おはこんばんちわ。
高校の授業で遺伝子工学の実習をやっているのですが、
どうしても気になることがあったので、質問させていただきます。
大腸菌にpUC19を導入し、アンピシリンとX-gal・IPTGによる大腸菌形質転換の実験を行いました。
その後、アンピシリンを含んだ培地で数日間培養したところ、青色のコロニーの周囲に白のサテライトコロニーが確認できました。
コロニーの色が変化しなかったことから、サテライトコロニー内の大腸菌ではLacZが働いていないという結果になりました。
この時、サテライトコロニーの大腸菌は完全にpUC19を含まないものだと証明できるのでしょうか?
仮説の証明としてレポーター遺伝子をpUC19に導入するという実験方法を考えましたが、予想される結果には遺伝子が正しく導入されていない可能性も含んでしまうと言うことで、完全には証明できない、とのことでした。
サテライトコロニーが起こる理由と考えられる全ての例を挙げようとすると、無数の実験をしなければいけないということになると思うのですが…
これは証明できる方法があるのでしょうか、もしくは完全には証明できないのでしょうか。どなたかご存知でしたら教えてください。よろしくお願いします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
たぶんサテライトコロニーにpUC19は入っていません。
経験的に答えを知っているのですが、証明法をお望みのようなので、決定的な言葉は控えます。
pUC19によるアンピシリン耐性はβラクタマーゼによるものです。
βラクタマーゼとは、抗生物質であるアンピシリンを分解する酵素です。
pUC19が入っている大腸菌は、培地中のアンピシリンを分解します。
つまり、pUC19が入っているコロニーの周囲のアンピシリンは・・・
ではなぜ、pUC19の入っていない大腸菌は即座に殺菌されなかったのか。
アンピシリンなどのβラクタム系抗生物質は、細胞壁合成を阻害し、分裂を抑制します。これを静菌作用といいます。
したがって、耐性を持たない大腸菌の生命活動を即座に止める(殺菌する)ものではありません。
つまり、周囲のアンピシリンさえなくなれば、耐性を持たない大腸菌も・・・。
なお、レポーター遺伝子の考えもとても良いと思いますが、結果的にpUC19に含まれるX-galによって誘導されるガラクトシダーゼと同じことになると思います。
証明法としては、たとえば選択に用いる薬剤とプラスミドのマーカー遺伝子を、殺菌作用のある他の抗生物質に変えてみるとか、青いコロニーとサテライトコロニーから同じ操作でプラスミド抽出を試みて、どちらにプラスミドが入っているか確かめるか、などいかがでしょうか。
この回答への補足
自分は遺伝子工学はまだ習ったばかりの素人ですが、詳しい回答をして頂きありがとうございます。
実験に用いたのがpUC19とアンピシリンであることが、サテライトコロニーにpUC19が入っていないことを完全に証明できない理由だと思うのですが、もしアンピシリンではなく殺菌作用のある他の抗生物質を含んだ培地で、その抗生物質を分解可能な酵素を合成する遺伝子があるプラスミドを大腸菌に導入して培養を行えば、抗生物質の分解が起こる前に取り込まれていない菌は死滅してしまうので、培養後にはサテライトコロニーは発生しませんよね?それが培養時のサテライトコロニーにプラスミドが導入されて居ないということの証拠と言うことでしょうか。
また出来れば、青いコロニーとサテライトコロニーのように、別々のコロニーからプラスミドを抽出する方法について、もう少し詳しいご説明をお願いできないでしょうか。関連したサイトのURLでも構いません。
知識不足で申し訳ないです。
No.7
- 回答日時:
回答No.3です。
プラスミドの抽出ほうですが、
googleで「プラスミド抽出」検索したときのトップですが、
下記参考URLが良いと思います。
これはかなりちゃんとした方法なので、
STEP7,8,9は必要ありません。
サテライトのコロニー、青くなったコロニーを同じように培養し、その菌液からプラスミド抽出をしてみます。
青いコロニーからはプラスミドがとれるでしょう。サテライトの方がどうなっているのか・・・が面白いところです。
ただし、また問題点が出てきます。
アンピシリンを入れるとサテライトのコロニーは生えてこない可能性が高いのですが、
逆に、青いコロニーの培養時にアンピシリンを入れないと、本当はプラスミドが入っていたはずなのに、培養するうちにプラスミドを落とす(失う)場合があります。
プラスミドはもともと生存に必須でない遺伝子なので、必要がなくなると割と高い確立でプラスミドを失います。
質問者さんの疑問を明かす最初の実験は、
青いコロニーとサテライトのコロニーをそれぞれ、アンピシリン入りの培地、アンピシリンなしの培地両方に植えてみて、その結果どちらが生えてくるのか、を確認する事かもしれません。
参考URL:http://wiki.symplus.co.jp/doku.php/bio/プラスミド抽出
No.6
- 回答日時:
質問の回答とは違うと思いながら・・・
まず、
>サテライトコロニーの大腸菌は完全にpUC19を含まないものだと証明できるのか?
という問いの「完全に」という点について証明が難しいのです。
培地で大腸菌を培養した場合、コロニーが出来ますが、
通常、サテライトコロニーは出来ません。というか、出来ないように心がけます。サテライトコロニーが出来るということ自体がイレギュラーです。
サテライトコロニーは、ちゃんと形質転換した大腸菌のコロニーが周りの培地の抗生物質を分解したために、生えてくることができた大腸菌と考えられます。
しかし、サテライトが生えてくるところは、そもそも実験者がコントロールできていないところなので、何が起こっているかわかりません。
それで「完全に」証明することが出来ないのです。
私はサテライトコロニーは培地を37℃に長く入れすぎると出来やすいので、培養時間を長くしないように注意します(経験上でどのくらいの時間がいいか感覚的にわかります)。
そして、ひとつ重要な概念としてもっておかなければならないことがあります。
このような分子生物学的な実験は、その実験過程で必ずといっていいほど、「増幅する」過程があります。
そしてもう1つ「検出限界」というものがあります。
この大腸菌の実験で言うと、大腸菌を培地で培養するというのが「増幅する」作業にあたります。
通常、形がまんまるなコロニーは1つの大腸菌由来ですので、それは増えてはいますが、一種類の大腸菌です。
しかし、サテライトコロニーは本当に1つ由来か?ということ自体が断言できません。抗生物質が無い領域に生えてきているからです。
仮に、サテライトコロニーからプラスミドDNAを抽出したとします。
その時、抽出できなかったとしても、どうやってもそれが「プラスミドDNAは無し」とは言えないのです。それは「検出限界」があるからです。
現在、検出方法はかなり高感度になっていますが、0とはいえません。
あくまで「検出できない」であって「0である」ではないのです。
そんな検出感度で拾えないものでも、分子生物学では「増幅して」実験しますから、検出できなくても増幅する機会があるにつれ、
あら見つかった、ということがある可能性は消せません。
そういう世界でものを行っている我々は「完全に証明」することは出来ないだろうと感覚的に思います。
この、もともとサテライトはイレギュラーな存在である、
分子生物学では検出限界がある
ということから、証明は難しいと私は感じます。
というかめんどくさいです。なぜなら
そもそも、この大腸菌の作業は、遺伝子がきちんと導入された単一の大腸菌を得るための実験ですので、入っていないものを入っていないと証明する性質の実験ではないのです。
よって、普段そんなことを考えている実験者はいないと思います・・・。
No.5
- 回答日時:
もう十分に回答が出ているので蛇足的ですが、お答えします。
pUC19が導入されているかどうか、調べる目的は何でしょうか?
仮に、導入されていたとして新たなアンピシリン含有培地生えなかったり、サテライトの中心にあるコロニーは青いのにサテライトコロニーが白い時点で実験の目的に合致するプラスミドは導入されていない、と結論していいかと思いますが、如何でしょうか。
時にはすべてのコロニーが青くならないのに目的のプラスミドが入っている場合もありますけどね。
遺伝子工学の一つの重要な考え方をお伝えしますと、形質転換を含め、その前後の操作でいろいろな僅かな違いのあるプラスミドや下手すると宿主の大腸菌そのものに変異の入った株が同時に出来ます。そのなかで実験の目的に合致するものをどのように選択するかが最も重要なところです。
ここで得られたサテライトコロニーからもしかすると生物の新しい発見が得られるかもしれません。しかし、遺伝子工学的にはそのサテライトコロニーは利用価値の低い、もしくは無いものなのでそれを選択しないために、Xgalなどを使っているわけです。
>サテライトコロニーが起こる理由と考えられる全ての例を挙げようとすると、無数の実験をしなければいけないということになると思うのですが…
これはいい考え方ですね。是非、列挙してください。
そして自分で優先順位をつけたり実施可能か、どの程度の労力で可能かを考えてください。また、同じことを証明するに過ぎない実験をまとめてください。そのぐらいやると関連の専門書を読んだ時にすんなり頭に入ってくると思います。
No.4
- 回答日時:
>簡単な確認方法としては、新たなプレートにそれらコロニーを植えて、確認します。
これは、簡単な証明ともいえるでしょう。控えめに書いたので分からないようですが、これは立派な証明になります。
厳密には、アンプ+、X-gal+のプレート、アンプ-、X-gal+のプレートを用意します(さらなる組み合わせを用意してもよい)。各コロニーを同じ楊枝で、両方にストリーク(植える)します。サテライトなら、生育状況、色に、明確な違いが出ます。どう違うかはお分かりですね。
>プラスミドを抽出する方法
ふつう、アンプ+で培養しますから、サテライトは生えてきません。
No.2
- 回答日時:
もうそこまで行くと"証明"の定義レベルの問題ですね。
青くならないんだからそれで証明されたと言うこともできるし、
サテライトを植え継いでもpUC19由来の形質(アンピシリン耐性やlacZ活性)をもたないことで証明できたとも言えるでしょう。
生物学の世界の証明なんてそんなレベルです。
この回答への補足
なるほどー…数学の定理などの証明のように、コレは必ずこうなる、ときっちりとは証明はできないわけですね。全ての実験結果には不確かさがわずかながらでも、必ず伴ってしまう、ということでしょうか。
この質問をした後自分でもう少し考えてみたのですが、pUC19のアンピシリン耐性遺伝子の部分に制限酵素で別の遺伝子を導入して、アンピシリン耐性を失わせたプラスミドを大腸菌に導入してみることを考えてみました。
これでサテライトコロニーを発生させた場合、それが青くならなければ、プラスミドがサテライトコロニーに取り込まれていないということが証明できるかな、と考えたのですが…
授業として行った実験は上のものしかないので、あくまで予想でしかありませんが、そこにもレポーター遺伝子導入の際の様な不確定性が出るのでしょうかね。
とりあえず、ある程度確かであると分かったところまで証明できたら良い、ということでしょうか。
No.1
- 回答日時:
おはこんばんちわ。
おはこんばんちわ、、、ってどっかの漫画家のふるーい造語?
とても厳密には証明できないでしょうけど、普通は面倒なのと、ほかに仕事があるので、証明しないのが普通です。
簡単な確認方法としては、新たなプレートにそれらコロニーを植えて、確認します。これは、簡単な証明ともいえるでしょう。サテライト状態に植えないので。
この回答への補足
アラレチャンだったかな…結構昔に聞いたような聞いてないような
実際授業でも「これの証明に関しては、手間が掛かる上にやってもそれほど価値のある研究にはならないので、証明はされてない」ということでした。
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