No.3ベストアンサー
- 回答日時:
SETI計画は、参考URLにもありますように、地球から電波信号を出して、それを地球外知的生命がキャッチするという計画ではなく、地球外知的生命(ETI)が信号電波を出している場合、それを検出しようという計画です。
実は、太陽は代表的な「電波天体」で、それ自身電波を出しています。地球からだと、その電波強度はかなり強いものです。
太陽電波は主に三種類あり、一つは、電離プラズマが放射する電波で、コロナから彩層までの温度変化に従って色々な電波が出ています。もう一つは、黒点活動に付随する電波で、第三は、フレアにより電波バーストと呼ばれるものです。
他の恒星も太陽ですから、温度が違っても、似たような事情があると思えます。惑星から電波を宇宙に向け放射すると、太陽電波のなかに電波が紛れ込んでしまうという可能性があるのです。
太陽電波の強度が少し分かりませんので定量的な話にならないのですが、少なくとも、「オズマ計画」で、タウ・セティ(鯨座τ星)に電波望遠鏡を向けたということは、タウ・セティの太陽電波よりも強い信号電波を期待したか、または、信号だけを分離できるという自信があったのだと思います。
タウ・セティは、10光年ほど離れたごく近くの星で、赤みがかった星ですが、それでもかなり明るい星です(太陽やアルファ・ケンタウリよりは暗いです)。どの程度の強度の信号電波を想定していたのか分かりませんが、信号が「分離できる」という前提はあったはずです。
地球では、いまから1世紀ほど前に、人工の電波を人間が放射し、利用し始めました。強度的に、地球上での電波交信に必要な強度のはずで、宇宙空間に出て、どれぐらいの有効性があるのか分かりませんし、先に述べた太陽電波との混合が起こります(太陽電波だけでなく、その他の電波も混じります)。
つまり、遠くから太陽系を観察しているETIがいたとして、太陽電波と人間の人工電波を識別できるのかという問題です。「定量的な」話ができなくて申し訳ないのですが、強度的には、分離可能だと思います(ただし、現在のように夥しい電波が飛び交っている常態では、全体としてノイズになると思います)。
問題は、電波は電磁波ですから、距離の二乗に反比例して減衰して行きます。どの程度の精度の電波望遠鏡で、どの程度の信号強度ならキャッチできるのかが問題です。オズマ計画の場合、タウ・セティ(そして、もう少し暗い星であるエプシロン・エリダニ)からの信号電波が、存在すれば検出レヴェルにあると考えたはずです。
何も信号が得られなかったというのは、信号がそもそもなかったのか、または、あったが強度的に減衰して、背景雑音に沈んだのか、どうも、後者であるという話はないように思います。もし後者なら、背景電波からのフィルタリングや、電波望遠鏡の検出能力を向上させるということで、計画は継続できたはずだからです。
タウ・セティに文明人がいたとして、電波を利用していたとすれば、その電波を検出しようとしたのか、または宇宙交信用にタウ・セティ人が、特別な超強度電波放射装置で、信号を宇宙に送っていると仮定して、これを検出しようとしたのか、どちらなのかというと、後者のはずです。
しかし、次のようなことを考えて見ることもできます。人類は、外惑星圏まで人工天体を飛ばし、そこから信号を受けて、例えば土星の輪の写真などを、電波信号で受信しました。探査宇宙船の出力電波は、かなり低出力であったはずです。これを検出できたのは、地上の受信装置の精度・感度が高かった為でしょう。
外惑星圏だと、大体10天文単位(AU)の距離です。この距離からの微弱な電波を地球上で感知できたということです。
ところで、星間世界での単位として光年という単位があります。1光年は、大体6.3万AUです。タウ・セティは10光年彼方ですから、63万AUということになります。外惑星圏探査船の信号は10AUの距離から地上で検出できた訳で、タウ・セティまでは、その6.3万倍の距離です。
電波強度は、距離の二乗に反比例するということからは、宇宙探査船の出した信号は、この距離だと、40億分の1になります。これは、地球から、外惑星系探査船の出した信号強度の40億倍の強度の電波を出すと、それは、タウ・セティにもし人類がいると、この信号を検出できるということです。
あるいは強度40万倍で、検出精度1万倍にすれば検出可能です。背景銀河電波とか、太陽電波に沈まない場合です。
京都大学超高層電波研究センターが運営するMUレーダーは、志向性があるとはいえ、出力1MWとされます。1MWというのは、もの凄い出力だと思いますが、これを参照して推測すると、現在、人類が使っている、発生させている人工電波は、少なくとも、全体で1GW以上はあるということが出てきます(100GW、1000GWかも知れません)。
1GWは10億ワットのことで、先の外惑星探査船が、どれぐらいの出力で地球に信号を送って来たのか分かりませんが、仮に1ワットとすると、地球の電波は、1/4ほどの強度になりますが、タウ・セティで観測できることになります。
宇宙船は多分、太陽電池発電のはずで、千ワットというような出力ではなかったと思います。仮に100ワットなら、400倍の感度の電波望遠鏡で、地球の電波が検知でき、仮に千ワットなら、4000倍の感度の電波望遠鏡で、感知できることになります。
地球からの電波が微弱すぎて、背景銀河電波や太陽電波に沈むことも考えられますが、400倍から4000倍程度の感度なら、もし信号分離のフィルタリング技術がうまく行けば、現在の技術でも可能なように思えます。また、人間が出している電波の総エネルギーは、1GWよりもっと大きい可能性があります(正確に知りません)。
ここまで、推測に推測を重ねているのですが、タウ・セティに、十年後、現在の地球と同じ水準の文明があれば、タウ・セティから太陽を観測すると、人工としか思えない変なノイズ的かつ信号的な電波が出ていることが観測できる可能性が高いということです。
ただ、以上の推測で、外惑星探査船からの電波の「志向性」について考えていないという点があります。電波は光と違って拡散しますが、それでも或る程度の志向性は持たせることができます。探査船からの電波は、地球にターゲットを向けていたので、小さな出力でも、地球に届いたとも考えられます。
それに対し、地球で人類が発生させている電波は、等方的に放射され、しかも、電離帯でかなりの部分が吸収されるはずで、地球上空にあいた「電波の窓」を通過できる信号電波しか、外に漏れないということもあります。
(「電波の窓」というのは、大気によるノイズのため、1G-10Gヘルツのマイクロ波信号が、外からも、内からも、地球から出入りし易いということです。先のMUレーダーは、46.5Mヘルツで、これでは、地球の外に信号として出て行きません。普通のAMラジオの電波、短波、TVやFM放送の電波は、この窓から出られないので、外にあまり漏れないというか、有効な信号になりません。しかし、信号として大気ノイズにまぎれると言うことで、「エネルギーとしては」、窓以外からも外に出ていると思います)。
こういう見積もりや計算は、誰かがすでに行っているはずなのですが、本当に浅学無知で、ここで、以上のような乱暴な見積もりを試みたのです。
50光年彼方だと、タウ・セティの5倍の距離ですから、感度または電波強度で、25倍をカバーできれば、タウ・セティで受信できるなら、50光年彼方でも受信可能となります。もとより、以上の話は、まったく「定量的」で「ない」のであり、もっと資料を集めて、電波望遠鏡の性能なども調べた上で、考察せねばならないことです。
ここでは、推定に推定を重ねて、何かの見通しの断片でも垣間見てみようと試みたということです。
>SETI計画
>http://spaceboy.nasda.go.jp/note/Seimei/J/Sei101 …
参考URL:http://spaceboy.nasda.go.jp/note/Seimei/J/Sei101 …
No.2
- 回答日時:
端的に言いますと、「電波」また一般に電磁波を使ったSETI計画では、地球から発信した電波等は、当然ながら光速でしか、伝わりません。従って、何時から電波を送り始めたかで、その電波の到達距離が決まることになります。(50年前なら、50光年先までです)。
ただ、これは、地球での計画がそうであるように、母星(地球なら「地球」)に観測機器を置いて観測していた場合の話です。
人類が、太陽系外に出て前哨基地を持つという話はSFでは非常に一般ですが、現実には、目下の状況ではかなり難しいようです。
しかし、前哨基地という大げさなものでなくとも、例えば、高性能の電波探知機を全天に向けて周期的に走査するような装置を積んだ人工天体を、太陽系外に送り出し、信号があった場合、地球に向け報告すると同時に、信号発信先の解析を行い、また必要に応じて対応するコンピュータ装置で、計画を進めることはできる訳です。
また、情報伝達速度が「光速」が限界であるというのも、物理学の進展においては、越えられる可能性があります。その場合、上のような天体を色々な方向に送り出し、地球では、それらの観測天体からの情報を待っていればよいということにもなります。
無論、こういう計画は、何百年というような時間の単位を考えないといけません。それぐらいの時代の経過では、種々のテクノロジーがどこまで進歩しているのか、現在では予想できません。
ただ、疑問が出てくるのは、地球がそれほど高度なテクノロジーを将来持てるとすれば、また、現在でも相当高度な技術を持っているのですが、地球でも行えるSETIをなぜ、他の天体に知的生物がいるなら、実行しないのだろうかという疑問があります。
無論、他天体の知的生命からのメッセージを受信することがSETIの目標でもあるのです。しかし、それなら、例えば、太陽または恒星の核融合反応を制御して、星の明るさによるモールス信号か、素数列信号のようなものを発信すると、少なくとも現在の地球の天文学の技術だと、太陽程度の星がそういう恒星信号送信機になっていますと、千光年離れていても観測できます。1万光年は難しいですが、異常変光している恒星は発見し易いのです。
ところが、そういう兆候が一切ありません。別の色々な方法で、宇宙で知的生命の存在をアピールする方法があるはずですが、そういう信号も見つかっていません。これは、現在の地球のテクノロジーでできる以上は無理なのか、または、宇宙には、地球にしか、知的生命はいないのではないかという想定を生み出します。
宇宙には、色々な信号やノイズが溢れていますが、長年観測していますが、知的生命の信号らしいものは未だに見つかっていません。なぜなのか、今後、時間が経過すれば分かって来るかも知れません(すでに非地球宇宙知的生物が、地球を観測・観察しているのかも知れません)。
それは、非地球宇宙人も、先に述べたような前哨探知天体を宇宙の色々な場所に展開しているとすると、地球からの電波をすでに受信しているかも知れないということがあるのです。
この回答への補足
回答ありがとうございます
現在の地球と同程度の観測能力しかない惑星の場合でも、50光年先の地球からの信号に気付く可能性はあるのでしょうか?
もし駄目だとしたら、何光年先くらいまでなら可能性がありますか?
No.1
- 回答日時:
SETI計画は地球外知的生命体の存在を示す電波信号を発見しようという試みですよね。
地球からも地球外知的生命体へ向かって我々の存在を示す電波信号を送っています。もし、100年前から電波信号を送っていた場合(この分野の詳しい歴史は知りません)、地球を中心にたかだか半径100光年の距離にいる地球外知的生命体にしか、我々が発した電波信号を受け取ることが出来ません。
我々の銀河系の直径が約10万光年ですので、銀河系の500分の1ぐらいの範囲の地球外知的生命体にしか我々に気が付く可能性はないみたいです。
この回答への補足
回答ありがとうございます
返事が削除されてしまったようですので、もう一度書きます(何が問題で削除されたのか分からないので、また削除されてしまうかもしれませんが)
お話はなんとか分かるのですが、相手が無限大の観測能力を持たず、地球と同程度の観測能力しかない場合はどうなるのでしょうか?
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