
外国語のカテゴリーではないかもしれませんが、言語一般問題ということで質問します。
ある自国語にとって、元からあったものでない母音が付与されるというのはどういう場合なのでしょうか。
ラテン語から複雑な発音のフランス語などが現れたようですが、これなどは民族的介入が原因しているのでしょうか?
そう考えると、日本に外国語発音というものが付与されないのは、民族的な融合が起こらないからでしょうか?外来語がいっぱいのさばってきても、所詮日本語の母音体系で焼きなおした言葉にしてしまっています。江戸時代などは結構がんばっていたようですが(「ワラ」とか「グーモー」とか)
母音体系はよほどの強制力がないと、変化しないものでしょうか。また、洋画の古いものは発音も綺麗な感じがしますが、最近のはどうも美的でない(発音体系が単純化している?)ということからしても、衰退していくものでしょうか。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
他言語との接触によるものもあれば接触によらない変化もあります。
他言語との接触の例としては、フランス語で u を [y ユ] と発音することはケルト系民族との接触の結果と言われています。
ゲルマン系に多く見られるウムラウトは後続する母音(半母音や子音が影響を及ぼすこともある)の影響で音が変化することです。ゲルマン系で記録が残る最古の言語であるゴート語にはウムラウトはありません。
(ゴート語) sokjan →(古英語) secan [se:t∫an](現代英語 seek)
(j が o に影響を及ぼして oe → e へと変化。なおゴート語が英語の先祖というわけではありません)
*fotiz → *fetiz → fet (feet)
(*は推定形。 iz は後に脱落)
他からの影響の他に強勢のある母音に起きる「母音の割れ」がありロマンス系によく見られます。
(ラテン語)ovum (イタリア語)uovo (スペイン語)huevo
(ラテン語)amare (フランス語)aimer
一部の動詞に見られる母音交替
(フランス語) je meurs - nous mourons
(スペイン語) yo huelo - nos olemos
(古フランス語)j'aim - nous amons
語幹にアクセントのある形では母音が割れている(フランス語では後に単母音になった)
以上のような大きな変化は100年単位の昔に起きたものです。近年は教育、識字率の向上、メディアの発達などのため、昔のような「野放し」とはいかず比較的小さな変化が中心です。たとえば英語の
poor 「プア」→「ポー」
more 「モア」→「モー」
や [ou] を [эu] のように発音するなどです。
他言語との接触があっても新しい母音が根付くとは限りません。
英語はノルマンコンクエスト以来おびただしい数の単語をフランス語から取り入れましたが、ごく新しいもの以外は英語流に発音されています。
nature を「ナチューア」ではなく「ネイチャー」と発音するのは英語の流儀で発音しているのです。もはや外来語的な匂いがしません。ドイツ語の Natur が「ナトゥーア」と発音されるのが幾分ドイツ語的であるもののいかにもよそ者的です。 Raeson, Saison は鼻母音まで取り入れています。
まだこなれていない、外来語丸出しの beau, eau, au なども「オー」という長母音が発音できないのかなじまないのか「ボウ、オウ」と発音されています。
まだ強く外来語と意識されるうちは新しい母音やなじまないアクセントを保持するかもしれませんが(それでもいくらか自国語風に変わる)、こなれていくとどうなるかは分かりません。自国語の体系に取り込まれていくかもしれません。同時に自国語自体も昔ほどでないにせよ変化し、つづりと発音の乖離が生じるかもしれません。
日本語の場合はかな文字はアルファベット式文字より新しい音を表記しにくい(母音を併記すると二重母音と勘違いされる)ことがあります。日本語の方言独自の母音もつづりのせいでよその人には誤って伝わっています。
しかし外国人との接触が増えても日本語の母音体系に影響が出ることは考えにくいと思います。
>(「ワラ」とか「グーモー」とか)
これは現代の日本人にラテン文字のつづりと発音の関係、いわゆるローマ字というある意味余計な知識が入ったため素直にできるだけ聞こえたままをかな書きにすることができなくなったからでしょう。
>洋画の古いものは発音も綺麗な感じがしますが、最近のはどうも美的でない
これは邦画でも感じられます。言語自体の変化というよりどのような発音をよしとするかの考え方の変化でしょう。
昔の映画やテレビドラマはいかにも「いい子」な発音です。せりふそのものは汚くても発音はきれいです。現代の目で見れば「そんなやついねーよ」となりますが昔でも普段そんなきれいな発音をする人は少なかったはずです。
詳しい解説ありがとうございます。
たいへん納得しました。
今回再考したのは、やっぱり島国根性か?という点です。イギリスも日本も、外国式発音というものを自国式に変換してしまった。その点大陸国家は受け入れるしかないというか、消化してしまって、発音をも取り込むことができる。この差は大きいと思います。
今私の中で気持ち悪いのは、外来語だ何だといって取り入れまくっているくせに、オリジナルの発音を全く考慮しないということです。「アメリカンコーヒー」なんて通じないし、なんとも中途半端な妥協産物です。神仏混合みたいなことをやってきた国だから仕方ないのか?「メリケンカフィー」というような表記が喫茶店に一般的にならない限り、新母音体系を日本が取り入れる体制にも精神性も持ち合わせていず、ただ
都合のいいように容易なアレンジをするということを繰り返していくのだなぁとおもうと、気が重くなります。むかしはちょっとあったんですかね?
牛丼とかカレーライスの歴史なんていうのも、オリジナル国からすると冒涜だと思うかもしれませんね。
No.3
- 回答日時:
言語について美醜や善悪の判断をすることはやめましょう。
我々はどうしても「昔はよかったのに、最近の日本語は堕落している」などと考えがちですけれども、そうした考えを支持する根拠は、どの時代の言語を観察しても出てきません。言語は変化したり、しなかったりしますが、現状がどうであれ、それは進歩でもないし、衰退でもありません。いいとか悪いとか、美しいとか汚いとかは単に主観の問題です。
ひとつ例え話をしますと、外来語を取り入れるというのは、よその国から規格の違う列車をもらってきて自分のところのレールを走らせる、というのに似ています。どのみちそのままでは使えません。レールに合わせるのはもちろん、手持ちの他の列車との連結や、同じ型の列車を自前で製造することなども考えて、多少なりとも改造しなければいけません。
「アメリカンコーヒー」や「メリケンカフィー」は、どちらも「American coffee」という列車をもらってきて改造したもので、その改造のやり方が違うだけです。もちろん、もらいものの列車にはできるだけ手をつけずに、手持ちの列車や製造工場やレールを作り変えたほうがいい、という考え方もできますが、場合によりけりです。
私の話は余分なことかもしれませんが、私にはどうしても、あなたが始めに結論ありきで「最近の日本語は悪くなっている」と主張したがっているように思えてなりません。No.1とNo.2の回答のお2人は、たいへん興味深く参考になるお話をされていますので、どうか素直なお気持ちでご覧になってみてください。
いや、やっぱり美しい言語表現と乱雑なものは存在しますよ。
たとえば芝居のせりふなど。すばらしいじゃないですか。その言語の美しさを美しく発音する姿勢。そこから安易に離れて、安易な発音とか言い回しを多用して、「堕落」というにふさわしい状況が世界各地に蔓延していますよ。これは、人々が意識すれば改善できるものではないでしょうか?
私には、自分らの都合だけでオリジナルに敬意を払わない姿勢というものは、この堕落とはちょっと離れるにしても、非常に雑で安易なものだと感じますね。最近の安易なカタカナイメージの氾濫を考えれば明らかなことで。
それと、no1とno2の方は興味深い考察をしていますね。それに十分理解を示したつもりですが何か不満ですか?今回は収穫あったと思っています。私が素直になっていないように感じたのは回答者さんの意識が素直でないのではないかと感じられます。

No.2
- 回答日時:
比較対象・手法に混乱が見られます。
完成した言語に外国語がどのような影響を与えるかということと日本語や
フランス語、スペイン語などがどのようにして出来上がったかは違う次元の問題です。 ひとつの言語が近代語として完成するまでには2千年ぐらいの時間がかかり、ヨーロッパ語の完成は僅か500年前です。日本語は発展の途上で中国大陸から漢字文化の強力な介入(影響)を受けてしまったため発展がゆがめられた或いは止まったとさえ言われます。今日我々が使っている言葉はやまとことばと漢語、及び漢語を日本風に変えた単語で構成されています。
スポーツの柔道はもともと柔術と呼ばれた武術が改良されたものですが、武術の時代に海外に紹介されています。スペイン語では今日でもJudoとJyujyutuは共存しています。Judoは母国の発音を尊重してジュードウと発音されますがJyujyutuはJiujituと綴られ(変化)してヒウヒツと発音されています。このような変化は日本が漢語を導入したとき日本でも起こったわけですが、日本ではその発音が完全に日本語化されたため日ごろ意識することはありません。
さらに平安時代以前に日本語にあった母音のいくつかが消滅したり、江戸時代初期ごろにF音がH音に変化していったため、外国語の発音で日本語に生まれたF音と簡単に言い切れない面もあります。音例:ファファがハハ(母)へ。
洋画の英語は時代と地域(英国、米国、地域差と階級差で大きく異なる)及びその映画がどれだけ時代考証を考慮しているかによるでしょう。現在放映中のNHKの大河ドラマでは鹿児島人がほぼ標準語で話をしているのが一例です。映画や芝居であまり時代に忠実にすれば観客は理解できなく恐れがあります。
ありがとうございます。
たいへん納得できます。
いわれてみれば、日常単語の多くを漢文に負っていることです。またしても自国アレンジでそのにおいさえなくなってしまっているくらい消化してしまっている。漢文の発音なんて丸で知らないくせに、とんでもない親不忠ものです。
そういう、自国アレンジという強力な作用を考慮しないで、母音体系がどうのこうの言ってもたしかに片手落ちだと思います。
しかし、時代性というものもたぶんにあると思いますね。例に挙げられた「鹿児島弁がない薩摩ドラマ」というものをよしとする時代性。これらがますます言語の自由度を奪い官僚化されていくということにもなるのではないか、それは必ずしも言語の発展にはならないと感じます。昔もし「メリケンカフィー」などと表記する喫茶店があったとしたら、それはもっと健康な精神があったのではないかと。
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