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外国の裁判では懲役1000年などの判決もありますが、しかし懲役1000年は終身刑とどこが違うのでしょうか?

A 回答 (8件)

本来の定義としましては、


終身刑も無期刑も、刑に満期がなく、刑期が終生にわたるものをいいます。その刑期途中での仮釈放(刑期途中で仮に釈放する制度)のないもののみを終身刑というわけではないですし、あるもののみを無期刑というわけでもありません。
現地で採用されている語を直訳したとき、アジア圏では、無期刑という訳に、アジア圏以外では、終身刑という訳になるだけのことです。

たとえば、ドイツでは「Lebenslange Freiheitsstrafe」、イギリスでは「Life imprisonment」、ロシアでは「Пожизненное заключение」、中国では「无期徒刑」となります。

両者の違いは、本来的には、ただ単に、原語の違いのみです。

もっとも、マスコミなどは、終身刑を「恩赦がない限り一生刑務所」という意味で用いており、このため、学者や法曹などにも、一般認識に合わせて、仮釈放のないものを終身刑、あるものを無期刑と呼称している人がいますが、これはあまり好ましくありません。

日本の現行の無期刑には仮釈放(パロール)制度があり出所可能であるため、このことを、根拠に、「無期」を「期間を決めていない」という意味に読んででいるのでしょうが、無期刑の、「無期」というのは、無期謹慎などの「無期」とは異なり、「満期が無い」、つまり「一生」を意味しています。
「一生」を意味しているけれども、現行の無期刑には、仮釈放制度があるので、必ず一生刑務所にいなければならないというわけではなく、仮釈放で出てくる可能性があるということです。

# 「刑期を決めていない刑」のであれば、仮釈放(刑期途中で仮に釈放する制度)だけではなく、本釈放という形でも出所できるはずです。
# 仮釈放はあくまで「仮」であって、刑の執行の終了を意味するものではありません。

「無期だから仮釈放がある」「終身だから仮釈放がない」、というわけではありません(そもそも本来的には全く同じ意味で、英語ではどちらも「Life imprisonment」となるので)。

たとえば、中国の「无期徒刑(日本語訳:無期懲役)」には、殺人などの暴力犯罪の場合、仮釈放の可能性がなく減刑されない限り一生出所できませんが(中国刑法81条)、ドイツの「Lebenslange Freiheitsstrafe(日本語訳:終身刑)」は、15年服役後から仮釈放の可能性が生じ(ドイツ刑法典57条a-1項1号)、ロシアの「Пожизненное заключение(日本語訳:終身刑)」は、25年服役後から仮釈放の可能性が生じます。イギリスは法制が特殊なため説明は省略しますが、これにも仮釈放があります(ただし一部例外あり)。

ちなみに、先にも書きましたが、日本で一般的に「終身刑」と認識されているのは、(仮釈放の可能性がなく)恩赦などがない限り一生出所できない、「仮釈放のない終身刑(Life imprisonment without parole)」「仮釈放のない無期刑(Life imprisonment without parole)」のことで、これを置いているのは、アメリカの連邦および多くの州、オーストラリアの一部の州、中国、ハンガリー、オランダなどむしろ少数派です。

さて、本題の、懲役1000年ですが、このような刑が実際にそのまま執行される可能性があるのはnep0707さんもご指摘されている通り、アメリカの一部の州ぐらいしかないと思いますが、一応、説明しておきます。

「懲役1000年」という刑があったとして、
それが、法制上、生きている間に仮釈放される可能性のないような刑であれば、それは、事実上の「Life imprisonment without parole(LWOP)」であり、
生きている間に仮釈放される可能性のある刑であれば、それは、事実上の「Life imprisonment with parole」です。

また、それが、スペインのように、形式的な判決であって、法制上、実際は30年までしか刑の執行ができないのであれば、それは、事実上の「30 years imprisonment」です。そして、その場合において、仮釈放によって30年よりさらに早く出れる可能性がなければ、事実上の「30 years imprisonment without parole」であり、可能性があれば、事実上の「30 years imprisonment with parole」です。

# 仮釈放は近代国家にほぼ共通して存在する制度で、特に有期刑の場合、宣告された期間の全てについて、そのまま絶対的に拘禁している国はほとんどないです。
# もっとも、刑期より早く出れる制度は、「仮釈放(parole)」だけではなく、国によっても異なりますが、「恩赦」や「善時制度」(善時減刑)や「一定年限経過後の再審査による刑の見直し」などがある場合があり、「Life imprisonment without parole(LWOP)」であっても、そういった制度が置かれている法制の場合、出所の可能性もゼロではありません。積極的に適用されている場合は出所の可能性はさらに上がるでしょう。
例えば中国で殺人で「无期徒刑」になった場合、仮釈放の余地はありませんが、善時減刑により20年以下の有期刑に減刑される場合があり(中国刑法78条)、イギリスで裁判官に仮釈放の可能性を否定された場合(例外的な「Whole life」,例として2003年英国量刑ガイドライン附則21章は重大な複数謀殺に対しては最低服役期間を終生とすることを推奨している)も、恩赦の可能性があり、「25年経過後の再審査」によって仮釈放の可能性が与えられる可能性も残っています。
アメリカの長期有期刑においても、州によっては、仮釈放制度と善時制度などセットで活用されて刑期よりかなり早期に釈放されてうる場合もあるようです。
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終身刑についてですが、「終身刑=恩赦がない限り必ず一生刑務所」というのは、本来の定義からすれば全くの誤りであり、これは、マスコミなどが独自に定義したものにすぎません(もっとも、学者や法曹などにも一般認識に合わせた定義を用いている人が多いですが、こういうことは様々な誤解が生じるので好ましくないです。

しかも、マスコミはそのような定義をしておきながらたとえばドイツの「Lebenslange Freiheitsstrafe」やロシアの「Пожизненное заключение」を終身刑と直訳しているから始末に終えない)。
本来、終身刑とは、刑の満期が無い、すなわち刑の終期がなく、刑期が終生にわたるものをいいます。
その刑期の途中での、仮釈放(刑期途中で仮に釈放する制度)の可能性がなく、実際に必ず一生拘束される刑のみを終身刑というわけではなく、終身刑には、「仮釈放のある終身刑」と「仮釈放のない終身刑(Life imprisonment without parole)の2種があります。
しかし、日本ではマスコミなどの影響もあり、「仮釈放のない終身刑」のみが一般的に終身刑と認識・呼称されることが多いために、他国の終身刑が過大評価されるなど様々な誤解が生じていますが、多くの国における終身刑は、仮釈放による社会復帰がありうる終身刑であり、日本で一般的に言われる「終身刑」つまり「仮釈放のない終身刑」を置いている国は、むしろ少数です。
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先ほどのスペインの件についてですが、


http://www.spain-ya.com/Pages/nt060208.htm
http://www.spain-ya.com/Pages/nt0070213.htm
もご覧ください。
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スペインの場合は、すべての公訴事実に対する起訴が同時に計算されるため、求刑および判決の際にこれを上回る非常に長期の刑が言い渡されることが稀にありますが、刑の執行段階においては、1973年法により、30年(テロの場合は40年)の有期刑として扱われるため、これを超える収容は不可能とされています。

すなわち、有期刑の上限規定が、判決時ではなく、執行の際に適用されるということです。
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>外国の裁判では懲役1000年などの判決もありますが



アメリカくらいしか知らないですが、他にありますかね?

# 以前、スペインでもあると聞いたことがありますが、
# 内容を見ると、どうやら法律に基づいた話ではないらしい(「言ってみただけ」系の話らしい)…

アメリカは法律や刑事政策に関しては我流一直線で、世界的にはむしろ異端に属します。
なもんで、アメリカの例をもって「外国はこう」と理解するのは危険かも、とアドバイスしたく思います。

で、

>懲役1000年は終身刑とどこが違うのでしょうか?

有期懲役と無期懲役とは刑の性質が違いますし、刑を決定する前提も違うはずです。

# ちなみによくある誤解を解いておきますと、無期刑と終身刑は刑法用語としては『全く同じ意味』です。

アメリカも単一の罪で懲役1000年の法定刑を取りうる罪はないと思います。
(すべての州のcrimal lawを全部調べたわけじゃないですが、
具体的に条文を示されて反論されたことはないので、今のところ自信を持っています)

あるとすれば複数の罪の合算、日本で言う併合罪の処理で、
(これも州によって違うかもしれないけど)
たとえば200件の詐欺をやった人物に対して詐欺罪の刑を200個分加算、
なんて場合に起こりうる数字のはずです。

大して無期刑、終身刑はそれ自体が1つの刑の種類で、これは罪によって決まるでしょう。

そうすると、実際の罪の内容がそのあとの刑事施策に影響が出ることもあると思います。

既にある回答のとおり、恩赦、特赦みたいなこととか、
あるいは、そういう刑を認めているところだと仮釈放のしくみなんかも
日本とは異なって、有期刑なら現実的な刑期務めれば認められるみたいな風になっているかもしれません。
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ANo.2のwhoooさんも答えていらっしゃいますが、有期系と無期刑の違いで、恩赦、特赦など刑が軽くなる場合に影響することが考えられます。


終身刑では死ぬまでということなので、懲役1000年より刑が重いと考えられます。
そのため、恩赦などが発生した場合、懲役1000年のほうが、刑が軽くなる可能性があります。
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大概の場合は事実上ほとんど同じでしょうが、有期刑と無期刑の違いが恩赦等の扱いに影響する可能性はあります。

結局はその国の法律によりけりとしか言えません。
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まぁ現実的に外に出れないということでは同じでしょう^^



罪が累計される場合1000年ぐらいたやすく加算されて出てしまいます。
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