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初めての投稿でつたない部分もあるかと思いますが、どうかよろしくお願いします!

SiCはどういった部分でSiよりも、高温動作に適しているのでしょうか?熱伝導率がsiよりも大きいことはわかるのですが、アクセプタやキャリアの高温時での特性や、電流利得、ターンオフ時間などとの関係が文献を読んでもどうしても理解できません。私の力不足なんですが。。

参考となるサイトもしくは回答をできたらお願いします!
 

A 回答 (1件)

>SiCはどういった部分でSiよりも、高温動作に適しているのでしょうか?



資料 [1] から [3] にSiCとSiの比較がまとめられていますが、高温動作に適しているというのは以下の3点を表しています。
(1) 材料自身の融点が高い
(2) 発熱しても放熱されやすい(熱伝導率が高い)
(3) 高温でも性能が低下しにくい
(1) と (2) は疑問の余地はありませんが、(3) については、半導体としての性質(物性)が関わってきます。

例えば、バイポーラトランジスタで信号をスイッチングする(ON/OFFさせる)回路を作ったとします。この回路の性能は
(1) ON時の抵抗が低い
(2) OFF時の抵抗が高い
(3) 耐電圧が高い
(4) スイッチング速度が速い
という項目に集約されると思います。高温でも性能が低下しにくいというのは、これらの性能が高温でも悪くならないということです。例えば、(2)の「OFF時の抵抗が高い」というのは、逆方向のリーク電流が小さいということです。pn接合の電圧-電流特性は、I = Is*[ exp{ e*V/(k*T) } - 1 ] で表されます [4] が、逆方向電流とは、このVをマイナス側に大きくした場合の I で、これは Is になります。Is のs はsaturation の s で、電圧を変えても電流が飽和して変化しないという意味で飽和電流ともいいます。Is = A*exp{ Eg/(k*T) } ですから[5]、温度が高いほど、バンドギャップが小さいほど、リーク電流が大きくなります。SiCはSiよりもバンドギャップが大きい [1] ので高温でもリーク電流が小さいのです(常温でも小さいのですが)。(3)の耐電圧は材料の絶縁破壊電界 Ec の大きい材料ほど有利です。SiCはSiの3~8倍あるので [3] 高電圧のスイッチングに適しています(SiCの耐電圧が高温でも低下しないのかどうかは知りません)。この絶縁破壊電界が高いことを利用すれば、空乏層を薄くできるので(耐電圧=絶縁破壊電界×空乏層厚)、ON時の抵抗を低くすることができ、(1)の性能も良くなります。資料 [6] には同じ耐電圧でのON抵抗をSiと比較したグラフが出ていますが、4H-SiCはSiより2桁も小さいON抵抗が実現できます。なお、SiCはバンドギャップが大きいのでリーク電流は小さいのですが、順方向電圧がSiより大きくなってしまうので、大電流のスイッチング素子としては、バイポーラ素子よりもユニポーラ素子(FET)のほうが適していると思います。

>アクセプタやキャリアの高温時での特性

キャリア濃度の温度依存はSiデバイスと同じモデルで計算できると思います。違うのは物性値だけです。高温でのキャリア濃度は、例えば資料 [7] から計算できます。電流利得やターンオン時間についても、SiでもSiCでも基本的には同じモデルで計算できるはずです。必要なのは、その物理モデルの理解と、SiCでの物性値(温度依存)だと思います。SiCトランジスタの論文を読む前に、Siトランジスタの動作理論をしっかり勉強してください。

[1] 表1 http://www.sei.co.jp/tr/pdf/electronics/sei10444 …
[2] 図1 http://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal/ …
[3] 表1 高電圧パワー素子用主要半導体の物理特性 http://www2.fed.or.jp/pub/fed_j/pdf/v11n2_08.pdf
[4] 式3.25 http://www.geocities.jp/thermal_diode/diode_4.html
[5] 式2.2 同上
[6] 図3 http://www2.fed.or.jp/pub/fed_j/pdf/v11n2_07.pdf
[7] 高温領域(PDFファイル13ページ) http://spirit.pe.titech.ac.jp/lectures/secret/bu …
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この回答へのお礼

大変わかりやすい回答ありがとうございました!!

お礼日時:2007/06/08 18:46

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