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台湾は繁体字を使っているなら、「臺灣」の方が妥当なはずなのに、なぜ「台灣」という表記がよく見うけられるのでしょうか?

A 回答 (1件)

「物書き」のひとりです。

仕事の必要で、台湾の月刊雑誌を講読しています。1誌だけなので、それがすべてとは、とても言えませんが、この雑誌に限って言えば、台湾と臺灣の表記が混在しています。台灣は見当たりません。

日本では第二次世界大戦の終結後、新字体が定められました。澤國體 の旧字体は 沢国体 になりました。この新字体が当用漢字と呼ばれる漢字にすべて含まれました。当用漢字は現在の常用漢字に受け継がれています。

中国(大陸)で、新字体に相当するのが簡体字です。もちろん中国独自のものです。日本の新字体と中国の簡体字に同じ(もしくは酷似の)ものがあっても、それは、たまたま一致しただけです。

簡体字の一例(日本に無い)として、華に対応する文字は上半分が「化」下半分が「十」です。ご存じとは思います。この例で言いますと、「華」は繁体字、「化プラス十」は簡体字なのです。繁体字←→簡体字の関係は、日本の 旧字体←→新字体の関係と同じです。『繁体字というのは中国における呼び名』なのです(簡体字に対応する呼称)。

重要なことですが、『中国は簡体字、台湾は繁体字ではない』のです。このあたり混同されて伝えられています。中国のほうにあるのが繁体字と簡体字なのです。そして、昨今は(一部の例外を別にすれば)簡体字だけが使われているのです。これをまずご認識ください。

ただ、実際問題として、『中国の』繁体字が、今もって台湾でも使われているので、『台湾は繁体字』に結び付いてしまったと言えるでしょう。

台湾に目を移します。上記理由で、簡体字は存在しません。簡体字が無いのですから、繁体字も存在しません。あるのは「文字」すなわち「国字」(われわれが言うところの漢字)だけです。この状態は、簡体字が作り出される以前の中国と同じと言えるでしょう。

その台湾の漢字(ここではそのように呼ぶことにします)も、変遷はあります。新字体(あるいは簡体字)に相当する略字が、数は少ないながらも公的に認知されているのです。「台」も「湾」もそうした数少ない文字のひとつ <ではなくて2つ> です。これについては

http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/kanji …

が参考になりましょうか。「常用国字標準字体表」(1982)の文字が現在一般に使われている台湾の漢字(日本で言う常用漢字)の基本かと思われます。その後の「罕用字体表」(1986)は、常用漢字以外を含む広く使われる漢字ということができ、日本で言うJIS第1、第2水準の文字に当たるのではないでしょうか。

なお、例えば日本の漢字のシメスヘンは「ネ」ですが、本来(旧字体)は「示」です。台湾でも現在は「ネ」が使われています。「示申」ではなく「神」です。また、「諸暑」などの「日」部分の上には「ヽ」の付くのが本来の文字(旧字体)ですが、台湾でも現行は「ヽ」が付いていません。日本と同じです。日本や中国とは比べ物になりませんが、漢字の改変は台湾でも行われているのです。

最後に「册」。日本では新字体の「冊」になっています。台湾でも同様です。と言うより本来の字は「冊」のほうで、これがそのまま使われています。

この文字。中国では「册」に変えられました。日本的にみると逆戻りです。こんな例もあるのです。

参考URL:http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/kanji …
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この回答へのお礼

繁体字の本義はそういう意味でしたんですね。いやはや、無知な私にとっては勉強になります。
なるほど、台湾の漢字も日本や中共同様に変遷していたとは知りませんでした。ついつい今でも康煕字典体(玄と燁は別として)を使用しているのかと思っていましたが、どうやら私の思い違いなのですね(苦笑
旧字旧かなを使用している身(公共の場ではあくまで新字現かなですが)としては、とても勉強になりました。確かに、台湾のフォントみても者にヽを打ってなかったり、示編がネ編になっていたりと疑問があったのですが、そういうことでしたんですね。

例まで使って詳しく説明してくださって、どうもありがとうございました。

お礼日時:2004/08/06 02:07

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