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物理の自由落下の問題が分からないので、解説してください

質量m1=600kgの槌を高さh=3mの位置から自由落下させて質量m2=200kgのくいを打ち込んだ。
(a)くいと槌は完全弾性衝突をするものとし、打ち込み深さがs=150mmであったとすると、地面の平均抵抗力Fはいくらか?
(b)くいが動き始めてから静止するまでの時間tを求めよ

(a) F=96.1kN
(b) t = 47.9ms

A 回答 (1件)

「完全弾性衝突」とすると、衝突後の「槌」をどのように扱うのか、問題の設定がよく分からない問題です。


質問者さんの疑問も、そこに発しているのでしょうか。
結果としては、問題文の「くいと槌は完全弾性衝突をするものとし」というのが間違いで、「くいと槌は非弾性衝突をして、衝突後は一体で動く」という条件にしないと、解答とは一致しません。つまり「問題文がおかしい」ということです。

とりあえずは、「問題文で与えられたとおり」に解いてみます。

「空気の抵抗がない」条件だと思いますので、槌の位置エネルギーが運動エネルギーに変わります。
その槌の「運動量」が、「槌と杭」の運動量になります。(運動量保存)

完全弾性衝突であれば、衝突前の「槌の運動エネルギー」が、衝突後の「槌の運動エネルギーと杭の運動エネルギーの和」として保存されます。

そのときの「くいの運動エネルギー + 杭の位置エネルギー」が、杭の摩擦力による「仕事」に変わって停止します。
杭の摩擦力による「仕事」は「力 × 距離」です。

大まかな流れはこんなものですが、問題になるのは「衝突後の槌がどうなるのか」ということです。
完全弾性衝突ですから、槌と杭の衝突直後には、槌と杭は離れます。そのとき

(A)このまま「杭」だけで完結してエネルギー収支で力の大きさを求める
あるいは
(B)「杭」が地面との摩擦で速さが遅くなるので、再び「槌」が追い付いて「杭」を押すと考える

問題には、どちらで考えるのかの条件が提示されていません。常識的には(B)なのですが、そのときには「再衝突の際に、槌のエネルギーのどれだけが杭に渡されるのか」という条件が必須です。
何も条件がなければ、最初の衝突と同様「完全弾性衝突」と考えるのが妥当で、その場合には結果的に「槌の全エネルギーが杭に渡される」ことになります。
ここでは (B) はこれで試算してみます。


(A) 衝突後は「杭」だけで考えた場合

(1) 杭との衝突位置を基準にした最初の槌の位置エネルギー
  m1*gh = 600[kg] * 9.8[m/s^2] * 3[m] = 17640 (kg・m^2/s^2)   ①

(2) 杭と衝突するときの速さを v1 として、運動エネルギーは
  (1/2)m1*(v1)^2     ②
 これが①に等しいので
  (1/2)m1*(v1)^2 = m1*gh
 よって
  v1 = √(2gh) ≒ 7.67 [m/s]     ③

(3) 衝突後の槌の速さを v1'、杭の速さを v2 としたとき、運動量保存より
  m1*v1 = m1*v1' + m2*v2       ④
 これが「完全弾性衝突」なので、
  v1 = v2 - v1'
 → v1' = v2 - v1
 これを④に入れて
  m1*v1 = m1*(v2 - v1) + m2*v2
 → v2 = 2m1*v1/(m1 + m2) = 2*600*v1/800 = (3/2)√(2gh) ≒ 11.50 [m/s]   ⑤

(4) 衝突後の杭の運動エネルギー
  (1/2)m2*(v2)^2 = (1/2) * 200 * (9/4)*2gh = 450gh = 13230 [N・m]   ⑥

(5) 静止位置に対する杭の位置エネルギー
  m2*g*0.15 = 200[kg] * 9.8[m/s^2] * 0.15[m] = 294 [N・m]    ⑦

(6) 杭に対する仕事:F * 0.15     ⑧

(7) ⑥⑦の和と⑧が等しいので
  F * 0.15 = 13230 + 294 = 13524
  F = 13524/0.15
   = 90160 [N]
   ≒ 90.2 [kN]


(B) 槌の運動エネルギー + 槌の位置エネルギーがすべてが杭に渡されると考えた場合

 この場合には、静止位置に対する最初の槌の位置エネルギー、杭の位置エネルギーのすべてが、杭に対する仕事「F * 0.15 」になったと考えます。

(1) 最初の槌の位置エネルギー
  m1*g*(h + 0.15) = 600[kg] * 9.8[m/s^2] * 3.15[m] = 18522 [N・m]

(2) 杭の位置エネルギー
  m2*g*0.15 = 200[kg] * 9.8[m/s^2] * 0.15[m] = 294 [N・m]

(3) これが、摩擦力 F [N] で 0.15 [m] 進む仕事に等しいので
  F * 0.15 = 18522 + 294 = 18816 [N・m]
従って
  F = 18816/0.15 = 125440 [N] ≒ 125 [kN]


以上だと、(A)(B) ともお示しの解答とは一致しません。


(C) いっそのこと、問題文にある「完全弾性衝突」を放棄して、「衝突後は槌と杭が一体で動く」と仮定すると、運動量保存より
  m1*v1 = (m1 + m2)*v2
よって
  v2 = [ m1/(m1 + m2) ]v1
③を使って
  v2 = [ 600/(600 + 200) ]*√(2gh) = (3/4)√(2gh) ≒ 5.75 [m/s]
これを使えば、衝突後の「槌と杭」の運動エネルギーは、
  (1/2)(m1 + m2)(v2)^2 = (1/2)(600 + 200) *(9/16) *2gh = 13230 [N・m]  ⑨
静止位置に対する位置エネルギーは
  (m1 + m2) * g * 0.15 = 800[kg] * 9.8[m/s] * 0.15[m] = 1176 [N・m]   ⑩
⑨⑩の和と⑧が等しいので
  F * 0.15 = 13230 + 1176 = 14406
  F = 14406/0.15
   = 96040 [N]
   ≒ 96.0 [kN]
どうやら、お示しの解答に示されているのはこれらしいですね。(小数以下第1位が違っているのは、計算過程のどこかで数値の丸め方の違いでしょう)

ということは、問題文の「くいと槌は完全弾性衝突をするものとし」というのは間違いで、「くいと槌は非弾性衝突をして、衝突後は一体で動くものとする」ということです。
「問題文の間違い」あるいは「質問者さんの、問題文の書き写し間違い」のどちらかだと思います。


(b) この問題は、「力積は、運動量の変化に等しい」ということを利用して解きます。

試しに「(A) 衝突後は「杭」だけで考えた場合」でやってみると、

(A) 衝突後は「杭」だけで考えた場合

「運動量の変化」の方は、杭の衝突直後の杭の運動量が
  m2*v2 = 200[kg] * 11.5[m/s] = 2300 [kg・m/s]
なので、これが静止してゼロになることから
  F*Δt = 2300 - 0 = 2300[kg・m/s] = 2300 [N・s]
力を解答どおりの 96.1 [kN] とすれば
  Δt = 2300/(96.1*10^3) ≒ 29.3 * 10^(-3) [s]

となって、案の定、お示しの解答と配置しません。


ここでも(C) の非弾性衝突で「槌と杭が一体動く」とすれば、その運動量は
  m1*v1 = (m1 + m2)v2 = (600 + 200 [kg]) * 5.75 [m/s] = 4600[kg・m/s]
なので、これが静止してゼロになることから
  F*Δt = 4600 - 0 = 4600[kg・m/s] = 4600 [N・s]
力を解答どおりの 96.1 [kN] とすれば
  Δt = 4600/(96.1*10^3) ≒ 47.9 * 10^(-3) [s] = 47.9 [ms]
でお示しの解答と一致します。
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この回答へのお礼

私の間違いで非弾性衝突であってました。
とてもわかりやすかったです。
ありがとうございます。

お礼日時:2018/07/23 14:26

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