No.3ベストアンサー
- 回答日時:
多細胞生物の体は文字通り多くの細胞から出来ているのですが、普通それぞれの細胞は分裂しても同じ細胞にしかなりません。
つまり、眼の細胞は分裂しても眼の細胞の働きしか持たないし、皮膚の細胞は分裂後も皮膚の細胞としてしか働きません。しかし、一番最初の段階、つまり受精卵(胚)は分裂して様々な細胞に変わっていきます。これを分化といい、普通1度分化した細胞は元には戻りません。クローンとはもともと植物の小枝を意味する言葉で、そこから挿し木などで増やした同じ形質を持つ個体をクローンと呼んでいました。その後、植物の一部の組織からカルスと呼ばれる細胞塊を形成させ(脱分化)、そこから葉や根を分化させて同じ形質を持つ個体を作り出すクローン技術が生まれました。ところが動物の細胞はカルスを形成できないため、別の手法が用いられてきました。その方法は受精卵を分割して人工的に双子を作る、というものや分裂をはじめたばかりの頃の受精卵の一部から核を取り出し、別の核を除いた細胞に移植して育てるというものでした。でもこれらの方法では優秀な大人の個体と同じ形質を持つものを増やせません。
そこで最近開発されたのが体細胞クローンです。これはまず、分化した大人の体細胞を飢餓状態で培養します。このとき用いられる体細胞はいろいろな部分を試してみないと、どれがうまく行くかは分かりません。これまでに成功しているのは耳や乳腺の細胞などですが、これが全ての動物に当てはまるわけではありません。飢餓状態での培養により体細胞が脱分化し、胚のようなものが生じます。その核を別の核を除いた卵に移植して、子宮に戻した結果生まれるのが体細胞クローンというわけです。
余計な説明が多かったかもしれませんが、大体こんなところでよろしいでしょうか?
ご回答ありがとうございます。
余計な説明が多かったかも、なんてとんでもないです。
大変勉強になりました。
ところで、核の移植先である核抜き卵というのは
核の提供者とは別の個体のものが使われるのでしょうか?
その場合、卵の核は取り除いても、ほかの
細胞の器官は他人のもののままということになって(?)
それが原因で不具合が起こる、なんてことはないんでしょうか?
No.7
- 回答日時:
はじめまして。
皆さんがお答えになっているように理論的には、体を構成する様々な細胞1個からクローンを作ることができるはずです。が、去年、確かヤギのクローンで雄ヤギの脳の下垂体前葉細胞から生まれた個体は生後2週間ほどで死んでしましました。http://nature.cc.hirosaki-u.ac.jp/lab/3/animsci/ …
マウスでも神経細胞からは生まれていないと思います。今は、どの細胞が良くて、どの細胞がだめとかいうことはまだすべて判っていないと思いますが、比較的入手しやすい細胞の方が都合が良いと思います。
また、ドリーでは、染色体の端にある寿命と関係しているとされる部分が短くなっていたと報告されていますが、別な報告(ドリーでなく)では長くなっていた、というのもあります。マウスでは、クローンのクローンを繰り返して6世代まで生まれたと報告されています。
また、ウシの卵子に別の種(マウス、サル、ヒツジなど)の細胞(核)を入れて着床前の胚(ウシとヒツジでは着床したらしい)まで、卵子の細胞質を借りて発生を進めることができます。
クローンに関する本は、「リアルクローン」(若山三千彦 著)というのがあるのですが読みやすいと思います。また「動物をつくる遺伝子工学」東條英昭著 講談社ブルーバックス なども良いのでは、と思います。
No.6
- 回答日時:
再びhebikeraです。
>ところで、核の移植先である核抜き卵というのは
>核の提供者とは別の個体のものが使われるのでしょうか?
場合によりますが、他の個体のもが使われることも多いと思います。
>その場合、卵の核は取り除いても、ほかの
>細胞の器官は他人のもののままということになって(?)
>それが原因で不具合が起こる、なんてことはないんでしょうか?
具体的な例を示すことが出来ないのですが、そういう不具合は起こり
うるとおもいます。
No.5
- 回答日時:
クローンは
1.受精卵クローン
2、体細胞クローン
この、2つに大別する事が出来ます。
1の受精卵クローンは、受精卵が8あるいは16細胞期に、細胞をばらばらにして、それを1個ごとに、別の受精卵細胞に移植する技術です。
2の体細胞クローンに関してはみなさんの回答にある通りです。
クローン=体細胞クローンではありません。
補足ながら。
No.4
- 回答日時:
体細胞のクローンについて、面白い話を紹介します。
植物の体細胞クローンはずっと以前から商業化されています。
種で増やさずに、クローンで増やしている草木などたくさんあります。
でも、動物の場合はそう簡単にはいきません。
イギリスの有名なクローン羊のドリーは、
若くして老衰で死んでしまいました。
動物の体細胞の遺伝子は、寿命がリセットされないという問題(オチ)があったのです。
私の体細胞クローンの赤ちゃんを誰か代理母が生んでくれたとしても、
私の寿命が来る頃、一緒に寿命が来てしまいます。
ドリーは、
生殖細胞から生まれる「本当の赤ちゃん」の神秘と大切さを改めて教えてくれたようです。
クローン生物を作る(全く同じ遺伝子を持つものを複製する)ことをクローニングと言います。
生物学ではウイルスや大腸菌もクローニングしますが、これらはもともとクローンで増えるので、簡単です。
本は、普通に「生物学」「バイオテクノロジー」と銘打っているものであれば、クローニング技術も述べられていると思います。
たいへん興味深いお話をありがとうございました。
すべて都合よく、というわけにはいかないんですね・・。
ちょっとがっかり・・。
でもそういう限界があったことに、ほっとしてもいます。
本はこれからいろいろあさってみたいと思います。
No.2
- 回答日時:
クローンの素となるは体細胞であれば、どんなものでも原理としてはOKです。
(生殖細胞は染色体が対を成していないため、使用できません)
私も医学系の雑誌等でざっと見たことしかないので、あまり深く勉強していませんが、体外で人工的に受精させた受精卵の中の核を取り出し、そこに新たに対象となる動物の体細胞の核のみを移植し、これをしばらく培養した後、動物の子宮内へ戻して作られるのだったと思います。細胞の核を入れ替える以外は、基本的に「体外受精」と同じです。
今ではよくマスコミでもDNAについて取り上げることが多くなり、一般にも体内のどの細胞の核にも全く同じDNAが存在していると知られるようになりました。
では、なぜそれぞれ同じ核を持つのに、全く違う細胞になるのか?となると、これはもう分子生物学の本を紐解いて貰って1から勉強して貰うのが一番間違いが無くいいのですが。でも、その単純な疑問には、今も完全なる答えは出ていません。
クローンといっても、これも広い意味ですので、今回はおそらく細胞のクローンを指していらっしゃるものとして回答しました。
わかりやすいお答えをありがとうございました!
たいして深く考えずに「クローン」という言葉を
使ってしまいましたが、いろいろ意味があったんですね。
以後、きをつけます。
理科系の学問は昔から苦手で、あまり魅力を感じたことがなかったんですが、
最近、ちょっとずつ興味を持てるようになってきました。
これからがんばって勉強したいと思います。
No.1
- 回答日時:
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