いちばん失敗した人決定戦

こんにちは。化学を勉強しているものです。
2つ質問があります。

塩化ナトリウム水溶液の電気分解では陰極で水素が発生しますが、
そのことを表す次のような化学反応式をよく目にします。

2H2O + 2e(-) → H2 + 2OH(-)

(1)
これは一体どこから出て来た式なのでしょうか?
説明もなく、いきなり書かれているので分かりません。
というか、これはこうものだ!と暗記するようなものなのでしょうか?

(2)
あと、電圧がそれほど高くないのに、H2O分子が電子とこのように反応するのなら、
純水中でも水分子が反応して、電気分解が起こり、
結構簡単に水素が反応するんじゃないかと疑ってしまいます。
それとも何か条件があるのでしょうか?

どなたかお願いします。

A 回答 (4件)

陰極では電子を受け取る反応が起こります。


この起こりやすさは物質の種類(反応の種類)と濃度の両方に関係します。

食塩水の中には正イオンとしてはNa^+が存在します。でもこのイオンは水溶液中では反応しません。
H^+も存在しますが濃度が低すぎます。
たくさんあるH2Oが電子を受け取って変化します。

反応の起こりやすさの目安になる標準電極電位の値を調べてみます。
N^++e^- ⇒ Na  -2.71V
2H2O+2e^- ⇒ H2+2OH^- -0.83V
(2H^+2e^- ⇒ H2 の変化を基準にした値です。)

酸性溶液であればH^+はたくさんありますからH^+が反応します。中性付近、またはアルカリ性溶液では濃度が極端に低いです。
(その低い濃度のH^+をHに変えて、さらに2つくっつけてやらないといけません。ちょっと無理だと思いませんか。以前は水の電離平衡で生じるH^+、またはOH^-が反応するという説明がされていました。
でもこの電離で考えた場合の平衡移動の速度はかなり遅いそうです。泡がぼこぼこ出るような反応の速さはとても期待できないものだということで書きかえられたのです。高校の教科書でこの書き変えが行われたのはもう20年ほども前の話です。)

電気分解に必要な電圧はどれも数ボルトです。
これは電池の起電力が数ボルトであるということと同じ内容のものです。電池と電気分解は逆の関係にある化学反応です。反応によって生じるエネルギー差は同じようなものなのです。

1Vという値が曲者ですね。数千とか数万ボルトとかであれば高いと思うのに、・・・です。
空気中で放電させようと思えば高電圧が必要です。だいたいの目安は電極間の距離が1cmで一万ボルトです。
でもこの数字にはトリックがあります。電位差自体の数字に意味があるのではなくて電位差の勾配に意味があるのです。1cmではなくて1mmに近づければ1000Vで放電ができるようになるのです。この勾配は同じ割合で考えると1μmで1ボルトです。電解質溶液の中では電極表面の直ぐ近くでこれくらいの電位勾配が出来ています。電極間で一様な電位勾配が出来ているのではありません。かけた電位差のほとんどすべてが電極表面の直ぐ近くに集中して存在するのです。逆にそれ以外のところでは「電位勾配はほとんど存在しない」に近い状態です。電解質の存在していない純粋な水の中であればこういう電位勾配は実現しません。1cmの間隔で1Vが一様な勾配でかかっているとすると反応は起こりません。
反応に関係していなくてもそういうイオンが存在することによって低い電圧でも電極表面近くに電位勾配が集中することが実現しているのです。

ほとんどの電圧(電位差)は電極表面の狭い範囲に集中して存在するということがあるからこそ電気分解に必要な電圧は試験管でやってもビーカーでやっても工場の電解槽でやってもあまり変わりがないということが出てくるのです。

>これはこうものだ!と暗記するようなものなのでしょうか?

2H^++2e^- ⇒ H2  (1)
だったら書くことができるのではないでしょうか。

2H2O+2e^- ⇒ H2+2OH^-  (2)
還元されている元素は同じです。変化の大きさも同じです。
出発物資が異なるだけです。
従ってH^+をH2Oに変える手続きを施せば式(1)から式(2)は出てきます。
式(1)の両辺に2OH^-を加えればいいです。
2H^++2OH^- ⇒ 2H2O
とすれば式(2)が出てきます。

※ エネルギーとしてみる場合、1Vという値は結構大きなものなのです。
1Vの電位差のあるところで電子1つを加速した時に電子に与えられるエネルギーを1eVと言います。
原子物理ではよく出てくるエネルギー単位です。これにアボガドロ数をかけると1モル当たりのエネルギーが出てきます。96.5kJになります。これだけのエネルギーを加熱でやりとりすることを考えるとおおよそ1万度になります。少しぐらい加熱しても起こらないような反応が電気分解では簡単に起こるということが理解できるのではないでしょうか。水を加熱しても水素と酸素には別れてくれません。
水素のイオン化エネルギーは13.6eVです。10万度以上ということですから極端に難しいことだということになります。化学反応では反応式に出てくる物質以外の物質(反応する物質が置かれている環境を作っている物質)が重要な働きをしているだろうということも言えそうですね。
 

この回答への補足

詳しい説明ありがとうございます。
また、返信遅くなってすみません。。。ネット環境に無かったもので。

電極表面の電位勾配については参考になりました。
(1)の質問に関してなのですが、

>従ってH^+をH2Oに変える手続きを施せば式(1)から式(2)は出てきます。

とあります。これは、
「標準電極電位(初めて知った言葉なのであとで勉強します)的には、
ナトリウムよりも水分子は酸化されやすくてH^+とOH^-に電離しやすい、
そして、2H^+ +2e^- = H2 の反応が起こる。」
ってことでしょうか?
最終的には2H^+ +2e^- = H2 の反応で水素が発生すると思うのですが、
H^+がどのようにして発生するのかが分かりませんでした。


(2)の、「純水では水が電離しない理由」については
>電解質の存在していない純粋な水の中であればこういう電位勾配は実現しません。
>1cmの間隔で1Vが一様な勾配でかかっているとすると反応は起こりません。
>反応に関係していなくてもそういうイオンが存在することによって低い電圧でも
>電極表面近くに電位勾配が集中することが実現しているのです。
とあります。

私は単純に純水中では酸化還元反応に必要なイオンが足りないからだと思っていましたが、
イオンの数そのものではなくて、それによって引き起こされる「電位勾配の集中」が重要だということですね。

何度もすみませんが返答いただけますでしょうか?

補足日時:2012/05/29 02:15
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この回答へのお礼

すみません間違えて補足をしてしまいました。

あと表記についても誤りがあります。
×(2)の、「純水では水が電離しない理由」については

→(2)で、「純水では電気分解が(殆ど)起こらない理由」

です。

お礼日時:2012/05/29 02:48

>>従ってH^+をH2Oに変える手続きを施せば式(1)から式(2)は出てきます。



>最終的には2H^+ +2e^- = H2 の反応で水素が発生すると思うのですが、
 H^+がどのようにして発生するのかが分かりませんでした。

ご質問の意味がよくわかりません。
2H^++2e^- ⇒H2 (1)
2H2O+2e^-⇒H2+2OH^-  (2)
この2つの式はどちらもH2が生じています。でも全く別の式です。
(2)からスタートして(1)を通ってH2を生じるのではありません。
ただ式の上で「形式的に移行させることはできる」というだけです。
それが(1)の両辺に2OH^-を加えたという操作です。
(1)の反応機構と(2)の反応機構は異なります。必要な電位が異なるというのはそれを表しています。
水の中にたくさんあるH^+が電極表面で電子を貰って変化したというのと水分子が電極表面で電子を貰って変化したというのは異なる反応です。
濃度が変われば必要な電位が変化します。H^+が多い時には(1)の変化が起こっやのに、H^+の濃度が低くなると(1)の変化が起こりにくくなるのです。水の濃度はほとんど変わりませんからあるところで(2)の変化の方が起こりやすくなってしまうのです。ただこの場合、イオン(支持電解質)の存在が必要です。

>私は単純に純水中では酸化還元反応に必要なイオンが足りないからだと思っていましたが、
>イオンの数そのものではなくて、それによって引き起こされる「電位勾配の集中」が重要だということですね。

「酸化還元反応に必要なイオンが足りない」というのは反応するのはイオンであるという前提での話ですね。しかし中性のH2Oが反応するということで疑問が生じたのでしょう。「そうであれば反応しないイオンは要らないのではないか」という疑問です。「電場勾配の集中」がポイントだと書いたのはそれに対する回答です。「支持電解質」と言われているものの役割も同じです。反応によって生じたイオンの濃度変化が電場勾配を打ち消してしまわないようにするためにもある程度の濃度が必要です。
反応によって生じるイオンの濃度変化が電場の変化を生に引き起こせば電解はストップしてしまいます。電極付近で起こると言われている逆起電力とか分極とかもこれとの関係で考えればいいです。
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この回答へのお礼

返信ありがとうございます。

>(2)からスタートして(1)を通ってH2を生じるのではありません。
  ただ式の上で「形式的に移行させることはできる」というだけです。
  それが(1)の両辺に2OH^-を加えたという操作です。
  (1)の反応機構と(2)の反応機構は異なります。
  必要な電位が異なるというのはそれを表しています。

電子のエネルギーでH^+がバラバラになって、(1)が起こると勘違いしてました。
そういう反応ではないんですね。
標準電極電位が分からなくて後で勉強しようと思っていたのですが、
そこをまず理解しないといけないようですね。


>「そうであれば反応しないイオンは要らないのではないか」という疑問です。
 「電場勾配の集中」がポイントだと書いたのはそれに対する回答です。
 「支持電解質」と言われているものの役割も同じです。


かなり理解が進みました。
電場について忘れてしまってる部分もあるので復習しようと思います。
何度もありがとうございました。

お礼日時:2012/06/06 02:02

#2です。


みっともない間違いをやっています。
みれば直ぐに分かる間違いだとは思いますが訂正します。
>N^++e^- ⇒ Na  -2.71V
 2H2O+2e^- ⇒ H2+2OH^- -0.83V
(2H^+2e^- ⇒ H2 の変化を基準にした値です。)

⇒Na^++e^- ⇒ Na  -2.71V
 2H2O+2e^- ⇒ H2+2OH^- -0.83V
(2H^++2e^- ⇒ H2 の変化を基準にした値です。)

ついでに
電解質の役割について
・外部電源によってかけられた電位差を電極表面近くのごく狭い範囲に集中させる。
(それ以外の場所ではほとんど電位勾配が存在していない。従って「正イオンは陰極に引き寄せられ、負イオンは陽極に引き寄せられる」というイメージも成り立たっていない。イオンの移動は電界によって生じた濃度勾配を埋め合わせるような拡散によって実現する。)
・反応によって電極表面近くに生じたイオンの増加、または減少がそのままその場所に残れば、その後の反応の進行を阻害するような働きをする(生じたイオンの電荷の作る電位が外部電源の作る電位を打ち消す)ようになる。正、負のイオンがたくさん含まれている海があればその中に、反応によって生じたイオンが紛れ込むことでこのような打ち消しは起こらなくなる。

多くのサイトに
「イオンが電極の間の溶液中を移動することによって電流が流れる」という説明が書かれています。
図の中に大きな矢印が書かれている時もあります。参考書にもそのように書かれていることがあります。
このようなイオンの流れを作ることが電解質を加える目的であるという趣旨のようです。
#1にも
 >電流が流れなければ電解は起こらないのです。
と書かれています。
これは逆です。
「(直流では)電解が起こらなければ電流が流れない」のです。
電極表面近くにイオンが存在するようになる、ある種のイオンの濃度が高くなるということが起こるというだけでは電流が流れたとは言えないのです。電極との間で電子のやり取りが起こらなければ回路の中を電子が移動するという現象は観察されないはずです。コンデンサーの充電電流のような一時的な電流以外は存在しないのです。ある限界以上の電圧がかかることによって初めて電子のやり取りを伴う反応(電解)が起こり始めます。そこで初めて電流が流れ始めるのです。これはコンデンサーで言えば絶縁破壊が起こっていることに対応します。
電池でも電気分解でもスイッチを入れた瞬間だけ流れる電流のような現象は考察の対象になっていません。
ある程度持続的に起こる電流現象に着目しています。その意味では、泡がぼこぼこ出る、溶液の色が変わる、ソーラーモーターが回転する、電流計の針が振れる、というような観察可能な変化が起こるような仕組みを考えていると言ってもいいでしょう。

「電気分解では
 ・陰極で正イオンが還元される、
 ・陽極で負イオンが酸化される」

これも思い込みですね。
中性の分子が反応することもあります。
陽極で陽イオンが酸化されることもあります。
Fe^2+がFe^3+に酸化されるという反応を例に出している本もあります。
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電気分解のことについて、ちょっと前書きふうに書いておきます。

理解の助けになると思いますから…

電気分解とは、自然には起こらない(或いは起こり難い)化学反応を、無理矢理起こすための手段です。
たとえば、H2とO2とを混合して火を点けると、点火がきっかけになって、反応は自然にドンドン進み、水ができます。しかし、水をそのまま放置しても、H2とO2とに自発的に分解することはありません。でも、電流を流しやすくした稀硫酸溶液などを電気分解すると、見事に「水」が分解します。
"電気"分解ですから、電気の力を使う(正しくは、電気エネルギーを使う)のですが、もう少し詳しく見てみると、目的の物質に、電子を無理矢理与えたり、無理矢理奪ったりしています。前者を還元、後者を酸化と言います。
 
さて本題です。
塩化ナトリウムの溶液の電解では、電子を無理矢理与えられる物質は何か?という問題になります。電子をどうやっても受け取れる余地の無いモノは、受け取れと言われても、受け取ることができません。たとえば液中のCl-やOH-は、目一杯電子を持っていますから、これらは電子を受け取れません。その他のモノを探すと、Na+が有るのですが、これは電子を極力受け取りたくない物質ですから、これも受け取ってくれません。残るのは… 水の電離によって生じているH+ しかありません。

2H++2e→H2

という反応が起こります。
ところで、H+は水の電離で生じたモノとは書きましたが、その量はとても少ないのです。そのはずなのに、実験してみるとH2はスムーズに発生しています。これはどう考えるべきでしょうか?
電解を始めると、水中のH+がドンドン消費されてしまいますから、どうも、それを「補うように」水の電離も促進されると考えるべきのようです。
 
2H2O→2H++2OH-
2H++2e→H2
という2つの反応がペアで起こるわけです。
これらを1つにまとめると
2H2O+2e→H2+2OH-
という反応式になるわけです。
 
食塩水の電解での、陰極での反応は、ですから
 
2H++2e→H2
と書いても良いですし
2H2O+2e→H2+2OH-
と書くこともできると理解して下さい。


2H2O+2e→H2+2OH-
の反応を見ると、なるほどH2Oが電子を受け取って分解しているので、純水でも電解が可能なように思えるかも知れません。
でも、ちょっと思い出してください。純水はほとんど電流が流れません。電流が流れなければ電解は起こらないのです。
初めに書いたように、「水」を電解したいなら、電流を流しやすい環境にしてあげなければなりません。そのために、電流を流し易くするために、希硫酸溶液とか水酸化ナトリウム溶液を用いるのです※。

※ 希硫酸溶液には、  硫酸の電離で生じる H+,SO4--と、水の電離で生じる H+,OH- が含まれますが、SO4--は電子をがっちり持っていて容易に離してくれませんから、電解では反応せず、実質的に H+とOH-とが反応するので、水の電解と同じ効果を持ちます。
同様に、水酸化ナトリウム溶液には H+,Na+,OH- が含まれますが、Na+は H+があるなら自身は電子を受け取ろうとしませんから、こちらも、実質、水の電解と同じ効果を持ちます。



色々なイオンが混在するとき、どのイオンが率先して反応に加わってくれるかは、或る程度は覚えておくしかないです。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
返信遅くなりすみません。
平衡に関しても分からないところがあり、
疑問が残るのでもうちょっと勉強してみようと思います。

お礼日時:2012/05/29 04:18

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