として同額相当が各自治体に収納されることになります。(自治体の歳入構造により、実際の財源移譲額は異なります。)。各自治体はこの財源を使い、従来どおり学校運営を行うことになります。本件を整理すると以下のようになります。
まず、補助金はいわゆる紐付きです。具体には文部科学省が学習基準要領等を基に教員数や生徒数等を定め、補助金の交付には「それらを守ること」が必要としています。
裏を返せば、全国一律の教育環境を提供することになるのですが、一方で時代の変化に合わせ、地域に合った教育というものも求められています。地域性は、各自治体により異なるわけで、たとえば中高一貫教育を進めるとか、英語重視するとかは、各自治体の裁量に任せた方が効果的とも言えます。しかし、現行の補助金制度では、文部科学省の縛りが強く、自治体の裁量は限られたものになります
そこで、補助金をやめて、相当額を税源移譲し一般財源(=教育だけでなく、何にでも使用できる自由な財源)化することで、地域の実情に合った教育を、自治体の裁量により実施しようとしたのが三位一体改革(の一部。ほかに交付税改革も有り。)です。同改革は、義務教育だけでなく、全ての補助金行政からの脱却という点で同じ意味を有します。
しかし、一般財源化することで、もしかすると本来義務教育に使うべき財源をたとえば道路整備に使ってしまう自治体が現れる可能性もあり、その点を文部科学省は指摘しています。この点は質問者さんの危惧されるとおりです。これに対しては、首長(市長など)は、住民からの厳しい監視がなされているので、そんなことは出来ないしという意見があり、また、依然教育指導要領は有効であり、これにより縛られるとも考えられます。
つまり、三位一体改革での義務教育費国庫負担金に関する議論は、少なくとも知事会はじめとする地方団体サイドは、より質の高い教育を提供しようと考えているものです。これに対し、文部科学省は、「全国一律の教育のために補助金は必要」という主張ですが、裏にはこの補助金を使って地方団体への影響力を維持しようという思いも透けて見えます。
文部科学省への反論として、「ならば、2分の1補助(当時)でなくむしろ全額補助にすべき」や、「同趣旨の補助金のない高校教育の場ではそういった懸念される事態にはなっていない。」というものがあり、ある種納得できるものではないでしょうか。
質問者さんには、若干の誤解があるようですので、ちょっと長くなりましたが、こんな感じでご理解いただければと思います。
詳しいご説明有難う御座います。すごく解りやすいです!
>もしかすると本来義務教育に使うべき財源をたとえば道路整備に使ってしまう自治体が現れる可能性もあり
このような自治体が現れないことを望むばかりです(^-^;)
No.4
- 回答日時:
義務教育ですから市町村レベルの話ですね。
市町村の予算書を見ると「教育費」という款があります。いろいろ細かい事業が並んでいますが、結局お金の出所は市の一般財源と国県支出金(特定財源という)の混合したものとなっています。
国県は地方に財源を移す代わりにそういう支出金を減らしたいのです。つまり、市は市で今までより多く税金をとっていいからそういう支出金は減らすので自分のころのお金でやってね。ということです。
今は面白いくらいに毎年特定財源はカットされまくっています。今後ますますカットされていくのは間違いがありません。
今までは補助金つきでしたからあまり自由な教育事業展開は考えにくいものでした。今後は自分で出す金の割合が増えるので自由に教育事業を行えるという「お題目」です。
問題はここから。削減された補助金分一般財源から全部あてられるのか?答えは「ノー」となる自治体が圧倒的に多い。私の市では税源移譲による税収増より特定税源のカットや交付金のカットのほうが圧倒的に多くて市長は真っ青になっています。
削減された事業費は教育委員会事務局費、教育センター費、教育振興費(小中とも)、社会教育費、公民館費、図書館費、すべてとんでもない削減しました。
小中学校に派遣される教育支援員も半減。パソコンも98のまま買い替えなし。クーラーも新規設置なし。
PTAが見かねて大型扇風機を寄附したくらいです。
外国語指導員も半減。幼稚園の補助金も削減。
つまり、金のある市町村の子どもはいい「環境」を与えられるが金のない市は本もクーラーも補助員もいない劣悪な「環境」におかれるということです。低所得だから高所得だからではなくどこの市町村に住んでいるかで大きく環境は変わります。
予算書をみて教育費を削減していない市町村に住まわれることをお勧めします。
ご回答有難う御座います!
>予算書をみて教育費を削減していない市町村に住まわれることをお勧めします。
ためになる情報を有難う御座います。これからは市の予算書をチェックしていこうと思います。教育費の他にも、どんな分野にどれくらいつぎ込んでいるのか調べてみると面白そうですね。
No.3
- 回答日時:
簡単に言えばこれまで「国50%、地方50%でやっていた義務教育費の負担のうち、国負担分を地方に移しましょう」というのが三位一体改革の趣旨です。
これには様々な思惑があり、必ずしもどこがいい、悪い、というのは簡単には言えない部分があります。
文部科学省については、
「義務教育は国民として必要な資質を培うものであり、全国どこでも一定の内容・水準の教育を無償で受けられるように保障することが必要だ。そのためには、どの地域でも優れた教職員が確実に配置されることが必要であり、地域間の財政格差に左右されることなく、教職員の給与費が安定して確保されることが必要だ」
というふうに謳ってます。実際、過去、100%地方負担だった時代があったのですが、このような状況に陥ったことから50%負担にしたという経緯もあり、文部科学省の言っていることは表面上は理にかなってます。しかし、一方で、国の権限温存、組織温存という本音が見え隠れていることも否定できません。
知事会も、決して褒められたものではありません。
「税源を地方に移せば、地方が教育費を自由に使えるようになり、弾力的な学級編成や教職員配置が可能になる。外部の人材を活用することもできるようになる」というのが表面上の主張ですが、前の方が書かれているように、一般財源化して、教育ではなく、別の所に自由にお金を使いたいという本音が一つ、また、現在のように少子化社会では今後教育にかかる費用は減るので、今のうちに一般財源化して地方に移譲すれば、自由にお金が使えるといった本音もあると思います。
この問題についていえることは三位一体改革の担当部局も含めて、「教育の事をどこも本当に考えていると言えるのか?」ということです。結局は言い方は悪いですが、カネと権力の奪い合いに終始している、ということではないでしょうか。地方に権限を持たせたら持たせたで何かがあれば、国の責任を問う声があります。この問題についても、「地方に金と権限を与えるということは、地方の責任をもって、憲法で定められた権利である教育を実施する。不履行は一切許されない」という基本的認識が欠落しています。小学校や中学校は義務教育ですから、自由といっても裁量には一定の限界があるべきで、そういった議論が全くないまま、お金の話だけ議論される、ということは不幸なことのように思います。
ご説明有難う御座います!
>今のうちに一般財源化して地方に移譲すれば、自由にお金が使える
なるほど、そういうことですか。自由に使うなら使うで、有意義に使っていただきたいですね。
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