
ニーチェの死因が「脳梅毒」であるという52歳の方から聞いた内容が本当か?。。。そして彼の哲学分野への影響はどうなのか?。。。疑問に思い質問します。よろしくおねがいします。
(1)娼婦と一度キリの関係を持ち、梅毒に感染したということでした。その時期を教えて下さい。
(2)梅毒症状が確認された時期を教えて下さい。
(3)死因は「脳梅毒」だったのでしょうか?
(4)梅毒に感染する以前と以後で彼の思想・哲学に大きな変遷がありましたか?
(5)最後に「wiki」から以下の箇所を引用します。最近のニーチェ研究者・哲学分野の学者はこの記述で満足ですか?教えて下さい。
「wiki」の編集方針が保守的とは判断しませんが、彼の死に直面した時代の同業者(哲学者)の批評も知りたいです。教えて下さい。
◆以下「wiki」からの引用です。
「初期の解説者はしばしば梅毒への感染を精神崩壊の原因とみなしている、ニーチェの示している徴候は梅毒の症例とは矛盾しているところも見られ、脳腫瘍と診断する向きもある。大方の解説者はニーチェの狂気と哲学を無関係なものと考えているが、ジョルジュ・バタイユやルネ・ジラールなどのように、ニーチェの狂気は彼の哲学によってもたらさ精神的失調だと考えるものもある。」(wiki:2007/07/17時点の記述を引用した)
以上、ご査収の頂き、回答を期待しております。過去の質問「ニーチェ」では、検索が不十分でしたので重複した内容はコピー回答頂けると幸いです。よろしくお願い致します。以上。。。
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
ちょっと誤解を招くような表記がありました。
「次第に非政治的になり、酒を飲んでは高歌放吟、決闘ごっこに血道をあげ、頬に残る決闘の傷が地位を決めたりするていたらくであった」
というのも三島の引用なのですが、これはニーチェではなく、「フランコニア」という組織のことです。
一時はドイツ統一を求めるような運動を担っていた学生団も、1848年の革命の挫折後は、非政治的になっていく、そうして、ニーチェが大学に入った頃が、上記のようなありさまだった、ということです。
田舎の牧師館に生まれたニーチェは、「禁欲と勤勉と秩序」「表面的には穏やかで落ちついた、そしてどこか田舎臭い素朴な明るさ」に育ち、一方で十代の半ばにはしきりと自伝を書きはじめるような、内省的な少年が、二十歳になってそういう世界に投げ込まれた、という脈絡でお読みください。
No.1
- 回答日時:
手元にあるニーチェの本のあとがきと解説書を何冊か見てみました。
結論的に言うと、持っている本で「梅毒」に触れてあるのは、三島憲一の岩波新書のほうの『ニーチェ』だけでした。
ボン大学で神学の勉強を始めたニーチェは、「フランコニア」という学生団に入団する。ちょうど「次第に非政治的になり、酒を飲んでは高歌放吟、決闘ごっこに血道をあげ、頬に残る決闘の傷が地位を決めたりするていたらくであった」という時期だったようです。
----(p.43 からの引用)--
母に宛てた当時の手紙を見ると、小遣いを使いすぎて、借金で首が回らず、しきりと無心をしている。相当に無理をして、自分の内省的性格に合わないことに調子を合わせていたのだろう。この頃、ケルンに遊んだ折り、いかがわしい宿で梅毒に感染したとおぼしき徴候がある。
----
死因に関しても、同書が一番詳しく触れているので、ここに引用しておきます。
---(p.392 からの引用)---
ニーチェの狂気にはさまざまな拙がある。学生時代にうつされた梅毒による進行性麻痺症説から、父の突然の死と関係づける遺伝的脳疾患説まで多種多様であるが、正確な診断がない以上すべては推測の域をでない。特に遺伝説は、梅毒でないということで市民社会的な意味での名誉回復にもつながるので、一部では強く主張されていた。だが、それはたいした問題ではなかろう。彼の思想が狂気をはらんでいることは間違いないからである。
-----
「たいした問題ではない」という三島の見解はそのとおりと言えると思います。
今日の多くの解説書に「梅毒」云々の記述が見られないのもそのためではないでしょうか。
したがってご質問はいろいろありますが、これ以上の知識は持ちません。
さて、ニーチェの狂気をその思想に根拠を求める考え方がいくつかありますが、これを「模倣欲望」から読み解いたのがルネ・ジラールです。ジラールはこれをドウールズとガタリの『アンチ・エディプス』を批判するなかで展開していっているのですが(「錯乱の体系――『アンチ・エディプス』論」『地下室の批評家』所収 白水社)、ここではこの批評を援用しつつ「超越志向」という概念にまとめている作田啓一の『個人主義の運命』(岩波新書)を紹介しておきます。
ニーチェはワーグナーを師とあおぎます。師とあおぎながら模倣し、同時に優越したいと願う。ワーグナーが当時得ていた芸術家、思想家としての圧倒的に高い評価。これこそニーチェ自身が望んでいるものだった。
ニーチェは、「権力への意志」という思想において、弱者のルサンチマンに潜む権力への意志を暴露します。数において優る弱者は、弱者の宗教・哲学の助けを借りて、「汝の敵を愛せよ」とばかりに進んで敗北に甘んじる。そうすることによって、少数の強者を支配しようとしている、というものでした。
この思想は同時に、師ワーグナーを超えようとするニーチェにとって、退路を断つことを意味します。というのも、強者に対して争わないふりをするのは、奴隷であることをあきらかにしてしまったからです。
となると、自らの力で師を乗り越えていかなければなりません。
自らの強さを評価してくれることを、他者に求めるのではなく、ひたすらに自分が自分を乗り越え続けようとする志向、これが「超越志向」です。
ただ、ここでひとつ陥穽が待ち受けています。
他者に評価を求めなければ、いったいどうして自分が「自己を乗り越えた」とわかるのでしょう。
ここで「自己を崇拝する自分」と「崇拝される自分」に自己が分裂していくのです。
やがて、行為主体は自分のこうした「ひとり芝居」に気がついていく。
実際には、主体は師=手本を持っています。そのために、達成の程度を評価する「媒介者」を求めてもいるのです。けれど、超越志向はそれを自分自身にも隠蔽し、自己以外には誰もいないようにふるまわせます。
主体が媒介者を必要としない、という態度を続けていくために、世界も応えてくれない。
そこでいよいよ主体は自縄自縛に陥っていきます。
---(p.36 からの引用)---
ニーチェが狂気に陥ったのは彼が真理を発見したためではありません。むしろ彼はつかみかけた真理から遠ざかっていったために、狂気という大きな代償を支払いました。
----
これがジラールのいう
>ニーチェの狂気は彼の哲学によってもたらさ(※れた)精神的失調
ということに相当すると思います。
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