単二電池

 もちろん世界は西洋と東洋にくっきり二分というわけではありませんが。
 概ね西洋のSFには「物に巨大な超自然的パワーが宿っていて人の社会を左右する」ことがありませんか?有名映画で言えば「ロードオブザリングス」の指輪や「ハムナプトラ2」の腕輪のように、「伝説の名剣」なるものが存在していて、むっちゃだめだめ人間でも手にした瞬間、自分は何も変わってないのに超パワーアップ!剣を手にした者が世界を制する…みたいな。
 今まで映画を観てきて何も違和感なく受け入れていましたが、「グリーン・デスティニー」を見てはっとしました。これがSFでないということもあるのかもしれませんが、この映画に出てくる剣は無双の名剣ではあるものの、不可思議なパワーを発揮する物ではありません。人が自分の意志で強くならない限り、力を得ることはできません。
 これも西洋と東洋の違いの一つ、と思ったのですが、違う!と思われますか?そういえばそうかも、と思われますか?

A 回答 (4件)

初めまして。

哲学関係の学科に通っておりますahkaと申します。

大変鋭いご指摘です!前の回答者の方々もおっしゃる通り、キリスト教文化圏と、多神教文化圏の違いがはっきり出ているところです。ちょっと皆さんの視点から外れるかもしれませんが、興味深いので書かせてください。

かいつまんで申し上げますと、一神教の発想点は、人間が動物を管理する様に、人間も神に管理されているのだ、というところにあるといえます。
つまり、人間は「外」から管理されるものであって、その内面が自らを支配するものではないと考えられます。とても古く、不快な例えですみませんが、ハロウィンの日に日本人留学生がアメリカで撃たれてしまった事件がありました。撃った人は
「何故あんなことをしてしまったのか分からない。神がそうさせたのだ」
といった意味のことを言いました。
これなどは、人間が「外的要因」に支配されているという哲学を根底に持った発言といえます。

これに対し、多神教文化圏では、というより主に仏教文化圏では、全ての原因結果は自らの「内部」にあるとしています。例え外的要因で自らが不利な状況に立たされようと、それに振り回されない強固な自分がいれば対処でき、必ずしも不幸になるとは限らない、というわけです。そして、そのために神といった「外的なもの」に変えてもらう、ということは普通しません。(他力思想はキリスト教に似ていますが、ここで論じるべきことではないでしょう)

言ってみれば「西洋」と「東洋」って、「外側文化」と「内側文化」の違いなのかもしれませんね。とくに日本は内側文化の最右翼と呼べそうです。
「外から支配されている」というキーワードを元に映画を見ますと、ハリウッドの映画などはしっくり来ることが多い様に思います。

映画のお話からずらしちゃってすみません。けれど、映画だけに納まらない重要なご指摘であると思いましたのでわがままさせていただきました。
これで失礼させていただきますね。

この回答への補足

 うぅ・・すっごいすっごい、遅いお礼です・・遅過ぎて無礼なぐらいですが、回答を頂いてからずっと、そういう「アーティファクト」という概念をもって、何冊か、良さそうだと思う本を読みました。知識がぜんぜんなかったのです。面白かった。
 とてもすっと納得できる回答で、かつ新しい考えというか、理解する大きな楔が開かれたという感じでした。
 ご回答ありがとうございました。
 かるーく書いたことだったので、そんな宗教とか、文化の違いとか最初は思わなかったんですけど・・(;^_^A。文化とか、宗教の話なんですよね。←なんのこっちゃ。
 そういうの、深く根ざしたところで違ってくるんですねー・・。
 映画を見るのも好きなので、特にファンタジー系の映画からこういうことを考えましたが、ひとつひとつ、いろんな端々にその違いってでてきて当然ですよね。
 ありがとうございました。m(_ _)m

補足日時:2004/03/06 13:17
    • good
    • 0
この回答へのお礼

 あれ?ごめんなさい(^^;、#2さんへの回答とごっちゃになってしまってアーティファクトという単語を使ってしまいましたが・・。
 そういう、人間を管理する超上位の存在を象徴する、聖杯みたいなもの(これもちょっと違いますけど、後の世では不思議な力を発揮して、清純無垢で宗教心篤く選ばれた人しか見ることもさわることも許されない、というエピソードを読みました)、そういう外的要因が目に見える形になって使わされたもの、そういう感じかな~・・と捉えたんです。
 ・・でも、じつは「外側文化」と「内側文化」という言葉を教えてもらって、一番得したな~(←?)と思ったのは、アラブの話を聞いた時です。
 聖書に載っている話で、あるところに聖人がいました。ある日空の上から女性が川で洗濯をしている姿を見て、女性があまりにきれいだったので性欲を押さえきれなかった、それでわたしの修行は失敗だ!みたいなことをいうんです。
 仏教系なら、「なんてだめな自分なんだ、もっと不動の心を手に入れなければ」とかなりませんか?
 でもイスラム教の聖人だったので、その女が悪い!そこに存在することで、私をたぶらかした!といって、女性が罰を受けたんだそうです(;^_^A。アラビアではそういう考えかたがあるそうです。特に男性はおおむね、肯定するとか。
 聞いた時、ちょっと待って!(怒)と思いました。
 あんたが勝手に覗き見て、勝手に欲情したんやんけ、なんでそこでいるだけで悪い!とか言われなきゃならないの?!って思ってました。そういう男にむかついて殴ったとしても、それは殴るような感情を私に起こさせたその男が悪いってこと?!♪みたいな。
 けれど、外的な要因によって自分はある、っていうのを考えると、とても面白いエピソードだと思いました。
 一神教の社会って、だいたい、厳しい社会のような気もしてました。アラビアに集中しているからでしょうか。インドとかよりも、気候とか地理とか、そもそも環境から受ける影響のほうが、自分でできる努力よりも大きいのかなって・・。それはまた別の話ですね。
 
 長くなりましたが、ご回答ありがとうございました。

お礼日時:2004/03/06 13:34

日本では、物に力?がある場合は「呪われた」ものが多いですよね、名刀でも、持ち主がどうこうとか、家が没落、とか。

マイナスイメージばかり?

涙を流すマリア像も、日本人からすると(というか、無信仰者や、神道、仏教の信者からすると)不気味な気もしますが、キリスト教の方からすると慈悲深くみえたりするのかもしれません。

この回答への補足

 回答ありがとうございます(^^)。
 私が見たものの中では、東西を問わず物が強大な力を持っている場合、それは災いを招いていたような…大抵は人が悪用するからですが、そういう意味で倫理と力の行使が別の人格にあるというのも面白いですね。
 西洋でヤな例、と言われると私は実存するものではホープダイヤを思い出します。持ち主全部を不幸に陥れたといわれる、青い大きなダイヤがありますよね。
 回答ありがとうございました。

 森羅万象に魂がある、みたいなのって日本人はありませんか?弱くても常日頃から草木にも何らかの格があるような気がします。西洋では「通常」はそれがないので、物に格を与えるときにはうんと特別になるのかなあ・・と思ったり。

補足日時:2002/06/08 20:05
    • good
    • 0

まず、お挙げになった作品はみんないわゆるファンタシィで、SFではないようですので、ファンタシィに限って考えますと、東洋の伝奇文学にも宝貝や神器の登場するものは少なくありません


西洋と東洋の違いを敢えて挙げるとすれば、キリスト教文化圏では絶対神という概念が普遍化しているため、絶対神のアーティファクツを手に入れたものは地上を支配する、となりやすいあたりでしょうか
これが、多神教の文化圏だと、ひとつの神のアーティファクツが簡単に他の神のテリトリィを侵すわけにはいきませんので、どうしても相対的なパワーに留まってしまいがちだと思います

なお、ロード・オブ・ザ・リングズの支配の指輪は持ち主を選びます
出自が下級神である冥王(サウロン)やイスタリ(ガンダルフ、サルマン)クラスが持ては地上の支配者になれるかもしれませんが、ゴラムが500年間持っていてもモリア一つ征服できなかったのを見ても分かるように、力の無い者が持っても便利な道具に過ぎないと思います

この回答への補足

 ありがとうございます。「指輪物語」は原作を小さな頃から読んでいたので、大丈夫です、わかってます(^^)。単に、指輪に過ぎないはずの物が、「持ち主を選ぶ」とか意志を持って人に呼びかける例として出しました。

 アーティファクツ…そう、そうですね。東洋にも物に高い格を与えている神器等ありますが、今まで見た映画や小説ではほんの啓示的な超自然さにとどまっていて、たいていそれを持っている主人公達は苦労している・・ような気がします。
 ギリシャ神話や北欧神話なんか見ても、確かに不思議な神の創造物は存在するものの、確かに仰るような「他の神のテリトリー侵犯はしない」ように思います。
 回答ありがとうございました。

補足日時:2002/06/08 19:59
    • good
    • 0

>もちろん世界は西洋と東洋にくっきり二分というわけではありませんが。


>概ね西洋のSFには「物に巨大な超自然的パワーが宿っていて
>人の社会を左右する」ことがありませんか

環太平洋の「精神主義」世界と環大西洋の「物質主義」とは分けることができますね。
たとえば日本人の魔法のイメージとしては,
体の中から湧き出る力を駆使して使うのに対して,
西洋文化の魔法のイメージでは「アヤシイ秘薬」を媒体にして使うってのがありますね。

ほかにも西洋では空を飛ぶものには翼があるのに対して,
東洋では雲に乗ってるイメージが多いですし。

でもそのなかでも結構面白かったのが,人面岨に対する日本の考え方。
たとえば木造建築のカベになんかシミがあって,
それが男の人に見えると「落ち武者」,女の人に見えると「殺された女中」
とかの霊の呪いが入っているといわれるけど,
キリスト教文化圏である欧米では「イエス様だ!」「マリア様だ!」とか言われて,
ありがたがられるってのがありますね。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

あの、ごめんなさい・・・いまもう、2006年なんですけれど、
質問を見かえしていたら
ご回答にだけお礼を書いていませんでした!

すごく面白いご回答をいただいたのにも関わらず、
後足で砂をかけるようなことをして本当にごめんなさい(><)。
全部書いて送信したつもりだったんですけれど・・・いいわけにしかならないですね。

私の非はともかくとして、すごく不愉快な思いをされたと思います。
別にご回答がどうだったからお礼を書かなかったわけではないということを、
せめていつか知っていただけたらいいのですが・・・。

申し訳ありませんでした。

お礼日時:2006/04/09 21:08

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!