

表見代表について、特に追認について疑問があります。
通常、表見代表取締役のなした行為は、その効力は会社に帰属しますが(会社法354条)、
無断で代表取締役と名乗ってなした行為も、黙示の許諾でも効力は会社に帰属するというのが判例の見解です。しかし追認については聞いた事がなく、明示の許諾の一種と考えるよりほかにありません。そこで、
追認の是非を決議する取締役会に、その表見代表行為をなした者(平取締役を前提)が決議に加われば、特別利害関係取締役が決議に加わったとして追認決議は無効となるのでしょうか。
あるいは追認を承認した取締役会に欠席した取締役が、後で事態を知り、多数の取締役を説得して追認を覆した場合、どうなるのでしょうか。
しかもその取締役の欠席した理由が、招集通知漏れである場合、当該取締役が名目取締役でなければなおのことどうなるのでしょうか。
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
>無断で代表取締役と名乗ってなした行為も、黙示の許諾でも効力は会社に帰属するというのが判例の見解です。
しかし追認については聞いた事がなく、明示の許諾の一種と考えるよりほかにありません。明示の許諾と言うより無権代理行為に対する本人の追認と考えればよいです。(民法第113条、第116条参照)代表と代理は厳密に言えば区別されますが、代理人あるいは代表者の行為の効果が本人に帰属するという点では同じであり、民法の規定を適用あるいは準用(類推適用)して処理すればよいでしょう。
会社(本人)が追認するというのは、真正な代表者取締役が追認すると言うことであって、取締役会が追認するのではありません。もっとも、表見代表行為が会社の重要な財産の処分にあたる行為であり、真正な代表取締役がその行為を追認する為には、取締役会の承認を得る必要があると考えるのは十分に理由があると思います。
> 追認の是非を決議する取締役会に、その表見代表行為をなした者(平取締役を前提)が決議に加われば、特別利害関係取締役が決議に加わったとして追認決議は無効となるのでしょうか。
難しい質問ですね。仮に真正な代表取締役が重要な財産を処分しようとする場合、それを承認するか否かの取締役会決議については、代表取締役は特別利害関係人に該当しないのだから、問題の平取締役も特別利害関係人にはあたらないとも考えられます。一方、会社が追認しなければ、平取締役は相手方から無権代理行為についての責任を追及されるおそれがあり、会社の利益を図るために議決権を行使することが期待できないと考えれば、特別利害関係人にあたるともいえるでしょう。
>あるいは追認を承認した取締役会に欠席した取締役が、後で事態を知り、多数の取締役を説得して追認を覆した場合、どうなるのでしょうか。
すくなくても、取締役会決議に基づき真正な代表取締役が追認したのでしたら、問題になりません。
> しかもその取締役の欠席した理由が、招集通知漏れである場合、当該取締役が名目取締役でなければなおのことどうなるのでしょうか。
原則論とすれば、招集通知漏れの場合、取締役会決議は無効と会すべきですが、その取締役が出席したとしても、決議の結果に影響がないと認められる特段の事情があれば、決議は有効だと解する判例があります。何をもって特段の事情とすべきかは争いがあるでしょう。たとえば、特別利害関係を有する取締役は、取締役会で議決を行使できないのは当然として、意見を陳述するために出席する権利もないと解すれば、それが「特段の事情」にあたると考えられるでしょう。「名目取締役」についても「特段の事情」にあたるかどうかは学説上争いがあると思います。
いくつもの質問にお答えいただきましてありがとうございました。
そして、お礼を申し述べるのが遅くなり、すみませんでした。
今回学びましたことを整理させていただきます。もし間違いがあり、余力がありましたら訂正していただけますと誠に助かります。
・ 明示の許諾と言うより無権代理行為に対する本人の追認と考えればよい
・ 会社が追認するというのは、真正な代表取締役が追認するということ( ※ 362条4項各号に列挙されるような重要な事項でない限り)
・ 承認するか否かの取締役会決議において特別利害関係取締役となるかどうか、判例がない
→ 私的な解釈 「362条4項各号に列挙されるような重要な事項が独断で表見代表行為でなされることは現実的にありえず、判例も存在しない」
・ 招集通知漏れの場合の「特段の事情」を、単に「名目取締役」と質問してしまいお手数をおかけした
・ 追認がどうであれ、契約の当事者である第三者は保護される
私はまだまだ表見代表についての理解が混乱しています。近いうちに別の疑問を投稿するかもしれません。
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