No.4ベストアンサー
- 回答日時:
総合系の空手で以前指導員をしていました。
ボクシングについては手技の向上のために数ヶ月ジムに通っていただけなので、あなたのような専門家に「回答」という形でお答えするのは、いささか恐縮な思いです。
ですから以下の回答については、他の競技の人間と酒でも一杯やりながら交わした会話みたいなものとして、参考までにお聞きください。
格闘技に限らず、多くの競技にはその競技の伝統と歴史に基づく、多くの修練法やトレーニング法があります。
もちろんこれらの修練法が全て間違っているわけではないし、またそれらを築き上げた歴史や偉大な先人(先輩方)の功績は否定されるものではありません。
しかし医学の発達や、運動生理学の研究、トレーニング方法の発達などで、かつては常識とされていたものが、間違いであったと変更されたり、否定されたりするものがたくさんあるのも事実です。
いちばん有名な例としては、かつては「稽古中に水を飲むと余計疲れる」なんていわれて、運動中の水分補給が禁忌とされていたなんていうのは、典型的なものでしょう。
これらは修正を加えられたり、中には消滅して昔話になったりするのですが、しかし残念なことに多くのものがいまだ「伝統の残滓」として残っていることも事実です。
例えば私ども空手の世界でいうと、いまだに多くの流派が「正拳突き」と称して、パンチを脇の下からひねりながら繰り出し、反対側の腕を脇の下に引き付けるなんて修練方法を採用しています。
現実に顔面パンチありの流派はもちろん、極真のように顔面パンチ無しの流派でさえ、現実の試合では誰一人そんな打ち方はしないにも関わらずです。
ましてや現実の街のケンカでそんな殴り方をすることはないのに、多くの空手修行者がそんなことを考えもなく継続させているのです。
実際にはそんなヒマがあったらサンドバッグでも叩くか、バーベルでも持ち上げていた方がずっと強くなれるのですが。
相手のパンチをよけたいなら、回し受けなんて奇妙な動きの練習をしたり、上段払いなんてやるよりも、パリーとスウェーでよけたほうがずっと実戦的なのです。
しかしこれらを止めません。
私はこれを「伝統の残滓」「伝統の名残り」と呼んでいます。
ひるがえってボクシングの世界についてみると、私がいまだにその稽古法の意味が理解できないし、また今まで一回もその理論的説明を出来る人に出会ったことがないのが、天井からぶらさげたスピードボールを、両手をふりあげた形でパタパタと叩き続ける行為です。
あれなどは典型的な「伝統の残滓」ではないでしょうか。
(現在はやる人も少なくなっていると聞きますが)
________________
前置きが長くなって申し訳ありません。
私は以上の観点から、質問者さんがランニングの意義について改めて再考察してみようという姿勢は、非常に意義深いものとして賞賛いたします。
さて本題のランニングについてですが、果たしてこれはボクシングと言う競技についてどの程度の重要性があるのか検討したいと思います。
私はボクシングという競技に、他の格闘技には無いひとつの面白い特性を感じます。
それはボクシングというのが、とても「持久力」の要素が大きいという点です。
ボクシングは空手や総合格闘技と異なり、それなりの重さのグローブを装着します。
そのため空手や総合と比較すると、パンチが一発で倒しに行くという打ち方よりも、コツコツとダメージを蓄積させる打ち方になる傾向があります。
(参考までにグローブ無しの場合の打ち方の例として次のURLのビデオなどで違いがよく分かると思います。2番目以降の○に緑文字でVSと書いているものをご覧ください)
http://www.sublimedirectory.com/fights
実際ボクシングの試合の勝敗を決める要素として、パンチ力や技術の差もさることながら、試合の中盤後半以降もスピードやパワーを維持出来る持久力があるかどうかが、きわめて大きなポイントとなる気がします。
1R2Rの意気の良い強いパンチでも倒れない選手が、後半のお互いフラフラの状態のパンチでも倒れるなんてのは、まさにボクシングにおいて持久力が大きな要素になっている証拠ではないでしょうか。
その意味で、ボクシングにおいてランニングにより培われる持久力というのは極めて重要であると思います。
日本のボクシング選手は軽量級~中量級がほとんどですので、必然的に比較的持久力がある人間が多いはずです。
しかしそのような持久力は4回戦レベルなら、まあ苦しい思いしながらでも最後まで力をキープできます。
しかしこれが10回戦、ひいては12ラウンドを高いレベルで力をキープしようとするなら、日々のランニングにより持久力の養成は不可欠だと思います。
空手や柔道のように、3分とか5分、長くても10分程度で試合が終わる形式の競技なら、極端な話、さほどの持久力は不要なのです。
(蹴りという大きな破壊力を使用するK-1や、総合ならボブ・サップでも戦えるのです。しかしボクシングではボブ・サップは上位に絶対通用しません)
事実、私も総合の現役当時は長距離ランニングより、坂道ダッシュの方が有効と実感していました。
長々と回答して申し訳ありません。
結論を言いますと、選手の皆さんには
「4回戦かそこらなら10キロも20キロも走るランニングは要らないんだよ。でもお前らそれより上に行きたい気持ちはあるんだろ。だったら持久力をつけなきゃ12ラウンドはもたねえぞ!」
と教えてあげたらいかがでしょうか。
もしもそれでも理解出来ないようなら、実際に長丁場を経験させるのも一つの手だと思います。
例えば上級者にがっちりとプロテクターを装着させ、その上級者は強い攻撃をしないという形式で、ランニング嫌いな選手に10ラウンド精一杯攻撃させるというスパーをさせるのです。
5ラウンド以降には、相手が全然攻撃してもいないのに、自分がフラフラになって攻撃力がガタ落ちしてしまうという現実を味あわせるなんてのも一つかと思います。
私は日本のボクシングの発展を願う1ファンです。
私の回答が少しでも参考になれば幸いです。
No.3
- 回答日時:
私が個人的に感じたのは、一番の問題は指導者であるあなたが
走ることの重要性を理論的に選手に説明できないという点かと思われます。
説明できないからここで尋ねたとは思いますが、重要であると
感じている指導者のあなたが、なぜ説明できないのか、という点です。
(あくまで個人的な感想なので、嫌味を書こうという気持ちは
全くありませんので、誤解しないで下さいね)
これまた個人的な意見ですが、ボクシングが強くなる、ということにおいて
走ること自体にはそれほど重要性は感じておりません。
ただし私も少しボクシングをしておりましたが、重要性は感じて
いないけれど、毎日走っておりました。
走り方も色々変えて、ダッシュを途中で入れてみたり、
坂道を走ってみたり、早いスピードや遅いスピードだったり、
時間帯も変えてみたりと様々な方法を試してみました。
結局、走る目的というものを、私は「コンディショニング」と
捉えたため、心臓や体に負担を掛けないために朝にゆっくりした
ペースで10kmを走ることに落ち着きました(ロードワークの途中で、
階段にて違う練習を取り入れましたが細かくなるので省略します)
脚の筋力強化ならジムでマシンや単純にスクワット、ステップ、
ロープで出来ますし、スタミナ強化ならこの下のどこかの質問に
私が回答したような練習で補えましたので、ロードワークの重要性と
いうものも、最初に練習を始めた頃とは全く違うものになりました。
色々な考え方があるかと思います。最後は指導者のあなたがブレのない
確固たる考えのもとに、練習生にそれを伝えるのが一番です。
この回答への補足
鋭いご意見まことにありがとうございます。
>一番の問題は指導者であるあなたが走ることの重要性を理論的に選手に説明できないという点かと思われます。
まさしくその通りであり、私が一番悩んでいる点であります。
なぜ理論的に説明できないのか?それは自分が現役時代の時は、走ることが当たり前、走らずして勝てるはずがないと自分で感じていたからです。一種の根性論的なものではありますが。
当たり前だと体で感じている以上、理論的に説明することが非常に困難であります。
他の方の質問などを見させていただいて、走るだけがスタミナ・スピード・パンチ力をつける練習ではないということが分かりました。
しかし、走ることにより心配機能はもちろん、下半身強化・精神的に強くする・スピードをつける(短距離走によって)、様々なプラス面が考えられます。
これらをうまく伝えられたらいいのですが、もう少し検討してみます。
何かいいアドバイスがあればよろしくお願いいたします。
No.2
- 回答日時:
ボクシングに限らず、あらゆるスポーツ・格闘技において、
走る事は基本とされています。
下半身増強だけでなく、心肺能力の向上にも繋がります。
疲労した状態での練習が出来ないと、本番で勝てません。
疲れていない時のジムワークなんて遊びみたいなものですね。
その選手たちはアマチュアですか?
但し、アスファルトの上を走って膝を傷めるようなのは厳禁です。
走るのが嫌なら、その時間、徹底的に泳がせましょう。
但し、コストがかかりますので、走る方が無難ですね。
ご回答ありがとうございます。
>下半身増強だけでなく、心肺能力の向上にも繋がります。
この二つの利点と、
>疲労した状態での練習が出来ないと、本番で勝てません。
のポイントを抑えられたら、理解できていけるような気がします。
くれぐれも足を痛めないようなトレーニングをしていきます。
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