
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
本能というのは定義がまだしっかり明確でないものです。
大雑把にいえば、生物が生まれつき獲得している行動様式、その種のほとんどが見せる、学習による模倣を必要としない行動ですが、ヒトの育児関連の行動が本能によって道筋を決められているかどうか、というと大変に疑わしいです。しかし現生人類は他の動物に比べれば一夫一妻へと移行してきた種であるといえます。そのことについて、以下に述べさせて頂きます。
有性動物のほとんどには、雌雄で性質や見た目、行動などが違うところがあります。この雌雄で違うことを性的二型といいます。シカのオスには角、ライオンのオスにはたてがみがあって、繁殖期にはメスを巡って闘争する、キジやクジャク、ライチョウなどオスのほうが派手である、といった違いです。
こうした性的二型は人間にも認められます。わかりやすいのは、男女の体格の違いでしょう。この体格の違いは、ヒトのオスもメスを巡って闘争する生き物であったため、オスの中で体格が大きく腕力に優れていたことが有利となり、この性質が受け継がれたのです。
こうした性的二型を種ごとに比較すると、その動物の「繁殖システム」が浮かび上がります。すなわち、一夫一妻制か、一夫多妻制か、それとも乱婚制か。これはヒトであっても例外ではありません。
冒頭でヒトは一夫一妻制に近い生き物である、と述べましたが、正確に表現すると、現在科学者の意見は「ヒトは、やや乱婚の一夫一妻の生き物である」でまとまっているように思います。
ここで表されているのは、「一夫一妻の社会がどれだけたくさんあるか」ではありません。「社会の中で、それぞれの婚姻システムを取る個人の割合はどの程度か」で判断されています。
実を言うと、社会全体では一夫一妻のみよりも一夫多妻制を認めている社会のほうがずっと多いのです。しかしそのような社会であっても、一夫多妻を実行できる男女はわずかであるということです。
なぜヒトは一夫一妻に向けて進化してきたか?というと、子供の存在が理由です。
ヒトは進化する過程で父親が育児参加するようになった生き物です。育児、と書いていますが、これは現代の父親で言うと子供を養うということです。オムツを替えるとかそういうことだけではありません。
育児に父親が参加するためには、少なくとも基本は一夫一妻制である必要があります。一夫多妻制も乱婚制では父親は特定の子を育児するということをしません。自分の子供でない子供に投資するリスクを避けるか、あるいは育児に投資するほどのエネルギーがないかです。
なぜヒトの父親が育児参加するか?というと、母親だけでは子供を育てるのがおぼつかないからです。
なぜ母親だけでは育てられないか?というと、子供が未熟なまま生まれてきて、手厚い保護を必要とするからです。
なぜ子供が未熟なまま生まれてくるか?というと、ヒトの頭部が他の生き物よりも大きくて、出産に非常に負担がかかるため、未熟な段階で生まざるを得ないからです。歩けるようになってから出産していたのでは母子ともに死ぬでしょう。
これは進化を逆に、結果から辿った説明です。こうした方向に進化してきた結果、父親の育児参加や一夫一妻に近い婚姻システムになってきたのではないかと考えられます。
たとえばA.4さんが「メスが嫉妬する」ということを述べていらっしゃいますね。本当に一夫多妻制の生き物ならば、「嫉妬」するのはオスだけです。たとえばヒトに極めて近いチンパンジーは乱婚制です。チンパンジーのオスが他のメスと交尾しているのを目の当たりにしてもメスが「嫉妬する」ような行動が観察されたことはありません。そんなことをしてもメリットがないからです。
ヒトの男女両方が配偶者の「浮気に嫉妬する」という情動・行動を獲得していることは、ヒトがそれなりに一夫多妻制である証でもあります。
なぜ一夫多妻制のまま、ヒトは進化しなかったのか?というと、当時の環境があるのだと思います。
猿人の中には、チンパンジーよりも性的二型が一夫多妻制に偏っていたと思われる種がいくつかあります。雌雄の体格差が非常に大きいのです。しかしこうした種はすべて滅びました。
他にも理由はあるのでしょうが、森林よりも資源が乏しい地域へと進出する必要があったことが一つにあるのではないでしょうか。
こうした資源のより少ない場所では大群を維持できません。特に猿人のような、他の植物食性動物が食べられる植物では栄養を補給できない種では。
大群より小さな単位、おそらく家族単位程度に別れる必要があったのかもしれません。こうした大群でないと維持できない一夫多妻制や乱婚制のままでは当時を生き延びるのに不適当だったのも、現生人類以外のヒトは存在しない一因かもしれません。
ただ、その現生人類も農耕を覚えて定住し、富の蓄積ということが始まると、上位のオスでは一夫多妻制が見られるようになります。富の蓄積を手にしているということは他者から搾取できるということです。自分が行うべき父親業を、他人の労働でまかなうことで一夫多妻制を可能にしたともいえるでしょう。
しかし富の蓄積がほとんど見受けられない狩猟採集民族のような社会であっても、上位の男性が一人以上の妻を娶ることが認められている社会は多くあります。
ヒトはその社会構造によって、婚姻システムが変化することにも耐えられる生き物ということになります。このあたりも婚姻システムのあり方自体が本能に根ざしているかというのが疑わしい点ですね。
よくわかりました。人は社会環境によってとりあえず本能をおいておいて、婚姻形態を変化させることができるというのは真理だと思います。
オスが子育てに参加する必要があったのかという天が少し疑問です。現生人類には祖母がいて、手が空いていたのではないかとも考えられるみたいです。
No.7
- 回答日時:
訂正がありますので、再度書き込みさせていただきます。
A.6です。下の回答の中で
「ヒトの男女両方が配偶者の「浮気に嫉妬する」という情動・行動を獲得していることは、ヒトがそれなりに一夫多妻制である証でもあります。」
このうち、「一夫一妻制」と書くべきところを「一夫多妻制」と書いてしまいました。
「ヒトの基本的に感情として、配偶者の浮気に対する嫉妬が備わっていることは、ヒトがそれなりに一夫一妻制の生き物の証です」
と読みかえて頂ければさいわいです。
また追加すると、猿人時代の配偶システムがどのようであったか、というのは明確にはわかっていません。ただ、性的二型が著しい種では、少なくとも一夫一妻制ではなかったことは確かだというだけです。
そのうち、ヒトは徐々に一夫一妻制が基本の生き物へ移行してきたのでしょう。性的二型による体格差が徐々に縮まってくるからです。
わかりました。ありがとうございます。
社会システムの変化によってこの情動が作られたのか、もとからあるのかなかなか難しいかもしれない気がしました。
No.5
- 回答日時:
bossambaさん、こんにちは。
一夫一婦制は、本能に忠実でない、と思います。
しかし人間は高度に社会的な生物ですので、時代(政治形態)、人口、経済状況などにあわせて、婚姻形態を変化させてきました。
たとえば古代日本では、一婦多夫に近い女系社会だった可能性も指摘されていますし、近代まであった「妾」などは一夫多妻に近いと思われます。
一夫一婦制は、社会的にそうしている(そうしないと問題がある)と理解できます。
そうですよね。私もそう思います。社会の要求心理的規制などによって、本能を超えたところで婚姻形態をも可変であるというのは人間の可能性なのでしょうかね。
No.4
- 回答日時:
こんにちは。
生活環境に応じて可変なのではないでしょうか。
例えば猫科動物は普通、交尾後、すぐにオスとは別れて、メス単独で子育てしますが、ライオンはメスの数が多い群れをつくり、育児を協力してやります。
共同保育ですね。
人間の場合、メスに嫉妬という精神?が発達したので、オスの奪い合いになり、一夫一婦制に見える状態が多いのではないでしょうか。
いわゆる「文明社会ではない」(この言い方はキライなのですが)民族の中には各種の形式があるようです。
民族によって多様な形態があるということは、一夫一婦それほど本能的なものとは思えないです。猫科では嫉妬がないのでそんな形態も可能なわけですね。精神性によっても形態が可変なのでしょうか。
No.2
- 回答日時:
チンパンジーの1種、ボノボの行動などから想像すると、多夫多妻だったのかも、とか考えてしまいます。
子育ては、集団の一員の子供は集団全員の子供、なんて感じで。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%8E% …
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