No.3ベストアンサー
- 回答日時:
恐ろしくでたらめな回答があるな。
民事を前提にするよ。刑事にも棄却ってあるから。
棄却と一言で言っても、何を棄却したかによるね。
第一審の場合には、棄却とは「請求棄却」のことね。この「請求」ってのは原告が判決内容として求めたもので、例えば「被告は原告に金1千万円支払え」とか「どこそこの土地を明渡せ」とかそんな内容ね。この原告の請求に対して、その請求を法律的に正当化する理由がないから認めませんというのが「棄却」なの。だから原告の請求を認めないという意味。つまり原告敗訴ってことね。これは当然「訴訟の審理をやった結果として裁判所が出す判決」だからね。裁判が始ってもいないなんて大嘘だよ。あくまでも、裁 判 を や っ た 結 果 と し て、原告に対して「あんたの請求は認められない」ってのが請求棄却のことだから。
第二審(控訴審)だと棄却とは「控訴棄却」のことね。これは、どっちが控訴したかによるね。。例えば、原告全面勝訴の判決に対して被告が控訴して棄却なら、負けたのは被告。逆なら原告。あるいは、一部認容判決(つまり、一部勝訴)に対して双方が控訴した場合だと、双方の控訴を棄却することもあるね。そうすると、勝ち負けは一審の判決次第だ。無論一方の控訴を棄却して他方の控訴を認容(棄却の反対)することもある。そうすると、どっちの控訴を棄却したかによって勝敗が決まるね。
第三審(上告審)の場合も似たようなもん。控訴が上告に代わるだけ。
ちなみに(訴訟上の)和解は原告と被告の合意で訴訟を終了させるので裁判所は判決を出さない。だから裁判所の判決である棄却とは全然別の話。
ところで、原告の訴え自体を不適法として請求の中身を審理しないで訴えを退ける場合は「(訴え)却下」って言うの。これは裁判自体は始っているけど(業界用語では訴訟係属が生じていると言う)、請求の中身の問題じゃなくてそれ以前の問題、例えば原告が他人の権利を請求内容として訴えを提起しているとかそういう場合。
それと、訴えは訴状を出してやるんだけど、印紙を貼ってないとか訴状自体に不備がある場合は「訴状却下」って言うよ。これは裁判が全く始っていないね。
No.4
- 回答日時:
後学のためにちょっと詳しい話をしようか。
民事訴訟ってのは、大体次のような流れなのね(あくまでも民事で刑事は違うからね。民事の請求棄却に該当するのは刑事では無罪判決であって刑事での公訴棄却は民事での訴え却下に近い)。
1.訴状を裁判所に出して訴えを提起する。
2.訴状を相手に送達する。ここで初めて訴訟が始る(訴訟係属が生じる)。
3.口頭弁論で言いたいことを言って、その言いたいことが本当だということを裁判官に納得させるために証拠調べで証拠によって証明をする。
4.裁判官が両当事者の言っていることと証拠を吟味して結論を判決として出す。
まず、訴状を出すんだけど、訴状に不備があることがあるの。必要なことが書いてないとか、印紙が貼ってないとか。そうすると、その不備によっては補正をさせるの。だけど、補正できないあるいは補正しない場合があるのね。そうなると、訴「状」を却下するの。この場合、訴状は相手に送達しないから裁判が始りもしないの。
訴状が却下にならず、送達ができれば訴訟が始る。訴訟が始まったら当然終わる時が来るんだけど、その終わり方が幾つかある。
一つは、当事者の意思による終了。一つは、裁判所の判決による終了。
当事者の意思による終了ってのは、訴えの取下げとか訴訟上の和解とかってやつ。訴訟上の和解ってのは両当事者が紛争についての一定の解決策を合意して、この裁判で争っている問題は解決したからもう良いですってわけね。当事者が良いって言ってるんだからもう裁判所は判決を出さない。
裁判所の判決による終了は、原告の求めている内容の当否を判断する本案判決というのと、そもそも原告の訴えは不適法だからその内容の当否以前に訴え自体を認めませんという訴訟判決とがある。
後者の訴訟判決というのは、訴えの却下というんだけど、これは例えば、途中で当事者が死んでその訴訟を引き継ぐ者がいないとか、他人の権利を主張しているとか、原告の言っていることについて判決を出しても問題解決にならないとかそういう場合(総称して訴訟要件を欠くというんだけど、訴訟要件の一つである管轄が違っているという場合だけは移送になって却下にはなならない)。ただ、これは本案と同じく裁判過程で審理するから、あくまでも訴訟自体は成立しているよ。
そんで、本案判決というのは認容判決と棄却判決とがあって、認容判決は原告の言い分を認める判決。棄却判決は認めない判決。一部認容判決というのは、原告の言い分の一部だけを認める判決。裏返せば、一部棄却判決でもあるわけ(普通はこういう言い方はしない)。
というのが大体のところなんだけど、これはあくまでも一審の話。控訴審、上告審をまとめて上訴審と呼ぶけど、上訴審においては、上訴した当事者の上訴内容が審理の対象になるから、原告被告と上訴人被上訴人は必ずしも一致しない。原告の請求を全面的に認容した場合だと原告は上訴できないの。意味がないから。なぜなら、上訴とは原判決に対する不服申立だから、全面勝訴して不服があるはずがないから(過去問題になった首相の靖国参拝の違憲訴訟ってのは原告の請求を全面的に棄却したわけなんだけど、そうすると被告の国は上訴できないのね。だけど、棄却の際の理由付けが問題だったわけ。ところがあくまでも理由は理由でしかないから結論に不満がない限り文句は言えないというのが現行の訴訟制度。そうしないと無駄な審理が増えちゃうからしょうがないんだけど、そういうことを考えると、裁判には結論に影響しない余計な理由をつけてはいけないという主張には一理ある)。すると、上訴するのは被告しかないわけだ。被告が上訴すれば、被告が上訴人になるから。逆なら原告が上訴人になるね。それで、上訴でも上訴自体が不適法で却下判決になる(例えば、上訴期間が過ぎた後の上訴とか)ことはあるし、上訴人の言い分を認める場合には認容、認めない場合には棄却の判決となる。すると、上訴を対象に認容、棄却を判断するから、上訴人が誰かで話が変わっちゃうわけだ。
なお、上訴を認容した場合に、原判決を破棄自判する場合と原審に差戻す場合とがあるのは、新聞でもおなじみだね。特に上告審では、法律解釈についての審理しかしないので事実認定の誤りは基本的に問題にしない。もちろん、認定した事実の法的評価の誤りの場合には上告審でも問題にすることはある。で、評価の誤りとか法律解釈の誤りを正しただけで結論が出せるならそのまま破棄自判する(もっとも、正したけど結論が変わらない場合というのもある。その場合は、上訴を棄却する)けど、法律解釈の誤りを正したら、結論を出すに必要な事実の存否について原審が判断していないことがよくあるのね。原審では法解釈が誤っているせいで必要ないと思っていたが実は必要だったってわけ。その場合には、上告審では事実の存否の判断はしない(とてもやってられない)からその点の審理ちゃんとやれってことで差戻すの。よく、差戻しに対して、いつまでも終わらないって文句をいう人がいるけど、制度上しょうがないんだよ。元々、中途半端な状態で判決を出してしまったということなんだから、中途半端な審理を最後までやれというのはしょうがないでしょ?それに、審理不十分だから不十分なところをやり直せと言っているんであって、別に一から全部やり直せと言ってるわけじゃない(その辺勘違いしているんだろうね)。だからいつまでも終わらないわけじゃない。審理すべき内容が限定的だから比較的早く終わるしね。
No.2
- 回答日時:
結果を「勝ち負け」で捉えると「負け」となるんだけど、そもそも「棄却」とは「理由がないとして請求そのものが排斥される」なんで、裁判が始まってもいない(請求自体が存在しないことになっている)ので敗訴以前の問題です(この段階では、話し合いは行われていないでしょうから、和解も考えられません)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%84%E5%8D%B4
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