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並列コンピューター 生物の脳

こんにちは.生物の脳は並列コンピューターであり,現在のコンピュータとは情報処理の仕方が異なる,ということを聞いたのですが,

これは,生物の脳は,情報処理を行う部門というか,処理をする個所が沢山あって,同時に色々なところで情報が処理されている,ということでしょうか.

(1)ということでしたら,脳の情報処理の単位とは大きさが随分ことなると
思うのですが,凄く沢山のマイコンを並べて脳のまねごとはできないのでしょうか?

ところで,もう一点質問が御座います.
(2)そもそも,脳の情報処理の方式が,並列,ということはなぜ分かったのですか?
なぜ,並列だ言えるのでしょうか.その根拠が知りたいです.

とても基本的なことだと思いますが,どうかヒントでも
頂ければとても助かります.

A 回答 (2件)

こんにちは。


#1です。回答をお読み頂き、ありがとうございます。

>脳が解剖学的に三系統の並列構造なのはどうして分かるのか?

これはポール・D・マクリーンの「脳の三位一体説」によるものです。
我々の脳は、
「生命脳:脳幹以下脊髄まで」
「情動脳:大脳辺縁系」
「理性脳:大脳皮質」
この三層構造に機能分化しているというのがマクリーン博士の説です。
これは、我々哺乳類が生命機能と情動機能を有する爬虫類の脳を土台に、そこに大脳という新皮質を発達させたからです。

脊索動物は脊椎動物の前身であり、大脳辺縁系の起源は魚類にまで遡ります。動物の脳が三層構造に進化してきたことは「解剖学的な比較」によって探り出されました。では、それがどのような機能を持つのかというのは脳科学によって研究されることです。現在、この「三位一体説」は脳科学において主流の考え方になっています。

参考:ポール・D・マクリーン著「三つの脳の進化(工作舎)」
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こんにちは。


複数のCPUが同時に稼動するというならば脳は並列コンピューターです。歩きながら呼吸をし、考え事ができるのは、呼吸中枢が独立しており、運動中枢が知覚中枢の情報を基に歩行運動を制御し、大脳皮質が今日の仕事の段取りを付けているからです。このうち、視覚処理と思考は大脳皮質の別々な領域で行われており、歩行運動は小脳などの補正機能でもってほとんど自動で賄われています。ただ、この辺りで並列処理を説明するのはたいへん厄介な話になりますし、ご質問に最も近い「脳型コンピューター」ということでしたら、次のような例が最も興味深いと思います。

少なくとも、我々の脳内で行動選択に関わる中枢は以下のように三系統に分かれており、それぞれが並列回路として接続されていることは解剖学的に確かめられています。
「本能行動:生命中枢(無条件反射):本能行動(無意識行動)」
「情動行動:大脳辺縁系(情動反応):学習行動(無意識行動)」
「理性行動:大脳皮質(認知・思考):学習行動(意識行動)」
例えば生殖行動といいますのは本能行動の系統によって処理されるものです。そしてこれにより、性的報酬や刺激が繰り返されますと、やがて情動行動の系統に特定の異性に対する恋愛感情が学習されます。性的欲求だけでしたら相手は誰でも構いません。ですが、ここで恋愛感情が並列処理されますと、果たしてそのひとでなければどうしても嫌だという結果が選択されます。
では、三つ目の理性行動の系統ではどのような処理が成されるのでしょうか。
例えば、
「理性行動:好きならば告白すれば良い」
「情動行動:とてもそんな勇気はない!」
あるいは、
「理性行動:ふられたならば諦めるしかない」
「情動行動:そんなに簡単に諦められない!」
並列コンピューターを作るならば複数のCPUを並列に繋いでやれば良いだけの話です。ですが、脳のように機能的に独立した回路を作りますと、必然的にこのような複数の「対立する結果」が発生することになります。
脳が本当に並列であるかどうかは問題ではありません。少なくとも、このような複数の結果を扱うことができるということは即ち並列処理と同じことなんです。そして最も肝心なのは、コンピューターではそれができないということです。因みに、結果が対立しても停止することのできない我々の脳は、このようにして発生する矛盾を「苦悩、悩み」として処理しています。

生体脳を作るというのは並列コンピューターを作るのではなく、「脳型コンピューター」を作るということです。脳とコンピューターのもうひとつ大きな違いといいますならば、コンピューターではCPUとメモリーが別々になっているのに対しまして、脳ではそれがはっきりと分離していないということです。
CPUとメモリーが分離していないということは、脳内では学習記憶がそのまま演算処理に使われてしまうということです。これがどういうことかと言いますと、極端な話、我々の脳内で新しい学習が成されるたびに常にプログラムが書き換えられているということです。
このため、我々の脳には最終的なプログラムというものがありません。人間の脳容量に匹敵する部品を用意するというのは近い将来にそれほど困難なことではないと思います。ですが、全ての結果を見越してプログラムを設計してゆくという現在の手法では、やはり脳型コンピューターの製作にはほとんど適していないということになります。
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この回答へのお礼

回答頂きましてありがとう御座います.
とても勉強になりました.
第一に,内容がとても面白いですね.ビギナーの私でもかなり想像力を掻き立てられて,イメージがしやすいです.
第二に,回答者様の文面がとても分かりやすい.正直,感動してしまいました.
分かりにくい話を,具体例を挙げて,改行や鍵カッコを巧みにつかって,見やすく読みやすく,理解しやすくしています.一つの授業を受けた気分です.

ところで,
>脳内で行動選択に関わる中枢は以下のように三系統に分かれており、それぞれが並列回路として接続されていることは解剖学的に確かめられています。
とありますが,どうやって解剖学的にこんなことが分かるのでしょうか?

生物の授業でよくあることですが,何かしらの生物の生理学的機構について
模式図をだされて,こうなっているのです,と言われてもそれをどうやって導き出したの
だろう,と良く思うことがあります.例えば,イオンチャネルとかナトリウムポンプとかですが.  以上はただの蛇足です.

お礼日時:2010/09/16 19:56

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