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社会人で、現在教職の勉強をしています。

質問ですが、適応機制の「代償」と「置換」の違いがよくわからず困っています。
両者はどのように異なるのでしょうか?


教員採用試験の練習用問題集の中に以下のような設問がありました。
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(教育心理)
○各文章と関連の深い事柄を選択肢から答えなさい。

1.父に叱られた不満から、父が大切にしていた器をわざと割った。
                                (A.置き換え)
2.かなえられなかった自分の夢を、子どもに託す。
                                (A.代償)


--------------------
この両者の違いがよくわかりません。

「本来の目標によって満たすことができない欲求を、他の目標や目的で満たそうとする」点でいえば、この設問の状況は、どちらもそう変わらないような気がしています。

ネットで調べてみたところでは、「代償」と「置き換え」を同じものとして扱っているところもあり、余計に混乱してしまいました。
実際のところ、この両者は同一なのでしょうか?異なるものだとしたら、何が違うのでしょうか?

A 回答 (2件)

適応機制のもとは、防衛機制(defense mechanisms)と呼ばれる、当初は精神分析学において提唱された、自我防衛のための、無意識的に執られる行動です。


ジグムント・フロイトの娘である、アンナ・フロイトによれば、10種類の防衛機制が分類されましたが、その後、その種類は拡大されています。
基本的なものは、
1.抑圧
2.転換
3.反動形成
4.隔離
5.打ち消し
6.投影(投射)
7.同一化(同一視)
8.昇華
9.置き換え
10.合理化
11.知性化
です。
なお、アンナ・フロイトによれば、8.昇華と、9.置き換えとは、同じものだとされます。

適応機制という場合には、人の欲求不満(frustration)にある場合、それを解消し、適応を維持するために取る行動ということになり、本来の防衛機制とは、概念的には異なります。
考え方にもよりますが、この適応機制のなかに、1)攻撃、2)逃避、3)防衛機制の3種類が含まれるとすることが多いようです。

まずは、この辺りについて、心理学の概論書なり、心理学事典なりで区別と、具体的な適応機制の意味を区別されることが必要です。

また、代償(substitutionまたは、代償行動substitutive behavior)は、防衛機制には含まないことが多いと思われます。

さて、その上で、ここでご質問の適応機制の行動については、次のように定義されています:

・置き換え=ある受け入れがたい感情、欲求をより受け入れやすい関連のある対象に振り向けること。たとえば、父への恐怖を馬恐怖に置き換える場合など

・代償(代償行動)=欲求不満の状態において、当初の目標と類似した、同質の意味を持つ別の(多くは、強く、大きな障害に出会わずに済む)代理的目標を新たに設定して、それの実現を目指す対応を取ること。代理的目標が、当初の目標と、機能的に類似しているほど、代償性が高い(満足度も高い)とされます

おっしゃるように、
>「本来の目標によって満たすことができない欲求を、他の目標や目的で満たそうとする」点でいえば、この設問の状況は、どちらもそう変わらないような気がしています。
と思われますが、「置き換え」については、定義に「受け入れがたい感情、欲求」とありますように、マイナスの感情や欲求が前提とされています。
教員採用試験の練習用問題集の例では、「父に叱られた不満」が出発点となっています。

これに対して、代償行動では、「欲求不満の状態において」とあります。
欲求不満に陥る場合、その「欲求」は、人が達成したい、あるいは、接近、獲得したいものとして、つまり、その人にとってはプラスの意味を持つ目標が設定されていることが、前提となっています。

このように、「本来の目標によって満たすことができない欲求を、他の目標や目的で満たそうとする」点でいえば両者は類似しているとみることもできますが、その前提となる条件、事態が、プラスの欲求・感情を想定しているか、あるいは、マイナスのものを前提としているかという点で、異なっていると考えることができます。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

2つの違いがよくわかりました。
「置き換え」の「受け入れがたい感情・欲求」というものが行動の源になっているのに対し、
「代償」には「置き換え」にあるような激しい(もしくは負の)情動は伴っていないのですね。
No.1の方の回答にもあるように、「心のあり方」がはっきりと異なっていることが理解できました。
この点をふまえると、「代償」の心理状態は、「置き換え」よりも「補償」の方に近いような気がしてきますが、
「代償」と「補償」の区別は容易なため、判別に困ることがなくなりました。

詳細の区別のため、先日、図書館で心理学辞典を利用してきました。
地方の図書館のためか十分な辞書は置いていませんでしたが、
防衛機制と適応機制の違いや、「代償」は狭義の適応機制に分類されるものの、上記の心理状態の区別によって防衛機制には区別されないこと等々、防衛機制の分化の過程や現在における意味の区別は、おぼろげながらわかってきました。

大変わかりやすい説明でとてもよく理解できました。
また、適応機制を深く知るきっかけにもなり、今後のために大いに役立ちそうです。
ありがとうございました。

お礼日時:2011/07/12 23:09

こんにちは。


適応規制とは、何らかの願望が阻止された場合、現実の問題を解決するためではなく、その状況に精神的な適応を施すために発動するものです。
この二つの設問の違いは、1は報復であるのに対し、2は報酬であるということです。共に願望の達成を別な形で補っていますが、心のあり方が正反対です。キーワードは「精神的適応」です。
適応規制の類型には他にも様々なものがありますが、出された事例でその的確な分類を行うというのは至難の業です。ですが、教員免許を目指しておられるということですからそうも言っていられません。適応規制に限らず、その概念の定義というものをしっかりと噛み砕き、「設問の意図」を見極める策を執って下さい。先生になるのですから、どうか頑張って頂きたいです。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

2つのケースの違いがようやく飲み込めました。
たしかに(1)では怒りの感情・激しい情動を伴っているのに対し、(2)ではそうした状態ではありません。
ご指摘のとおり「心のあり方」が全く異なっていることが理解できました。

詳しく調べようと思い週末に図書館に行ってきましたが、満足な辞書がなく、「精神的適応」に関しては十分な情報が得られませんでした。
しかしながら、適応機制に関して様々な類型があることや、それぞれの定義についてはある程度把握することができました。
この設問以外にも判別がややこしいものがいくつかあり、おっしゃっておられるように、的確に識別するにはなかなか骨が折れそうです。「概念の定義」を理解し、頭の中にその形態をしっかり構築していくことがいかに重要であるかを身にしみて実感ています。

目標の使命と意義を改めて見つめさせられる思いです。
ありがとうございました。

お礼日時:2011/07/12 22:55

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