12月12日の日に「12月12日」と紙に書いて玄関や柱にさかさまに貼る風習が関西地域にありますが、その日は五右衛門が釜茹でにされた日らしく、それ故、そのような風習が残ったと聞いています。その際に必ずさかさまに入るのですが、なぜさかさまなのかと疑問に思い調べたところ、昔屋根から進入する泥棒に逆さまに命日を見せて大ドロの命日を思い出させるためだと知りました。ただ、どうしてさかさまなのか、日本には色々な風習があると思いますが、「さかさま」にすることが多いように思います。もちろん、それぞれに諸説あるとは思うのですが、どうしてなのでしょう。例えば「福」よく料理屋さんで見かけます。また箒をさかさまにしておいたり(お客さんが早く帰るように)、彼氏の悪口を書いてさかさまに貼っておけば、その彼からプロポーズされる。とか、家出していた娘が戻ってきて欲しければ、紙に「もう二度と帰ってくるな」と書いてさかさまに貼る。などなど
反対の気持ちを書いてさかさにすることでいったいどういう意味があるのでしょうか?ご存知のかたよろしくお願いします。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
おっしゃるとおり、
卑しくも技術職たる泥棒の古典的な入り方とは、
瓦をはずして天板をはずして天井からおいでになるというものです。
浄瑠璃歌舞伎のなかで「義賊」である五右衛門の命日、
天地の正しい方向に12月12日を貼ったって
泥棒は土間からあがってくるわけではなし、大泥棒の霊も戸板を開けて入ってくるわけではなし、
命日を忘れていませんよホラ見てくださいね!との気持ちが伝わらないではありませんか?
義賊を称賛する庶民の気持ちのあらわれでしょう。天板からいらっしゃいの歓迎でしょう。
日本人はたぶんもともと遊びが好きで、万葉歌の時代からいろいろな言葉遊びがありますが、
江戸のユーモアというのはシチュエーションも混ぜてひねりがありますね。
お染風邪が家に来ないように「久松るす」と貼るような。
諧謔の精神というのでしょうか、いやなものまで楽しく笑い飛ばせるところがありますね。
逆さにするのは洒落のひとつの手段で、質問者のようにまじめにとるようなことではないのでは、と思います。
紙を逆さにしたり文字を逆さにしたり、文句を回文にしたり、音を逆さにしたり、いろいろと工夫いたしますね。
逆さの縁起を逆さに背負って「ゲン(ギエン)かつぎ」などとするのとあまり変わらないかと。
栗にはかなわねど焼き芋に「八里半」、いや九里四里うまい「十三里」
するめは「あたりめ」、升升半升(ますますはんじょう)、升倍半升の「二升五合」など、
看板や張り紙にはさまざまなユーモアがあるようです。
まっすぐに物事を見たり言ったりするのは野暮、という、江戸と上方それぞれの粋のあらわれなのでしょう。
お教え頂いた言葉遊び、以前聞いたことがあります。
「久松るす」は最高ですね。おっしゃるように、しゃれ、諧謔の精神。「粋」ですね。色々勉強になりました。また、よろしくご指導ください。ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
>反対の気持ちを書いてさかさにすることでいったいどういう意味があるのでしょうか?
人間の思考の多様性の一つがここに現れているのだと思います。
数学では not(notA)=A と言うことになっていますが、こんなことはこの世界の足った一つの真理でもなんでもなく、そのような約束事をすると、その約束をもった論理構造の内部で無矛盾になっていると言うだけのことです。事実、「お前はもうすでに大人というわけだ」という言葉は「お前はもうすでに大人でないわけではない」と言うのは、上の約束事では同じ意味になりますが、これを聞いた本人にとっては、例えば後者では「お前はもうすでに子供ではない」と言うような微妙なニゥアンスが強調された表現になっています。如何に言葉すなわち論理を積み重ねているとは言え、小説を論理学の記号で書くわけにはいかない理由がここに在るわけです。
話がそれますが、私の友人のアメリカの女性で、教育学の博士の学位を取った後、音楽科に進み、現在では大学で作曲学を教えている、私から見て大変頭の良い方がおります。彼女曰く「中学生のときに、数学の時間に『点とは大きさがなく場所だけが在る物のことだ』と習って、一生懸命その状況を想像して見たが、結局私にはその状況を想像できなかった。そして、数学とはこんなに非現実的で、無意味なことをやる学問なのかと気付き、それ以後、数学の勉強をすることを拒否した」そうです。彼女は一寸極端過ぎますが、数学で論理で是されていることを金科玉条として受け取るわけにはいかないことも在るのだとに気付くという、目から鱗が落ちる経験をしたことがあります。かく言う私は、毎日数学の論理を使いながら物理学の研究で飯を食っている者です。
さて本題に戻って、こう考えて見ると、「帰ってこい」と、「『もう二度と帰ってくるな』の反対だ」と、「『もう二度と帰ってくるな』を逆さに貼付る」の3つの表現は、一見同じ意味を表しているようでもありますが、決して完全に同じではなさそうです。このなかで、謎めいて分かりづらく最も異常なのは三番目の表現です。この「謎めいた」と言うところが鍵で、きっとそのように表現する方はそれによって呪術的な力を感じて、それに期待しているのではないでしょうか。
似たような例では、我々は「くしゃみ」と言いますが、これは元々は「くさめ」と言います。これは、「臭い奴じゃ」とか「糞みたいな奴じゃ」とかを呪文として唱えた言葉です。昔の人は、くしゃみは他の誰かの呪術によって起こると考えられており、そんな呪術には負けないよ、ということを、罵倒する言葉によって、その言葉で呪術を解くという呪術を使っていたのです。すなわち、「くしゃみ」という言葉が在ると言うことは、日本人は言葉に表すことに呪術的な力が在ると信じていたことの証拠なのです。
自身の知識の低さゆえ、何度も読み返させていただきました。
呪術的な力に期待し反対の気持ちを書いた紙を反対にすることで、帰ってきて欲しい、という意味に変換させている。ということなのでしょうか。「くしゃみ」については「一回目は誰かが良いうわさをしている」、「二回目は悪いうわさだ」、「三回目はただのかぜだ」などと、幼い頃に言った覚えがあります。もともと呪術的なところから来ていたのですね。ありがとうございました。勉強になりました。
No.4
- 回答日時:
#2さんに補足すると、中国で「福」を逆さまに張るのは「福がかえってくるように」という願い事もこめられていると中国人から直接聞いたことがあります。
ま、こういう民間風習は俗説がいくつもあるものですね。ちなみに私はお財布のお金を逆さまにして入れています。ええそうです、「金かえる」ようにの願掛けです・笑。
私も研究者じゃないのでよくわかりませんが、物事を逆さまにするのは人間のユーモア(遊び)として存在するのではないでしょうか。例えば言葉では昔からひっくり返して遊ぶのがありました。昔はやった業界用語でビールをルービーとかメシをシーメーというとかそういうやつです。実はこれは江戸時代にも江戸っ子の言葉遊びで同じことがありまして、着到を到着といったり、あ「らた」しいをあ「たら」しいといったりしました。そうです、「到着」「新しい」は元々着到だったりあらたしいだったりしたのです(ですから、「新しい」は「あたらしい」と読みますが「新たなる思い」は「あらたなるおもい」と読むわけです)。
なるほど…、江戸時代から業界用語のような遊びがはやっていたんですね。今、朝の六時なのですが、皆さんの投稿を読ませてもらって、風習の意味を紐解く楽しさに、感動です。ありがとうございました。
それから、財布のお金を逆さまに入れられているとの由、我が家では反対で、お金を必ず上向きにします。なぜなら、逆さまにすると「お金が出る」と教えられました。(笑)
地域地域でいろいろ諸説あるのですね。ちょっとはまって色々なことを調べたくなりました。m(__)m
No.3
- 回答日時:
こんばんわ。
12月12日と書いてさかさまに貼る、というのは知りませんでした。
面白い風習を教えてくださってありがとうございます。
逆さ箒ですが
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AE%92
上記の「箒の歴史」のところに
※『古事記』中に「玉箒」や「帚持(ははきもち)」として登場する。ここでいう「玉」は人間の魂(霊魂)のことを指す。
「帚持」とは、葬列を組む際に箒を持って加わった人(またはその役目)のことを指す。
とありました。
また、「民間信仰」のところに
※日本の庶民の間においても菷神(ははきがみ・ほうきがみ)という神が宿るとされた。
とあります。
箒はただの清掃道具じゃなく、神が宿るものだったのですね。
それで子供のころ田舎の葬式に行ったことを思い出したのですが、
当時その地方ではまだ野辺送りを行っていました。
http://kameno.bne.jp/blog/archives/000359.html
上記に野辺送りの写真がありますが、野辺送りでは箒のようなものを逆さに持って野辺を練り歩きます。
逆さ箒の習慣ってここから来てるんじゃないかなあ、と思いました。
つまり、箒を立てることで葬式の真似事をして
魂をあの世におくる(追い出す)というまじないなのではないかなあ、と。
逆のことを紙に書いて逆に貼っておく、と言うのも面白いですね。
逆にすることで、反対のことが実現する、というように考えられたのでしょうか。
とても参考になりました。箒に神が宿るものだったとはしりませんでした。逆さ箒については、小さい頃母が「箒の掃く部分に手ぬぐいを巻き、誰にも見えない所にこっそりと立てかけておくと招かれざる客が早々と立ち去るのよ」と言っていました。本人に理由を聞いても、「言い伝え、風習よ」で終わっていたので、母にもこのことを話したいと思います。ありがとうございました。
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