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よく、内陸は日中の気温差が大きいといいますが、その理由は何ですか?
砂漠なんかも、昼と夜の気温差がすごいっていいますよね、これは違うかな?

A 回答 (2件)

 


  これは、根本的には、「比熱」の問題です。水は、岩石や土壌などを構成する物質に較べると、非常に比熱が高いのです。比熱が大きいということは、一定の質量に含まれる、一度当たりの温度での熱エネルギーが大きいということです。
 
  海は、非常に広範囲に渡り、平均、摂氏4度になっています。表面の水は、熱帯地方とか亜熱帯などでは高くなり、寒帯地方では冷たくなりますが、千メートル以上の深海になると、温度はほぼ一定で、摂氏4度です。
 
  海の水つまり海水が熱せられると、深海の水とのあいだの対流と、空間的に他の地域の水とのあいだに、「対流」が生じ、前者は、なかなか観測できませんが、後者は「海流」として観測されます。
 
  同じ温度であると、1キログラムの水と、同じ重量の岩石や土壌の含むエネルギーは、圧倒的に水の方が大きいのです。太陽の熱が、海水や陸地に輻射エネルギーとして供給され、これによって、海水や岩石の温度が上昇する時、海水はなかなか温度が上昇しません。しかし、岩石や土壌など、陸地の表面は、簡単に温度が上昇します。これは、陸地を造っている物質の比熱が小さいからで、僅かな熱エネルギーでも、岩石などは、温度が高くなるのです。
 
  昼間に太陽から供給された熱エネルギーは、海水などだと、多少は対流で熱エネルギーの移動が起こりますが、ほぼ、夜まで持ち越されています。夜になると、太陽からの熱輻射はなくなります。そうすると、大気の温度は急速に冷えて行きます。熱の移動は、赤外線輻射という形でも移動しますが、基本的に、大部分は、「接触による熱伝達」という形で移動します。大気の温度が低くなると、陸地では、大気に熱を与えるのですが、僅かな熱を大気に与えると、もうそれで、陸地の温度は低くなってしまいます。
 
  これに対し、海洋の海水では、夜になって大気が冷えても、接触伝達で、熱を大気に与えても、海水の容量は膨大であるのと、比熱が大きいので、少々の熱を大気に与えても、海水の温度はほとんど変化しません(海水面に近い表層の海水温度はかなり変化しますが)。
 
  陸地を構成する物質は比熱が小さいので、すぐ温度があがり、海水の温度上昇は、こんなに簡単には温度上昇が起こらないので、陸地の大気は、温度が上がった陸地によって熱せられ、あまり温度変化のない、海洋の上の大気の方が、相対的に、陸地の大気温度より低くなり、海から陸への「空気の対流移動」が起こり、これが「風」で、海から陸へ吹くので、「海風」と言います。昼間は海風が吹くのです。
 
  それに対し夜間になると、陸地の温度は急速に下がり、それと共に、陸地の大気の温度も下がります。しかし、海水の温度は、夜になったからと言って、そんなに急速に下がることはないので、海面上の大気も、そんなに温度が下がらず、相対的に、陸地の大気よりも暖かいので、陸地の大気が、海の大気に向け、「空気の対流移動」を起こし「風」となり、これが、夜、陸から海へ向かって吹く「陸風」です。
 
  もし海水の比熱が、岩石や土壌と同じぐらいの値だと、陸地と海洋で、昼間と夜間の温度差は、同じぐらいになると云えますが、実際は、水・海水の比熱が、圧倒的に大きいので、相対的に、陸地は、昼間すぐ温度が上がり、夜は温度が下がって低温になる度合いが大きいのです。海でも、昼間の方が温度が高く、夜間は温度が下がりますが、陸地の大気の方がもっと極端に、温度が変動するので、特に、海からの風が吹き込まない「内陸部」では、海の大気からの熱エネルギーの供給もないので、昼間は、温度が高く、夜間になると非常に温度が下がり、日中と夜間の気温差(大気の温度差)が、大きくなるのです。
 
  砂漠は特に、表面にほとんど「水」がないので、日中と夜間の温度差が、極端になります。砂漠でも、地下に地下水脈があって、水がある場合、この効果は弱められ、例えば、オアシスなどは、地下にも水がありますし、湧き出している水の溜まり=泉もありますし、水分を蓄えた植物も生えているので、何もない砂漠よりも、ずっと、夜間と昼間の温度差が小さいです。オアシスでは、昼間でも、極端に高温にならず、夜間でも、極端に低温にはなりません。
 
  オアシスがが生活し易いのは、水があるだけでなく、その水のおかげで、露呈した砂漠に較べ、温度の問題でも、人間が何とか生きられる温度変化幅だからです。
 
  また、先の方も述べていますが、「海流」によって、海洋近くの陸地の温度が変化して来ます。地図で見ると、西欧諸国は、日本の北海道か、それ以上の高緯度にありますが、北海道ほど寒くなく、温帯に入るのは、アフリカ大陸西岸沖あたりから北上して来る暖流によって、陸地に熱エネルギーが補給されるからです。
 
  また、地中海沿岸は、気候が一年中温暖であることが知られ、これを「地中海性気候」と言いますが、これは、地中海が大きな熱の保存タンクのような役割を果たしていて、夏に、余分な熱は海水が吸収し、冬に北部沿岸の陸地が寒くなると、熱を供給して、一年中、同じように、暑すぎず、寒すぎもしない大気温度を維持するからです。
 
  日本近海では、フィリピン当たりから昇って来る「黒潮(日本海流)」が暖流で、他方、日本海では、北方から南下して来る寒流の「リマン海流」の影響が強く、(暖流の「対馬海流」が、日本列島寄りでは、より影響が強く、大陸側では、リマン海流の影響が強くなります)、同じ緯度にあって、太平洋側と日本海側では、温度に差が出てきます(太平洋側の方が、黒潮の影響で暖かいのです)。北朝鮮と中国の国境付近は、緯度だと、日本の東北に当たりますが、ここは、内陸性気候で、かつ、寒流のリマン海流の影響を受けるので、冬には、零下30度とか、信じがたい低温になります(東北も零下にはなりますが、こんな極端な低温にはなりません)。
  

参考URL:http://www1.sphere.ne.jp/access-t/beach/info/map …
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この回答へのお礼

なるほど、比熱の違いが結局の原因だったんですね。
水のある砂漠とない砂漠の違いはなるほどなって思いました。また、地中海が熱の保存タンクっていうのはうまい表現ですね。
例を上げて頂きこれまた、とても勉強になりました。話がとても分かりやすく理解できました。ありがとうございました。

お礼日時:2002/04/02 06:56

陸(土)と海など(水)を比較すると保温性という面で(水)が優れています。



簡単に言いますと、陸は熱しやすく冷めやすいので昼間太陽がでると陸に熱せられた空気が暑くなり、夜陸が冷えると空気の温度も下がってしまうと言うことです。

昔の全館暖房では、「お湯」を全館に回して暖房に使っていたこともありますし、ヨーロッパが緯度の割に暖かいのは、大西洋を北上する暖流(赤道からの暖かい海水の流れ)のおかげです。
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この回答へのお礼

保温性という面が重要なんですね。
具体的な例もあげていただき、とても分かりやすかったですありがとうございました。

お礼日時:2002/04/02 02:29

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