「これはヤバかったな」という遅刻エピソード

知事が過去に県職員に支給した出張旅費について過払いがあった場合に、当該県職員に対する旅費の返納命令についての時効についてお尋ねします。
地方自治法第236条によると、他に法律に定めがない場合、消滅時効は地方公共団体においては5年。そして、援用を必要とせず、利益の放棄もできないとされています。
すると、5年前に県職員に支給した出張旅費について、最近になって過払いだったものが発覚した場合、知事はその県職員に対し、5年前に旅費を支払った日から5年が経過してしまうと、その出張旅費について、返納命令が不可能になってしまうのでしょうか?

なお、職員に対する賠償責任についても回答できる方がいましたらお願いします。

A 回答 (2件)

過払い出張旅費について県が有する「不当利得返還請求権」は、公法上の債権でありますので、質問のとおり地方自治法第236条第1項の規定により、5年間これを行わなかったことにより消滅するものと解されています(地方財務実務提要第2巻(ぎょうせい)5059p)。


この場合の消滅時効の起算点については、地方自治法には規定がありませんので、民法の一般原則が適用され(同法第236条第3項)、権利を行使することができるときから消滅時効が進行することになります(民法166条第1項)。つまり、県が当該職員に過払を開始した時点から、「不当利得返還請求権」を行使することができますので、その消滅時効は過払の出張旅費を支給した日の翌日から進行することになります(同法第140条)。
職員に対する賠償責任ともありますが、出張旅費の過払いがミスなのか、職員の不正請求(利得詐欺で刑法犯)なのかで話は違いますが・・・
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
自信ありの回答、誠に感謝します。
出張旅費は公法上の債権だから、私の解釈でよかったのですね。
賠償責任の話にも触れていただき、大変恐縮です。
ありがとうございました。

お礼日時:2004/11/11 22:47

これは消滅時効の起算点はいつかという問題です。

地方自治法に特別な規定がない限り、民法の一般原則通り、権利を行使することが出来るときから(166条)です。

すると、「5年前に県職員に支給した出張旅費について、最近になって過払いだったものが発覚した」場合には、「発覚して知事が返納を求められるようになったとき」が起算点で、通常、発覚した日の翌日からと思われます。5年前は過払いであることを認識できなかったのですから、それが判明した以降でないと、権利行使はできませんので、上記のようになります。

次に、過払いされていた職員の賠償責任ですが、まずは地自法242条で住民監査請求をして、監査をしたがその結果に不服があるときは住民訴訟(242条の2)を申し立てられます。しかし、過払いを受けていた職員の不当利得返還義務(4号)は、「利益の存する限度」とされているので、費消して現在なければ「なし」とされます。また、同4号で代位責任追及という形で、過払いを受けた職員に対して故意・過失の不法行為責任を求められるかですが、通常、過払いについて「知りながら」受領していた職員はいないと思われます。あるいは、いるとしても、それは「立証の問題」となり、もし立証出来れば賠償責任を追及できます。さらに、知らないで過払いを受けたことについて過失があったと言えるか否か、それを立証するのはさらに難しいでしょう。

よって、職員に対する賠償責任の追及はかなり困難を極めるものと思われます。過払いの出張旅費の受け取りについて、知事の周辺の者だけとか特別な範囲の人間や一部に偏っているという場合には、特殊な関係を指摘することが出来るかもしれませんが・・・。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
起算点の考え方はとても参考になりました。
賠償責任についても回答していただきありがとうございました。
責任の追及は難しそうですね。
私なら旅費を過払いされたことに気がついても、黙ってます。(笑)

お礼日時:2004/11/11 22:32

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