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講義で次のような問題を解きました。
[問]
添付図のような球状の容器(20dm^3)とシリンダー(10dm^3)をコックの付いた連結管で接続する。
装置は完全に断熱されている。
コックを閉めた状態で球状容器に理想気体2molを封入した。
また、外圧は101kPaで一定であり、連結管の体積は無視できる。

コックを開きピストンを移動させた。
このとき気体の行った仕事と膨張後の温度を求めてください。
但し、最初の気体温度は25℃とする。

[解]
一定外圧に対して膨張するので、不可逆膨張である。
W=-PΔV=-101*10^3*10*10^-3=-1.01*10^3 J
ΔU=Q+W=W=-1.01*10^3=nCvΔT=2*1.5*8.31*ΔT
→ ΔT=-40.513K → T=25-40.513=-15.5℃

解答の1行目、W=-PΔV=-101*10^3*10*10^-3=-1.01*10^3 Jについて疑問があります。
この問題では、温度が変化しているため等温条件ではないはずです。
すると等温条件で用いるW=-PΔV=-101*10^3*10*10^-3=-1.01*10^3 Jはここでは適切なのでしょうか。
それとも私の勉強不足で、なにか条件を見逃しているのでしょうか。
よろしくお願いします。

「大学物理化学における等温条件」の質問画像

A 回答 (2件)

文字化けするかもしれませんので積分記号のインテグラルは書きません。


dVやdTは積分しているとお考え下さい。

化学反応の考え方では
熱を加えたり外部から圧縮されたりすると内部エネルギーが上昇する。
と考えます。
よって熱力学第一法則ΔU=Q+Wとなります。
代わって機械仕事の考え方では
熱を加えると温度上昇を伴いながら外部へ仕事(膨張)をする。
と考えます。
よって熱力学第一法則Q=ΔU+Wとなります。
仕事Wの符号は化学系か機械系かで変わりますので注意が必要です。

理想気体の変化として
等容変化、等圧変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化があります。
それぞれ工業仕事(開放系)と絶対仕事(閉鎖系)があります。
当然ピストンの問題は絶対仕事(閉鎖系)ですね。

[等容変化について]
容積が変化しないのだからdV=0となります。
絶対仕事W=-PdV=0

熱力学第一法則ΔU=Q+Wから等容変化では内部エネルギーと熱量は等しい。
理想気体において内部エネルギーはdU=nCvdT=nCv(T2-T1)です。
dU=dQ+dW=dQ+0=dQ=nCvdT=nCv(T2-T1)

[等圧変化について]
絶対仕事の式は圧力Pが式中に入っているのでそのまま使えます。
絶対仕事W=-PdV=-P(V2-V1)
理想気体の状態方程式から
W=-PdV=-nRdT=-nR(T2-T1)
とも書けます。

理想気体において内部エネルギーはdU=nCvdT=nCv(T2-T1)です。
ちなみに等圧変化の熱量はエンタルピーと等しくなります。
dQ=dH=nCpdT=nCp(T2-T1)です。

[等温変化について]
温度Tが式に入るように変形する必要があります。
変形には理想気体の状態方程式を使います。
絶対仕事W=-PdV=-nRTdV/V=-nRT・ln(V2/V1)=nRT・ln(V1/V2)
またP1・V1=P2・V2だからV2/V1=P1/P2に書き換えることもできます。
W=-nRT・ln(P1/P2)=nRT・ln(P2/P1)

理想気体の等温変化のときは内部エネルギーの変化量は無いためΔU=0です。
熱力学第一法則ΔU=Q+WからW=-Qとなり、仕事と熱量の絶対値は等しくなります。

断熱変化とポリトロープ変化、および工業仕事の式は省略

W=-PdVは等温変化のときに使う式ではありません。
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この回答へのお礼

等温変化における条件の他、様々な条件における知識を含めて良く理解することができました。
非常に簡潔で簡単に頭に入ります。

お礼日時:2016/01/26 17:59

No1の者です。


最後に書いた数行について訂正です。

W=-PdVは等温変化のときに使う式ではありません。
ではないですね。
W=-PdVの式をそのまま当てはめて使用することは出来ません。
の間違いです。

熱力学第一法則ΔU=Q+WからW=-Qとなり、仕事と熱量の絶対値は等しくなります。
これは
熱力学第一法則ΔU=Q+WからW=-Qとなり、仕事と熱量は符号が変わるだけです。
と書いたほうが分かりやすかったですね。
冒頭で説明しましたが、機械系の考えでは符号は同じになります。
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