No.3ベストアンサー
- 回答日時:
まずは地図を見ていただきたい。
フランスの国土がどれだけ恵まれているか分かるはずです。山らしい山がなく、ほとんどが平地です。河川にも恵まれています。国土面積は日本の2倍近い。その日本は国土の2/3が山地なのです。それでフランスの人口は日本の1/2しかないのです。
これで何が読み取れるか。土地が有り余っているが、労働力に依存した農法では土地の生産力を活かせないということなのです。フランスは西欧では歴史的・伝統的に農業国であり、決して第二次世界大戦後に農業国に変ったわけではありません。隣のイベリア半島を見てください。山ばかりでほとんどまとまった平野が見つかりません。このように他の国と比較することでフランスの国土がどれだけ恵まれているか、より深く理解できるはずです。参考文献など要りません。こういうことを読み取る能力を養えば済む話です。また地図からはフランスが大西洋にも地中海にも面していることが分かります。つまり内陸の農産物を港まで運べば、いくらでも海運で輸出できるということなのです。これも恵まれた条件です。
次に第二次世界大戦後に何が変ったのかを考察してみましょう。戦前は欧米列強がアジア・アフリカを中心に植民地化し、そのブロックをお互いに囲みあっていたということです。フランスもアルジェリア・インドシナなどを植民地化し世界帝国を築き上げていました。それはフランス農業にとっては利益にはならないのです。アメリカやイギリスなどは自分の植民地から安く農産物を輸入できるので、フランス産品を買わなくても間に合ってしまう。またアメリカやイギリスの植民地にも輸出できない。関税をかけられるので競争力を保てないからです。ではフランスの植民地はどうか。アルジェリアは地中海沿岸地方で小麦が採れるし、インドシナは米を産出する農業国で、しかも購買力が乏しい。結局、戦前はフランスがいくら農産物を輸出したいといっても、輸入してくれる国がほとんど無かったのです。それが戦後どう変ったか。戦後、アジア・アフリカ諸国は独立し、アメリカを盟主として世界的な自由貿易圏が構築されたのです。もう囲い込みは止めて品質・価格で自由に競争しましょうというのです。フランス農業は品質・価格で競争力をつければ、作れば作るだけ輸出できる条件が整ったということです。
先に説明したように土地面積に比べて人口が少ないフランスは労働力依存農法では、生産性を高められない。ではどうするか。肥料・農薬・電力・石油を活用することで農業は生産性を上げられます。フランスは原子力発電を推進することで安価な電力を入手しました。フランスは原子力発電によってイタリアなど周辺諸国に輸出できるほどの発電能力があるのです。なんせ国土が広く、大西洋・地中海に面しているので原発立地にも不自由しない。またアルジェリアや中東などの産油国から輸入した石油も農業に活用しました。これも戦後の自由貿易圏のおかげなのです。農業の近代化は労働力依存から、エネルギー依存への転換に他なりません。またフランスは政策的に農地の集約化・大規模化を推進しました。これで軽飛行機やヘリコプターで効率良く農薬を散布できるようになります。フランス農業は機械化・効率化などの近代化を果たし、品質・価格で国際的競争力を得て、少ない農業人口でも高い生産力を誇り、国連の常任理事国という政治的に有利な立場でもあって、何一つも障壁が無い、向かうところ敵なし状態です。
以上のようにフランスが農産物の世界屈指の輸出国になったのは、フランスの努力もさることながら、諸条件に恵まれ、第二次世界大戦後の自由主義貿易圏構築で説明できます。
初めて見てびっくりしました。まさかこんなに詳しく書いて頂けるなんて…。
しかも、本当に地図を見ただけでこんなに深い考察が?ってくらい詳しく、的確な回答で驚きました。
地理や歴史が苦手な私でも、とてもわかりやすかったです。だいぶ使わせて頂きました。
本当にどうもありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
穀物単収の推移が 図1
戦前のフランス農業は粗放ともいえる。欧州先進国では一番一番生産性が低い
それが戦後には成長して、ドイツ並になる。
表2にあるように、ガッツン ガッツンと肥料を投入しています。
つまり「金を掛ける農業へ」
なぜ金をかけるようになったかというと。先後の CAPで売れる見込み、売れなかったら、フランス本国だけでなく、ドイツも保証してくれるという裏がつけられたので
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%B1%E9%80%9A% …
表組みやグラフはかなりありがたいです!使わせて頂きました。
この共通農業政策で、フランスはかなり動きやすくなったんですね。
お金をかけても事足りて、効率のいい生産に向かい始めたんですね。
いいサイトや情報を教えて下さって、ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
・病虫害を抑制し、清潔な食糧生産のための、農薬・化学肥料の投入
・意欲ある優秀な農家に土地を集約、農業従事者は労働力の約3%。1955~2000年で農家の数は3分の1に減少し、相対的に1農家当たりの農地面積、経営規模が拡大した。
穀物、食肉、酪農製品などの農産物・食品ではヨーロッパ最大の輸出国であり、ワインの生産量は世界第1位。近年、小規模ブドウ園は急速に減少して、大規模経営下で高級品化がすすめられている。
・EC・EUの共同農業政策により、域外からの安価な食料の輸入を、抑えながら、
域内共同価格・農家への補助金により、農家の収入を保証しながら、食料価格は安価に抑える政策が
長年にわたり、フランスに幸いし、輸出量を増やした。
(現在は、その反動で、財政悪化、農家の収入低下に苦しんでいるが)
質問内容にとてもマッチしていて助かりました。とくに2つめの前半と3つめで、更に話を発展させることができました。
丁寧な回答で、わかりやすくて本当に嬉しいです。
ありがとうございました。
…現在は反動で苦しんでいるんですね。
No.1
- 回答日時:
武器輸出大国というのは良く承知しているのですが、農業面でもですか。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Agriculture_en_France
のあたりからチェックしていけばいかがですか。
フランス語が読めなくて、日本語で調べ直させて頂きました。
そもそも武器輸出大国というのが初耳です…。あんまりフランスにそういったイメージがありません。
ご回答ありがとうございました。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
おすすめ情報
- ・漫画をレンタルでお得に読める!
- ・人生のプチ美学を教えてください!!
- ・10秒目をつむったら…
- ・あなたの習慣について教えてください!!
- ・牛、豚、鶏、どれか一つ食べられなくなるとしたら?
- ・【大喜利】【投稿~9/18】 おとぎ話『桃太郎』の知られざるエピソード
- ・街中で見かけて「グッときた人」の思い出
- ・「一気に最後まで読んだ」本、教えて下さい!
- ・幼稚園時代「何組」でしたか?
- ・激凹みから立ち直る方法
- ・1つだけ過去を変えられるとしたら?
- ・【あるあるbot連動企画】あるあるbotに投稿したけど採用されなかったあるある募集
- ・【あるあるbot連動企画】フォロワー20万人のアカウントであなたのあるあるを披露してみませんか?
- ・映画のエンドロール観る派?観ない派?
- ・海外旅行から帰ってきたら、まず何を食べる?
- ・誕生日にもらった意外なもの
- ・天使と悪魔選手権
- ・ちょっと先の未来クイズ第2問
- ・【大喜利】【投稿~9/7】 ロボットの住む世界で流行ってる罰ゲームとは?
- ・推しミネラルウォーターはありますか?
- ・都道府県穴埋めゲーム
- ・この人頭いいなと思ったエピソード
- ・準・究極の選択
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
-
農薬の欠点・利点
-
コメ不足だとメディアが煽って...
-
何故、コメの生産調整(減反)...
-
農産物純輸入国とはどのよう意...
-
逆輸入と輸出は同じ意味ですか?
-
スーパーに行ったら、コメの棚...
-
この自民党の、農家を増やそう...
-
TPPに参加しなかった場合に輸入...
-
補助金政策について
-
中国の人口増加抑制策(出産制...
-
円高時の輸出について
-
最近輸入食品が本当に多い。
-
フランスが農産物輸出大国にな...
-
食べ残しを減らすとなぜ食糧自...
-
★前原氏「TPP交渉に参加すべき
-
TPPの参加時期について
-
チーズ関税の低減で牛乳が余る...
-
貿易赤字の状態になると、GDPの...
-
戦後の財閥解体、農奴解放(小作...
-
「お米」を売っていません
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
コメ不足だとメディアが煽って...
-
何故、コメの生産調整(減反)...
-
コメ不足は大企業に農業参入を...
-
「お米」を売っていません
-
米品不足だから玄米を農家出荷...
-
農産物純輸入国とはどのよう意...
-
店頭から米消えた
-
スーパーに行ったら、コメの棚...
-
輸出主導型とはなんですか?
-
農地改革を、もししなかったら...
-
実際のところ農家って頭は良く...
-
逆輸入と輸出は同じ意味ですか?
-
今年、米不足なら、また混合米...
-
インドの飢餓状態について
-
あなたが「日本株式会社」の社...
-
補助金政策について
-
農薬の欠点・利点
-
中国はいつ崩壊するのでしょうか?
-
日本以外の先進国の食料自給率...
-
中国の三峡ダムの崩壊は嘘とデ...
おすすめ情報