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透磁率の考え方について教えて下さい。


ローレンツ力などを考える際には、磁場の強さ(H)が同じでも周辺の物質の透磁率(μ)により力の働きが変わるので、その効果を含めた磁束密度(B=μH)を用いるとよい、と参考書に書いてあります。
つまり、μが大きいほど大きな力が働きます。→ ①

一方で、磁気力に関するクーロンの法則、
(1/4πμ)m1m2/r^2(m1, m2 は各磁極の磁気量)
では、μが大きいほど小さな力が働きます。→ ②

一見逆のことを言っている①と②の整合性はどの様に理解すれば良いのでしょうか?

高校生の物理の範囲でのご説明をよろしくお願いします。

質問者からの補足コメント

  • 皆さまのご意見を元に現場での疑問点を改めて記載させて頂きます。下記の考えのおかしい所を教えて下さい。(なお、現実には磁荷の根源が電流であることは理解しています。)

    ********
    磁荷mが作る磁場はクーロンの法則より
    (1/4πμ)m/r^2(μ:空間の透磁率) ・・・①
    B=μHより磁束密度はm/(4πr^2)・・・②
    ②より磁荷mの作る全磁束はm・・・・・③

    (A)一般に磁束密度は空間の透磁率に比例するため②の値も透磁率に応じて変化するはずだが、変化し得るのはmだけなので、mは空間の透磁率により変化する値と考えられる。

    (B)上記より磁荷をもたらす(周囲の透磁率によらない)物体固有の量はm/μであり、これが、現実には磁場(単位:N/Wb=A/m)の源である物質内の電流が作る物質固有の「磁場の素」である。

    以上、よろしくお願いします。

      補足日時:2019/06/15 12:13

A 回答 (21件中1~10件)

私の#15回答と#16回答は、電磁気を判り切ってないと自覚している私が即席に考えたもので間違ってました。

お恥ずかしいことです。
改めて、そもそもの質問である「物体の透磁率μの寄与に関してローレンツ力とクーロン力の大きさが逆傾向になっている矛盾」に対する回答を書かせてもらいます。

結論、”磁気に関するクーロン力”は次の形で表される。
F = μ (m_1 / μ_0) (m_2 / μ_0) / (4π r^2)
μは測定対象磁荷の周りの物質の透磁率で、μ_0は真空の透磁率です(μ_0 ≡ 4π x 10^-7: 定数)。このため、透磁率が大きい物質中ではクーロン力は大きくなって、ローレンツ力 F = q E + q v B = q E + μ q v H と同じ傾向になる。

多くの教科書では”磁気に関するクーロン力”を F = m_1 m_2 / (4π μ r^2) と記してます。この式は、磁石の先端に(極性の異なる)磁荷mがあって、それぞれの磁荷が電荷(+q と-q)におけるクーロン力と同様の働きをしていると仮定した場合の力を示してます。ところが、実際には磁荷は存在しません。理論的にも、マクスウェル方程式は磁荷が存在しないことを示してます。当然ながら、この”磁気に関するクーロン力”が実際に実験で確認されたことはありません。
このため、定評のある教科書は”磁気に関するクーロン力”を記載してないようです(例えば、Jacksonの電磁気学, Feynman物理学)。国内では、磁気的なクーロンの法則を(電気的な)クーロンの法則と同じ形に表して、どちらも同等の基本式として扱っている文献が多いですが、そのように磁気的なクーロンの法則を扱うことは間違っていると思います。

一方、(仮想的に)極性の異なる磁荷mが僅かに離れている状況(すなわち磁気双極子)を”磁気に関するクーロン力”を基に計算すると、実際の周回電流が作る磁場と実質的に同じ値を示します。この周回電流による計算ではビオ-サバールの法則に則った積分計算が必要で、例えば電磁石の設計等では大層複雑になりますが、”磁気に関するクーロン力”を使うと極めて簡単に出来ます。それで、特定分野では磁荷や磁気双極子を便宜的に使うことも行われています。
さて、周回電流回路や磁気双極子は磁場の方向に向くように回転しようとします。磁気双極子の回転能(モーメント)は磁荷mと磁荷間の間隔dの積(m d)になりますが、実際の周回電流回路のモーメントはその(1 / μ_0)倍になります。すなわち、単純な磁気双極子で実際の周回電流を表そうとすると、磁極mを(m / μ_0)と見なさねばならないのです。そして、”磁気に関するクーロン力”は F = m_1 m_2 / (4π μ r^2) ではなく、F = μ (m_1 / μ_0) (m_2 / μ_0) / (4π r^2) = (μ / μ_0^2) m_1 m_2 / (4π r^2)と表されることになります。

MKSA単位系にはE-B対応とE-H対応の考え方がありますが、どちらの対応も磁荷は存在せずに周回電流回路が磁場を作るとする立場です。E-B対応の磁荷はE-H対応の磁荷mの(1 / μ_0)倍になるとのこれまでの私の回答は間違いでした。どちらの場合にも、上述の磁気的なモーメントの説明が当てはまります。
クーロン力の式が変わったのは、単位の取り方の問題でなく、単に磁気モーメントの解釈に(日本では)混乱があったためです。 実は、磁気的なモーメントはMKSA単位系では”磁気モーメント”と呼ばれてますが、それ以前のCGSガウス単位系では”磁気双極子モーメント”と呼ばれてました。そして、前者(磁気モーメント)は後者(磁気双極子モーメント)の(1 / μ_0)の大きさなのです。ところが、(日本では)多くのMKSA単位系の立場の文献で、”磁気モーメント”にあたる物理量ではなく、その(μ_0)倍の”磁気双極子モーメント”に当たる物理量を間違って使っているのです。(名前は、どちらも”磁気モーメント”と呼んでいるようです)

結局、磁石の両端には磁荷が存在しているという解釈や、クーロンの法則を磁荷に適用することは止めるべきです。便宜的にそのようなモデルを使う場合には(昔から言われている)磁荷m値の(μ_0)分の1の大きさの磁荷を考えねばなりません。そして、磁気的なクーロンの法則は、
F = μ (m_1 / μ_0) (m_2 / μ_0) / (4π r^2) になります。

ちなみに、E-H対応の F = m H は、E-B対応では F = (m / μ_0) B です。
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この回答へのお礼

さまざまな有益なご回答がありましたが、最後までご丁寧に教えて頂いたのでベストアンサーとさせて頂きました。

お礼日時:2019/06/25 20:36

先の#18回答の終わりの方に意味不明の文がありますが、まず以下の文章を先に用意していて、それを#18回答の文に置き換えた際に適宜抜き出すのを忘れていた為です。

この文章も参考にして下さい。

これまでの私の#13までの回答では、E-B対応の磁荷m_bとE-H対応の磁荷m_hが真空の透磁率μ_0倍だけ異なっている(m_b = m_h / μ_0)として、それは磁荷を想定してないE-B対応で無理やり考える為であると言って来ました。しかしながら、実は単位の取り方で磁荷の有無が変わるのかな?という疑問がありました。
改めて諸文献を調べると、これは単位(対応)の本質的な問題でなく、#13回答で言及した磁気モーメント(m d)の扱いに(日本では?)混乱があることが原因の発端でした。
E-B対応の電磁気では磁荷を(積極的に)扱わないはずで、例えばFeynmanの教科書や英文のwikipediaはそうなってます。そして、磁石や電磁石の磁力は周回電流が作る磁場Bの作用として説明します。そこでは”磁気モーメント”の大きさは磁場B中で(電)磁石の受けるトルク(モーメント)として定義してます。ところが、日本では極性の異なる磁荷±mとその間隔dで(m d)とまず説明する文献がほとんどのようです。例外的に、そのような(m d)を”磁気双極子モーメント”と呼び(m d / μ_0)を”磁気モーメント”と呼ぶ文献があります。(<https://eman-physics.net/electromag/ magnetic_moment.html>“EMANの物理学・電磁気学・磁気モーメント”, <http://www.yamamo10.jp/yamamoto/lecture/ 2005/p1/12th/force_mag.pdf>“物質の磁性”)
ちなみに、磁荷の代わりに電荷を考えた双極子は”電気双極子モーメント”と呼んで、”電気モーメント”とは呼びません。”磁気双極子モーメント”が正確なはずですが、どうも海外でも昔から”磁気モーメント”とも呼ばれてきたようです。磁荷を表立って記さない英文のwikipediaでもmagnetic momentと呼んでいて、magnetic dipole momentとも呼ばれるとあります。
日本もほとんどの場合に”磁気モーメント”が使われてますが、まず極性の異なる磁荷±mが対になっている双極子として説明して、周回電流も同等の磁場を生じると説明することが多いです。そして、ほとんどの文献が”磁気モーメント”の値が(m d / μ_0)であることを明記してません。(勿論、”磁気モーメント(μ= p_m / μ_0)”の立場での磁荷は”磁気双極子モーメント(p_m = m d)”の立場の磁荷の1/μ_0になります)
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次の2番目の言い方には構成として曖昧さが残るし、正しくもありません。


・ 磁石の作る磁場によるローレンツ力は「qvμ_0x(空間の透磁率に反比例する値) 」となるので空間の透磁率に反比例する.
代わりに、次の文章が妥当です。
・"透磁率がμである物質中の磁石"の作る磁場によるローレンツ力は q v μ H である.

#16回答で、"具体的に物質内の磁場の大きさを考える時だけμ_0でなくμを使えば良い"と述べましたが説明不足でした。磁場の発生源が問題としている物体中にある場合のローレンツ力は(F = μ q v H)で、それが物体の外にあれば(F = μ_0 q v H)になります。それは、同じ物体中にAとB 2ヶの磁荷が存在するクーロン力では(F = m_A m_B / (4π μ r^2))で、片方が物体の外側にある場合には(F = m_A m_B / (4π μ_0 r^2))になります。
これらは、磁荷が存在する物体の外側から磁場が加えられた場合には、物質内部の磁気の分極による影響は平均したら0になるので、磁荷は物質の外側の機構との力のやり取りだけが残るからです。
これは、電気現象でも同じことで、例えば電圧Vを加えた幅dのシリコン半導体領域の電荷qが受ける力はq E = q (V / d)で、q (ε_Si/ε_0) (V / d)ではありません(ε_Siはシリコンの誘電率)。経験上、このことは確かです。

改めて最後に一言。BとHは常に(B = μ_0 H)の関係があって、物体中の透磁率μによってBとHが変わる時も両者の比率は変わりません。(B = μ H)は有り得ないのです。透磁率μの物体中では、BもHも(μ / μ_0)倍になります。

付記: 結局、これら磁気的なモーメントや磁荷のμ_0倍の違いは、E-B対応とE-H対応の違いではなく、単位系の主流がE-H対応からE-B対応に移った際に、磁場の発生機構も磁石から電磁石に変えるべきであったのに(磁荷の概念が重要でないことも説明すべきであった)、磁石を使った説明を引きずってしまっていることが原因なのです。
教科書は、(参照文献の2つ目のように)”磁気双極子モーメント(p_m = m d)”と”磁気モーメント(μ= p_m / μ_0)”の区別を定義として明記すべきです(紛らわしいことに、磁気モーメントも透磁率も同じ文字μが使われていることに注意してください)。
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この回答へのお礼

修正ありがとうございます。

磁石が作る磁界によるローレンツ力は、
- 「荷電粒子」周辺の透磁率には依存しない。
- 磁石周辺の透磁率に依存する。
すなわち、F=μqvH(μは磁石周囲の透磁率(真空ではμ=μ_0)であり、Hは荷電粒子の位置における磁場で、磁石周辺の透磁率に寄らない磁石固有の値(前提:荷電粒子と磁石の相対位置一定)、ということでよいのでしょうか?

すると、F=qvBですので、
- B=μH(Bは荷電粒子の位置での磁束密度、Hは荷電粒子の位置での磁界、μは磁石の周囲の透磁率)となりませんでしょうか?

「B=μ_0 H が常に成立する」ということとの整合性はどの様に考えればよいのでしょうか?

お礼日時:2019/06/21 21:06

これまでの私の#13までの回答では、E-B対応の磁荷m_bとE-H対応の磁荷m_hが真空の透磁率μ_0倍だけ異なっている(m_b = m_h / μ_0)として、それは磁荷を想定してないE-B対応で無理やり考える為であると言って来ました。

しかしながら、実は単位の取り方で磁荷の有無が変わるのかな?という疑問がありました。
改めて諸文献を調べると、これは単位(対応)の本質的な問題でなく、#13回答で言及した磁気モーメント(m d)の扱いに(日本では?)混乱があることが原因の発端でした。
E-B対応の電磁気では磁荷を(積極的に)扱わないはずで、例えばFeynmanの教科書や英文のwikipediaはそうなってます。そして、磁石や電磁石の磁力は周回電流が作る磁場Bの作用として説明します。そこでは”磁気モーメント”の大きさは磁場B中で(電)磁石の受けるトルク(モーメント)として定義してます。ところが、日本では極性の異なる磁荷±mとその間隔dで(m d)とまず説明する文献がほとんどのようです。例外的に、そのような(m d)を”磁気双極子モーメント”と呼び(m d / μ_0)を”磁気モーメント”と呼ぶ文献があります。(<https://eman-physics.net/electromag/ magnetic_moment.html>“EMANの物理学・電磁気学・磁気モーメント”, <http://www.yamamo10.jp/yamamoto/lecture/ 2005/p1/12th/force_mag.pdf>“物質の磁性”)
ちなみに、磁荷の代わりに電荷を考えた双極子は”電気双極子モーメント”と呼んで、”電気モーメント”とは呼びません。”磁気双極子モーメント”が正確なはずですが、どうも海外でも昔から”磁気モーメント”とも呼ばれてきたようです。磁荷を表立って記さない英文のwikipediaでもmagnetic momentと呼んでいて、magnetic dipole momentとも呼ばれるとあります。
日本もほとんどの場合に”磁気モーメント”が使われてますが、まず極性の異なる磁荷±mが対になっている双極子として説明して、周回電流も同等の磁場を生じると説明することが多いです。そして、ほとんどの文献が”磁気モーメント”の値が(m d / μ_0)であることを明記してません。(勿論、”磁気モーメント(μ= p_m / μ_0)”の立場での磁荷は”磁気双極子モーメント(p_m = m d)”の立場の磁荷の1/μ_0になります)

結局、これら磁気的なモーメントや磁荷のμ_0倍の違いは、E-B対応とE-H対応の違いではなく、単位系の主流がE-H対応からE-B対応に移った際に、磁場の発生機構も磁石から電磁石に変えるべきであったのに(磁荷の概念が重要でないことも説明すべきであった)、磁石を使った説明を引きずってしまっていることが原因なのです。
教科書は、(参照文献の2つ目のように)”磁気双極子モーメント(p_m = m d)”と”磁気モーメント(μ= p_m / μ_0)”の区別を定義として明記すべきだと思います。(紛らわしいことに、磁気モーメントも透磁率も同じ文字μが使われていることに注意してください)
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この回答へのお礼

いろいろお調べ下さりありがとうございます。当初の予想よりも話が複雑だと分かります驚いております。d9win様のご回答をまだ咀嚼しきれていないのですが、以下のようなお考えということでしょうか?

- ローレンツ力の式中のμは真空の透磁率(=μ_0) → 電流が作る磁場(例えば、i/(2πr))によるローレンツ力はqvμ_0i/(2πr)で一定。(教科書の記述とは異なる。)

- 磁石(磁極ではなく現実の磁石)が作る磁場は空間の透磁率に反比例 → 磁石の作る磁場によるローレンツ力は「qvμ_0x(空間の透磁率に反比例する値) 」となるので空間の透磁率に反比例。

おっしゃる通り磁場の原因によらずローレンツ力は同じはずなので、恐らく後者のどこかがd9win様のお考えと違うのだと思っておりますが、いかがでしょうか?

以上、ご確認頂けると幸いです。

お礼日時:2019/06/21 10:18

回答経緯でお分かりのように、私の知識はお粗末なものです。

知っていることでなく、調べていることを本欄に書いてますので、そのようなことを考える者もいると言った程度に受け止めて下さい。
それにしても、基礎物理では徹底されていない説明が多いと思います。しかしながら、どこかで説明を端折らればならないので、それも止む了えないことは、自分で説明しようとすればよく判ります。良書を学べという訳です。

さて、B = μ Hが事の発端とのことですが、(真空の)透磁率μ_0は、本来物質による磁場の大きさの変化を表すものでなく、磁気的な力(クーロン力)と力学の力の比を示すものの様です。物質による影響は比透磁率(μ/μ_0)に限らねばならないのです。また、電気的な力(クーロン力やアンペアの法則)と力学の力の比を表す係数として真空の誘電率ε_0が導かれたようです。そして、電気と磁気の両方が関与する現象(ローレンツ力)と整合するにはμ_0 ε_0積が速度の次元の2乗の逆数であらねばなりません(μ_0 ε_0 = 1 / c^2)。
これら3種類の現象の定量的な表現(単位量の選び方)は、電荷や磁荷、あるいは電流の決め方によって変わって、論理的に整合する組み合わせは複数考えることが出来ます。これが電磁気の単位系が色々あって複雑な原因です。何せMKSA系が提起されたのは第2次大戦後です。それまでは、言わば電気と磁気のどちらかを主にした単位系が並立していたのです。
(<http://fnorio.com/index.htm> FN高校の物理 ”電磁気学の単位系が難しい理由”に実に詳細な説明があります。ただし、大学レベル以上です)

ところで、私の#13回答の”反磁性が電子軌道に因ってもたらされる”機構の説明は間違いでした。隣り合うリング状の電流経路が作る磁場が打ち消されるのは、リングの中心軸が重なる状況におけるリングの外側です。それは、空心コイル形電磁石の直ぐ外側には磁場が生じてないことと同じ理屈です。
反磁性の説明としては、単にリング状の電流経路があれば磁気双極子が形成されて、それが磁気エネルギーを小さくする方向に並ぶ(あるいは、そのように電流の方向が変わる)訳です。(ベンゼン環の反磁性が例外的に大きいのは、6ヶの炭素原子を巡るπ電子が存在するからです)

すると、磁場が強くなる強磁性は(磁気双極子による)磁気力だけでは説明できません。電子スピン同士の間で(古典力学になかった)新しい種類の相互作用が存在していると考えざる得ません。(そのことを最初に提起したのはHeisenbergでした)

結局、自分なりに納得するまで、ああだこうだと具体的に考えるしかないのです。
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なるほど、今までの説明では矛盾しますね。


間違いの原因は、真空の透磁率μ_0と物質中の透磁率μを簡単に置き換えた為であると思えてきました。磁束密度Bは基本的にB = μ_0 Hの関係があって、物質中ではそれに原子等の磁気分極による寄与分Pm = μ_0 χ_m Hが加わります(χ_mは磁荷率 or 帯磁率)。
B = μ H = μ_0 (1 + χ_m) H.
物質中には外部磁場(μ_0 H)と内部磁場(μ_0 χ_m H)の磁場が存在している訳ですが、内部磁場による力は物体内部の原子同士の間の力なので互いに相殺されるされます。したがって、物質中の電荷qへの力は外部磁場だけを考えねばなりません。すなわち、ローレンツ力式中の透磁率μは(通常) μ_0と書かれてますが、これは物体中でもμ_0でなければならないと思います。
磁場の原因が電流でなく磁荷であっても同じことなので、物質中の電荷qへは外部磁場(μ_0 H)だけが影響することになります。こうして、磁場を生じる原因が電流であっても磁荷であっても同じローレンツ力が働くことになります。

なお、E-H対応とE-B対応の際の換算係数は(内部磁場の影響を含んだ) μではなくμ_0を用いねばならないと考えます。単位の換算なのですから、環境に影響されるのはおかしいです。勿論、具体的に物質内の磁場を考える時はμを用いねばなりません。さらに、この考え方によれば、クーロン力を表す式の透磁率に関する係数は、E-H対応の式では(1/μ)、E-B対応の式では(μ_0^2/μ)になると考えます。
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この回答へのお礼

ご説明ありがとうございます。
総合物理の教科書(数研出版)には以下のような記述があります。

「電流が磁場Hから力を受けるとき、力の大きさは周囲の物質の透磁率μの値が大きいほど大きくなる。よって、電流が受ける力を考える場合には、磁場Hのかわりに、物質による効果も含めた量を用いて記述しておくと都合がよい。そこで、B=μHという量を定義する。」

電流が磁場から受ける力は移動電子に対するローレンツ力そのものだとすれば、上記は「ローレンツ力は周囲の物質の透磁率に比例する」と読めます。

この記述が私の当初の質問のきっかけでもあったわけですが、(私の読み方が正しいとすると)実は誤りだったりするのでしょうか?

お礼日時:2019/06/18 23:05

棒磁石等実際の磁石に因って発生する磁場Hは、両端に逆極性で等量の磁荷がある磁気双極子と見なし得るので、長さをdの両端に±mの磁荷があるとすれば、遠方でH = m / (4π μ r^2) - m / [4π μ (r+d)^2] と表し得ます。


したがって、ある特定の磁石によって出来る磁界(H)は空間の透磁率μに反比例します。
そして、B = μ Hの関係から、磁束密度Bは空間の透磁率μに拘わらず一定です。

スーパーカミオカンデの観察データを解析して、Diracが提起したモノポールを検出しようとする研究活動があったことは、今回初めて知りました(1996 年 4 月 1 日から 2001 年 7 月 15 日までの 1496 日分のデータ解析した10年ほど前のレポートをwebで見ました)。私は、30年ほど前に実際に測定している人から、何時見つかってもおかしくないと聞いたことがあります。その後、関連ニュースがないのでてっきり研究熱も冷めたのだと思ってました。カミオカンデのニュートリノ観測に便乗してそのデータを使うのは良いアイデアですね。しかしながら、その後も、延々とデータは残っているはずなので、少なくともこの方法では結論は出ないようですね。
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この回答へのお礼

早速ありがとうござます。

「ある特定の磁石が作る磁束密度Bは空間の透磁率によらず一定」ということは、「特定の磁石によって作られた磁界内を移動する電荷に働くローレンツ力は空間の透磁率によらず一定」ということなのですね?

特定の電流により作られた磁界(例えば直線電流ならrの距離でH=i/(2πr))によるローレンツ力がμに比例する(F=qvμi/(2πr))ことと比べると不思議に感じます。

磁石や電流を見なければ磁界(磁束)の原因は分からずただ磁界(磁束)が存在しているだけなのに、空間の透磁率を変えた時の移動荷電粒子が受ける力の変化を観測した時、一方は比例して変化し、他方は変化しないというのは大変不思議な現象に思えます。

お礼日時:2019/06/17 17:19

ローレンツ力は磁場(H or B)に対して速度vを有する電荷qに働く力です。

相対運動がなければ生じないので、磁石に働く力はローレンツ力ではありません。
磁力に2種類の解釈が存在するのは、+m磁荷に少し離れた-m磁荷からなる磁気双極子(すなわち磁石)が作る磁場が、+mと-mを結ぶ軸を中心とする電流環が作る磁場と、(それらから少し離れると)同等になるという実験事実に起因してます。理論的には、前者はクーロンの法則、後者はビオ-サバールの法則に当たり、両者が同等になることが証明できます。
磁力の起源が何であるかは、電荷のクーロンの法則がなぜ成り立つかと似たようなレベルの問題で、現代の理論でも説明できないと思います。もっとも、電磁量子力学では、クーロンの法則を+電荷と-電荷の間を(仮想)光子が行き来しているとの説明がありますので、むしろ電場や磁場が何かという問題と同じレベルと言った方が良いかも知れません。電子が何か説明できないのが現状ですので、電荷や電場の本体は判ってません。磁場の本体は尚更判ってないのです。
そうであれば、磁荷がないという話も本当であろうかと疑いを持つ人も出て来る訳です。一時期、本気で単位磁荷を検出しようとした研究が行われました。
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この回答へのお礼

度重なるご回答大変ありがとうございます。

磁荷は存在しないという現在の理論に基けば、磁石間の力は元をたどればローレンツ力では無いのですか?磁石の磁力が原子レベルでの電子の動きによるものだとすれば、磁石が磁界から受ける力はミクロレベルのローレンツ力の集積と考えておりました。

私の疑問点を別の形で表現すると、恐らく次の様になると思います。

ある特定の磁石(磁荷ではなく棒磁石等実際の磁石)によって出来る磁界(H)は空間の透磁率に:
比例する/反比例する/一定
のいずれか?

ある特定の磁石(上記と同じ)によって出来る磁界(B=μH)は空間の透磁率に:
比例する/反比例する/一定
のいずれか?

どうぞよろしくお願いいたします。

質問から外れる余談ですが、カミオカンデでのモノポールの探索は取りやめになったんですか?

お礼日時:2019/06/17 14:43

本来E-H対応でのみ意味のある磁荷mを無理やりE-B対応で表すと(m_b = m_h / μ)となることの説明を補足します。


電磁気では単位系の選び方によって、電荷や電界等の全ての値が桁違いに変わります。MKSA系(あるいは、それにほぼ同等のSI系)の中では同じ値が使えるはずですが、(E-B系において)磁荷mを考えないとしても磁気モーメントを扱う場合が例外となります。磁気モーメントは(E-H対応では)距離dを隔てて+mと-mの磁荷が存在する場合に(m d)と定義されます。一方、E-B対応では周回電流が流れる領域の面積Aと電流値Iの積(A I)と定義されます。(どちらの場合でも、遠方では同等の磁場を生じます)
そして、(E-H対応では)磁場H中の磁気モーメント(m_h d)は(m_h d H)のエネルギーを有し、(E-B対応では)磁束密度B中の磁気モーメント(A I)は(A I B)のエネルギーを有すると定義されています。すると、(m_h d = A I μ)の関係がなければなりません(μ= B/H)は透磁率です)。そして、E-H対応と同じ形で(E-B対応の)磁荷m_bとdを使って磁気モーメントを(m_b d)と表せば(m_b d = A I)となります。このため、(m_b = m_h / μ)でなければならない訳です。こうして、E-B対応とE-H対応では、磁荷mと磁気モーメントが透磁率倍(μ倍)だけ異なっているのです。

なお、#12回答に”磁化は磁気を強める”とあります。それは外部から加わった磁場よりも内部の磁場が大きい状況で、#7回答の”強磁性”や”常磁性”に当たり、電子スピンが揃うことがその原因です。ところが、どの物体にも外部磁場を弱めようとする別の要因があります。それは原子の中を周回する電子の(軌道)運動です。この電子の周回運動は電流に相応するので、電流経路(電子軌道)の各部分で経路の周りを一周する磁場を生じます。ある経路の上部と下部が作る磁場の方向は互いの経路の外側では逆向きになるので、そのさらに上側や下側の別の電流経路の外側の磁場と打ち消し合おうとします。その結果、電流経路の内側に発生した磁場だけが残ります。そして、電流経路の周回方向は、この内部磁場が外部から加えられた磁場と逆方向になろうとします。その方が(磁気)エネルギーが小さくなるからです。このような特性は”反磁性”と呼ばれており、(電子が存在する)全ての物体で起こり得ます。その効果は、透磁率μが真空値よりも小さくなる形で現れます。ところが、通常その効果は”常磁性”効果よりも僅かなために表立ちません。ただ、水, 銅や多くの有機物は反磁性を示します(特にベンゼン環の反磁性が(異常に)強いことは有名です)。
こうして、周回電子は反磁性をもたらし、電子スピンは常磁性や強磁性をもたらします。電子スピンは内部構造がなく、それが発生する磁場は外部にしか現れません。それが整列した際には、先に説明した上下に隣り合う電子の電流経路による磁場の打ち消しのような影響がなく、ただスピン外部の磁場方向のみが表立つ為です。
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この回答へのお礼

再度詳しいお話ありがとうございます。実は正直言ってまだ釈然としないのです。

- 磁石(磁極ではなく現実の磁石)が作る磁界(H)は空間の透磁率による磁束密度(μH)をもたらし、移動する荷電粒子に力(F=qvμH)を及ぼす。
→ Fはμに比例。

上記磁界に置かれた他の磁石との間の力(F’)は(磁石の端を磁極とみなした場合)磁石固有の値であるm_hを使って磁気のクーロンの式で表される。
→ F’はμに反比例。

磁石間の力も元をたどればローレンツ力だと思うのですが、上記の様な結果になることがどうもしっくりきません。

堂々巡りの様ですみません。

お礼日時:2019/06/17 11:26

助けになるかわかりませんが、



電気の双極子は電荷が作るので、双極子の内と外で
電束/電場の向きが逆
一方、磁気双極子は、磁荷ではなく、電流が作るので
双極子の内と外で磁場/磁束の向きが同じ。

誘電率とか透磁率は場と双極子との関わる割合を
表しますが

双極子の内部の場の向きは、分極は電場を「弱める」ことを
磁化は磁気を強める(増幅する)ことを意味します。

こう考えると、E-B対応の方が理屈に合います。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
せっかくのご説明でしたが、私には難しくて疑問との関係がよく分かりませんでした。すみません。

お礼日時:2019/06/18 11:23

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