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ある本を読んでいたところ「念仏禅」という言葉を見つけました。
内容はあまり書いてなくて、ある時期、念仏と禅は同時に修行されていたということらしいのですが…。
念仏と禅というのは性格が正反対だと思っていたのですが、そんなことが本当にあったのかどうか、疑問と興味が湧きました。
この事についていろいろと知りたいと思いますので、詳細をご存知の方、情報をお持ちの方、どうぞよろしく教えて下さい。
(申し訳ありませんが、お礼はどうしても遅くなりますのでご了承ください。)

A 回答 (2件)

念仏禅というのは実際に行じられています。

ただ、言葉のうえから想像されるような単純なドッキングではありませんので、少々説明が必要です。

そもそも、念仏というのは「南無阿弥陀仏」と名号を口に唱えることだけではありません。本来は「観想念仏」、つまり「仏の姿を思い浮かべること」が狭義の念仏の意味です。「仏様の姿を念じる」わけですね。
平安時代の阿弥陀進行の盛んな頃、三昧講などと呼ばれる講組織が発達したのですが、メンバーが病になり重体になると阿弥陀堂などに移し、講員が見守るなかしきりに病人に仏の姿を念じさせ、さかんに周囲から「どうだ、(仏の姿が)見えるか」などと励ました、などという記録が各地に残っています。

一方で念仏を広く捉えると、身口意(しんくい)の三業(さんごう)念仏などといって、体で仏を礼拝し、口で名号を唱え、心にその姿を念じる、という全てが念仏だと位置付けられます。現在の念仏は法然、親鸞らの影響下にあって、特に口称(くしょう)念仏などと呼ぶのですが、名号を唱えることが全ての念仏行を包摂する、という立場から口業だけを専一に行うことになっているものです。

そもそもの「念仏」が「仏の姿を思い描く」ことだとすると、これは精神の統一が多分に必要ですから、いわば瞑想状態にもなって、かなり坐禅と親和性が高くなることは理解できるでしょう。黄檗宗で実際に行じられているご質問の念仏禅というのは、その意味で割と違和感なく融合していると言っていいでしょう。

ただもちろん、禅宗と位置付けられるなかでの行ですから、軸足は無論、禅のほうにあります。中国では中峰明本和尚が「禅は浄土の禅、浄土は禅の浄土」という表現をしたように、あくまでも禅を基盤にして、六字の名号の中にも禅があるとするものです。
念仏公案禅などとも言いますが、いわば名号を公案のごとく扱うことで悟道を得ようとする、と言えばいいでしょうか。

その際の浄土、阿弥陀仏の捉え方は「唯心の浄土、己身の弥陀」とよく説明されます。
前半部分は、唯心と呼ばれる個人の妄想なき仏心というのは、それぞれの肉体にあるものだけでなく宇宙に遍満しているので、極楽世界でもこの娑婆世界にもあるものだ、と考えるわけです。
また後半の方は、自性の阿弥陀仏を信じれば、三世に遍満する阿弥陀仏は自覚によって自身のなかに応化して出現し得る、ということを指します。
このような(やや抽象的な)阿弥陀信仰が禅を通じて体得されることを目指すのがその目標とするところですね。

黄檗宗(江戸時代)は、先行する臨済宗、曹洞宗とはかなり性格が異なります。それは導入した当時の中国(明)における禅の気風が反映されているためです。

念仏禅が生まれた歴史的な背景は詳述しませんが、いろいろな理由があると思います。
ごく荒っぽく言えば、およそ4世紀強ほどの間に念仏禅が中国で支配的になったのは、禅の庶民化のための必然的なプロセス(悪く言えば修行の脱落者救済的な意味合い)でもあったでしょうし、悟りを強調するあまりむしろ外道に近づいてしまいがちな禅の先鋭化に対するカウンタームーブメントであった、という評価もできるでしょう。
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この回答へのお礼

ていねいなご回答をいただき、どうもありがとうございます。お礼が本当に遅くなってしまい、申し訳ありません。

やっぱり念仏と禅の完全な折衷ではなくて、禅宗の一環なのですね。。。仏教の歴史はやっぱり一筋縄ではいかないという印象をうけました。やっぱり所詮ひとの信仰も確固たるものでなくて移ろいゆくのだな、ということがよくわかりました。お世話になりました。

お礼日時:2002/09/10 21:28

隠元禅師の黄檗宗で行われるようです。


どう見ても「他力本願」ではなさそうですが。

参考URL:http://www.fuchu.or.jp/~zenshoji/zenshu.htm
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この回答へのお礼

その日のうちに早速回答していただき、どうもありがとうございました。お礼が遅くなって本当に失礼しました。

参考HP、ありがとうございました。黄檗宗というのはなかなかオリジナルな宗派なのですね。。。No2のお答えもあわせて読むと、本当に「他力本願」ではないというのがよくわかりました。

お礼日時:2002/09/10 21:23

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