
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
rara さん、混乱させてしまって申し訳ないのですが、
結論は、
-----------------------------------------
浅い場所では水底の影響で水分子の運動が制限を受ける、
そのために波の速度が遅くなってしまう。
-----------------------------------------
でいいと思います。
ただし、水底において水分子の運動が制限される、というのは水平方向ではなくて、鉛直方向についてです。
(ここがポイントです!)
水底における水の鉛直方向の動きの制限が、自由表面での波の速度を規定すると言うのは面白いですよねぇ~
以下、そのための説明を書きますね。
難しい言葉も出てしまいますが、雰囲気だけでも感じ取ってくれたら嬉しいです。
いずれにせよ、raraさんの質問に対する答えは、上記のとおりです。(^^)
---------------------------------------------
●波の支配方程式
まず、一般的に波を考えるときはポテンシャル流を仮定します。つまり、エネルギー散逸の 無い、完全流体と呼ばれる非粘性の流体です。これでも、実際の現象を説明するには十分だそうです。
この時、流体の方程式は速度ポテンシャル関数に関するラプラス方程式で表されます。こ れを、常微分方程式に簡略化して解きます。
●波速と水深
こうして、ポテンシャル流を仮定して導かれた波の速度の式
深水波 c = √( gL / 2π)
長波 c = √( gh)
をみると、
波の速度は水深hの関数になっていますが、hのgradient の関数になっているわけではあ りません。
つまり、「水深」そのものが波の速度を規定しており、「水深の変化」が波の速度に影響を与 えているのではありません。
今、水深が一定の場所を二ヶ所考え、一方は水深が浅く、もう一方は水深が深いとします。 この時も、同じ波長の波であれば、水深が深い場所ほど波は早く進むことが出来る、という わけです。
波速の式の中にhが出てくるのは、支配方程式を解く際に水底での境界条件(水底での法 線方向(つまり鉛直方向)の水の速度は0)を適用するためです。
結局、波の速度を考えるときのポイントは、「水底の水は鉛直方向の動きが制限される」、と いうことみたいですね。
今は粘性を考えていないので、水平方向の動きは制限されません。
繰り返しますが、それでも実際の現象を説明するには問題ないそうです。
それにしても、水底における水の鉛直方向の動きの制限が、自由表面での波の速度を規 定すると言うのは面白いですよね。
PS)
エネルギーの散逸がない(無視できるほど小さい)というのは、SJMさんのイラストで、障害 物を越えた波が、障害物を越える前と同じ進行速度を再び持っている、ということからも分か りますね。
PS2)
上記の説明は微小振幅波を仮定しています。岸近くの大きな波は微小振幅波の仮定が成 り立たず、上記の理論では説明できません。非線形の偏微分方程式を解かねばならず、数 値計算が必要となってきます。
参考文献:「流体力学」日野幹雄著 朝倉書店
いつも丁寧な回答をありがとうございます!
いろいろお手数をおかけしてしまってすみませんでした。
とてもよく分かりました。
すっきりしました。
ありがとうございました!!
「水底における水の鉛直方向の動きの制限が
自由表面での波の速度を規定する」
という部分、たしかにとてもおもしろいと感じました。
日常生活の中で物理で説明できることはあふれていて
それらの原理を考えるのは楽しいなと改めて思いました。
これからもゆっくりとひとつひとつ自分で考えていくように
したいなと思います。
いろいろと本当にありがとうございました。
No.6
- 回答日時:
す、すみません、、、
大事なところで考え違いをしていました。。。
私も物理的解釈が全く足りなかったようです。 m(_ _;;m
>水面の波の山の速度は、円軌道で運動している水分子の波速に等しい。
じつは、波の山においても波速と水分子の速度は違います… (_ _;;;;
津波の速度が時速700km/h と書いた時点で、矛盾した話でした… m(_ _;;m ごめんなさーい!
教科書を見直したら、「波の山では波の進行方向の速度をもち」としか書いてなく、速度の方向にしか言及していませんでした。。。 速度の絶対値とは違います。。。
・水深が深い場所ほど水分子の運動を妨げる海底の影響が少なく、自由に動ける水分子が多い。
これも、間違ってはないのですが、波の速度との関連を考える上で本質的な問題かどうか、怪しく思えてきました。
この二つ以外の、例えば式の展開に関しては問題ないです。ですので、式をもっと解釈できればいいのですが。
ごめんなさ~い。。。
大学時代の教科書を引っ張り出してきて、もう一度考えます。もうちょっと待ってください。
結果として、私が下に書いた文のうち、
「水面においては、円軌道上を動く水分子の早さが、
波の速さとなります。
浅い海の場合は、海底では水粒子は動けないので、
海底から近い水面では、軌道(楕)円の大きさに制約を受け、
結果、水分子の流速(水面の、波の山では波速と同じ)が遅くなります。」
のところを削除して読んで下さい。
他は正しいです。
恥ずかしいので、「回答に対する自信」は「なし」に変更させていただきます… (_ _;;;;
あと補足ですが、
実はここに書いたことは基本的に微小振幅波と呼ばれる波について書いて います。つまり、波高が水深に比べて十分小さいと仮定しています。
波が岸に近づくにつれて波度が減少し、波高は増大し、ついには砕波(さいは)といって、波の形が壊れます。
こういう有限振幅の波については、微小振幅波でやったような簡略化が許 されず、難しい話になってしまいます。
非線形の難しい現象については、もはや解析的には解けず、数値流体力学の独擅場となります。
実は、この「数値流体力学」が私の専門です。
「波」のことはやってないとはいえ、こんな私が流体力学に関係することで博士論文を書いているなんて、相当恥ずかしいですね…
あ、そうなのですかー。
やっぱり難しいんですね。。
すみません。いろいろ調べてもらってしまって。
もし分かれば、でいいので・・・よろしくお願いします。
No.4
- 回答日時:
一応流体力学をやってきたので、答えられるかと思います。
前の方もかかれていますが、rara さんみたいに物事の本質をつく疑問は
とても大事だと思いますよ!
波の問題を考えるにはラプラス方程式と呼ばれる編微分方程式を考えなければならないです。
頑張って勉強して、大学に行って、もっと勉強してくださいね!
スマトラ島沖の地震で、ちょうどこの問題を別の科学者コミュニティーで
議論していたので、そこで書いた文章を載せますね。
本来、物理は直観で分かるのが大事で、式を追って「分かる」だけでは不十分です。
言葉で説明できなければ、本当に分かっているとは言えません。
できるだけ、言葉で説明しようとしていますが、わかりにくかったらごめんなさい。
ただ、数式は、自然を考え議論する上での「言葉」ですから、
本当は数式も分かって欲しいんですよ。(^^)
------------------------------------------------------------------------
もともと波が動くことと、水分子が動くことは違います。
# 津波の速度が700km/hとかを考えると、当然ですけど。。
水分子は同じ場所の円軌道(深い場所)や横長楕円軌道(ちょっと浅い場 所)などをぐるぐる回っているだけです。
もっと水深の浅い場所(長波域)ではますます縦方向に円軌道がつぶれ て、殆ど水平方向にピストン運動するようになります。
では、なぜ浅い場所で波速が遅くなるかと言うと、海底の影響です。
上記の円軌道/楕円軌道は、水面から半波長(L/2 : Lは波長)の深さま でに
存在しますが、水面で一番大きい軌道半径を持ちます。
つまり、深くなるにつれて軌道円は小さくなってきます。
水面においては、円軌道上を動く水分子の早さが、
波の速さとなります。
浅い海の場合は、海底では水粒子は動けないので、
海底から近い水面では、軌道(楕)円の大きさに制約を受け、
結果、水分子の流速(水面の、波の山では波速と同じ)が遅くなります。
う~ん、大分簡潔に説明しようとしましたが、
やっぱり難しいですね…
上記は一つの説明であり、
波の現象を他の側面から見た解釈もできると思います。
流体力学、海洋工学の本を参照してください。
なんて、わざわざ見る人いませんよね。。。
長く書いてしまって申し訳ないですが、
水深が浅いと波速が遅くなる、ということまではネット上でも
いろんなページで紹介されてますが、なぜ、ということになる
海洋工学演習の講義資料、とかしかありませんから。。。
とりあえず。。。
------ 以下、補足 ------
波は、波長 L と水深 h の関係から大きく3つに大別されます。
○深水波 (普通 0.5 < h/L )
○浅水波 (普通 0.04 < h/L < 0.5 )
○長波(極浅水波)(普通 h/L < 0.04 )
波の速度は、流体力学で解析的に求まります。
(完全流体と仮定して問題ないです)
少し複雑な式なので書きませんが、
その波速式に深水波と長波の仮定
深水波: h/L -> ∞
長波 :h/L -> 0
を適用すると、それぞれの波速 c が簡単な式になります。
深水波 c = √( gL / 2π)
長波 c = √( gh)
g : 重力加速度
つまり波速は、
深い海では 波長 L のみに依存し、
浅い海では 水深のみに依存します。
ありがとうございます!!!
かなりわかった気がします。
確認なのですが・・・以下のような理解で合っていますか?
・水面の波の山の速度は、円軌道で運動している水分子の波速に等しい。
・水深が深い場所ほど水分子の運動を妨げる海底の影響が少なく、自由に動ける水分子が多い。
だから「水深が深いほど波の速度が速い」
イメージがわいたので、とてもすっきりしました。
後は数式と格闘するのみです。。がんばります。
スマトラ沖の地震による津波に関するニュースでも
「水深が深いほど波の速度が速い」ということが
言われていて再び気になっていたところでした。
本当にありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
下のURLの下の方にv=√(gh)という式と説明が書いてあります.何故かまでは説明できませんが,単純に式だけでみれば
(h→大) ⇒ (v→大)
となります.
参考URL:http://www.kek.jp/kids/feedback/qanda.html
なるほど。たしかにこのくらいの数式なら理解できます。
ちょっとすっきりしました!
式の意味についてもうちょっと考えてみようと思います。
ありがとうございました♪
No.2
- 回答日時:
私も数式での導き方は知っているのですが,
直感的に説明するのは少し大変です.
ウェブでも探してみましたが,
うまい説明をしているサイトもないようですね.
今回の質問も今はわからない話かもしれませんが,
こういうことを疑問に思いながら
勉強するのは大事だと思います.
ご質問の話は流体力学という学問の話で,
大学1,2回生程度の数学を学べば理解できます.
いろいろ調べていただいてありがとうございます。
なるほど。やっぱり数式で理解するしかないんですね。
感覚的に理解したかったなぁ。
実は物理の先生にも「何で?」って聞いたんですが
「・・・君ねー、そういうことに興味があるんだったら大学で勉強しなさい」
って言われたんです。
やっぱりそれはそのとおりだったんですね^^;
がんばりまーす。
ありがとうございました!
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