大正時代の小説を読んでいると、「其れ」「此れ」「儘」などと漢字が多いですが(文語の影響か)。
その漢字表記の区別と言いますか、現代だと「それ」「これ」と必要以上に平仮名(ひらがな)表記の小説が多いと思います。
出版社、小説家達は何故、「此れ」「其れ」などと書かなくなったのでしょうか?
読みにくいという問題もありますが、そうすることで何か日本文化を失っているという感じもしますが、その漢字表記の問題について、どう思われているかを意見を聞きたいです(勿論、主観で結構なので)。
また、失われた漢字(と言いますか)の復活の願いもあって、漢字を正しく使いたいです。
例えば、「手紙が『来た』」と書くのか、「手紙が『着た』」と書くのか。
字の使い方がよく分からないです。
そういう漢字の使い方を詳しく解説したサイトなどありましたら、御願いします。
電子辞書を見ていると、解説が不十分なので(紙の辞書を買わなくてはならないのかなぁと)。
個人的には、明治に書かれた文書みたく、殆ど漢字の文章が好きですが。
返事が少し遅れるかもしれないです。
No.1
- 回答日時:
何故、「それ」「これ」などの平仮名書きが多くなったかと言えば、これはやはり文化庁(文部省?)が表記の基準を決めたからでしょう。
“おかみ”が表記基準を決めたことによって、学校では「指示代名詞は平仮名表記にすること」と習います。たぶん戦後すぐ?くらいから、「指示代名詞は平仮名表記」と学校で習っていると思います。今作家として活躍されている方の多くはそのような学校教育を受けてきた方だと思います。ですから、「其れ」「此れ」になじみがなく、慣れていないために平仮名表記にするのでしょう。
指示代名詞の「それ」や「これ」にしても、「其れ」「厥れ」、「此れ」「斯れ」など、複数の表記があります。ではこれらをどう区別するのかということまで考える時間があったらどれだけ文章が書けるでしょう。そしてそれだけ時間を費やして文語調にしてみても、読む人にとってみれば読みにくいだけという場合もあるでしょう。
全くの無駄とは言いませんが、もはや多くの人が今の表記に慣れてしまっている現実を考えれば、多くの作家さんが“現代表記”を使うことはやむなしと思います。作家さんは“読む人”を想定してものを書くのですから。
もちろん、個人的に、読む対象が自分だけの場合は、文語調の表記をするのも自由だと思います。かくいう私も、文語で文章を書ければと窃かに練習をしています。さらに、そうやって文語で書くからには、仮名遣いも漢字の字体も、現在の“新字”“新仮名遣い”ではなく“旧字”“旧仮名遣い”で書くべきだと思っています。
そこで私が参考にしているのは『旧かなづかひで書く日本語』(幻冬舎新書)、『旧字力、旧仮名力』(NHK生活人新書)などです。とはいえ、これらの本の中でも指示代名詞は平仮名書きだったりします(-.-)。
あと、これら文語の問題と、“正しい漢字の使い方”は、また次元が別だと思います。
「手紙が『来た』」か「手紙が『着た』」のどちらが正しいのかは、過去形ではなく現在形になおせばわかると思います。「手紙が『来る』」とはいっても「手紙が『着る』」とは言いませんよね。「手紙が『着く』(手紙が『着いた』)」とは言いますが。
このレベルでしたら、国語辞典と文法の参考書を使うべきです。
その他、同音異義語(正しい漢字の使い分け)を調べるには、『用字用語辞典』というものもあります。例えば「硬」「固」「堅」などの使い分けに迷った時には便利です。ただ、これは“おかみ”の定めた表記の基準にあわせていることが多いので、そのへんは注意が必要だと思います。
あとは文語で書かれた文章を読んで、体で覚えるしかないのではと思います。あるいは漢文をたくさん読むことも有効だと思います。
いずれにしても、個人的には、まず紙の辞書、紙の書物を第一とすべきだと思います。補助的にパソコンでサイトを見たり、電子辞書を使うのは便利ですし、上手く利用すればいいとは思いますが、頭には入ってこないような気がします。
そういいながら、あまりよい書物のご紹介もできないのですが……(^^ゞ。
少しでも参考になりましたら。
『用字用語辞典』という存在を初めて知りました。
ありがとうございます。
文学部の授業を受けてたら、文語を読める人が少なくなったことで、日本の文化が消滅したのは事実、という話しをされていまして。
時代の区切りと言っても良いかもしれないですが(正確に言うと、区切りなんて存在しないと思いますが)。
漢字の使い方、平仮名の使い方は、自分にとって非常に難しいです。
此処はなんで漢字じゃなくて、平仮名を使うの?とか。
そういう疑問を解決する方法が少し分かった気がします。
地道に、やっていこうと思います。
回答ありがとうございます。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
>出版社、小説家達は何故、「此れ」「其れ」などと書かなくなったのでしょうか?
現行の文部科学省の方針ゆえです。
私も国語を教えるとき、生徒に代名詞や、一般的に「こと」「ため」などの文末表記に漢字を用いないよう指示しています。(入試の際に無駄な悪影響になりがちですから)
ただ、若干ひねくれた作家は今でも代名詞に漢字をあてたりしますから(これはこれで「こだわり」としてならアリかも知れないですね。文学上に意味がある演出としてなら)、そう言う作家を捜されてはどうでしょうか。京極夏彦なんかそうですよね。平野啓一郎とかも。
一般的な文章でしたら現在の常識(もっとも常識に照らし合わせるなら、まあ、天下の悪文とは言われていますが、新聞記事に用いる漢字の使用が適当でしょう)を考えて、これらは平仮名表記に統一されて然るべきかと思います。
たまに学生で何を勘違いしたのか旧仮名遣いでレポート提出をする人間がいますが、殆どの場合、「旧仮名遣いが何か」を理解していないで雰囲気で使っていますから、間違いも多いですし、見苦しいだけですね。
先生によっては読みにくいだけですから(第一人に読んでもらう文章を読みにくくする人間に良い評価は出来ないでしょう…)読まなかったりするようですが。
> 読みにくいという問題もありますが、そうすることで何か日本文化を失っているという感じもしますが、その漢字表記の問題について、どう思われているか
おっしゃる日本文化が何か今ひとつわからないのでお答えしにくいのですが、別段私は現在の日本文化が日本文化ではないとは思いません。白鳳文化も東山文化も特色だけ見たらまったく異なりますが、どれも日本文化ですから。何を失っているのでしょう?その失ったものは、漢字表記を改めるだけで回復するのでしょうか?疑問です。
それに、「また、失われた漢字(と言いますか)の復活の願いもあって、漢字を正しく使いたいです。」とのことですが、そもそも正しい漢字とは何でしょうか。
所謂「旧仮名遣い」というものがつくられた仮名遣いであることは、日本語学者の中ではほぼ常識に近いかと思います。現代の所謂新仮名遣い同様、旧仮名遣いも明治政府下においてつくられたものです。ではそれ以前の仮名遣いとは何か、と言うと、当時の版本や写本などを一読すれば(活字はダメですよ、ご丁寧に旧仮名遣いになおされてますからね)如何に明治時代以前の仮名遣いというのが適当であったかがわかるかと思います。勿論漢字も適当です。私たちは中学高校で古文を習いますが、その用法がかなり的確に使用されていることは極めて稀で、どんな文章でも意味が通じないものなどでてきます。時代時代によって文法が変わるのも当たり前です。平安時代の文章は江戸時代の人間には注釈なしで読むことなど不可能に近かった代物でした。勿論誤用も多く見受けられます。現代の我々が誤るように。
言葉は、そもそも、個々人によって好きな漢字があるらしく、「人」によって漢字の使い方が異なります。異体字がバカみたいに大量にあります。意味が違うわけではなく、作者が知っている言葉を使っていっただけです。松尾芭蕉は「熱田」と書く際にいつも「熟田」と書状に書いています。可哀想なことに有名人なので、そんなのは今の時代の人間にしたら「ママ」と横に書かれてしまうような浅薄な漢字間違いですが、当時、別に当てる漢字はひとつではありませんでしたから、一概に芭蕉を間違いと言い切ることは出来ません。芭蕉以外のこの世の人全員が熱田をきちんと書けていたなら別ですけどね!
明治維新以降一気に広がった識字率ですが、それはつくられた「旧仮名遣い」のおかげです。そしてさらに世界にも稀なほど高い大学進学率を誇れているのは現行の仮名遣いが簡略かつわかりやすいからでしょう。
旧仮名遣いというものは言葉にだまされやすいですが、別段古いものではなく、戦前の日本文化の一端程度の認識しか私は持ち合わせておりません。
現在問題として取り上げるならば、無意味な「古き良き日本文化」を高らかに歌う風潮であるように私は思います。少し歴史を勉強すれば、今がどれほど恵まれているかわかることです。
しかしながら、これだけではなんなので、どうしても漢字を正しく使いたいという質問者さまに大変オススメな辞書があります。サイトの紹介を求めていらっしゃいますが、本当に正確に漢字を使いたいのであれば、インターネットでは表記されない漢字もたくさん出てくると思いますからね。辞書を購入するのが一番でしょう。
オススメはこのウィキペディアにも紹介されている辞書「大漢和辞典」です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%BC%A2% …
おそらく、現在もっとも正確な漢字の字意ならびに用例の載っている辞書です。高いし重いけど(笑)。漢字の原産地・中国でさえもうらやむと言われる日本が誇る世界最大の漢字辞書です。
漢字を極めたいのであれば、こちらをご購入遊ばされてはどうでしょう。
某大学教員は「○○時代の××の文学を真に理解するには、××と同じ素養を身につけて然るべきだ」と一心不乱に漢詩文を学ばれたという逸話もあります。
質問者さまの「漢字を正しく使いたい」というお言葉が真のものであれば、大漢和を通読し、全用例を暗記して完璧に漢字を使い分けることもできる日が来るのではないでしょうか。
そうなれば日本文化というよりも寧ろ、漢字という文化において、とてもすばらしいことですね♪
あおぞら文庫などの、芥川龍之介の作品が無料で読めるサイトなど、暇なときに見ていますが、漢字に変換出来ない様ですね。
『大漢和辞典』は授業で、お経の解釈をした時に一度使いました。
参考書籍を教えて頂き、ありがとうございます。
自分としては、漢字はどうでも良いとして(最初に書いたことが違ってますが)、文語は使える様、読める様な日本語教育を、今一度して欲しいと思います。
大学に入ってから、理系の学部に関わらず、文語が読める様になるまで労力が必要でしたが。
レポート提出のときは、自分の場合ですと「それ」「これ」と平仮名を使っています。
相手の気持ちになって考えれば、読みにくいのは当然だと思いますし。
個人的には、「これ」「それ」などを平仮名で使いますと、非常に読みにくいと思うので、自己満足で書く文章(日記、読書記録)などは、漢字を使います。
「それは月だ。」より、「其れは月だ。」の方が読み易い気がします(まぁ、主観的な話しなので、伝わらない部分かもしれないですが)。
その某大学教員の話しは、昔の講義展開をされているみたいですね。
文学に対しての評価の仕方は、変わり始めているみたいで(ロランバルトという哲学者の影響か。)。
地道に、個人的に勉強していこうと思います。
回答ありがとうございます。
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