● 登場人物の紹介
所有者 A(Eの父)
所有者Aの債権者 B社(債務名義となる判決文有り。但し、貸付金返還請求申立をした日も、判決を得た日も、配当期日の数ヶ月後)
抵当権者 C社
C社の旧代表者 D(Eの配下)
C社の元株主 E(Aの長男)
会社の所有権及び代表権を主張する者 F(Eから譲受(Eの債権者))
会社の所有権及び代表権を主張する者 G(Eからの譲受を主張(Eの配下))
C社抵当権の債務者 H(Eの配下)
● 具体的な内容
不動産競売により、C社は、第2順位抵当権者として、2000万円の配当を受けることになりました。(ちなみに債権額は5000万)
ところが、C社の所有権(株主権)を巡って、FとGの間で争いがあり、現在、裁判所からC社への配当が保留の状態になっています。
ところが、よく調べてみると、そのC社の抵当権登記自体が、不実の登記の疑いが強いのです。
この抵当権は代表者D氏の時代に設定されましたが、Dはそのことは全く不知で、株主のEが、第1順位抵当権者以外の他の債権者が入ってこれないように(確実に競売の残金が入ってくるように)勝手に登記したものと思われます。なお、C社から債務者Hに5000万円もの貸付をした事実があったとは考えられません。(ちなみに、FとGは、そのことを知らないと思われます。)
もし、このAの債権者であるB社はAに代位して抵当権無効の裁判を起こして、勝訴判決を得た場合、B社はその配当を受け取れるのでしょうか?
また、そのような訴訟自体、起こせるのでしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
名案はないかとのお尋ねですが、思い至りませんでした。
申し訳ございません。なお、「C社の公正証書原本不実記載行為を裁判上立証しても、C社は『やった者勝ち』となるのか」とのご疑問について触れさせていただきます。
No.1の拙答で申し上げたのは、本件においては、配当金がC社に交付されるまでは、本件物件について配当を受ける権利を有する(配当表上配当があったか否かは無関係です。)債権者、債務者であるHまたは本件物件の所有者であるAのいずれかが配当異議の申出(民事執行法89条1項)ないしは配当異議の訴えの提起(同法90条1項)をしないかぎり、「C社の公正証書原本不実記載行為を裁判上立証」し得る者がいないということです(ご質問末尾のご記載に即して申し上げれば、「そのような訴えをそもそも提起できないと思われる。」ということになります。)。
B社としては、これらの者に依頼して、配当異議の申出ないしは配当異議の訴えの提起をしてもらうことも考えられますが、そうしたところで、おそらく、B社以外の債権者に配当がなされるだけであり、実益はないと思われます。
お役に立てませんでしたことを、重ねておわび申し上げます。
何度もお世話になります。
重ね重ね、懇切丁寧なご説明方々、痛み入ります。
なんか別の方向で検討してみますので、またその節は、ご指導をお願いいたします。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
>C社の抵当権は、おそらく公正証書原本不実記載に該当すると思われるのですが、その判決が出たとしても、C社は配当を受けられるのでしたら「やったもの勝ち」で、それに早く気がつかなかったBに手落ちがあったということになるのでしょうね。
配当期日に異議があり一週間以内(民事執行法90条6項)に配当異議の訴えがあったなら、その本訴が確定するまで配当はされませんので誰の手にも渡りません。
何度も申し訳ないです。
ちなみに、貴殿ご指摘の配当異議の訴えは提起していません。
おそらく、どこからも出ていないと思います。
とりあえず、私の考えている方向では目が無さそうなので、また別の方法を考えてみますので、そのときまたご指導をお願いします。
ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
要するに、Bが今回の競売で配当を受けられるかどうかと云う質問でいいでしようか。
そうだとすれば、お答えはNOです。何故なら、Bは配当要求債権者となれない(配当終期後です)からです。配当要求債権者となれないと云うことは同時に配当異議の申立人となれません。(なれれば、最終的に本訴で勝訴すれば受けられる可能性がありますが)、しかし「現在、裁判所からC社への配当が保留の状態になっています。」と云うことは配当期日において誰からか配当異議があったと思われ本訴が継続されていると推測されますが裁判所が配当金を保留(供託していると思われます。)している額はCに対する配当額だけで他の者(配当異議のなかった部分)には配当されていると思われます。(実務ではそのような扱いです。)従って、Cとの争いはB以外の者と思われ結局この競売ではBは配当を受けられない結果となります。以上は民事執行法内の手続きであって、Bが本件競売の配当金の全額を通常の仮処分によって止めることは考えられますが、そのようではなさそうなので私の結論としました。
ご説明方々、ありがとうございます。
なお、配当異議の内情は、おかしな話ですが、C社の代表権(伴わせて会社の所有権をも)を主張する他の一方の者から出ているもので、全く別の第三者から配当異議が出ているのでは無いのです。
それから、C社の抵当権は、おそらく公正証書原本不実記載に該当すると思われるのですが、その判決が出たとしても、C社は配当を受けられるのでしたら「やったもの勝ち」で、それに早く気がつかなかったBに手落ちがあったということになるのでしょうね。
また、名案がございましたら、ご指導下さい。
No.1
- 回答日時:
結論的には、Aが無資力なのであれば、B社は、C社に配当金が交付されるのを待って、AのC社に対する不当利得返還請求権を代位行使するしかないと思われます。
まず、本件物件の売却代金については、すでに配当表が作成されていますから、配当要求の終期はすでに経過しているはずです。
そうすると、B社は、配当を受けることはできませんし(民事執行法87条1項各号)、配当表に債権者として記載されていない以上、配当異議の訴えを提起することもできません(最高裁平成6年7月14日判決)。
ところで、債務者は、自己に対する本来の債権額を超えて配当を受けた債権者に対して、不当利得の返還を請求できます(本来は他の債権者への配当に充てられるべきであった場合でも、同じです。大審院大正4年6月12日判決)。
そうすると、仮にC社のHに対する貸付が架空のものであれば、B社は、C社に配当金が交付された後、AのC社に対する不当利得返還請求権を代位行使(民法423条1項本文)すればよいわけです。
もっとも、B社としては、C社の配当金隠匿などの危険性にかんがみ、C社への配当金交付を待たずに、Aに代位して、国に対する剰余金交付請求の訴えを提起したいところではないかと思われます。
しかし、これは、実質的には配当要求ないしは配当異議の訴えに等しいところ、前記のとおり、B社は配当要求も配当異議の訴えの提起もできないのですから、上記の剰余金交付請求の訴えは不適法という判断がなされる公算が大きいと思われます(判例は存在しないと思われます。)。
ご期待に添うような回答とならず申し訳ありません。
懇切丁寧なご説明ありがとうございます。
申し訳ないですが、やはり、少し「がっかり」してしまいますよね。
結局、B社の対応の遅れが敗因に繋がってしまったのかな?と思っています。
負け惜しみに近いですが、C社の抵当権は原本不実記載にほぼ間違いないのですが、そのことを裁判上で証明しても、結論的には「やったもの勝ち」なのでしょうね。
もし、名案がございましたら、また教えてください。
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