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刑法236条1項の『強取する』の要件について、判例は、現実に反抗抑圧に至らなくとも『強取する』にあたるとしているようですが、学説は、これを否定的に解して、『強取する』にあたらず、強盗未遂罪にとどまるとしているものもあるようです。

ここで、『強取する』の構成要件が否定された場合に未遂と処理していることを考えると、この要件は、実行行為に関する要件ではなく、結果の要件として捉えられているような思うのですが、この考えは正しいのでしょうか?

もし、そうだとした場合、例えば、『強取する』の要件は、一見して、実行行為の要件にように思え、否定されれば、強盗罪の成立余地がない(恐喝罪が問題となるのみ)ように思いますし、構成要件をどのように解釈すれば良いのか迷ってしまうことになります。

もちろん、何となくは分かるのですが、条文上から、この要件は、実行行為(否定されたらその犯罪は成立しない)、結果(否定されたら未遂罪の成立余地)・・と判断する術はあるのでしょうか?

ご回答よろしくお願い致します。

A 回答 (2件)

>この考えは正しいのでしょうか?


間違いです。
そもそも構成要件とは条文の文言のことではありません。条文の文言を解釈して得られる犯罪の枠組みのことです。そこで条文の「強取した」はあくまでも条文の文言に過ぎないので構成要件該当性を考えるにはその内容を構成要件として再構成する必要があります。

そこで「強取した」とは、
1.「客観的に」被害者の反抗を抑圧するに足りる暴行脅迫
という実行行為と
2.財物の占有移転
という結果と
3.1と2との間の因果関係
を意味します(なお、故意は別論)。
判例と多数説の相違は、3の因果関係の内容です。
即ち、暴行脅迫から占有移転に至る因果関係において、現実に反抗が抑圧されて結果として占有移転があったことが必要と考えるかどうかという違いです。

判例は不要と考え、実行行為があってその結果として占有の移転が生じていれば、その因果経過において反抗抑圧の事実が現実にはなかった場合でも因果関係を否定するものではないので既遂となります。なお、ここで注意する必要があるのは、現実に反抗抑圧に至らなかったとしても一般的に反抗を抑圧するに足りる暴行脅迫である限り、実行行為性はあるということ。殺人罪で一般に人を殺し得る行為を行ったがたまたま相手が死ななかったからと言って実行行為性がないなどとは言わないのと同じです。

一方、学説の多数は、強盗罪の本質が被害者の反抗を抑圧することにあることに鑑みて、反抗抑圧という因果経過が必要であると考え、実行行為によって「反抗を抑圧された結果」占有移転が生じた場合でない限り、因果関係を欠く(正確に言うと、強盗既遂罪の成立に必要な因果関係を欠く。論者によっては、因果関係は一応あるという説明をすることがある)と考えます。因果関係を欠くのですから未遂になります。なお、恐喝罪では強盗罪の最高裁判例とは異なり、下級審判例でこの学説と同じ考え方を採っていることは注意が必要です。

というわけで、「強取した」は単なる条文上の文言にすぎず、その内容は構成要件的には行為と結果と因果関係全てを含むものであり、本件の問題はその内の因果関係の問題なので実行行為の問題でも結果の問題でもありません。

老婆心ながら、未遂は「結果が生じなかった」場合だけではなく「結果が生じたが因果関係を欠く」場合も含むというのは基本中の基本ですので、総論から基本書をきちんと読み込むことをお勧めします。
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刑事訴訟法



http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.htm …

256条
○5  数個の訴因及び罰条は、予備的に又は択一的にこれを記載することができる。

上掲のような条文があり、起訴状に予備的、択一的に記載することができます。

ご質問のような恐喝と強盗罪の成立についてですが、この成立要件は、加害者側の行為よりも、被害者側の内心(恐れおののき、自分から財物を交付する場合と、抵抗を抑圧され、取られる場合)のほうが重要な要件となります。起訴される段階では、被害者からの事情聴取により、罪状は、ほぼ1本に決せられるのではないでしょうか?
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